「これ。昨日狩ってる時珍しいのドロップしたから着て」
「......」
受領画面には『フェアリークイーン・オブ・ドレス』『ホワイトローブ』と装備名が記載されている。全裸でシーツで身体を隠しながら○を押すと、そのまま装備した。
「うん。似合ってる」
真っ白なワンピ―ス。腰部にリボンが装飾されておりその姿はウエディングドレスのよう。肩に掛かって大き目のマントの様な純白のローブが身体全体を覆い、最後にロイがフードを被らせると「他のプレイヤーに顔見せちゃダメ」と耳元で囁いた。
「これからどこへ行くの?」
「始めて直ぐに言った場所覚えてる? あそこに強い武器が取れるクエストがあるからそこで手にれついでにレベル上げよう」
「うん」
宿を出て進む、途中であった敵はロイが切り伏せていった。
「半分は私。半分は貴方に上げる」
そう言って一匹を倒すと次の一匹をHPを一ミリだけ残し此方によこしてくる。それを僕は昨日ロイがやってのけた石にソードスキルを発動し投げつけ倒す。剣で一緒に倒すと言ったが、頑なに拒否を決め込み次の村にたどり着くまでの間、遭遇した二十七匹のモンスターを半分倒し、半分をミリまでHPを残すと言う事をやってのけた。しかもその全てが無傷。その姿はまさに、最強の剣士そのものだ。
ものの十数分で村に到着した。
ロイが言った通り、はじまりの街で燻っているからかプレイヤーの数は疎らで動きやすい。これなら待たずともイベントを回す事が出来るだろう。
「おいあれ......」「NPCじゃないよな?」
「あんなキャラベータでも見た事ないぞ」
「ッチ......。早く行こうシャーロット」
「うん」
小さく舌打ちすると、僕の手を引きイベントを出来るNPCの元へ急ぐ。
それからも圧倒的の一言だった。納品するドロップアイテムを手に入れる為にモンスターを倒した。それも、先ほどと同じように一匹を自分で倒し、もう一匹をミリまで残して僕に倒させる。ドロップ品を手に入れればもう一度依頼を受け直し、狩る。入手し、狩る。それを、夕方まで繰り返す。
一か月の時が経過した。その間に口調を徹底的に正され、仕草を女性のそれのように教え込まれる。「どうせ女の子なんだからゲームの中では女性として千影を抱きたい」とふざけた理由で行われる教育とは名ばかりの調教の数々。少しでもロイの気に入らない事をすれば
悔しいがロイのゲームの腕は一級品。このアインクラッド内で三本指に入るほどのゲームセンスを持っている。それでいて用意周到であり
そして、今日。一層のボス攻略会議が始まろうとしている。
集合場所は一層直前にある南ヨーロッパ風の街トールバーナ集まった数は二十から二十五人と言ったところで昔の屋外演劇上で会議が行われた。
「おいあれ」「噂に聞いた妖精か?」「可愛い......」
「シャーロットこっちに座ろう」
何時ものように僕を守る様に歩き、人の居ない席の端に移動する。
「今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう! 俺はディアベル。職業は気持ち的に
ユーモアを交えた挨拶をする青色の髪の青年ディアベル。快活の良いハキハキとした物言いの好青年といった感じのその男は笑いが起こる攻略プレイヤーを宥めると、みんなに聞こえるような声で周りを鼓舞し、拍手の中本題を切り出した。
「OK! それじゃあ早速だけど攻略会議を始めたいと思う。まずは六人のパーティーを組んでみてくれ! フロアボスは単なるパーティーじゃ対抗出来ない。パーティーを束ねたレイドを造るんだ!」
ディアベルの話が終る前にプレイヤー同士の行動が始まった。最初から一緒に来た者が多く。直ぐに六人のレイドが数個出来上がる。そして、炙れたのプレイヤーは僕とロイを含めて四人。集団から離れた場所に座っていたから直ぐに分かった。
一人は小豆色のローブ付きマントで全身を覆った少女。顔は良く見えず、栗色の髪の毛が見え隠れしていた。そしてもう一人はあの時に会った少年。中性的な顔立ちに中肉中背。ずっと一人で行動していたらしく少年の方から栗色の髪の少女によって行くのが見える。
「シャーロット」
「......」
立ち上がり、二人の所へ向かう。その間に二人は話が纏まったのか少女がうなずき何やらメニュー画面で操作をしている。恐らくパーティー申請をしたのだろう。
「やあ少年」
「っ? あんたは前の」
ロイは片手を軽く上げ挨拶しながら少年の隣に座る。僕も続く様に軽くお辞儀をしロイの隣に座った。
「君達もあぶれ組?」
「そうだ。あんたらもか」
「そうだよ。シャーロットが居る手前そうホイホイと仲間を引き入れる事が出来なくてね。おかげでこうして二人で攻略に勤しんでいるって訳さ。―――良かったら私達もパーティーに入れてくれないかな?」
「ああ、こっちとしても数が増えて困る事はない」
少年は手慣れた手つきで操作し、僕達にパーティー申請を送る。それを、僕達は受理した。
「暫くの間よろしくね。私の名前はロイこっちはシャーロットだ」
「よろしく、お願いします......」
「ああよろしく。俺はキリト」
少女は声を出さずに小さく頷くだけに留まる。パーティーメンバーの名前欄にはAsunaの文字があったから必要ないと思ったのだろうか。
それから直ぐにディアベルの声を遮る男の高い声が聞こえて来た。そいつが言うにはベータテスターがその他のプレイヤーを見捨てて効率の良い狩場や美味しいクエストを独り占めした事が気に入らないらしくこの会議に参加しているベータテスターのプレイヤーにアイテムや金を寄越さない限り信用出来ないと言っていた。
急に出てきて何かと思えば馬鹿らしい。
「「本当にくだらない」」
僕とロイが二人そろって口にした。
「あ!?」
やば。聞こえちゃった。
喚き男キバオウがズカズカとこちらに走って来るのを見て、それに守る様にロイが僕の前に立ちゆく手を阻んだ。
「おどれら今何て言った! 下らんやと!? あいつらベータテスターのせいで何人のプレイヤーが死んだか知ってんのか!」
「それが下らんと言ってる。クエスト独占? 狩場を独占? それの何が悪い。仮に、有益な情報を教えたとしても我先にと今度はプレイヤー同士の争いになるに決まっている。それなのに、プレイヤー全員に渡らないと分かっていて情報を開示するバカが何処にいる」
「何やと! それでも何人かは余裕あるやろうが!」
「はぁー......。お前、ここにいるという事は攻略する事を選んだって事だよな?」
「そうや! だから、レベルをはよう上げる為に俺らに「甘えるな」っ!」
「はじまりの街に居てれば死ぬことはない。それでも攻略すると決めたのなら人に頼るんじゃなく自分の力で何とかしろ。ベータテスターの連中だって抽選で勝ち抜いて手に入れたんだ。ならお前もその貴重な情報を手に入れる為にはそれ相応の対価を払わないと筋が通らないだろうが。それに―――」
懐から本を取り出しキバオウに突きつける。
「こうやってお前らみたいな与えられて当然と思っているような哀れな奴らにも情報を寄越してくれるベータテスターだっている。そんな有益な情報を公開されている状況でも死んだと言うのならそいつが弱かっただけの事だろう。その責任を全てベータテスターに擦り付け、アイテムを毟ろうなんて本気で思ってるのなら攻略組の輪を乱す最低な行為だ。大人しくはじまりの街で引きこもってろ。そんな下らん話で説明を止めるな」
「お前一人抜けようが何も問題ない。気に入らないなら帰れ」そう言うとキバオウは顔を赤くしながら元の席に戻った。
「気にするな」
「あ、ああ......」
座り直し、キリトにそう言った。フードの隙間から見えた表情から読み取れた感情は安堵。恐らくキリトはベータテスターなのだろう。
会議は暫く続き、夕方には終了。終わったその足でこれから戦う仲間同士で親交を深める為に皆飲みに出かけて行った。
そして、僕はと言うと―――
「......」
「......」
人通りの少ない街路道の花壇前に置かれた椅子にアスナと二人で座っていた。
会議が終り皆出かけていく中、ついさっきいがみ合った為か誰からも誘われなかった僕達。「行く気なかったし別に良い」と素っ気なく言うと誰かに会う為、近くに居たアスナに僕の事を預けて行った。
「人見知りで私以外の男の人が苦手」だとか「女性の貴方なら信頼できる」とかある事ない事口にし、最終的に金銭的報酬を引き換えにそれならと引き受けた。
そして、今に至る。
純白のローブの少女。小豆色のローブの少女。二人そろって同じ腰掛に座り、談笑する訳でもなく只正面を向いている。その様子は奇妙で不可思議な空気が辺りに漂っていた。
現に、何人ものプレイヤーが僕達の前を通ったが、その全員が訝し気な表情で素通りしていった。
「貴方なんで攻略会議に来たの?」
唐突に話始めるアスナに一拍遅れて返事を返した。
「え? 何でって......」
「他の人達みたいな攻略に対する意欲が感じられない。でも、他の人達に比べてレベルは低くない、ううん、寧ろ高いくらいよ。なのに会議の時落ち着きない感じで殆ど説明を聞いてなかったでしょ? 貴方、本気で攻略する気あるの? もしないなら迷惑なんだけど?」
辛辣な口調で淡々と並べられる正論。他の人から見て僕はそう見えるのか......。
「ぼ、私はゲームをクリアしたいと思ってます。でも、攻略組の皆さんのように前に出てフロアボスと戦う勇気はありません」
「......なら何で貴方はここに居るの?」
「ロイが居るから」
「彼が?」
懐疑的な声音に頷き話を進めた。
「彼は、ロイは身内贔屓を抜いても最強のプレイヤーです。―――私のレベル十五は自分でモンスターを倒して上げた訳じゃないんです」
「どういう事?」
僕とアスナの間に存在した隙間が一気に縮まった。こちらに近づき身を乗り出すアスナに驚いた。
「ロイの殺しかけのモンスターに石にソードスキルを乗せて投げただけなんです」
「っ! そんな。でも彼のレベルは―――」
「十七。ロイがモンスターを倒すと次のモンスターのHPをミリまで残して私に倒させる。それから、私が寝ている時も時々狩りに出かけてみたいなので、だからそれぐらのレベルに上げる事が出来たのでしょう」
「ちょっと待って。そんなにモンスターと戦ってたら肉体的は兎に角精神的に持つ訳ないわ。だってこれは唯のゲームじゃなくてHPが0になったら死んじゃうのよ? そんな状況でそんな大量にモンスターを狩り続ける何て尋常じゃない精神力が居る筈」
顎に手を充て考え込む。
「特に疲れた様子もなかったです。寧ろ元気すぎて夜が大変............」
「え?」
「いいえ何でもありません。ロイはあれだけ戦っても一度も攻撃を食らった事がないのです。―――でもロイは私の居る所以外に行こうとしません」
「一度も攻撃を受けた事がないって......。嘘じゃなさそうね。じゃあ、何で彼は貴方の傍を―――いいえ何でもないわ。今分かったから。彼にゲームの攻略をさせる為に貴方もついてきたって事なのね?」
そう僕が此処にいるのは一刻も速くこのゲームから抜け出す為、この地獄から脱出する為だ。それには、智広の力が必須。智広が僕を離さない以上僕が一緒に最前線に出て行くしか方法がなかった。
しかし、それまでの過程が厳しかった。何故なら、最初は智広は攻略に意欲的ではなかったのだ。現実の肉体が死ぬまで一生この世界で僕と一緒に生きたいと思っていた。快適に暮らせる程のコルを貯める為 一定のレベルを上げ、中堅プレイヤーとしてやっていく事が智広のこれからの人生設計。でも、それじゃあクリアまでどれだけの時間がかかるか分からない。ひょっとしたら永遠に現実の肉体が滅びるまでこのゲームが続くかもしれない。そう思った僕は智広にある提案をしたのだ。
『もし、ゲームをクリアする事が出来れば。現実で結婚を前提に付き合う』
その効果は絶大。目の色を変えてモンスターを狩りに行く姿は現実では有り得ない程積極的でまさに我が世の春が来たと言った感じ。
そんなこんなで絶望しか見えない地獄より少しでも希望が見える地獄を選んだ僕。無理やり犯され縁を切りたいと思ってさえいた彼女に生き残る為に現実の恋人を捨てて、凌辱された相手を選ぶのだ。我ながら虫唾の走る選択。卑しい自分への苛立ちと春への罪悪感で寝れない日々が続いている。それでも、どんなに下衆な行為だったとしても僕は行きたいのだ。そしてもう一度、あの両親の元へ―――
「―――そういう事になります」
「......ごめんなさい。勝手な事言って」
「気にしないで下さい」
そう言いながら声のする方向に顔を向け微笑む。
ギュルルル~......
「......」
「えっと。あの、その」
緊張が解けた瞬間、静寂が訪れた時を見計らったように腹部から大きな音がなる。
恥ずかしく顔を赤らめながら俯く僕を見て、アスナは笑うと「今はこれしかないけど」と言いながらメニュー画面を操作する。すると受領画面が現れパン×1と記載されていた。
「良いんですか?」
「別にそんな貴重なものじゃないし良いわよ」
周りを見渡し居ない事を確認すると、○を押し直ぐにインベントリから取り出した。ザラザラとした感触、押し込むと反発する生地、お世辞にも美味しそうに見えない外見とは裏腹に視線はそのパンに釘付けになってしまった。
勢い良く噛り付き、数回咀嚼した後のみ込んだ。喉を伝い服内に入っていく。そして、再びパンを食いちぎるように頬張る。
「はぐっ! ―――んく」
食べなかった原因は勿論ロイ。切っ掛けはほんの些細な事だ。いつも通りロイの狩について行った時、出会った女性プレイヤーに道を聞かれた。ほんの数秒。ロイとプレイヤーが離している間にほんの少しだけ綺麗だなと思っただけなのに、話終わったロイは直ぐに僕に断食を命令。それから今日まで一切の飲食を許されず空腹に耐えて来たと言う訳だ。
「......そんなにお腹空いてたの? 幾ら、自分でモンスターを倒さないって言っても最後に攻撃してるんだからコルは持っているでしょ?」
確かにお金は持っている。しかし、僕の財産は全てロイと共有されているから店で食べ物を買えば直ぐにバレる。そんなどうしようもなかった僕にこうして食べ物を降って来た幸運と恵んでくれたアスナに感謝しつつ丸形のパサパサとしたパンを夢中で食べた。
「持ってるけど......」
陰を落とした表情を察したのかフードを取り、こちらを向き直すアスナ。
美人だ.....。
「貴方まさか彼に―――」
「......」
「っ!!」
途端、アスナの顔は憤怒に塗れ、乱暴に立ち上がると誰かを探す様に首を動かしながら歩こうとする。何をしようとしているのか瞬時に察知したアスナの手を掴み制しした。
「やめて!」
「でも貴方!」
「いいの! ロイがこのまま攻略に専念してくれればゲームをクリアする事が出来る。そうすればこの関係も終わらす事が出来るから。今私が我慢すれば良いだけだから!」
制しを振り切り進もうとするのを両手で腕を抱く様にして止める僕の姿を見たアスナは落ち着きを取り戻した様子で再び隣に腰を下ろした。先ほどのような警戒感はなく、悲哀をにじませながら感情を押し込める。
「貴方はつらくないの?」
「つらくない......訳じゃないけどもう一度家族に会うにはこうするしかないの。だからお願いロイには何もしないで」
「っ!! ―――はぁ......分かった。でも―――」
再びメニューを開き何やら操作する。すると僕前にに『Asunaからフレンド申請が届きました』と文字と共に選択画面が現れた。
「何かあったら連絡して助けて上げるから」
「―――ありがとう」
少し躊躇する素振りを見せたが、最終的には○ボタンを押し受け入れることにした。
グ~
「......もう一つ食べる?」
「うん」
恥ずかしい。
もう一つパンを受け取ると礼を言いながらフードを取った。
「っ!! 凄いわね」
「えっと。ありがとう? 改めて私シャーロット。よろしく」
「アスナよ」
それから数十分の間。二人で談笑に華を咲かせる。この世界に閉じ込められ始めて心の底から笑えた感じがした。
だが、楽しい時間は直ぐに終わってしまう。
「待たせてしまってごめんね? シャーロットは大人しかったかな?」
「ええ」
フードを被り直しながら素っ気なくそう言った。ロイは下から上に舐める様に僕の身体を見ると一瞬苛立ちの表情を見せ直ぐに穏やかな面持ちに直すと、僕の腕を掴み立たせた。
「見ててくれてありがとね。―――これは報酬」
「―――確かに受け取ったわ」
「それじゃ。行こうかシャーロット」
「......うん」
来た道とは真逆の街灯が疎らの薄暗い道に足を向けるロイに手を引かれるようについて行く僕。ロイに気付かれないように後ろを振り向き、控えめに手を振った。それにアスナは手を振り返してくれるのを見ると直ぐに顔を前に直す。
どんどん暗くなっていく道。冷たい風が吹き出し、肌を撫でた。
「......ねぇ」
「っ!! 何?」
風と同じ冷たい声音。
「何でフード取ってるの?」
「......これは風で「じゃあ直ぐに直せばいい。なのに何で直さなかった?」......」
苦し紛れの言い訳を言い終わる前に話を遮る。足を止め身体を此方に向くと見下ろすようにして再び問い詰めた。
「あの女に色目、使ってたんでしょ?」
「そんなこと「あるよね」......」
手を離し、どんどん近づいてくるロイ。後ろに、後ろにと下がると次第に細い路地へと入って行く。数少ない街灯の明かりも届かない暗い道、振り向き路地の奥を確認すると黒の一色で先が見えない程だった。
逃げられない。
瞬間、恐怖が僕の身体を駆け巡った。追い詰めるように近づいてくるロイにあっという間に逃げ場を失った僕はせめて怒りの籠った眼差しを見まいと視線をしたに俯く。
「それに―――何か食べ物食べたでしょ?」
「っ!! 食べてない、絶対に食べてないよ」
「ふーん」
ロイの右手が僕の顎を掴み、上を向かせる。そして、顔の隅々を観察した。
「な、何?」
「口開いて」
「嫌だ」
「開いて」
「嫌だ!」
「開けって」
「っ! が、あ!!」
顎から手を離し首を掴む。気道が狭まり、空気を取り込もうと自然と口が開いてしまう。そこにロイは自身の顔を近づけ大きく鼻から息を吸い込むようにして匂いを嗅いだ。そして―――。
「パンの匂い」
「だってお腹空いてしかた「嘘つき」っい!」
弁解しようと口を開くが頬を叩かれた。強い力で顔に衝撃が走ったものだから勢いを殺せず、地面に倒れてしまう。
「顔を人に見せるなって言ったのに見せて、食べるなって言ったのに食べた。ねぇ? 何で私のいう事聞けないの? 千影は私の恋人だよね? ね? ね? ね!?」
倒れた僕に追い打ちをかける様に腹部に向かって蹴りを繰り出した。靴先が鳩尾に入り、激痛が走る、
「っい! やめっ! い、痛い!」
「食べた物出して」
「出してってもう食べちゃったもん!!」
数度蹴りを入れた後に腹を抱え蹲るの髪を鷲掴み、掴んだ手とは逆の指の二本を僕の口元に持って行く。
「開いて」
「ひ、ひぐ! ぐす......」
大粒の涙を流しながら、小さく口を開いた。そこに指が入って行き、傍若無人に暴れ回る。舌を押し、喉奥に入り刺激を加える。
「出して。ほら、早く」
「はべへ。ほねがい!」
口を開き、唾液をまき散らしながら舌足らずの言葉で許しを請う僕に無慈悲にも無視を貫き、口内での攻撃を続ける。
「三秒以内に吐かないと明日のボス戦であの子殺す」
「っ!!! うっ! うぇぇぇぇぇっっ!!」
胃に入った物が全て地面にまき散らされた。何度も、何度も吐き戻し、しまいにはえづくのみで何も出なくなる。
「あぁ......。今の千影最高に可愛い」
恍惚の面持ちで僕の身体を優しく抱き上げ、吐瀉物に塗れた口に一寸の迷いのない動作で口を合わせて来る。
「ん! んちゅ、れろ......」
「最高......じゅる、ちゅ、じゅるる、れろ......」
身体で僕の身体を壁に押し付け動けないようにしてから舌を入れ、口内の隅々を移動し、暴れ回る。
「んん! ちょっと! こんな所でっ! ちゅ、ん、あっ!」
「ん......はぁ。これはお仕置きだから。そこにしゃがんで」
身体を離すと両腕で両肩を掴み、その場でしゃがませる。強い力で抵抗する事が出来ず智広の言う通りにしてしまう不甲斐なさに情けなくなっていると、ロイはおもむろにズボンのチャックを開き、男性のモノを取り出した。
「な、何を」
「この一か月色々やって来たけどフェラはまだだったよね?」
勃起したモノを僕の目の前に突き出し、口元に当てがった。