今回はバトル多め、その次がエロ多めの回になります。
どうか最後までお付き合いください。
1/4 (エロ無し)
『プリキュア・ダークパワーフォルテッシモ!』
『プリキュア・シューティングスター!』
「う、お おおおおおおお!?」
月面に、巨大な爆発が起こる。それがおさまっても、力と力の激突はなお続いた。
『頼むぞウバウゾー、やつの頭を抑えろ!!』
『ナケワメーケよ、クローズを休ませるな!』
二体の召喚兵器が援護する中、ふたりのコピープリキュアとクローズが真正面から殴り合う。
『やあああぁっ!』
『ハァアアアッ!』
「くっ、そっ、うおおおおぉっ!」
拳と拳の激突。ビインビインと何度も火花が飛び散った。余波だけで月面の岩々が削り取られていく。
必死に応戦しながらクローズが叫ぶ。
「テメエら、異空間に封印されて……がっ!」
その隙を見逃さず、ウバウゾーとナケワメーケが彼を拘束した。
ドリームとダークプリキュアが叫ぶ。
『五つの愛に!』
『勇気を乗せて!』
手と手をつなぐ。それは伝説の戦士プリキュア5からコピーされた超
『『プリキュア・ダークファイブッ──』』
ふたりを中心にした黒い五芒星が、月面上で大きく広がる。
各頂点に光。桃色、赤と黄、緑と青。五つの光が宇宙へと一直線に立ち昇る。
『『エクスプロージョンッッッ!!』』
次の瞬間、五芒星は闇の蝶となって宇宙に飛翔した。翼長300mは下らないだろう。五つの光を散らしながら華麗に羽ばたく。
蝶のあぎとにガッチリと咥えられたクローズが必死で藻掻く。
「ちちちちっ、畜生ぉおぉぉぉぉっっ!!」
だが無駄だ。破滅的浄化エネルギーの固まりである蝶に触れた瞬間、手が消し飛んでしまう。
「ああぁっ! ああぁぁああっ!!」
意味をなさない絶叫。
プリキュア5の技は、彼が対峙してきたプリンセスプリキュアのそれとは全く違う。容赦も慈悲もためらいもない必殺を期した苛烈な攻撃なのだ。
「こ、こんな技で……こんな技でぇええっっ!!」
彼の肉体は崩壊しながらもしぶとく再生を続けるが、もはや逃れることはできまい。完全消滅も時間の問題と思われた。
──こんな技でぇっ!
俺の
「キュアフロォラァアァァアァアッッッ!!!」
クローズは、女の名を叫んだ。
そのまま暗黒の蝶が地球の大気圏へ突入していくと、彼の姿はプラズマ化した赤い大気に飲み込まれ見えなくなった。
♡プリキュア♧じゃない彼女たち
と
◆世界を征服する話◆
第12話 こいのけつまつ
プリキュアの力で作られた闇の蝶は数千度にもなる高温をものともせずに、地表へ向かって降下していく。
その背には各々の召喚兵器を元に戻したイースとジェントルー、仁王立ちして蝶を操るドリームとダークプリキュアの姿があった。
バリアフィールドが、プラズマ化した大気に包まれて真っ赤になっている。バーナーのようなゴオオオという音が耳をつんざく中、黒い軍服姿のイースが叫んだ。
「シャロン! シャロン、しっかりして!」
「…………」
腕の中のシャロンから返事はなく、骨と皮ばかりの死体にしか見えない。だが、この女は凍死寸前から体を作り直して蘇ったと聞いている。
「きっとまだ生きてる……! ちょっとアンタ達!」
「なによ!?」「なんだ!?」
同時に叫び返したドリームとダークプリキュアだが、ふたりは蝶を操るのに必死で視線も寄越さない。技が解けた瞬間、みんな仲良く流れ星なのだ。
「もっと静かに降りれないの!? シャロン死にかけてるわよ!」
「冗談は後にして!!」「見て分からんか!!」
怒鳴り返すドリームは、汗で紅紫のコスチュームをびっしょりと濡らしていた。白いミニスカートから伸びる太ももにも大粒の汗が光っている。
ダークプリキュアに至っては動力炉が過熱しているのか、黒いワンピースの各所からスパークまで発していた。
イラついたイースは、マントをなびかせて駆け寄ってきた怪盗服のジェントルーを睨みつける。
「ちょっとジェントルー! アンタの計画でしょ! どうするつもりなの!?」
「どうもこうもない! 予定通り敵を抹殺してユージのところに帰還する!」
「出たとこ勝負が過ぎるわよ!」
「まさか月面にいると思わなかったんだ!」
「バカ! そんなだからユージに犯されるのよ!」
「臨機応変と……いやそもそも君の言えた義理か!」
言い争う間にも、高度がどんどん下がっていく。少しずつ、地表が雲の向こうに見え始めていた。
◆◆◆
異空間に囚われていた彼女たちが、なぜ突然月面に現れたのか。種を明かせば簡単な事だ。
イースたちは、シャロンが異空間まで送り込んでくる物資で異空間レーダーを作り上げたのだ。
彼女と、背後にいる敵に気取られないよう、ピンセットで摘まめるくらいの小さな部品を一つずつ。
ブンドル団の異空間を渡る技術を持つジェントルーが、それらを組み合わせて完成させた。
その間に3年もの時間が経ってしまったのだ。
そして今日、突然強くなったシャロンの生命波動を感知した。
すかさずコピープリキュア達が持つクリスタルのパワーで異空間の扉をこじ開け、シャロンの目前に飛び出したのだ。
最もそこが月面だとは誰も予想しておらず、出たとこ勝負で攻撃した勢いのまま地球に突っ込もうとしているのだが……。
◆◆◆
一方の地球では、大混乱が始まっていた。
シャロンがマインドコントロールを放棄し、正気に戻った人々が世界の異常さに気づき始めたのだ。
彼らの脳裏に、3年間の正しい記憶が舞い戻る。
総統ユージを世界の支配者と崇めていたこと。
自分たちが何者かに操られていたこと。
時間が何度も巻き戻されていたこと。
ユージが世界中で女を犯したこと。
──ユージはどこだ!? ユージを探せ!!
「ユージ、早く!」
「あ、ああ」
「ちょっとアナタたち服着なさい!」
群衆がざわめきを増している。いち早く洗脳の停止に気づいたトワイライトに先導され、ユージとローラは通りに面した雑貨店に飛び込んだ。
幸い、店内には人の姿はない。パレードを見に表へ出ていたのだ。
「ほら、トワイライトの下着! それとユージさんもコレ着て、いつまで裸なのよ!」
そう言ってローラは、雑貨屋の棚から次々衣服を引っ張り出す。安物の下着と、野暮ったい灰色の部屋着みたいなもの。
「ああ、これが人心地というものかしら……」
トワイライトにとっては久しぶりに身に着ける人間の衣服だ。服を着ただけで感激のあまり涙ぐむ美少女を前に、ローラが何故かもらい泣きしている。
それはユージ自身の罪だ。罪悪感を感じながらも素直に服を着こむ。
その時、外で悲鳴があがった。誰かが店の中を指差して叫んでいる。
「みせ、店、店の中にユージがいるわっ!」
「おい、見ろ! あそこだ! 店の中だ!」
「いやぁぁっ! 犯されるっ! 助けてぇっ!」
助けてもなにも、逃げるのはユージ達の側だ。
いくらマインドコントロールされていたとはいえ、ユージは支配者を名乗って世界中で女を餌食にした。妻や娘を犯された男たちに捕まったなら、リンチで済めば御の字だ。
「裏口から逃げなさい。私が時間を稼いであげる」
そう言ったのはローラだ。ヘアゴムで紫の髪をポニーテールにまとめるとユージ達を急き立てた。
そして堂々とした態度で扉に向かう。
「急いで! シャロンによろしくね!」
「お、おお……!?」
慌てて裏へ出る。幸いにして誰にも見つからず、ふたりは裏通りに飛び出した。
振り返ると、ローラが暴徒に向かって何か演説している。水を得た魚のようにペラペラペラペラ喋り続けていた。本当に任せて大丈夫なのか心配になるくらいの調子よさだ。
(あの子誰なんだ……? それにシャロンって?)
ユージは走りながら考える。彼の記憶は少しずつだが戻り始めていた。
自分は妻──まだ名前が思い出せない──の魔力によって記憶を失い、世界の支配者として振る舞っていた。
妻を忘れ、婚約者を忘れ、想いを通じた少女たちを忘れ、愛を忘れていた。そしてひたすら爛れた官能に溺れ続けた。
我ながら吐き気がするほどのバカだった。顔が熱くなるほど恥ずかしいし、情けない。
だが今は弱音を吐くわけにもいかない。何と言っても、そんな自分を身を挺して救ってくれた麗しのトワイライトが隣を走っているのだから。
「トワイライト!」
「なにかしら!?」
「愛してる! 君を愛してる!」
「嬉しいけれど後にして下さらない!?」
◆◆◆
ふたりの逃避行は一時間ほど続いた。その間、何人かの男達が追ってきたものの、トワイライトの機転でどうにか逃げ延びることができた。
しかしいつまでも走り続けることはできない。いつしか二人は町はずれの観光公園まで来ていた。閑散とした芝生の広場には、澄んだ小川が緩やかに流れている。
もう体力は限界だ。肩で息をしながら立ち止まると、どちらからともなく抱き合って木陰に転がった。
「はぁ……はぁっ……もう走れない……」
「……わたくしもですわ……」
二人とも仰向けになって空を見上げる。頂点から傾きつつある太陽の隣に、見た目その三倍はあろうかという金色の星が輝いていた。かつてシャンティアの遺跡で見た壁画と同じだ。
「ギードラ…………」
「妖かしの星、地球の文明を滅亡寸前に追いやった滅びの星……」
「……シャロン。そうだ、シャロンだ。ああっ、ううっ……!」
頭痛とともに、妻の名前が浮き上がる。途端、涙があふれて止まらなくなった。
シャロンもきっと辛い目に遭ったのだ。そうに違いない。
だから正気を失い、自分の記憶を奪ったのだ。
だからギードラがあんなに近づいているのだ。
その時である。草木が風に揺れ、怯えたようなざわめきが起きた。
「お前にも涙が残っていたのねェ、支配者様ァ……」
同時に聞こえた声に、弾かれたように跳ね起きる。
「ノーザ!」
「ハ ハ ハ……!」
澄んだ小川に、まるで似つかわしくないヘドロのような女が着水した。激しい水しぶき。
「ハ ハ ハ ハ ハ !!!」
一糸まとわぬ姿で、背中からツタのような触手を伸ばして笑っている。
その体表は腐った木材のように醜く崩れ、赤い肉片のような組織を露出させていた。
「うっ…………」
「うそ…………」
そして、耐えがたい悪臭。死のにおいだ。
「臭いでしょう。ええ、そうでしょうとも!」
怨念そのものの声を発し、ノーザが飛び上がった。触手を蜘蛛足のように広げてユージへと襲いかかる。
「よけてユージ!」
「ぐうっ!」
「シャアアッ!」
間一髪、転がってかわす。だが体勢を崩したユージはたちまち触手に捕らえられた。ノーザの顔貌が、ぐいと眼前に迫る。
「さあ支配者様……抱いてくださいな。肌は腐り、肉は膿んで、胎は溶けおちたノーザめを、抱けるものならァァ……!」
「う、ううっ」
憎悪と屈辱で悪魔のように歪んだ顔。それはユージにとって恐怖の象徴だ。だが確かに、かつてオスとメスとして熱く貪りあったノーザだった。
セクレトルーと入れ替えられてから、彼女に何が起こったのか。ユージは、一度も考えたことがなかった。
「ノーザ!」
「失せろ操り人形が!」
飛び掛かったトワイライトが腕の一振りで薙ぎ払われる。そのまま地面に叩きつけられ、ぐったりと横たわる。
「トワイライトッ!」
「シャロンに作り変えられ、お前ごときに弄ばれ、挙句ゴミとして廃棄され…………!!」
「ぐぅううぅっ!!」
地獄の底から響くかのような声で、ユージとシャロンの罪を糾弾する。
ぎりぎりと触手を締め上げられる痛みに苦悶の声が漏れる。
「私は尽くした! 朝も昼も夜もお前にかしずき、足を舐め、汚いモノを咥え、言われるがまま首輪も付けたしクスリも打った!」
「ああ、あっ、ぐ、ぐるじぃ」
「なのにお前は私を捨てたァ! お前ごときが! 与えられた使命も忘れ、自分の幸せを欲しがるようなデキソコナイの分際でぇ!! この私を見放した! こんな腐った体にした! 殺してやる! 今ここで!」
憎悪のこもった言葉をまくしたて、さらに強く締め上げる。
ユージは手足をばたつかせて苦しむが、次第に動きが鈍くなってきた。
「ノ…………ザ…………すま…………」
「謝るなっ! 見下すなっ!
我が名はノーザ! 誇り高き合成人間!
どんな時も使命に忠実であり続けたァ!!
お前とは格が違うんだよォォオォッ!!!」
「うぅうううああああぁあああ!!」
激痛に耐えかねた絶叫が響き渡る。怒りに任せた締め付け力に、ついにユージの鎖骨が折れたのだ。
それでも気を失わないのはひとえに合成人間の生命力ゆえ。だがそれもいつまで保つことか。
「ああ憎い憎い憎い憎いぃぃ!!
同じ合成人間なのに!
どうして私だけが不幸に!
どうしてお前だけが幸せに!
許せない許さないユルサナイィイイッ!!!」
血走った目をむき、壊れた機械のように叫ぶノーザ。すでに精神は崩壊していた。
「ユージっ、逃げてっ!!」
トワイライトの悲痛な叫びが聞こえる。だが無理だ。体が動かない。意識が薄れてゆく。
「死ネッ! ワタシトイッショニィイィ!」
狂気に満ちた叫びと共に、さらに力を込めようとする。
その時だった。
すぱんと、ノーザの首が切断された。
「ぇ…………」
呆然とした表情の生首が宙に飛んだ。首だけではない。手足も胴も次々に解体されていった。
あっという間にバラバラ死体の出来上がりだ。
どす黒い体液が噴き上がる中に転がる頭部は、驚愕のまま固まっている。ソレが、もはや生き物でなくなった証拠だった。
「久しぶりだな、総統」
「ダ、ダークッ……プリキュア!」
視線の先には、自分の護衛として造られ一度は暴走し別れ、そして愛し合う仲になった人造人間が立っていた。
彼女の右手から伸びているのは銀色の触手だ。いや正確には、右腕全体と顔の右半分が水銀のような銀色の何かでできている。それを伸縮する刃物に変えてノーザを解体したのだ。
「ダークプリキュア……!」
「流体多結晶合金」
「えっ?」
「液体金属だ。私はアップグレードした」
ふふんと自慢げに鼻を鳴らし、ダークプリキュアは液体金属を腕の形に戻した。瞬時に白い皮膚へ擬態する様はいっそ神秘的ですらある。
「さあ立て総統。寝ているヒマはない」
ユージを助け起こすと、ひんやりとした体を押し付けてくる。体温を持たないボディの感触を味わうようにユージはそっと抱き返した。
「ずっと……探してたんだ……思い出せなくなっても……君のことを……」
「私もだ。この時をどれほど待ったか……だが」
とん、と突き放される。
「あ、あの」
折れた鎖骨が痛い。だがそれ以上に、愛する女に拒絶されたことの方がショックだった。
「私に甘えている時間はない。お前はケジメをつけ、しかる後、使命を果たさなければならない」
ダークプリキュアが指さしたのは、こちらに駆け寄ってくる3人の少女たちだった。
「…………イース様! ジェントルー! ドリーム!」
「総統。お前には使命がある。他でもないお前自身の願いから生まれた、決して逃れられない使命が」
(続く)