※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ5 -歪な虚構の翅-   作:独楽 悠

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第12話_禁断の契約-2

[鱗(リン)]の姿は、跡形もなく無くなった。

眼前に起きた信じがたく恐ろしい結末に、セイバーたちは動けず、瞬きも出来ないままに見上げるしかなかった。

「…あいつは…どうなったんだ?」

沈黙を破ったオニキスは、上空に浮かぶ[侵略者]を見上げた。

「私が吸収した。お前たちも今見ていただろう」

「…消えたってことか?」

「"消えた"という言い方は正しくない。私の中に戻したのだ。元々私の身体の一部を分け与えて形にしたものだからな。人間だった部分は器だけ(・・・)残っているが、返したところで生気も魂も無いぞ」

[斑(マダラ)]はそう静かに答えると、眼下のセイバーたちをゆるりと見回した。

「[立羽(タテハ) 鱗]は、私が造った。戯れだったが、思いのほか見れる造形にはなっていたな」

「なぜ…そんなことを」

エピドートが、懸命に心を落ち着かせながら、問う。

「私とあれ(・・)の利害が一致したのだ。私が『現実世界(狩場)』へ赴く手間をかけずに搾取する手立てを模索していたところへ、[我ら]の力を欲したあれ(・・)が現れた。私は力を与える代わりに、[鱗(あれ)]に『現実世界』で狩りをさせ、体液を[異界(こちら)]へ受け渡しに来るよう取引を交わした」

「……!」

「狩りがしやすいよう、私の[蟲(子)]も分け与えた。しかし、[鱗(あれ)]は一度も[異界]へは戻らなかった。己の私利私欲に走り、取引を反故にしたのだ」

沈黙を保ったまま、セイバーたちは耳を傾けていた。

そう淡々と口にし、ふと[斑]は虚空を見やった。

「…やはり人間は低次元だな。[我ら]の餌に相応しい生き物だ」

ひとしきり語り尽くすと、[斑]はセイバーたちを再び見回した。

「――さて、『狩場を守護する者たち』よ、私から提案がある。…この場を、無かったことにしてはくれないだろうか」

「……」

「私は、『お前たち』へ抵抗する意志は無い。私はただ、静かに食事が出来ればいい。お前たちの目の及ばない一縷の間隙に、腹を満たせればいいのだ。私をこのまま[異界(我が地)]へ還らせてくれないだろうか」

セイバーたちの脳内で、静かに口が開かれる。

「あの[侵略者]に、"弱点"と呼べるものはありません」

[侵略者]が現れてから後、一連の応酬の最中、アズライトはオニキスに支えられながら[斑]を『索敵』し続けていた。

「どういうことだ?」

「そもそも得意とするものが無い、ということです。全てが弱点部位であり、弱点属性です」

「…!」

その言葉に一様に目を見張る中、ロードナイトは[斑]へゆっくりと振り返った。

「…『現実世界』を狩場と、人間(こっち)を餌と捉えてる時点で、[お前]は外敵だ。『セイバー(俺たち)』に例外は無い」

「そうか。…仕方がないな」

『セイバーズ』の回答を聞いた[斑]は、変わらず泰然と受け止め、目を閉じた。

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