たまにはリクエストしてくれても良いんですよ…?
中須かすみと苦難
翌週の水曜日の放課後。俺は私用があって同好会に少し遅れながらも、いつものように部室に向かっていた。
(せつ菜もかなり調子良さそうだし、本当いつ同好会が崩壊するのか分かんないな…)
せつ菜は俺が恋人になったことにより、明らかに元気が増していた。最近は趣味のことなどを俺に話すようになってきたし、この分だと正体のこともいつか話してくれるのではなかろうか。
同好会の方も多少かすみと口論することはあったが、俺が間に入って説得すると、渋々ながらも少しは納得してくれたようだった。
(でも俺に正体を伝えてきたとしたら、色々面倒なことになるかもな……)
原作知識をなるべく生かしたい俺は、せつ菜に正体を明かされると少々困ってしまう。 だからなるべく知らないままで居たいんだが…。
そんなことを考えながら部室に到着すると、明かりは着いていなかった。
(あれ、誰もいないのか?)
俺は不思議に思いつつも扉を開ける。しかしそこには、涙目になって椅子に座っているかすみがいた。
「ど、どうしたんだ!?」
俺は慌てて駆け寄る。
「ゆ、ゆう男〜」
「よしよし、何があったんだ?」
俺はとりあえず彼女を落ち着けるため頭を撫でてやる。
「あのね、同好会の練習してたらせつ菜先輩と口論になっちゃって…」
「またか……」
俺はため息をつく。前にもあったことだが。
「だって、せつ菜先輩のパフォーマンスは可愛くないし、かすみんがやりたいことじゃなかったから…」
「それで喧嘩になったんだな?」
「うん、それで今日は一旦解散しようってなって……だから一人なんだ」
「そうなのか……」
確かにせつ菜とかすみの意見が異なることはよくあることだ。ただラブライブに出るならば、一つの方針でまとまらなければならない。
ぶっちゃけると、これからソロ活動がメインになることで、ラブライブにこだわることは全く無くなるのだがな…。
「大丈夫、俺が何とかするから」
「ほんと…?」
そう言って俺は根拠のない自信をかすみに言う。
「ああ、安心しろ。それにしても、まさかこんなに早く同好会崩壊の危機が訪れるとはな……」
まあ正直、俺がいても遅かれ早かれこうなるだろうと思っていたが。でも一週間は早かったな…。心の準備がもう少し欲しかったぜ。
「うぅ……ごめんなさい……」
「気にすんな。俺に任せてくれれば問題無いからさ」
「わかった…ありがとう、ゆう男…」
「おう」
俺はかすみの頭を撫でるのをやめる。しばらくすると彼女は落ち着いたようで、俺から離れた。
それから俺は彼女と別れ、家に帰るのだった。
翌日。俺達は同好会に行ったが、そこにせつ菜はいなかった。
「あれ?せつ菜先輩は?」
「いや、俺も分からない…。どこにいるんだろうな?」
俺たちがそう話し合っていた時、突然扉が開いた。
「皆さん…こんにちは」
「せつ菜先輩!今までどこに行ってたんですか!?心配したんですよ!」
「すいません、それで同好会のことなのですが……活動休止にします」
「は…?」
俺の気の抜けたような声がこだまする。
(え?、流石に急すぎないか?)
「えっ……どうして……」
「私の勝手な都合で申し訳ないのですが、休止させていただきます」
「そんな……嘘ですよね……?」
かすみが恐る恐るそう言う。
「いいえ、本当です。けじめは…本来グループでやるはずだったライブでつけます」
「そんな…」
その言葉を聞いた瞬間、かすみの表情が絶望に染まった。
「では私はこれで……」
そう言い残し、俺の方をチラッと悲しそうな顔で見て、せつ菜はそのまま去っていった。
「なんで……あんなに頑張ったのに……」
「……」
俺は皆にかける言葉を必死に考えるも、何も思いつかなかった。
もともと同好会が崩壊することを知っていた俺だが、実際それを目にすると、なかなか心にくるものがあった。
「っ…ひっぐ…」
「とりあえず一回帰りましょう……」
「……そうだな」
俺は泣き崩れているかすみに掛ける言葉が無いまま部室を出る。そしてそのまま帰宅した。
その夜、俺は自室で悶々としていた。
(せつ菜が同好会を辞めたのは仕方が無かったんだ…!)
原作ではこの後、同好会はせつ菜の脱退により自然消滅してしまう。そして侑の登場によってメンバーも増え、絆はより強固になる。だからせつ菜が抜けるのはしょうがない。俺はそう思わなくちゃやってられなかった。
それにせつ菜は同好会に対して並々ならぬ想いを抱いているからこそ辞めようとしている。その思いを俺は汲まなくてはならない。
(だから、次にせつ菜を復活させるのは俺の役目だ)
俺は罪悪感を押しつぶす為ににせめてと、そう決意を固めるのだった。
ライブ開催の日。俺は会場の観客席に影を潜めていた。
(いよいよか……)
ライブは原作通り順調に進んでいた。せつ菜はソロで歌っており、ダンスも完璧だった。
特に最後のシャウトは、観客の心を鷲掴みにする程に凄まじいものだった。
(やっぱり、アイドルとしての実力は本物だよな……)
俺はせつ菜のパフォーマンスを見て改めて実感する。
だが俺はそれと同時に、せつ菜のパフォーマンスが当分見れないことに寂しさを感じていた。
(いけないいけない…ここで俺が頑張らなくちゃどうするんだ)
俺は気持ちを引き締め、せつ菜のライブを見終わるのだった。俺はライブを見終わったことで生じた感情を振り払うかのように、急いで家に帰ろうとしたその時だった。
「だよね、凄かったよね!カッコよかった、可愛かった!ヤバいよ…あんな子いるんだね!」
「う、うん…」
俺は前世で見慣れた声が聞こえ、つい立ち止まってしまう。
興奮に溢れ友人の手を夢中で握って喋っている人と、それに賛同しながらも手を握られたことに嬉しそうな友人。
(あれは…歩夢と侑じゃないか!?)
俺は二人に悟られないようにしながら、会話を聞くことにする。
「なんて子なんだろう…あ、ポスター!」
「これは…虹ヶ咲学園、スクールアイドル同好会…?」
「虹ヶ咲って…」
「「うちの高校だー!!」」
2人はそう言って顔を見合わせながら、手と手をくっつけ合う。俺はそれを見て、少し感慨深い気持ちになってしまうのだった。
(ついに原作が始まるんだな…)
原作で主人公の高咲侑と、その親友上原歩夢。2人がせつ菜のライブを見るところから物語が始まる。
(これは朗報だな、気分がいいからかすみのとこにでも行くか)
かすみは今部室近くで練習しているだろう。俺は2人を見たことで沈んでいた気持ちが晴れ、気分も良くなっていた。かすみにこの気持ちを分けてやろうと、俺はかすみの練習場所へ行く。
「お疲れ様、かすみ」
「ゆう男……また来てくれたんだ」
「当たり前だろ、マネジャーなんだから。それより大丈夫か?」
「大丈夫じゃない……けど、今は我慢しないといけないから……」
かすみは少し暗い表情でそう言う。あれから少しずつメンバーは減っていき、俺とかすみしか今は残っていない。
「そっか……まあ、俺がいるんだし大丈夫だ。それに部員も集めなくちゃな!」
「部員…?」
「ああ、5人いなきゃ同好会は作れないだろ?」
「でも…また衝突するなら、かすみんは同好会は作らなくていいよ…」
かすみは諦めた表情でそう言う。ある意味俺が居たことで、甘えれる相手がいたからこそこうなったのだろう。しかし俺は、かすみに反論する。
「何いってるんだよ、かすみ」
「え?」
「衝突するのは…喧嘩になるのは悪いことじゃ無いだろ。ただ今回はタイミングが悪かっただけだ、次からは気をつければいいさ。それに……俺はかすみと一緒に同好会をまた作りたいんだ」
「っ……」
俺がかすみにそう話すと、かすみは頬を赤くする。
「ダメかな?かすみ……」
「……そんな事言われたら、断れないじゃん……ありがと……ゆう男」
「ああ」
(ふぅ…まったくヒヤヒヤしたな)
ここで俺が説得に失敗していた場合、最悪同好会が元に戻らなかった可能性もあった。だが、なんとか同好会は元に戻るかもしれない。俺は安堵のため息をつく。
(あいつらにも教える時だな…)
俺はメールを操作して、ある人物らに頼み事をするのだった。
「……ねえ、ゆう男。お願いがあるんだけど……」
「ん?どうした?」
俺が帰ろうとすると、かすみが妙にしおらしい雰囲気でそう言ってきた。
「その……今日だけ近くまででいいから、一緒に帰ってくれない……?」
「ああ、もちろんいいぞ」
俺はその言葉に二つ返事でそう答える。するとかすみはパァっと笑顔になり、ありがとうと言ってきた。
そして二人で部室を出ると、俺は先に歩いていたかすみに話しかける。
「それで、どこに行けばいいんだ?」
「あっ……えーと、まずはこっちね」
俺はかすみの言われた通りに歩いていく。数分後、かすみが普段使っている駅に着いた。
「そろそろいいか?」
「う、うん……ゆう男!」
「どうした?」
「今日は…今日はありがとうね!かすみん、ゆう男のおかげで元気出たから!」
「おう。それなら良かったよ」
俺はかすみの感謝の言葉を聞き、微笑む。
「だからね……同好会一緒に頑張ってよ!」
「……うん?」
「うぇ!?わ、忘れたの!あの約束のことだよ!!」
「あぁ……はいはい。任せとけって」
俺はそう言い、かすみに笑いかける。かすみは俺の顔を見て顔を真っ赤にしていた。
「じゃあ、またね!」
俺たちはそこで会話を終わらせ、自分の家に帰っていくのだった。
翌日。俺はかすみに呼び出され、部室の前まで来ていた。しかし…
「ワンダーフォーゲル部?」
なんと部室のプレートがスクールアイドル同好会から、ワンダーフォーゲル部にすり替わっていた。
「うん……ついさっき、急に名前が変わったみたいで。一応プレートは取り返してきたんだけど…」
(マジかよ……手が早いな)
そう言ってプレートを取り出すかすみに、俺は心の中でそう思いながらも、まずは中に入ってみようとする。
「待ってください。情報処理学科一年、坂下優樹さん」
まるで機会のように冷たい声が聞こえてきた。俺はその聞き覚えのある声で誰なのかを理解しつつ、振り向く。
「中川…生徒会長、どうしたんですか?」
そこには予想通り、中川菜々が立っていた。俺は内心の動揺を隠し、冷静に対応する。しかし、彼女はどこか様子がおかしかった。いつものクールな雰囲気とは違い、今は感情を押し殺しているかのようだ。
「スクールアイドル同好会は、廃部になりました」
「は?」
「では、これで」
そう言って菜々は帰ろうとするが、かすみがそれを許さない。
「ちょっと待ってください!?、廃部って何でですか!?」
かすみがそう問い詰めるように叫ぶと、冷静に菜々は答える。
「全て、優木せつ菜と話し合って決めたことです。それでは…」
そう言ってスタスタと菜々は歩いて言ってしまう。
「ぐぬぬ…」
帰っていく菜々を、かすみはじっと睨んで見ているのだった。
「あんの意地悪生徒会長〜!」
場所は食堂。かすみはコッペパンを丸齧りしながらそう叫ぶ。
(その食べ方パンかすが飛び散るからやめろよ。かすかすだけに…)
俺はこんな状況でも、どうでもいいようなことばかり考えてしまう。
「怖かったね、でも生徒会室に忍び込んだりするからだよ…」
しずくは若干呆れたように、でも優しくかすみにそう言う。
「そっか、部室なくなったんだ…」
紅茶を見ながら、少し悲しそうにしずくはそう言う。
「ああ、だからまたメンバーを集めるつもりだ」
俺はしずくの表情を見ないようにして、そう話す。
するとかすみは勢いよく立ち上がり、拳を握る。
「おいかすみ…?うぉっ!?」
そして机を思いっきり叩く。あまりの音の大きさに俺は驚く。
しかしそんな俺を気にせず、かすみは自分の想いをぶつける
「かすみんは……絶対に諦めない!だってゆう男とまた一緒に同好会やるって約束したもん!」
「お、おう……」
俺はその迫力に圧倒され、ただそう返事することしか出来なかった。
(こいつ……本気だな)
かすみの目からは、強い意志を感じた。俺はそれを感じ、自然と笑みがこぼれてくる。
「ふぅ……まあ、そうだな。またメンバー集めて、頑張るか」
「うん!」
俺の言葉にかすみは笑顔で答えてくれる。この様子ならきっと大丈夫だろう。すると突然、演劇部の部長が近づいてくる。
「しずく、行こ?」
「あ…ごめんなさい。演劇部のほう行かなくちゃ…」
そう言ってしずくは、演劇部の部長について行ってしまう。
(なんか寝取られたみたいで腹たつな…)
まだしずくには手を出していないのに、なんか浮気された気分になった。
「あ、あの……ゆう男?」
かすみはもじもじと、何か言いたげな感じになる。
「ん?どうした?」
「その…屋内行こう!」
「しず子の白状者〜!」
かすみはまたパンに齧り付きながらそう叫ぶ。
「まぁまぁ、忙しいんだから仕方ないだろ? それに、あの部長のお気に入りらしいし…」
「それはわかるけどさぁ〜」
俺たちは今屋内にいる。そこでかすみは、先程からずっと不満そうな顔をしていた。
(てかあいつら仲良いよな……いや別にいいんだけどさ……)
俺としずくの関係は、まだ友達くらいだろう。でも会って1ヶ月で能力を使わず、異性相手にここまで来れたんだ。行幸と言って違いないだろう。
しかし部長としずくの関係とは、少し違う気がするのだ。
(なんつーか……恋人同士みたいな?この世界だったらそれもあり得るんだよな…)
2人の関係に疑問を抱きつつ、俺はかすみと話を続ける。
「でも本当にどうしようかな……」
「こうなったら…かすみんが部長になって、同好会を存続させる!」
かすみはいきなり突拍子もないことを言う。
「えぇ!?お前がか?」
確かにかすみは可愛い。アイドルっぽい容姿をしているし、人望もそれなりに作れるだろう。でも、一年生に同好会のメンバーがついてきてくれるだろうか……。多分ついてこないな。
「できるのか?というより、部長が何するかわかってるのか?」
「うっ、それは…」
俺がそう返すと、かすみは言葉に詰まる。
「ははは、やっぱりな」
「むぅ……」
かすみは拗ねたように頬を膨らませる。
「じゃあどうしたら…」
かすみがそう呟いた時だった。
「でも、スクールアイドルってどうやってなるんだろう?」
「スクールって言うんだから部に入らないと駄目なんだろうけど…」
そういう2人の女性の声が聞こえてきた。その声は聞き覚えがある、というより昨日聞いたな…。
「先輩〜、スクールアイドルにご興味あるんですか?」
かすみは2人の肩を掴み、猫撫で声でそう言った。
「スクールアイドル同好会2代目部長のかすみんこと、中須かすみです!」
「勝手に言ってるだけだろ…」
「もう、ゆう男!」
俺は思わず茶々を入れてしまう。
「えっと、あなたは…?」
突然の俺の登場に驚いたのか、赤ピンクの髪をシニヨンで纏めている先輩、上原歩夢がそう言う。
(ふふ、ようやく物語が始まるんだな)
こんなに自己紹介が楽しみなのは一体何年ぶりだろうか。俺は興奮を包み隠さずに、笑顔でこう言った。
「俺は坂下優樹、スクールアイドル同好会で作曲とマネジャーをやってます!」
感想、お気に入り登録、評価、アドバイス待ってます。
宿題と小説で、小説を取りました。そのかわり今夜は徹夜で勉強です…。
初回なので、エロが無いのはご愛嬌。
多分次堕とすのはかすみん。そろそろ不規則に堕としていきたい所…
今週中に彼方ちゃんのリクエストさばきます。
新作投稿するとしたらどういうの見たい?
-
貞操観念逆転世界でアイドルハーレム
-
ふたなり虹ヶ咲に死ぬほど犯される俺君
-
この作品のリメイク(いつかは出す)
-
ラブライブ!の短編集
-
他の二次作品(エロ)