サリアとサイレンスがイチャイチャ(意味深)するだけの話 作:駄馬
無事に危機契約を乗り越え、束の間の休息。
ドクターから、
「滅多にない休暇だから寛いできてくれ」
と、ホテルまで手配してもらい、そちらにて羽を伸ばしている。
……とはいえ、ドクターが「滅多にない休暇」と発言するのはいかがなものか。
嘘は言っていないのだけど、もう少しこう……ぼかして欲しかった気がする。
――ついでにもう一つ、これは意見と言うか、疑問なのだけれど……。
「サイレンス、隣いいか?」
何故にホテルが二人部屋で、サリアと同室なのだろう?
しかもベッドはツインのキングサイズであるし……。
もしかして、気を使われているのだろうか?
「どうぞ」
シャワーを浴び、髪をタオルで拭きながら私に尋ねるサリアの為に、身体をずらしてソファにスペースを作る。
すると、当然そのスペースに座るわけだが、彼女は座った瞬間から尻尾を私の腰に巻き付けて来て。
拭き終わったタオルを投げ捨てると、ゆっくりと私の肩を抱いた。
「サイレンス」
気が付くと、彼女の顔は耳のすぐそばまで来ているし、その表情は普段の冷徹な表情よりも明らかに熱を帯びている。
危機契約の戦闘で昂ったままの身体が、水のシャワーを浴びても火照りを鎮められなかったのだろう。
まだ完全に乾いていない髪の毛から、滴る水がそれを物語る。
「したい」
たった一言。
彼女が、サリアが。
私に求めた、その一言は。
あまりに短く、そして、短いがゆえに直線的で。
発した瞬間に、腰に巻き付く尻尾はよりキツクなり、肩を抱いている手には力が込められる。
「サリア……」
柔らかく耳に吹きかけられる吐息に、口元を歪めながら答えると。
「……」
サリアは、ゆっくりと力を入れ、私をソファへと押し倒した。
「サリア」
私を押し倒し、顔を覗き込むサリアに対し、恥ずかしさから、顔を覆うように腕を動かすと。
「顔を見せてくれ」
その腕を、サリアは掴んで顔の前から離してしまう。
しかも、私の両手首を片手で掴むと、頭の上に移動させ、私に一切の抵抗をさせないようにし。
「サイレンス」
私の唇に、サリアは唇を押し付けて来て。
柔らかい感触を感じると、すぐに離れ。
そして、離れたかと思えばまた密着。
これを何度も繰り返し、バードキスの回数が二桁に到達しそうになった頃。
私の両腕の拘束が解放され、やっと動かせる、と思った矢先。
私が腕を動かすより早く、サリアが私の身体の下に腕を回して来て。
「サリ――」
何を? と思うのと、私の唇に再度サリアの唇が押し付けられるのが同時。
そして、私の頭は、背中に回されたサリアの手でガッツリと固定され。
私の意思では、このキスを終わらせることは出来ないと悟る。
そうして、満を持したように私の唇に、サリアの舌が触れる。
少しザラザラしたような、不思議な食感のサリアの舌は。
まずは私の唇をなぞる様に、唾液をコーティングしてきて。
何度か往復し、滑りがよくなった私の唇を、割って舌が入り込んでくる。
「んむ♡////」
突如として侵入してきたサリアの舌に困惑しつつ、それでも、その舌に自分の舌を絡めてやれば。
最初は驚き、僅かばかり目を見開いたサリアも、私がやる気と分かって舌の動きを本格化。
絡みつき、吸われ、甘噛みされ。
私の舌をいいように扱われていると、いつしか私の身体から力が抜けていく。
そうして、最初の抵抗していたころと、まるで違う私の体の反応を見たサリアは。
「サイレンス、ベッドに行こう」
と、私を抱き抱えてベッドへ。
急に持ち上げられ、サリアに抱き着いた私は、お姫様抱っこの体勢になっている事に気付き、一人で赤面。
そんな私にサリアは、優しくキスをし。
そうして辿り着いたベッドに、私は投げ出され――る事無く。
ベッドの縁に腰を掛けたサリアは、その膝の上に渡しを座らせた。
「何を――」
考えているの? と、最後まで言わせてもらえなかった。
身長差による、上からのキス。
私が、拒まない事を知っている、身勝手なキス。
私が、どうしても受け入れてしまう、ズルいキス。
手は恋人握りで拘束され、ただただ、キスをする事だけを受け入れさせられる今の状況は。
私にとって、熱にうなされているようなもの。
自分ではどうにも出来ず、ただ、流される事しか出来ない。
そんなキスを、長く、永く続けていたら……。
「サイレンス」
ようやく、満足したらしい。
サリアが、離れた唇から涎の筋を伸ばしながら私の顔から離れていくのをぼーっと見ていると。
「ひゃ////」
それまで私の手を握っていたサリアの手が、解放して私の胸へと昇って来た。
服の上から、私が痛がらないように細心の注意を払ってゆっくりと揉まれていく。
「んっ……くっ……♡」
もどかしいような、くすぐったいような。
サリアが私の胸を揉む度に、何とも言えない感覚が広がっていく。
「また大きくなったか?」
そんな、雰囲気をぶち壊す、サリアの何気ない一言は。
本当にこの人は……と思ってしまうような。
けれど、
「誰かが毎回丁寧に揉むからですかね?」
おかげで冷静になれた。
先ほどまでの熱にうなされたような私は、ありがたい事に先程の一言で雲の彼方へ。
これで――、
「今度はこちらか」
と、サリアが。
私の胸の突起を、爪の先端で軽く弾いた。
途端に体に駆け巡る、鋭い、電気のような刺激。
「分かりやすいな。シャツに浮き出るほどに主張しているぞ?」
先ほど、サリアがシャワーを浴びる前。
私が先にシャワーを浴びていたのだが、どうせ二人きりだし……と胸の方の下着は付けていなかった。
そのせいで、どうやら胸に突起が浮き出ていたらしい。
「これもサイレンスは好きだったな」
私の反応を見ながら、何度も何度も、爪の先で私の突起を弾くサリアは。
途中から面白くなってきたのか、動きが段々早くなっていく。
元々、私は別にそこは好きでも何でもなかったのに。
何度も肌を重ねる度に、貴女が、そこを弄るから発達してしまっただけというのに。
全ては、貴女のせいだというのに。
まるで私が、初めから敏感だったみたいに……。
考える程、イラつきが私の中に溢れてくる。
――その腹いせに、サリアにこちらからキスを仕掛けてやった。
「っ!?」
その私の行動に、面喰って一瞬動きを止めたサリアだったが。
「ふっ」
と、軽く鼻で笑い。
受けて立つ、と言わんばかりに舌を絡めてくる。
部屋の中に響く、互いの唾液が交わる音。
互いの口を塞ぎ、私たちの中に反響する、舌が絡む音。
そして……私から漏れ出る、堪えきれなかった嬌声。
くぐもったり、妙に水分を含んだその声は、私とサリア以外に聞く者はいない。
――と、ピタッと、私の胸の先端を弾いていたサリアの指が、その動きを止めた。
「なん――」
なんで? と、口走りかけて慌てて唇を噛む。
そして、無意識に浮いていた腰を下ろし、サリアを睨む。
得意気で、いたずらっ子のような、私だけが知るその顔を見上げると、
「あまり達し過ぎても最後まで持たないだろう?」
と、あまりにも意地悪な言葉が返ってきた。
まさかサリアは、あのままだと私が胸の刺激だけで達すると判断したのだろうか。
であるならばあまりにも滑稽。何度も言うが、私は元々胸は敏感ではないのだ。
「逝かないから……」
だから、胸だけで逝かされるはずが無い。
――と思っていた。
「そうか」
サリアの返事は短く、一言。
だが、
「ふぁっ////」
そっと、胸に這わされた指に、思わず大きな声が出た。
「こんなに敏感なのにか?」
私を見下ろしながら、そう尋ねる頃には。
這わされた指は、先程まで刺激されていた突起へと辿り着いており。
その突起を、丁寧に、舐る様に撫で上げられ……。
腰が、浮いた。
「逃がさない」
だが、そんな浮いた腰を、サリアは片手で押し留め。
そのまま、元の位置まで押し戻される。
そして……。
「待って!////」
また、胸が指で撫で上げられる。
背中を……まるで電気でも走っているかのように。
面白いように跳ねる体は、サリアの腕一本で押さえられ続け。
そうしている内に、身動きが取れないまま快楽だけを溜めさせられ続けた私は……。
「ひぐっ!!」
長くない時間で、あっさりと胸での絶頂に押し上げられ。
「逝けたじゃないか」
まだ、いたずらな笑みを落とすサリアは、ゆっくりと私に覆いかぶさって来て。
絶頂の余韻が抜けるまで、指を絡め、舌を絡め。
身体の火照りが冷めるのを、許してはくれないのだった。