「・・・・」
その休日、俺は歩いている。
目的としては、この街でコカビエルが行おうとしている事件を防ぐ為に行動しているのだが
「早々見つからないよな」
その言葉と友に、俺は思わずため息を吐く。
「あっ、先輩!!」
「んっ」
そう悩んでいる時に聞こえた言葉。
ふと、振り向くと、そこにいたのは赤色の髪の毛と花びら状の髪飾りがトレードマークの少女がいた。
「あっ友奈」
それは俺の中学時代の後輩である友奈だった。
彼女はボランティア部に所属している少女であり、この辺りでは有名だ。
だが今は私服姿なので少しだけ印象が違う。
まぁそれでも元気なのは変わりないけどさ。
そんな事を思いながら俺は彼女の方へと近寄る。
すると友奈は嬉しそうな表情を浮かべる。
「こうして会うのは久し振りですね!!」
「そうだな」
「ところで先輩は何をしているんですか?」
「ちょっと探し物をしていてな」
さすがに、この街を壊そうとしている奴がいるから、そいつを探そうとしているなんて言えない。
ここは、彼女を巻き込まないようにしようと思ったのだ。
「そうなんですか、だったら私も探すのを手伝います!」
「えっ!?」
まさかの提案に俺は驚く。
「いや、いいって別に」
「いえ、困っているなら助け合うのが普通です!!だから手伝わせてください!!」
どうやら友奈は本気で言っているらしい。
こうなった彼女を止める事はできない。それに、もしもの事があった時、彼女が傍にいるだけで心強いと思う自分もいる。
「分かった。じゃあ一緒に探してくれないか?」
「はい!任せてください!!」
笑顔で答える彼女に俺は苦笑する。
(全く、相変わらずのお人好しだよ)
だけどそれが、今の俺にとってはありがたい存在でもあった。
「それで先輩、どんな物を探しているんですか?」
「まぁ、なんだろうなぁ」
「えぇ、分からないんですか?」
実際に、コカビエルがどんな奴かも知れないし、どう探せば良いのか分からない。
だから、ある程度適当な事を言っておく事にした。
「まぁ、とりあえずは色々な所で見て回らないか?
もしかしたら、見つかるかもしれないからな」
なるべく安全に別れるように誘導しながら探していこうと思っていた。
すると、友奈はキョトンとした表情を浮かべてこちらを見る。
そして何かを考えるような仕草をしたかと思うと、ニッコリと笑う。
「分かりました!それなら、私のお勧めの場所を紹介しましょう!!」
「へっ?」
突然の言葉に思わず声が出てしまう。
「まず最初に行く場所は、ここの公園です!!」
「あっ、おい、待ってくれよ」
俺の声を無視して友奈は先に進んでしまう。
仕方ないので、俺もその後ろを追いかけていくのであった。
向かった先は、町外れの高台にある大きな自然公園だった。
木々が多く生い茂っており、まるで森のように感じる。
そして、その中央には噴水があり、そこの周辺にはベンチもある。
確かに、休憩するにはちょうど良さそうな雰囲気だ。
「なるほどな」
そう呟きながら、俺は辺りを見渡す。
「どうでしょう。
こういう見晴らしの良い所だったら、探しているのも、見つけやすいと思ったんですが」
「そうだな、もしかしたら、見つかるかもしれない」
「はい!!」
本当に嬉しそうな表情をする友奈を見て、俺は小さく微笑む。
こんなにも純粋に物事を考えてくれる後輩がいてくれて良かったと改めて思う。
「あっ、そうだ、先輩。これ食べませんか?」
友奈は鞄の中から一つの包みを取り出した。
それは可愛らしくラッピングされたクッキーだった。
「これは?」
「実は部活で作ったので、余った物なんですが、良かったら食べてもらえないかなと思って」
少し照れくさそうに言う友奈を見ながら俺は苦笑する。
「わざわざ悪いな」
「いえ、大丈夫ですよ。
それより食べてください」
そう言われ、俺は早速一枚食べる。
サクッとした食感と共に甘い。
そう思っていた時だった。
「おやおやぁ、こんな所で甘い空気はなんですかぁ!!!」
「っ」
聞こえてきた声。
それと共に、襲い掛かったのは、以前、見たことのある白髪の神父だった。
「あれ、あの人、何を」
「まさか、一般人が」
「あいつは紘汰っ!危ないっ」
それと共に聞こえたのは、一誠達だった。
どうやら、俺が予想していたよりも早く見つけてしまったらしい。
そうしている間に神父は俺に向かって、襲い掛かる。
「まずは女の子からってね!!」
「っ」
その言葉を聞くと共に、俺はそのまま友奈を抱えたまま、避ける。
「大丈夫かっ」
先程の、あまりにも多くの出来事で、困惑し、気絶したのか、彼女は目を閉じていた。
「・・・」
それを見て、安心した。
だが、同時に俺は神父を睨み付ける。
『三人称視点』
「おい、くそ神父」
その言葉と共に、これまでエクスカリバーの力によって、高速で動いていたはずのフリードが蹴り飛ばされた。
それには、その場にいた全員が驚きを隠せずにいた。
「てめぇ、何をしやがるんだぁ!!」
「それはこっちの台詞だ。
たく」
それと共に紘汰が懐から取り出したのは、一誠達にとっては、見覚えのある物だった。
【オレンジ】
鳴り響く音、同時に戦国ドライバーにオレンジロックシードがセットされる事によって、法螺貝を思わせる待機音が鳴り響く。
「まさかっ、紘汰が」
「変身」
【ソイヤッ!オレンジアームズ!花道・オンステージ!】
紘汰のその声と共に紘汰の身体が一瞬で変わる。
三大勢力にとっては謎の存在であり、未だに正体が不明である存在である鎧武。
その正体が、今、明らかになった。
『この力、まさか奴は』
「ドライグ、なんか知っているのか?」
同時に一誠に宿る赤龍帝であるドライグは、紘汰から発される何かに驚きを隠せなかった。
『なるほど、奇妙とは思った。
しかし、まさかあれが現代で見られるとは』
「鎧武の事なのか?」
一誠が疑問に思っている間にも、鎧武とフリードの戦いが行われていた。
天閃の聖剣により、高速で動きながら、夢幻の聖剣と組み合わせ質量のある残像を生み出しながら、さらに透明の聖剣で本体は隠れる。
伝説の聖剣を使った高度な戦闘は、未だに驚きを隠せない一誠達に対して、紘汰はその両手に持った大橙丸と無双セイバーで切り払い、薙ぎ払って、対抗した。
そこにはフリードのような特殊な力を使っている訳では無く、純粋な剣技で、追い込んでいた。
「おい、どうなっているんだっ!!こっちは伝説の聖剣なんだぞ!!
なんで、こっちが追い込まれているんだっ!!」
『当然の話だな。
あれを使う事ができた奴が、欠片で作られた聖剣では敵わないはずだ』
「あれって、まさか、鎧武の変身しているアイテムの事を知っているのか?」
『あれはそんなレベルではない。
奴はおそらくは誰もが知っていながら、同時に誰にも認知されなかった神滅器。
黄金の果実だ』
「黄金の果実?」
それに疑問に思い、首を傾げる。
「黄金の果実、なぜそれがここで」
そうしていると、一誠達と合流したゼノヴィア達。
目の前で鎧武との戦いに驚きを隠せないが、それよりも、一誠から出た言葉に驚きを隠せなかった。
「黄金の果実って、確か」
「あぁ天界にあるエデンの園。
そこで知恵の樹や生命の樹などがあるが、その中でも原初とされている果実の事だ。
なぜ、君からその名が?」
「いや、ドライグが言っていたかな。
なぁ、その黄金の果実って、一体どういう能力なんだ」
『簡単に言えば、究極の創造だ。
持ち主次第だが、その気になればあらゆる物を作り出す事ができる。
神が始めに作り出した神器でもある』
「そんな馬鹿げた能力が」
『あぁ、だからこそ、それを使う為には、本人が持つ強い思いが必要になり、さらには使用条件が他のどの神器よりも難しい。
だから、おそらくは誰も使用できないとされていたが』
「鎧武が、紘汰がそれを実現させた」
そう、黄金の果実の話をしている間にも、紘汰はそのままベルトにあるオレンジロックシードを無双セイバーに装填する。
【ロック・オン!イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン!オレンジチャージ!】
その音声が鳴り響くと共に、質量のある分身であるフリード達を、全て切り飛ばす。
「ぎゃはぁ、こいつ、とんでもっ」
そうして、叫んでいる間にも吹き飛ばされるフリード。
「さてっと、出てこいよ。
てめぇ、さっきからこそこそと隠れていやがって」
「ほぅ、気づいていたのか」
紘汰の、その一言と共に現れたのは堕天使。
その形相はまさに凶悪な一言であった。
「まさか、こんな奴がいるとは、予想外だったな」
「そうかよ。
こっちは今は大事な後輩が傷つけられたんだよ。
それでくだらない事を考えているお前を倒す気満々なんだよ、コカビエル」
そう、紘汰は無双セイバーを構える。
「くくっ、戦うか。
それも良いだろう。
だが、ここで終わらせるには、勿体ない。
俺達の決着に相応しいのは、ここではない」
そういうと、そのまま消えるコカビエル。
そして、それと同時にフリードも消えた。
それを見届けた後に、一誠達へと振り返る。
その姿を見た一誠達は、やはり鎧武の正体は、紘汰なのかと驚きを隠せない。
しかし、紘汰は変身を解除した後、すぐに気絶している友奈を抱える。
「こっ紘汰」
「悪いが、後輩を休ませるのが、先決だ」
その言葉と共に、紘汰は懐にあるロックビークルを取り出し、そのまま彼女を抱えたまま、走り出した。
同時に桜の花弁と共に、その姿を消した。
「なんというか、色々な事が起きすぎて、混乱する」
一誠はただそう呟きながら、その場を立ち尽くす。