「夏に備えて水着を買いましょうか!」
同居人XXが唐突にそう言い出したのは、梅雨も明けて少しずつ夏が訪れようかという初夏の事である。アイスを口に咥えて「名案思いついたり」と宣言するかの様に下着にTシャツ一枚で立ち上がった時はあまりのテンションの高さにしばらく呆然とした。
とはいえ夏と言えば海である。準備をしておきたいというXXの気持ちはよく分かる。海か山どちらが旅行に相応しいかという話も海で決まっていたのだ。
そういうわけで二人で近くのショッピングモールへと出掛ける。少しずつ気温が上がりつつある我が国、暑がりならばTシャツを着ざるを得ないほどの湿度に包まれており、後々地獄が来るであろう事は想像に難くない。
「あっつい、あっついです暑い。成層圏ぶち抜いて宇宙空間で涼みたい気分です、ええ。あ、でも君は凍死しちゃいますね……生憎私、水属性ではありませんからそういう気の利いた事が出来ず申し訳ないです」
自分は暑さには強い方だから心配しなくて良い。そんな風に笑いかけ、マンションの冷蔵庫から持参していた暑い日にもってこいのドリンクを渡してやる。XXは申し訳なさそうにしながらペットボトルを受け取り、ちびちびと飲み始める。
モールに着く頃には二人して汗ばみ、クーラーの冷たい風に歓喜の声をあげてしまう。全身にまとわりついていた熱が一転して冷たさに変化していく感覚は中々どうして筆舌に尽くしがたい。最近サウナが流行っているのも、苦しみから一転して快感に変わっていく過程が良いと聞く。
女性向けの水着店へと着く頃には汗はひき、XXは持ち前の元気を取り戻していた。
「だ、大分エネルギー戻ってきました。ご心配おかけしました!水着の色なんですけど青と白、どっちが思いますか?私個人としてはやはり青かな、と思います。赤?赤は駄目です敵です」
何がどう敵なのかは分からないが本人はこう言うので、とりあえず青色を中心に攻める。男が女性用の水着をじっと品定めしていく絵面は最低という他にないので自分に出来るのはざっくりとこういうの良いんじゃない?という程度である。
選んだのは青と白の二色で構成されているビキニである。XXが似合いそうな色と言えばこれかな?と考えてのものだが、彼女のお眼鏡にかなうだろうか?
「ふむふむ、なるほど。以前とは色は一緒ですがちょっとテイストが違いますね……よくぞ選んでくれました!正直なところ君が選んだものなら何でもOKするつもりでしたが、解釈一致までしてくれるとは流石です。試着してみますね!」
どうやらカンに任せての選択は間違っていなかったようだ。こういう場で美的センスの低さを晒すと非常に恥ずかしいので、的中した事は喜ばしい。パートナーの好みを分からない様では、男として失格だ。XXは何でもOKするつもりだったと言ったが、もしそうなった場合ではメンツというものが保てなかっただろう。
さてそういうわけで試着室の前に立たされる。一緒に来ているのだから当たり前なのだが、男がここにいて大丈夫なのだろうかと不安になり視線を床に落として何も考えない様に勤める。
「はーい、着てみましたよ」
XXからの声に顔をあげ、①番と番号の振られたドアの前に立つ。
そういえば水着を新調する理由を聞いていなかった。確か持っていたはずでは……?
「ええっと、それはですね」
扉が開く。狭い個室の中でXXは青と白のビキニを身につけ、どうだと言わんばかりに腰元へ手を当てていた。
「……ちょっと、胸が大きくなってきてサイズが合わなかったんです」
なるほど、とても納得の出来る理由だった。
程よく肉のついた肢体に青と白がよく似合い、XXの優れたプロポーションを強調している。いつもはジャージだったりで済ませてしまっているが彼女の持つ美貌と肉体がどれほど魅力的であるかは同棲している自分が一番よく知っている。
じっと頭から爪先までを観察しているとXXは気恥ずかしそうに両手で胸を隠した。
「そんなにジッと見ないでくださいよぉ……やな感じがします。人がいるんですから」
しかし水着を見て欲しいと言うのだから、目を逸らすのもそれは良くない。自分が選んだものには責任を持って確認しなければ……、
「ひ、人がいるところでそんな駄目ですよ!し、視姦なんて!!破廉恥、破廉恥ですッ!!!」
いや全く以てそんな卑しい気持ちは一切無かった、断じてなかった。心の底よりXXとっても綺麗だよという純粋な感想だけを抱いていた。他意は無い、本当にない。
※
多分自分は変態であるとあの店にいた全ての人に思われたであろうし、XXは変態の彼女として同情される事だろう。今後あの店に行けば『視姦してたアホとされた女の子』だなんて風に店員から囁かれるかも知れない。
そんなつもりは本当になかったのだけど、事実として受け止めます。トボトボと歩きながらそう呟くとXXは顔を真っ赤にしながら、
「良いです……私が大人の女性として成熟した証として君を誘惑してしまった、そう自意識過剰ですが解釈しました」
そう解釈してもらって申し訳ない。今後は控えます、肝に銘じます。
と、XXが足を止める。振り返ると顔を赤くしたまま口はきゅっと結ばれて、何か言おうと堪えている様子だ。怒号でも飛ぶのだろうか?恐れるあまり咄嗟に身構えると、
「……し、仕方ないですね。君ってば、ほんとえっちなのが好きですもんね。そんなに水着が見たいのなら、帰るまでにもう一回見せてあげましょうか?」
びしっとXXが指をつきつける。その先には、外観はそれとなくビジネスホテルを装っているが……ラブホテルだ。
どういう事でしょう、そう問いかけるよりも先に脳裏をよぎったのは試着室でのXXが発した不可解な言動であった。
『視姦なんて、破廉恥』
なんだってまた急にそんな事を言い出したのか、よく考えたら変ではないか。まるでそうされているという感覚があったかの様な……
「行くのか行かないのかどっちですかぁ!?」
なんとなく言葉の意味を理解してXXに頷き返す。まだ夕陽が沈み始めてもいない時間に、二人連れ添ってラブホテルへと足を踏み入れてしまうのだった。
受付のみがいるロビーへと入り、室内を見回す。実は初めて入るので詳しい利用方法を知らないのだ。
とりあえず備え付けられている大きな液晶画面の前に立つと、三桁の番号がズラリと表示される。どうやらここで部屋を選ぶらしい。
「い、一番安いところにしましょうか」
そういうわけで三時間四〇〇〇円の部屋を選ぶ。前払いなので液晶画面の横に設置されている精算機に千円札を四枚入れる。
「……鍵です」
受付の女性がぼそりとそれだけ呟く。振り返るとカウンターのトレーにはルームキーが無造作に置かれていた。
鍵を受け取ってエレベーターへ向かう。なんだか受付に見張られている様でXXと共になんとも言えない緊張感に背筋を正してしまった。
エレベーターが到着すると足早に乗り込み、4階を押す。ドアがゆっくりと閉まっていき、小さな箱が音を立てて動き出すと同時にXXの手が股間へと押しつけられた。
「っ……」
ズボンの膨らみに気付いていたけれど手を出せずにいた、そんな気持ちが手の動きに現われていた。細い指が膨らみを撫で回し、男根の形に気付くや否や鷲づかみにして優しい手つきで揉みしだく。
一階から四階に上がるまでがこんなにも長く感じるのは生まれて始めてである。無言でこちらを責め立てるXXは少し怒っている様にも、昂ぶりを抑えられない様にも感じられた。
ぽん、とエレベーターが到着する。ハッとした様子でXXが手を離した直後にドアが開いた。エレベーターホールでは一組の男女が待っており、こちらと視線が合うと気まずそうに目をそらす。咄嗟にXXの手を掴んでそそくさと部屋へと向かい、鍵を乱暴に開けて部屋へと逃げ込んだ。
「……さて。これで二人きりですね」
赤ら顔で咳払いするXXに猛烈な劣情を催した。つい先程までこちらを刺激してきたのに、何故そんなに常識人ぶっているのだろうか。
壁に押しつけて口づけする。舌を吸い、己のものと絡めて窒息させかねないほどに。
「んんっ、ふぅ。ん、ちゅっ、ちゅぷっ」
XXは履いているショートパンツを自分の手で膝まで下ろすと、こちらの手を掴んで自分の秘部へと押し当てる。しっかりと愛液で濡れており、指を動かせばぐちゅぐちゅと卑猥な水音が聞こえ、小さな体がびくんと震えた。
「私、さっきドキドキしちゃったんです。君がじっと見つめてきて、変な妄想しちゃって、そしたらこんな風になったんですよ。変態ですよ、変態……一番破廉恥なの、ん、はぁ、わたしっいっ、でしたぁ!」
確かに変態であると思った。こちらが変態扱いされたのが立派な濡れ衣として訴えられるレベルで彼女は痴女だ。
秘部に忍び込ませた指を掻き回す。上下の口を同時に刺激され、XXは足がガクガクと不安定になっている。このあたりで一度離れると、ずるずるとその場に座り込んでしまった。ちょうど腰元あたりに顔がある事に気付いて、パンツごとズボンを下ろすと怒張する男根がXXの目と鼻の先に放り出される。
「ふおっ!?えっ、えと、へぇぇえ……」
面食らった表情のまま男根を見つめる姿が小動物的なそれに近く、状況とは裏腹にやはり可愛いなと再確認する。いつもは大人ぶっているけれど時折少女時代を思い出す雰囲気を漂わせるXXがやはり好きだ。
感傷的になっているとXXは恐る恐ると言った様子で男根へと顔を近付け、可愛らしい舌を除かせてちろちろと亀頭を舐め出す。それから数秒ほど続けて、問題は無いと判断したのか彼女は一気に竿を咥え込んだ。
「んぶっ、じゅぷう、ぐぷっ、んぷぅ」
XXが、いつもハツラツとしていてたまに年上らしいXXがまるでアイスキャンディーを食べるかの様に男根を咥えている。一体どこで練習したのか、そう問いただそうにもストロークが少しずつ激しくなるにつれて喘ぎ声を漏らしてしまう。
舌先が亀頭全体を舐め回し、喉奥までずっぷりと竿が飲まれる。男根全体がXXの口中に犯されていると言っても良い感覚に襲われた。
絶頂を迎える事を伝えるよりも先に口内へと精液が吐き出されてしまう。単に射精する時とは全く違う異様な開放感にため息をつく一方で、XXは口の中に流し込まれるドロドロとした液体に目を白黒させた。
「えふっ、出し過ぎです……なんでこんなに溜まってるんですかぁ!」
そう言われても困ってしまう。勃つものは勃つし、出るものは出てしまう。生理現象でしかなく、むしろその生理現象を誘発させるXXにこそ非があるのではないだろうかいやそうに決まっている。
大体今朝も暑いからと言って薄着で過ごしていたりとそういう意識が甘いのだ。自分だから少しは耐えられるが本来ならば朝からおっ始めてもなんらおかしくない、本当に危なっかしいのだ。
「むう……ちょっと口ゆすぐついで水着に着替えてきます。ついてきちゃダメですからね!」
完全に脳みそが下半身に制御を任せてしまわないように努めながらベッドへと向かい、服を脱いでから端の方に腰を下ろす。
件の水着を着たXXと海へ行くのは楽しみだがもしもビーチサイドで彼女が視姦判定を受けてしまったらその時は一体どうすべきだろうか、そこが問題である。
「よっと……さあ、どうですか。NEW水着ですよ」
トイレに引っ込んでいたXXが水着姿になって戻ってくる。青と白のコントラストが暖色のライトに照らされて少々妖しく見え、ふむふむと近寄って確認する。
やはり良い。XXに似合う色と言ったらやはりこの二色、そう考えた自分は間違っていなかった。店では間近で見る事は出来なかったが、こうしてしっかり確認すると彼女がいかにプロポーションに優れているかを再確認できる。
「あ、あの、まじまじ見られるとやっぱり恥ずかしくなってきました」
うむ、うむ、やっぱり綺麗でかわいいよXX。好きだ。
「ありがとうございます、そんな面と向かって言われるとこそばゆい気持ちになってきてこう、切なくなってきました……」
せっかく着てくれた水着だと言うのにそそくさとXXは脱ぎ始め、ついに全裸となった。そのまま勢いよく自分が腰に巻いていたタオルもひっぺがし、ベッドへと押し倒される。
そういえばシャワーを浴びていない。それなりに汗をかいたのならさっぱりした方が良いのではないか、と聞くよりも早く唇で塞がれてしまった。
「ふー❤︎ふー❤︎散々人を責め立てておきながらそういう常識的な事を言い出すのは反則ですからね。人が我慢して年上らしく振る舞ってるのに……今朝はちょっと我慢できなかったからそれとなく露出度の高い格好して待っていたのに手を出さないなんて若者のリビドーは何処に行っているんですか?」
一応我慢しようと頑張っているので、むしろリビドーを制御できていると言う点を評価してもらいたいと強く思う。
向こうからそう言うのならば戦わざるを得ない。口付けで返し、そこから首筋に吸い付く。胸板に乳房が押しつけられ、肌越しに体温が伝わっていく。
何度も口付けして、何度も抱きしめあう。お互いの汗が交わり、ぐちゃぐちゃと混ざり合う。
「今回の主導権は私に任せてください。一度貴方に、しっかりと、年上であるという証明をしてみせます」
そう言いながらXXは腰くらいに跨り、男根を秘部へと押し当てる。その時点で「うお……」とみっともない声をあげているのでキツかったらやめた方がいいと声をかけると、涙目になりながら首を振る。
「なんの、これしき……これしきでこの私が負ける、はずが……」
意を決したXXは叩きつけるように腰を下ろして、
「んおぉ❤︎!?」
素っ頓狂な声をあげ、何度か痙攣した。へたり込み、堪えようと息を吸ったり吐いたりするがみるみる内に赤くなっていく顔にこちらも戦々恐々である。
ようやく慣れてきたのか少しずつXXの腰が動き始める。とはいえ怖がりながらなのでその幅は小さく、ぺたんぺたんと肌と肌が打ち合う音が微かに聞こえる程度だ。
「くふっ❤︎へふっ❤︎ど、どうですか、これで少しは私を見直しましたか」
搾られているようでペースが全くもって遅いものだから判断に困ってしまう。なので仕方なくXXの腰をしっかりと両手で鷲掴みにし、可能な限り優しく腰を動かしてみる事にした。
「おほおっ❤︎ちょっと待って、ひぃ!あふ❤︎ダメダメダメ私が動きます、動きますからやめてくだしゃいいいい❤︎」
挿入するとよく乱れるのがXXだが騎乗位ともなるとこれまでとは比較にならないレベルで嬌声をあげる。やはり下から突き上げられる体勢に大きな問題があるのだろう。
手を離し、もう一度XXに託す。すると今度は先程隣腰を動かす間隔が短くなり、小刻みにリズムを取り始めた。
「あひ、あ、頭がおかしくなりそうこれ……動いたら、頭、どうにかなるのに動くのがやめられない……❤︎」
やがて肉がぶつかり合う音と愛液が立てる水音、そしてXXの声が混じり始めていく。
いつの間にか被っていた帽子も脱ぎ捨てられ、眩しい金髪が汗で湿り、白い肌に張り付く。ヒトとしてではなくメスとしての本能を剥き出しにしたような、文字通り何もかも曝け出した様な姿にこちらまで異様な興奮に駆られた。
「はあっ、はっ、はっ、ふうう、ダメこれ、イキます、イく❤︎もう、おかしく、なる❤︎」
スパートをかけて、早鐘を打つかのように動きが加速する。腰を捻るようにしながら動くXXは器用にそのまま倒れ込むように口づけしてくる。誰にそうやれと言われたわけではなく、本人の感性のみで精液を搾り取る為に最も効率的な方法を取ろうとするのだから、とんでもない女性である。
などと考えているそばからこちらの思考は白濁色に染まっていく。快感に支配されていく脳はだんだんと何も考えられなくなり、眼前の女だけを視野に入れてしまう。
「ああもう無理、無理です無理無理無理ぃ❤︎主導権どころか、全部君のものにされます❤︎イクうううううう❤︎」
ごぽり、そんな擬音が聞こえてきそうなほどの精液が注ぎ込まれていく。体の全機能がそれに集中しているかのようにみるみる内に力が抜けていくが、なお余りある快感が全身を貫いていった。
ぺたりと倒れ込んでくるXXを抱き止める。バクバクと鳴る鼓動を重ねると、一つになったような感覚になる。
「……もう一回くらい、シませんか?」
耳元で囁かれる。それだけでまたギン、と力が漲っていくのを感じた。
変態で結構。どのみち性欲に支配されてしまうのならばいっそ全てを出し切ってしまうべきなのだ。海に行く時も事前にヤるだけヤってそれから考えればいい。
陽も沈まないころにホテルに入り、結局三時間ひたすらに交わる事になったのはハメを外しすぎたと考えるべきか当然と思うべきなのか、あまり自信はない。