シャンティア首都、ローザシャーン。官邸がある超高層ビルの、普段は官僚達が詰めているオフィス。そこから行ける、〈鏡の中〉。
鏡の世界には、生命と呼べるものは存在していない。時の止まったような世界に響くのは、男を貪ろうとする女の声だけだ。
「んんっ!? んーっ!」
ダークプリキュアからのキスは、愛情表現と言うには激しすぎた。かと言って、オーラルセックスと呼びうるようなイヤらしいキスでもない。
これは食事だとユージは思った。肉食獣が獲物の血肉を引き裂いて貪るかの如く、かみ付くかのようなキスであったのだ。
「んぐっ、ちょ、ちょっとま……! んっ、んんん……! ぐっ、あぶぅ……!」
「はぐっ、はぐっ、はぐっ、あつい、おいしい、もっろっ……。ぶぢゅるるるるっ、ぐぶっ……れろぉ……」
必死に抗議するが、ダークプリキュアは止まらない。無我夢中で、ユージの命を吸い取ろうというかのように下品なバキューム音を立てている。
まるで野獣だ。彼女のやり方は乱暴極まりなく、ユージを壁に押しつけて体を固定し、首根っこを押さえながら一方的に口を吸い続けるという有様だ。
おかげでユージはほとんど身動きができない状態になってしまった。はっきり言ってこれはもう、「食われている」という表現の方が適切であろう。
「んちゅるっ、ずっ、じゅぞっ、れるっ……んんっ……ど、どうして、すればするほどあつくなるっ、おさまらないっ、じゅるるっ! じゅるっ! ぢゅううううっ! ぐちゅっ! ぶじゅうっ!」
加えてキスの仕方自体が下手くそで、歯も鼻もぶつかりまくっているし、舌の動きだって滅茶苦茶だ。ムードもへったくれもあったものではない。
事実、ユージは酸欠に陥っているだけで性的興奮など皆無である。
何しろダークプリキュアは息継ぎを必要としないから、いつまでたっても終わらない。そのくせ物を食べるために唾液を分泌する機能はしっかりあるものだから、流れ込んできたそれに溺れてしまいそうになる。
このままでは本当に死んでしまうかもしれないと危惧し始めた時、ようやく彼女は口を離した。唾液の糸を引いて、二人の唇が離れる。
「ぷはっ! はぁ、はぁ、はぁ……おぇっ!」
激しくせき込みつつ酸素を求めて喘ぐユージに対し、ダークプリキュアはまだ足りないとばかりに舌を伸ばしてユージの顔を舐め回した。頬や顎や首筋までびちゃびちゃと舐め上げられて、ユージは背筋を震わせる。
「れろぉっ、ぺちょっ、えろん、れりゅぅっ……あつい、もっとほしい、たべたい、おまえをぜんぶ……れろぉぉ~……」
ダークプリキュアはさらに強く舌を伸ばした。犬のようにべろりと舐めたかと思うと、今度は唇をつけて吸引する。その度に
「ぴちゃっ、ぐりゅっ、ちゆっ、ぺちょっ、べりょおぉ~っ、れろっ、ぐちょっ、はぁっ、総統っ! 総統っ! もっと、もっと欲しい! 総統っ! 総統っ!!」
ダークプリキュアは完全に暴走していた。もはや欲望を抑えきれず、なりふり構わずユージを求めているようだった。
「総統っ、総統っ、助けて、熱いっ、熱いっ、助けてくれっ、頭がおかしくなるっ、胸の中から熱いものが
とうとう懇願を始めたダークプリキュアを前に、ユージは動揺を隠せなかった。あのダークプリキュアが、降って湧いた新しい感覚に振り回され、冷静さを失っているのである。しかしそれも当然といえば当然だ。
なぜなら、彼女はたった今目覚めたばかりなのだから。ミントやアクア、ルージュ、レモネード。他ならぬユージが、あの鏡のプリキュア達に刻み付けた、性とユージへの欲望に。
捕食するようなキスを繰り返したのは、今まで食欲以外の快感を知らなかったからだろう。彼女は今、初めての感覚に戸惑いながらその制御方法を探している最中なのだ。
(シャロン、あいつらのクリスタルをダークプリキュアの動力に組み込んだのか……)
煮え湯を飲まされた意趣返しのつもりだろうか。だとしたら底意地の悪い。いや、純粋な計算か善意でやったのかもしれないが、どちらにせよタチが悪い話だ。そのダークプリキュアを護衛としてユージの側に置いたのだから。
彼女は残った左腕でユージにすがり、胸板に顔を埋めて懇願する。その姿はあまりにも無防備で、ユージの中の
「落ち着いて。ほら、ゆっくり深呼吸を……」
「わ、私は呼吸などしない! なあ、なあ、どうすれば良い? どうしたら治まる?」
「ダークプリキュア…………」
こんな事をしている場合ではない。今ユージの国は滅びかけていて、婚約者は囚われている可能性が高い。
ユージとてそれは分かっているが、さりとてダークプリキュアを放っておくわけにはいかない。貴重な戦力でもあるし、何より放置しておけば正気を失いかねないように見えるのだ。
こうなったら、ダークプリキュアの欲望をかなえてやるしかない。あらゆる意味で、これはユージが果たすべき責任なのだ。
「わかった、わかったよダークプリキュア」
(ルージュたちめ、どこまでも俺を食い物にして……! いいさ、何度でも食らいつくしてやる……! お前たちがそうするなら、俺だってとことんやってやるよ!)
ユージは深呼吸した。深く吸って、ゆっくり出す。ユージも生き物、それだけでも意識がクリアになるものだ。
「ただし一つだけ約束してくれ。これから俺がする事に対して絶対に文句を言わない事」
「約束するっ」
即答だった。それだけ必死なのだろう。一刻も早く熱を鎮めて欲しいに違いない。
「よし、じゃあ最初はキスだ」
「キス? キスはだめだったんだ、何か他の方法を考えてくれっ」
「だめだよ、まずはキスからだ」
「でもさっき」
「あんなのはキスじゃない」
ダークプリキュアをオフィスの机に座らせると、重みでギシリときしんだ音を立てた。彼女はほんの少しユージより背が高いが、脚もかなり長い。机に座ると、立ったままのユージが少し見下ろす形になる。
「…………っ」
金属骨格が露出した右半分を見せたくないのか、ダークプリキュアはすぐに顔を背けようとする。だがユージはそれを許さなかった。彼女の両頬を手で挟み込んでこちらを向かせる。
「さあダークプリキュア、俺の目をよく見てごらん」
「う……あ……」
「大丈夫、俺は君を怖がったりなんかしないさ。君の事が好きだからね」
「……本当か……?」
不安げに尋ねるダークプリキュアに向かって
「何が見える?」
「…………私」
「どんな顔してる?」
「…………ひどい顔だ。消失30%、炭化5%、壊死8%……こんな顔をお前に見せるなんて……辛い……消えてしまいたい……」
実際、ひどい有様だ。
トワイライトに焼かれた顔は右半分がほぼダメになっていて、こめかみの辺りから顎の下まで
内部が露出した右目は赤い視覚センサーがむき出しになっていて、それがどこか痛々しく見える。細かく動作するたび、マイクロモーターの駆動音が微かに響く。
唇もひび割れていて、1/3は壊死しているように見える。
「大丈夫だ……君の顔はとても綺麗だよ……」
ユージは優しく語りかけながら、彼女の髪をそっと撫でる。焼けた髪の感触は少し硬くてごわついている。焦げ臭い匂いもするが、不思議と不快ではなかった。
「そう……なのか……? ……ああ……本当だ……私の体はこんなにボロボロなのに、お前の手は優しい……まるで魔法みたいだ……」
髪を撫でられる感触が心地良いのか、ダークプリキュアの表情が和らぐ。無防備な顔で、撫でられるままに身を任せている。
そんな表情をされてはもう我慢できない。彼女の唇に顔を近づけた。
「ああ…………」
「ダークプリキュア…………」
「んんっ……!」
唇を重ねて数秒ほどそのままにしていただろうか。
機械であるダークプリキュアとのキスは、やはり不思議な感触だった。吐息や、体温や、鼓動の音。そういった反応を感じることができないので、果たして彼女がどう感じているのか分からないが……少なくとも嫌がってはいないようだ。
試しに舌で軽く唇を舐めてみると、素直に口を開けて舌を突き出してきた。
(可愛い……)
素直にそう思える。ぺろり、ぺろりと舌先同士を擦り合わせると、彼女は小さく体を震えさせた。
ダークプリキュアの舌は、食事を楽しめるようにとかなり繊細に作らせてある。小さなザラつきのある表面は敏感な神経が通っているらしく、少し舐めるだけで小刻みに震えた。
「ん…………はんっ、そうとう…………」
その舌を、自分の舌と絡ませてみる。ざらついた舌の表面が擦れ合うたびに甘い
ディープキスを続けつつ手を背中に回して撫でてやると、彼女はくすぐったそうに身じろぎした。
(おっと……これ以上やったらまずいな)
自制心を保ちつつ舌の動きを止める。するとダークプリキュアはもっと続けて欲しいと目で訴えてくるのだが、ユージは一旦顔を離す。
これは終わりという事ではなく、彼女をさらに燃え上がらせるための必要なステップなのだ。
「どうだった? 本物のキスは。気持ちよかっただろ?」
「……」
「言ってみて。君の優秀な電子頭脳なら、ちゃんと答えられるはずだ」
「あ……ぅ……」
羞恥からか言葉に詰まるダークプリキュアだったが、辛抱強く待っていると小声でぽつりと答えた。
「すごく良かった……」
「そう、よかったね。どんな風に感じた?」
「熱くて……とろけそうで……ふわふわしてて……ずっと続けていたい……」
つい先程までの取り乱した様子とは打って変わって、すっかりリラックスしきった様子だ。うっとりとして答えるダークプリキュアは夢見心地といった様子で、体の力が抜けてぐったりと寄りかかってくるほどだった。
そんな様子を見ていると、なんだか変な気分になりそうだった。もちろん嫌な意味ではない。劣情を催すという意味で、だ。
額と額をこすり付け、スキンシップを図る。動物じみた単純な愛情表現だが、今のダークプリキュアにとっては何より大切な儀式のように思えた。それを受け止めると喜びを示すかのように目を細めて微笑み、自分からも額を押し付けてくるのだ。
「嬉しいよ、君がそんなに喜んでくれるなんて」
「うん……本物のキスすると、私がお前にとって必要だってわかるから……」
ふにゃりと柔らかく微笑む姿にキュンとする。普段の凛とした彼女とはまったく違う魅力があった。目を閉じて甘えるような仕草を見せる彼女に愛おしさがこみ上げてきて、一度だけ軽いキスをした。
「ん……もういっかい……」
「どこに? さあ、ちゃんと言ってごらん」
「……むう……くちびるに……」
もう一度口付けると、今度は彼女も自分から舌を絡めてきた。積極的に求めてくる様子が可愛らしい。
ちゅぱちゅぱと音を立てて互いの唾液をすすっていると、興奮が高まってくるのを感じた。下半身に血が集まっていくのが分かる。
強く抱きしめて密着度を上げると、ダークプリキュアも左腕を伸ばして抱き返してくる。二人の体が隙間なくくっつき合い、互いの胸が潰れるくらいに強く抱きしめ合った。
「ふ……んん……れろっ……ちゅぷっ……んっ……ちゅぱちゅぱっ……ぴちゃっ、くちゅっ」
夢中でキスをするうちに息が苦しくなり、名残惜しいと思いつつも一度顔を離した。ハァハァと息を荒げながらダークプリキュアを見つめる。
彼女は蕩けたような表情でこちらを見上げている。皮膚のない顔の右半分から垂れ落ちているのは、2人の唾液だろう。
ユージは優しく微笑み返すと、その金属骨格に舌を
「あ…………♡ 総統…………♡」
ダークプリキュアは感じ入ったように声を上げる。
この機械仕掛けの
そんな益体もない事を考えながら、頬を舐め続けた。頬から顎へ、そして首筋へと移動していく。金属骨格の境目を舐められるとくすぐったいのか、時折体を震わせるのが可愛かった。鎖骨や首の付け根は特に敏感で、何度も舐められた彼女はその度に甘えたような声を漏らす。
その気持ちを、一度言葉にさせるべきだろう。
「ダークプリキュア……君は今、どんな気分だ?」
「……あつい……舐めてもらったところがじんじんする……」
「それだけ? もっとたくさん、君の言葉が欲しいな」
「…………言いたく、ない……恥ずかしい……それにきっとお前は笑う……」
「笑わないよ。笑って君を傷付けたりはしないさ」
「……本当に?」
「本当だよ」
「……お前がそう言うのなら……」
そう言うとダークプリキュアは、小さな声でぽつりぽつりと呟いた。
「溶けてしまいそうなんだ……舐めてもらうと、まるで自分が兵器ではなくなったような気分になるんだ」
「うん」
そっと頭を撫でてやる。気持ち良さそうに目を細めているが、言葉は止まらなかった。
「……それが、気持ちいいとしか思えなくて。私はただ気持ちよくなるためだけに作られたのかって……恥ずかしくて仕方ないのに……やめて欲しいのに……でも嫌じゃないんだ……」
「そうなんだね。ありがとう、正直に教えてくれて」
言葉は強いが、ごく当たり前の、少女じみた羞恥心だと思えた。だが彼女にとっては大きな問題なのだろう。
ここから先は、ユージにも覚悟が必要だ。
(あの人の……トワイライトの言った通りだ。俺には高貴な人の気持ちなんか分からない)
どだい、ユージという男の器量ではみんなの事は考えられない。それができるのはココ13世やトワイライトのような高貴な人か、あるいはイースやジェントルーのような真摯で真面目な人だけだろう。
自分などは、好きな人、可愛そうな人、愛しい誰かの事だけしか考えられない。
だが、その結果どんな目に遭おうとも、後悔はしない。辛くもない。
(それが俺の、幸福だから。たとえ死んでも……愛しい誰かと、ふたりなら)
ユージは覚悟を決めた。ダークプリキュアを、自分の愛しい人にすると。
「ダークプリキュア。俺の目をよく見てごらん」
「うん……」
「恥ずかしくなんてない。人間だって、君と同じで気持ちよくなることしか考えられない時はあるんだ」
ユージの言葉には実感がこもっていた。
シャロン、ジェントルー、ドリーム。ルージュたち4人。そしてもちろん、イース。彼が抱いてきた女の子は、誰もが淫らに乱れ、快感を求める事しか考えられなくなる瞬間を見せてくれていた。
ユージにとって、それはとても喜ばしい事だった。彼にとって、セックスは最大のコミュニケーション手段であり、それを通して彼女たちが喜んでくれることは何よりも嬉しく感じられたのだ。
だから彼は微笑んで言う。目の前の女の子が恥ずかしがらずに自分に甘えてくれることを期待して。
「いいじゃないか、たまには。いつも真面目な君も素敵だけど、たまにそうやって可愛くなる君が見られるのは俺としても嬉しいよ」
その言葉に、ダークプリキュアは驚いたような顔をしていた。しばらく尻込みしていたようだったが、やがておずおずと口を開いた。
「そう……なのか……? 本当に、私らしくない事をしても、お前はそれを受け止めてくれるんだな」
「当たり前だよ。君が俺に何をしようと俺は君のことを嫌いになったりしない。絶対にだ」
こつんと額を合わせ、まっすぐに目を見つめて言うと、ダークプリキュアの顔にパッと喜色が浮かんだ。
「ありがとう……ふふ、こんなことを言うのはおかしいかな?」
「おかしくなんかないよ。君は俺の事を信頼してくれているんだね。
「好き……? 私は、お前の事が…………」
「そうだよ。
「ああ……そうかもしれないな……そうか……そうだったのかもしれない……いや、そうだ……私は、お前を愛してしまったようだ……」
ダークプリキュアの口調が段々あやふやになっていくのに気付く。いい傾向だ。ユージは彼女の背中を撫でながら言った。
「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげるよ」
「……ああ……頼む……♡」
恍惚とした表情を浮かべたままそう答える彼女はとても美しかった。男を知った女の色気とでも言うべきか? いや、これはむしろ、愛する人に身を委ね切った乙女の持つ美しさというべきものかもしれない。
それから更に5分近くかけて、じっくりと顔じゅうを愛撫した。ダークプリキュアはもはや抵抗する素振りも見せず、されるがままにユージの愛撫を堪能している。
時折モーターの駆動音が聞こえてくる以外には、静かなものだ。だがその音こそ、官能を示す証拠に他ならない。機械の体が漏らす悦楽の吐息なのだ。
「もう、熱くても怖くないだろう? その熱は君を傷つけるものじゃない。ふたりで分け合うことで、君を幸せでいっぱいにする熱だ」
「……幸せ……そうか……これが……しあわせなのか……なんて心地良いのだろう……こんなに幸せな気分になれるなら……もっと早く知りたかった……んっ」
うわごとのように呟きながら、やおらダークプリキュアは自分の唇をかみ切った。焼け付いた部分を切り離しているのだ。切り取った唇の端をつまんで捨てる。
「痛くないか? 無理しなくてもいいんだよ」
「痛くなどない。お前には、私の柔らかさを味わってもらいたいんだ。……ん♡」
「ん……柔らかいよ、とっても……」
「よかった……ちゅ……」
穏やかなキスだった。舌を絡ませることはなく、ただ唇の柔らかさだけを味わい、お互いの体温を交換するだけの優しいキス。
それは愛を確かめあう儀式でもあり、ふたりの関係を一歩進めるためのものだった。欠けた唇の感触は良くないが、それは献身の証なのだ。切れ目が触れるたび、ユージはゾクゾクするような興奮を感じた。
それから、ダークプリキュアはユージの顔に触れた。ぺたぺたと形を確かめるように触りながら言葉を続ける。
「私の方が柔らかいな」
そう言っていたずらっぽく微笑む様子はとても可愛らしい。ユージも彼女の顔に触れながら笑い返した。
「そうだね。でも俺は君のこの顔も好きだよ」
「当然だ。私の美しさは完璧だからな。……直りさえすればもっと良くなるはずだぞ」
「分かってるさ。必ず直してあげるよ」
果たせるかどうか分からない約束をしながら、指を首筋、鎖骨、と滑らせていく。
「んん♡ くすぐったいな……♡ あっ、そこは……」
唐突に沈んだ顔になる。胸を触られたダークプリキュアは、申し訳無さそうな顔になってしまう。
「すまない……男なら誰でも乳房が好きと知ってはいるが、私のそこはただの飾りなんだ」
「分かってるよ、大丈夫」
ダークプリキュアのそこは、擬態のために乳房に見せかけた生体細胞の集合体に過ぎないのだった。しかしそんな無粋なことを言っても仕方がないし、そんな雰囲気でもない。
「余裕のある時に、改造してあげようか。俺に触られるとすぐに気持ちよくなって、自分でも毎日いじらずにはいられないように」
「か、改造……♡」
その響きにぞくぞくしているようだった。ユージに作り変えられることに、背徳的な喜びを感じているらしい。
「そうだよ。さあ、言ってみて。どうされたい?」
「う、うん……お前に改造して欲しい……♡ いっぱい気持ちよくなれる乳房にして。お前とふたりで幸せになれる
感極まったようにそういう彼女の様子に愛おしさがこみ上げてきた。同時に今まで以上に彼女が愛おしくなる。思わず抱きしめてしまいそうになる気持ちをこらえて、できるだけ穏やかに語りかけた。
「分かったよ。でも今は先に君をもっと気持ちよくしよう。その後でゆっくりと考えることにしようね」
「うん……」
素直に頷いた彼女は、すぐに真剣な表情に戻って言った。
「次は……私が舐めても良いだろうか? ……今度は優しくするから」
「もちろんだよ」
もちろん断る理由など無いので了承すると、ダークプリキュアは嬉しそうに目を細めた。そして早速とばかりに顔を近づけてくると、ユージの首に手を回して固定してから舌をはわせ始めた。
「んっ……ふぅっ……んんっ……ちゅぷっ……れろっ……」
ダークプリキュアの動きはどこか遠慮がちだ。最初、乱暴にしてしまったことを気にしているのだろう。
確かに、あの激しさでは苦痛の方が強かった。しかし今の触れ方は、慈しむような優しさがあった。ユージを気持ちよくさせようという気持ちが伝わってくるし、舌使いも拙いなりに一生懸命さが感じられて好感が持てる。
「んふっ……ちゅうっ……んっ……ぴちゃっ……ちゅるっ……れろっ」
ぴちゃぴちゃと音を立てて舌を動かすダークプリキュアの表情は、次第にうっとりとしたものに変わっていく。どうやら奉仕が気に入ったらしい。
そんな彼女に負けじとこちらも舌を突き出して舐め返してやると、彼女はぴくりと体を震わせて小さく
「あふっ♡ ……そうとうっ……ちゅっ……んんぅっ! はぁんっ!」
激しく絡みつくディープキスに興奮したのか、彼女は自分からも体を密着させてきた。胸のあたりから、動力炉の熱が伝わってくる。
(ルージュ、レモネード、ミント、アクア。もう逃さないからな。この子ごと、お前たちを永遠に俺の
心の中で呟くと、ダークプリキュアの体を強く抱きしめた。
かつて四人にひどい目に遭わされた記憶がフラッシュバックするが、今ではそれがひどく遠い昔のことに思える。彼女たちは今、この腕の中でダークプリキュアと共に悶えているのだ。股間のモノが固さを増していくのを感じた。
手を伸ばすと、指先に触れるものがある。ダークプリキュアの、女の中心だ。肉ひだの一枚一枚が柔らかく造形されて……
そこでユージは思い出した。ダークプリキュアには、性器がない。それらしく見せたカバーが付いているだけなのだ。膣や子宮のような余分なものは、最初から付いていない。
「……? どうしたんだ、総統。もしかして、やっぱりやめたくなったか……?」
不安そうに聞いてくるダークプリキュアに対し、慌てて首を横に振った。
「そんなことはないよ。ただ、少し困ったことがあっただけさ」
性器を使ってセックスできないなら、他の手段で性感を与えてやるしかないだろう。ユージは彼女を安心させるために微笑んでみせると、再び唇を重ねた。それで安心したのか、ダークプリキュアはまた積極的に舌を絡めてくるようになった。
「んっ……ちゅくっ……ぷはっ……♡」
幸い、ダークプリキュアは女性の精神を持っている。彼女の中にいる鏡のプリキュア達もだ。女性器を介さずにエクスタシーを感じさせることは難しくないように思えた。例えば──
「ダークプリキュア、ちょっと激しくするよ?」
「え……? んん-っ?! ♡♡♡」
敏感な口内粘膜を徹底的に刺激してやる。舌先を歯茎の裏に当ててこちょこちょとくすぐってやるだけで、彼女は面白いくらいに反応してくれた。特に上顎の裏側をくすぐると、びくん! と体が跳ねるほどだ。
そのまま頬の内側まで丁寧になぞり上げ、唾液を流し込んでやる。こくこくと素直に飲み込む姿に愛おしさを覚えつつ、さらに舌で
「ふぁ……んむぅぅ……♡ んむぅ……♡」
甘い声を漏らすダークプリキュアの顔はすっかり蕩けていた。めろめろとだらしなく開いた口からは涎が流れ出し、頬を伝っている。
それを指ですくい取ってやり、そのまま口内を指でかき回してやった。くぐもった声が指の隙間から漏れるが、嫌がっている様子はない。むしろ指を甘噛みしてくるくらいだ。
「ふふ……可愛いよ、ダークプリキュア」
「あぐ……うぇ……あっ……ひゃへぅ……」
もはや言葉にならない言葉を発しながら、なおも舌を絡ませようとする姿は健気ですらある。
指の腹で歯茎と歯の段差を撫でてやると、びくんっと腰が跳ねた。ここが弱いらしい。ならばと、重点的に責め立てることにする。まずは奥歯から前歯へと順番に撫でていき、最後に犬歯を軽く爪を立ててカリカリと引っかいてやった。
「ん~、んぐっ!? んんん~~~~~~ッ!!」
一際大きく腰を震わせた後、脱力した様子でもたれかかってくる。その拍子に指が抜けてしまったのでもう一度口の中に突っ込んでやると、今度は自らしゃぶりついてきた。ちゅぱちゅぱといやらしい音を立てながら指に吸い付き、しゃぶってくる様は子猫のようだ。
「もっほ……♡ もっほぉ……♡」
潤んだ瞳でおねだりされてしまっては仕方がない。頃合いかもしれないと思い、机の上に押し倒す。力はほとんど入れていないはずなのに、あっさりと組み敷かれてくれた。それだけ期待してくれているということなのだろう。そう思うと、胸が高鳴った。
覆いかぶさって舌を出すと、ダークプリキュアは目の焦点が定まらないような状態で口を開け、舌を突き出したまま待ち受けている。
「そんなに慌てなくても大丈夫だよ」
「ん~、ん~、はやふ……はやふひへぇ……はやふ……はやふ……はやふ……はやふぅぅぅ……!」
待ちきれないといった様子で、舌をダンスでも踊るかのように動かしてくる。そのせいで鼻の下が伸び、なんとも間抜けな表情になってしまっていた。だが、元の造形が良いせいか滑稽さよりも可愛さの方が勝っていた。
そんな様子を見ていると
「ほら、もっと舌を出してごらん?」
「んぁっ♡ ほうか? んっ♡ もっとか?」
言われるままにべろりと長い舌を伸ばすダークプリキュアの姿は、普段の凛とした姿からは想像もできないほど淫らだった。差し出された先端を唇で挟んで吸ってやる。それだけで堪らないらしく、彼女はびくびくっと全身を震わせた。
ちゅぽんと音を立てて唇を離すと、名残惜しそうに舌が追ってくる。その様子がたまらなく愛おしい。
「そんな物欲しそうな顔をしなくても大丈夫だって」
そう言うと、今度は唇で彼女の舌を食んでやる。じゅるじゅると音を立てて吸い上げながら唇を動かして扱いてやると、たまらないとばかりに身悶えするのがわかった。
「あうぅぅぅっ~、ほれぇっ~♡ ほれぇっ~♡」
「じゅるるるるるっ、れろっれろっ……」
「んぅっ、れろっれろっ、んんん~~~っ♡ はむぅっ、はぐっ、あむっ♡」
一度唾液を吸い上げてから舌で口内をいじくり回してやると、彼女も積極的にユージの口内を貪ってきた。まるでフェラチオをするかのような動きに興奮し、彼女の頭を両手で抱え込むようにして深く口づける。
「む~~~っ♡ む~~~っ♡」
濡れた抗議の声を上げるダークプリキュア。プライドの高い彼女にとっては屈辱的かと思ったのだが、意外にも突き放す素振りは見せない。それどころか、両脚でこちらの腰をがっちりホールドしてきたのだ。これでもう逃げられない。
(いや、逃げるつもりなんて最初からないけどな)
お互いの唇がぴったり合わさり、むぐむぐ、もごもごという音しか聞こえなくなる。とどめを刺すために喉奥まで舌を伸ばす。どうせ呼吸は最初からしていないのだから、奥の奥まで犯し尽くしても問題はないはずだ。
ダークプリキュアもそれを察したのか、抵抗らしい抵抗はなかった。あ~ん♡ と開けるだけ口を開いて、喉奥までユージを迎え入れてくれる始末だ。そこまでされたら期待に応えなければなるまい。
「うっぐ♡ お゛ぉっ♡ おっ♡ おおぉぉっっ♡♡♡」
(苦しいのか気持ちいいのかわかんない声だな)
そんなことを考えながら、ぐりぐりと舌を動かす。その度にビクビクッと体を震わせるのが面白かったので、しばらく続けてみた。
人間とは決して楽しめない、喉奥ディープキス。いや、食道閉塞舌セックスか。
「んぶぅぅぅっっっ♡♡♡ んぶっ♡♡ んんん~~~~~~~ッッッ♡♡♡」
目を白黒させながら絶頂するダークプリキュアだったが、それでも彼女は必死に舌を絡ませてくる。本当に健気だ。脚の力はさらに強くなり、絶対に離さないぞと言わんばかりにこちらを締め付けてくる。
「んぐぅぅぅぅっ♡♡♡」
それでも構わず続けると、彼女はとうとう限界を迎えたようだ。ビクン! とひときわ強く
もしかしたら快感が強すぎて制御できなくなっているのかもしれない。そうだとしたら、ちょっと申し訳ないことをしてしまったかな。そう思いながらも、ユージは愛撫を続けた。舌を抜き取り、再び唇に吸い付く。そうしてたっぷりとねぶり倒し、満足してから解放してやる。
「………………♡」
ダークプリキュアは体をぐったりと
「んっ……ちゅうっ……んんっ……ぴちゃっ……レロレロレロッ……んぢゅっ……んんっ……んっ……しゅごいぃ……そうとうのキス……んぷっ…………んぷっ……すきぃっ……♡」
「ぷは…………気持ちよかった?」
「あっっもっとしてぇ…………離れちゃいやだぁぁ……」
とはいえこのままでは窒息してしまうため、仕方なく口を離した。すると、すぐさまキスをせがんできた。よほど気に入ったらしい。もっとも、ユージとしても望むところだったが。
「よかったんだ、気持ちよかったんだ、だからもっとしてくれぇ……もっともっとぉ……んっ……ちゅっ……ちゅぷっ……♡」
すっかりとろけきった様子のダークプリキュアは、絶対に離さないといわんばかりにまた脚を絡めてきた。密着したまま濃厚なベロチューを続けていくうちに、ユージの方もいい加減我慢ができなくなっていた。
「ごめん、そろそろ我慢できない、俺も……」
「俺も……? あっ……♡」
腰を揺すって、勃起した男根の存在をアピールしてみせる。ダークプリキュアの目が一瞬見開かれた。
「これが……そうか、人間の男が持っている、生殖器というやつか……」
自らも腰を揺すって、男性器の存在感を確かめている。知識としては入力されていたらしい。そして彼女は小さく頷くと、おずおずと言った。
「これは、その……せ、性行為に用いるもの……なのだろう……? つまり、私とお前の肉体を使って、せ……せ……せ……」
「セックス?」
「セッ……! そ、そうだ、それをしたいということなのだろう……?」
機械の乙女は、恥ずかしげに目を伏せた。かと思えば、悔しそうに顔を歪める。
「う、恨むぞ総統……どうして私に性行為の機能を実装してくれなかったんだ……!」
その言葉に苦笑する。それではまるでセックス人形だ。
「そうしてたら、君は俺のことを好きになった?」
「そ……そうだが! これでは、私が木偶の坊みたいじゃないか! 私はお前の役に立ちたいのに!」
ぷりぷり怒る姿が愛らしい。思わず頭を撫でてやると、すぐに機嫌を直してくれた。
「あン……♡ 教えてくれ、総統。どうすればお前に喜んでもらえる? この体で何ができる? 何をすればお前は喜んでくれる?」
ちょっと心配になるくらい純真無垢だ。だからこそ愛おしくもあるのだけれど。
苦笑しつつ身を離す。ダークプリキュアの長い脚が名残惜しそうに腰に絡みついてくるが、それを振り切って身を起こし、ズボンを脱ぎ捨てた。ぶるんと勢いよく飛び出してきた男根に彼女が息を飲むのがわかる。初めて見る男性器が気になるのか、視線をそらせない様子だ。
「これをどうすればいいか、わかるかい?」
「……わ、わからない……お、教えてくれるなら、なんでもするから……」
「ああ、教えてあげる。俺が何をして欲しいか、君にはちゃんとわかってもらわないとね」
「っ、ああっ♡」
もちろん、性的な意味で喜ばせてほしいのだ。手か口、彼女が喜ぶのは間違いなく後者だ。ダークプリキュアにとって、口とは歓びを得るための器官なのだから。
「じゃあさ、俺のペニスと……君のお口で、セックスしよう。君のお口はクチマンコだ。ほら、繰り返して言ってごらん」
ダークプリキュアの唇に指をはわせながら言うと、彼女は陶然とした様子で頷いた。
「くちゅ……♡ 私の口が、んっ……♡ きすまんこで、ちゅぱちゅぱ……♡ きしゅまんこぉ……♡ ちゅぱちゅぱ……♡」
ちゅぱちゅぱと言いながら指先を舐め回す。実に従順で可愛らしい仕草だが、キスマンコでは間違いだ。
「違うよダークプリキュア、ここはクチマンコだ」
「私の口は、くちまんこっ…………クチマンコと、ペニスで、セックス……ちゅぱちゅぱ……セックスすれば、いいのか……?」
指先をしゃぶりながら言う。舌遣いはなかなかのもので、これならきっと大丈夫だろうと思う。
「そうだよ。上手だね、よく言えたね。君は偉いよ」
褒めると彼女は心底嬉しそうに微笑み、あぐーっと口を大きく開いた。その中は熱く濡れていて、唾液の海になっていた。あの口に肉棒を咥えさせたらどれだけ気持ちいいだろうと思い、股間が熱くなった。
「うん、いい顔だ。そのままじっとしていてくれよ?」
「ふぁい……♡ くちまんこと へっくすひて……♡」
舌足らずな返事を聞きながら、ユージは机に膝をつく。仰向けになったダークプリキュアの口元へ、ガチガチに反り返った怒張を近づけていった。
期待感でモノは限界まで張り詰めていた。やがて先端が触れると、それだけで背筋が震えるほどの快感に襲われた。
(やばいな……これ)
意識していなかったが、命の危機に何度もさらされて生存本能が高まったせいか、興奮も
ゆっくりと口に挿入していく。柔らかな感触に包まれていくにつれ、自分の分身がさらに大きくなっていくのがわかった。
「ダークプリキュア、いいよ、最高だよ、君の中に入ってるんだって思うだけでゾクゾクする……!」
「んむっ~~、んん~~っ♡♡」
苦しそうな声にちらりと彼女の顔を見るが、嫌がるどころかむしろ必死に受け入れようとしているように見えた。
嗜虐心を刺激されつつ、少しずつ腰を動かし始める。途端にじゅるり、と吸われる感覚があって、強烈な快感が脳天を突き抜けた。危うく射精しそうになるがなんとか堪えた。いくらなんでも早すぎるだろう。
一方のダークプリキュアといえば、苦しさにもすぐに慣れたようで、うっとりとした顔で吸い付き続けている。まるで大好物を与えられた幼児のようだ。
「んんっ~♡ じゅるっ♡ じゅぷっ♡ じゅぷっ♡ じゅぷっ♡」
「おおっ……! すげえっ……!」
じゅっぽじゅっぽと、ユージが腰を振るたびにいやらしい音が立つ。最初は加減していたピストン運動も徐々に速くなり、いつしか夢中になっていた。
「んっぐっ♡ じゅぷっ♡ じゅぽっ♡ じゅぽっ♡ じゅるるるぅっ♡」
一方でダークプリキュアの方も、喉奥を使って奉仕しようと奮闘しているようだった。さすがにディープスロートはできないようだが、舌や唇をうまく使って竿全体を刺激してくるのでたまらない。テクニック的には拙いものの、必死さが伝わってくるのがいいのだ。
口内は熱を持ち、ぬるぬるとした粘膜に覆われている。それをこすり上げられるのがたまらなく心地良いらしく、夢見るような瞳でこちらを見上げていた。
(可愛いなぁ)
そう思った瞬間、自然と体が動いていた。彼女の頭を掴んで思い切り引き寄せてやる。喉奥まで肉棒を飲み込ませてやろうというのだ。驚いた顔をするダークプリキュアだったが、抵抗はしなかった。それどころか自ら喉を開き、迎え入れてくれる。窒息に気を遣う必要はない。顔全体を自分の股間に押し付けて、ぐりぐりと動かす。
マーキングである。機械の乙女に対し、お前はもう自分専用の女なのだと教え込む行為だった。彼女にもまたその気があるのか、ユージの陰毛に顔を埋めるようにしながら舌を絡ませてくる。ぢゅぷぢゅぷという
「うおっ! 出るっ! 出るぞっ! 全部飲んでくれっ! いいなっ!?」
「んんん~~~っっ♡♡♡」
「飲んだら君は俺の女だ! 誰にも渡さない! わかったなっ!? 一生可愛がってやる! 死ぬまで一緒だからな! 嬉しいだろっ!? おいっ! 返事はっ!!」
「んごっ♡ んごっ♡ んごっ♡」
激しく頷く様子からして了解したようだ。ならばよしとばかりにラストスパートをかける。力強く腰を打ち付けながら、最後の一滴まで流し込んでやるつもりでいるのだった。
「そうか嬉しいか! 俺も嬉しいよっ!! だからもっと気持ちよくしてやるからな! ちゃんと飲めよ! こぼすなよ! 一滴でもこぼしたらお仕置きだぞ! わかったなっ!? おいっ! 飲め! 飲めぇっ!! ダークプリキュア!!!」
「んむぅ~~~~っっ♡♡♡」
ビュルルルッ! ビュクン! ビュ──ッ!
精液を放出した瞬間、全身が雷にでも打たれたかのように震えた。凄まじい快感で意識が飛びそうになる。
彼女を屈服させる征服感もあいまってとんでもない幸福感を味わっている。ダークプリキュアの喉が動くたび、信じられないほど深い満足感が湧き上がってくる。同時にとてつもない背徳感も覚えていた。
妻、シャロンが作らせたダークプリキュアを、自分は一度自由にした。似た境遇の彼女に、どこかシンパシーを覚えたからだ。その彼女に助力を請い、今はこうして欲望のままに犯している。これが罪ではないというのなら何だと言うのだろう?
それでも後悔はなかった。あの時ああしたから、心置きなく男と女として向き合えたのだから。そう自分を納得させ、射精直後の倦怠感に身を任せる。
「ふう……」
ようやく射精が終わり、ペニスを引き抜く。唾液と精液の混合物が垂れ落ちるが、ダークプリキュアは躊躇なくそれを舐め取った。まるで美味しい食べ物のようにぺろぺろと舌を伸ばし、飲み込んでいく様を見ているとまた下半身に血が集まってきてしまう。我ながら節操のないことだ。
「ちゅぷっ……♡ ちゅぷっ……♡ ちゅぷっ……♡」
「……はぁっ、はぁ、あ、あぁ……ありがとう、ダークプリキュア……」
次はお掃除フェラだ。射精を終えて萎え始めた男根にしゃぶりつき、舌で愛撫してくれる。ぴちゃぴちゃと水音が響き、尿道に残った分まで吸い出そうとしてくれているのがわかった。
亀頭を口に含み、優しく吸い出すような口淫は実に心地よく、思わずうっとりしてしまった。ユージにとっては至福の時間だった。お礼代わりに頭を撫でながら労ってやると、彼女は幸せそうに目を細める。
「ちゅぽんっ……♡ あはっ……♡ たくさん出たな……♡」
唾液に濡れたペニスは見事に復活を遂げている。それを見た彼女は嬉しそうに笑った。
「まだ元気だな……私のお口はお気に召してくれたか?」
挑発的な眼差しを向けるダークプリキュア。激しいオーラルセックスを経験して、どうやらいつもの調子を取り戻したらしい。
ユージ自身は正直まだ足りないくらいだが、物には限度というものがある。これ以上続けるわけにはいかないだろう。そもそもの目的は、ダークプリキュアを正気に戻すことだったのだから。
「さあ、そろそろ終わりにしよう。君も満足しただろう?」
「え……あ、ああ。そうだな」
少し残念そうに目を伏せた彼女だが、素直に頷いてくれた。ただ、最後に一つだけ聞きたい事があると言ってきたので、何だろうと思いつつ先を促す。
「……私とセックスをしてどうだった?」
「どうって?」
「私の体は良かったかと聞いているんだ」
なんだそんな事かと拍子抜けする。だがまあ聞かれた以上は答えてやるべきだろうと思ったので正直に答えることにした。
「最高だったよ。戦いが終わったら、今度はもっとゆっくり時間をかけて楽しみたいな」
「……それだけか?」
何が言いたいのかわからないので聞き返す。するとダークプリキュアは少し言い淀むような素振りを見せた後で、顔を赤らめながら言った。
「……私を改造してくれ。胸は、き、気持ちよくなれるようにして……い、いやらしいおっぱいに……♡」
「ああ、そうだったね。他にリクエストはあるかい?」
そう言えばそんな約束もしていたなと思い出し、苦笑しながら問うてみる。彼女はそっとスカートを持ち上げてみせた。それだけで十分すぎるメッセージだった。
「んっ……♡ お、お、お、オマンコ、付けて……♡ お前のペニスと、セックスできるようにして……♡」
「……」
ユージは息を呑んだ。この短い間に彼女がどれほど淫らな存在へと変貌を遂げたのか、はっきりと理解できたからである。
(いや、俺が変えたんだよな)
そう思うと、奇妙な感慨が湧いてくるのを感じた。まるで自分が世界を作り替えたような気分だった。
ダークプリキュアは尚も、誘惑するような仕草を続けている。
「んっ♡ こ、ここっ♡ ここにぃっ♡ ほ、欲しいんだ、オマンコ……♡ お前と幸せになれるように……♡ いっぱいセックスしたいっ、したいんだぁっ♡」
「……ああ、分かった。今の君が想像もできないくらい、いやらしい体にしてあげるよ」
「んあぁっ♡ ああっ♡ うんっ、うんっ♡ よろしくお願いするぅっ♡」
ダークプリキュアはぶるぶると全身を震わせながら頷いた。もしやと思ったユージは、意地の悪いことを言ってみた。
「おい、何を期待してるんだ? 言ってみろよ」
「んあっ♡ ひぐっ♡ い、いやらしい体に改造してもらえるって聞いてぇ♡ 嬉しくてぇっ♡ 頭がぽーっとしてるぅ♡」
案の定だった。まだまだ正気ではなかったのか、改造への期待だけでエクスタシー寸前まで到達しているらしい。口の端からは涎が垂れ落ちてしまっている。目はトロンとしており、呂律もかなり怪しくなっていた。完全に出来上がっている状態だ。
「ああ……いい子だね、ダークプリキュア。じゃあ最後に大きな声で言ってごらん。ダークプリキュアはどんな体になりたいのかな?」
言いながら、頭を撫でてやる。それだけでビクンッと体が跳ね上がった。どうやら軽くイッてしまったらしい。それほどまでに気持ちがいいのだろう。すっかり蕩けきった様子で微笑む様はとても愛らしく思えるほどだった。
「私ぃ……♡ わたひぃ……♡ あんっ♡ ダークプリキュアはぁ♡ お前専用のえっちな恋人ボディになるっ♡ なりたいからぁ♡ どうか改造してくださいぃぃっ♡♡♡ ああイクッ♡ イクイクッ♡ きもちいいいっ♡ しあわせだっ♡♡ 好きっ♡ 好きだっ♡ すきすきスキぃぃっ♡♡♡」
そこまで言うと絶頂に達してしまったようだ。ビグンッ! と一際大きく痙攣した後、ガクリと脱力してしまう。
「おっと……よしよし、よく頑張ったね」
倒れそうになったところを受け止めると、そのまま抱きしめてやる。ダークプリキュアの方も腕を背中に回し、抱き返してきた。
「そうとう、そうとう……♡ わたし、私が必ず、お前を守るから……絶対に守るから……だからお前も、私を守ってくれ……ずっと側にいてくれ……愛してる……」
◆◆◆
さて、鏡の世界にいたのはユージとダークプリキュアだけではい。
靴音が響き渡るのは、ビルの谷間を縫うように張り巡らされた道路の上だった。ビル風がビュービュー吹いている。
「寒っ!」
ドリームは思わず叫んだ。午前7時、気温はおそらく15度前後だろうか。街はまるでゴーストタウンのように静まりかえっている。
「温度維持システムがダウンしているんだろう。管理都市の弱点だな」
隣を歩くジェントルーが言った。彼女は丈の長いスカートを翻して、涼しい顔で歩いている。寒さを感じている様子は無い。
私もタイツを拝借してくればよかったかなと思ったが、後の祭りだった。パーティー用の薄いパンツドレスだけではかなり寒い。かといってコートを取りに戻るわけにもいかないし──と考えて、ドリームは思考を打ち切った。とりあえず、今は目の前の問題を片づけなくてはならない。
二人は無人の街を歩いていた。ローザシャーンの中心部に近づいているのである。中心部にはユージがいたはずの官邸、イースが帰ったはずの公邸があるからだ。とは言え、ただ近づくだけでは芸がない。
「ダークプリキュアが鏡の世界にアクセスできるというのは希望が持てる話だ」
「半々だと思うけどね。あいつの中からクリスタルの力を感じはしたけど、確証はないし」
「仮に力を使えるとして、我々に協力してくれるかどうかも分からないしな」
「それはそうなんだけど……」
それから、ドリーム自身ダークプリキュアには会いたくないという問題がある。拳で刻み込まれた恐怖の記憶はそう簡単に忘れられるものではない。もちろん、そんなことを口に出したりはしないが。
「そこは賭けるしかないじゃない? ジェントルーがあいつを必要って言うなら、私はその通りにするわ」
そう言うと、なぜか隣の少女が困ったような表情になった。どうしたのだろうと首を傾げていると、おもむろに手を差し出してきた。意味が分からず黙っていると、催促するように揺らしてくる。
ああ、そうかと納得してその手を取ると、ギュッと握り返してきた。いわゆる恋人つなぎというやつである。
「君が嫌なら、別の方法を考えるだけだ」
そう言った横顔はどことなく寂しげだ。この娘はいつもこうだ。クールだけど優しいから、自分のせいで誰かが傷ついたりするのは嫌なのだろう。
「大丈夫だよ、ジェントルーとだったら怖くないから」
つないだ手に力を込めると、安心したように微笑んでくれた。それだけで充分だと思うことにした。
「それより、生存者。あっちのビルの、2階に人が倒れてるよ」
言いながら指をさす。正確には、その場所から〈鏡の外〉に出たところに生存者がいるのだ。ドリームとジェントルーは、こうして生存者を見つけては〈鏡の中〉に保護しつつ、ローザシャーンの中心を目指していたのだった。
◆◆◆
〈鏡の外〉に出た途端、生暖かい空気が二人を包んだ。薄暗い廊下が続いている。ドリームは小走りに駆け寄ると、その少年を抱き起こした。
「しっかり! 生きてる?」
反応はなかった。代わりに聞こえてきたのは弱々しい呼吸音で、どうやら気を失っているらしい。怪我をしているわけではないようだが、ひどく衰弱しているようだ。
褐色の肌を持つ少年は10歳くらいだろうか。着ている服はボロボロであちこち擦り切れている。髪はホコリで汚れていた。
「この子……」
「GOP型合成人間だな。まあ、ユージの親戚みたいなものだ」
「どうしてこんなところに……?」
「さあな。だが好都合だ」
ジェントルーは少年の背中を足で軽く蹴った。彼女にしては妙に乱暴な仕草である。
「お手柄だぞ、ドリーム。ユージと同じGOP型がいれば、あるいは戦局を好転させられるかもしれん」
ジェントルーが見ていたのは、街のあちこちを我が物顔で占拠する、〈絶望のオリ〉だった。
(続く)