時間は深夜、場所は職員室、各勢力が入り混じった会談は始まってからすでに数時間が経っていた。
悪魔側は魔王サーゼクス、セラフォルー。
天使側は四大天使ミカエル、ガブリエル。
堕天使側は総督アザゼル、白龍皇ヴァ―リと錚々たる顔ぶれであった。
そして、その中でリアスを始めとしたグレモリー眷属とソーナ率いるシトリー眷属。
そんな多くが集まる中でも注目が集まっていたのは、この場でただ1人の人間である紘汰だった。
「それで聞きたいが、君がこれまで謎に包まれた鎧武で、間違いないかい?」
そうサーゼクスは確認するように尋ねる。
「えっと、はい。
とりあえず、俺が鎧武で間違いないです」
「まさか、謎に包まれた存在である鎧武が、学生だったとは」
「まぁ、驚くよな。
しかも、まぁ、このメンツを見たらな」
そう言いながら、俺の横にいるメンバーも見る。
その場にいるのは、俺の護衛として選ばれたヴェルキリーであるマリア、クリスを見つめる。
「こいつらは確かあの爺さんの所でも特に強いヴァルキリーだろ。
そんな2人が護衛にいる以上は。
けどなぁ」
「えっ」
その視線は、友奈にも向けていた。
「こっちは少し予想外だったぜ」
今回の会見では、ある意味戦闘を想定している。
それと共に、あれを試す為にも、念のために友奈にも来て貰っている。
「えぇ、予想は大きく当たっているわ、アザゼル様。
この紘汰こそ、アースガルズの次期当主であると同時に原初の神器、黄金の果実の所有者よ」
「黄金の果実」
その言葉と共に天使勢力は驚きを隠せない様子だった。
「なんか、他の人達に比べたら、特にあの2人の驚きが凄いな」
「当たり前だろ。
元々は黄金の果実は天界で採れる果実だ。
けど、それらは全ては原初の神器があって初めて実る奴だ」
「マジで」
俺は隣にいるクリスから確認するように聞くが、思わず目を見開く。
「あぁ、君が思っている以上に、その神器の価値は高い。
だからこそ、オーディン様も」
「言っておくけど、既に彼はアースガルズの次期当主としての立ち位置があるわ。
その強さも既に分かっているわよね」
「おぉ、それについては分かっているぜ。
にしても、そっちはそっちで身内が色々ととんでもない事をしているよな」
「身内?」
その言葉に、一誠は首を傾げる。
「お前達もこれまで何度も遭遇した奴ら。
あいつらはアースガルズの神の1人であるロキが作り出したクローン共だ」
「はぁ、そんな事できるのかよ!?」
「あいつはトリックスターと言われる程の知恵の持ち主だぞ。
それぐらいは可能だ」
「という事は自作自演」
それと共に俺を怪しむ目で見るが
「それだったら、楽だったけどな。
だけど、ロキの野郎はそいつを殺す為にクローンを放っていた。
まぁ、身内のゴタゴタに巻き込まれるという意味では俺達はあまり強くは言えないからな」
「……確かに。
教会の件やはぐれ悪魔など、紘汰君のおかげで解決できた事件も多い。
だからこそ、聞きたい。
君は、これからどうするつもりだい」
サーゼクスの言葉に皆の視線が俺に集中する。
だが、答えは既に決まっている。
「俺はロキの奴と決着をつけるつもりだ。
それが、俺がアースガルズの次期当主として、やるべき仕事だから」
俺の宣言と同時にアザゼルが口を挟む。
「いいねぇ。
実に面白そうだ。
それに、その問題は俺達にも大きく関係しているからね」
「それは、君が神器の研究に関係しているのかね?」
「あぁ、そうだ。
お前も知っているだろ、そいつらの名を」
「あぁ」
そう俺達が言おうとした瞬間、時が止まった。
「これは」
「どうやら、襲撃が始まったようだな」
それと共に現れたのは1人の女性だった。
「ごぎげんよう」
見覚えのない女性に疑問に思い、俺は首を傾げる。
「あいつは旧魔王派のカテレア・レヴィアタン。
まぁ、ここまでやった以上は」
「あぁ、その通り、敵だ」
「あら、すぐにその結論を言うのね。
なかなかせっかちな男ね」
「別に。
ただ、こちらとしては、既に準備はできているんだぜ」
その言葉と共にアザゼルはゆっくりと立ち上がりながら、腰にあるゲネシスドライバーを見せる。
「アザゼル。
まさかとは思っていたが、既に開発していたのか」
「なんだ、そっちも興味津々か?
まぁ、悪いけど、これは俺専用なんでな。
どうしても、欲しければ、鎧武に頼むんだな」
そう言いながら、アザゼルはそのままレモンエナジーロックシードを構える。
「はぁ、まったく。
さっさと片付けるわよ」
「分かってるよ。
でなければ、護衛としてついてくるかよ」
そんなアザゼルに合わせるように、マリア達も立ち上がると、その手にはゲネシスドライバーを持っていた。
「おいおい、もぅさっそく量産したのかよ。
まぁ良いけどな、せっかくだから合わせろよな」
「小娘が増えた所で、何ができるんだ?」
「あんまり舐めない方が良いぜ。
科学は誰だろうと万能だからな。
黄金の果実の恵みは、種族関係なく、味方に降り注ぐ」
【レモンエナジー】
不適な笑みを浮かべると共に、レモンエナジーを起動させるアザゼル。
そして
【メロンエナジー】【ピーチエナジー】【チェリーエナジー】
合わせて、3つのエナジーロックシードを起動させる。
「「「「変身」」」」
【ソーダ】
鳴り響く音、同時にその場には4人のライダーが現れる。
デュークに変身したアザゼルを始めとした、斬月・真にはマリア、マリカにはクリス、シグルドには友奈が変身した。
「その程度で、何ができるんですか?」
「さぁな、それは少しみてからのお楽しみだな。
おい、手を出すなよ」
「良いから、さっさと行きなさい、たく」
そう言いながら、マリア達はそのまま、ソニックアローを構える。
構えた先には既に魔方陣から次々と禍の団だと思われる奴らが現れた。
だが、それに向けて、次々とソニックアローを放っていく。
それは、これまで戦いの素人で、弓矢など触れた事のない友奈でも峰打ちを狙える程に。
「これが、黄金の果実の力」
「戦いの素人でも、十全に力を発揮させる」
「科学のような存在という訳か」
そう、彼らの戦いを見ながら、呟く。
しかし、同時に俺に襲う悪寒。
「なんなんだ」
これまでにない何か。
その疑問は、ソニックアローの矢を切り裂いたのが答えだった。
魔方陣の中から現れたその存在は、見覚えがあった。
鎧武者を思わせる姿、手にはオレンジの切り身を思わせる刀。
それは明らかに
「鎧武」
「どういう」
「まさか、出てくるのか。
いや、作ったのか」
それと共に俺は問いかけるように睨み付ける。
「初めまして、というべきだな。
お前の黄金の果実を貰いに来た」
そう言いながら、俺に問いかける。
「黄金の果実を貰いにか。
それじゃ、一応聞くけど、てめぇは何者だ?」
「何者?
そんなの決まっているだろ、鎧武だ。
お前と同じ」
「そうかよ、けど、少し違うだろ」
俺はそう言うと、含みがあるような笑い声を出す。
「まぁ確かにな。
貴様の言う通り、我の名をしっかりと名乗らないといけないな」
それと共に構える。
「我が名は武神鎧武!
アースガルズの次期当主にして、ロキの息子だ」