※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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21歳①【始動】
彼らの姿


鴉の令和の羽音で、斗和は顎から滴る汗を手の甲で拭った。

本部に文を届けさせたのは数刻前だ。

戻って来た令和は、足に文を携えていた。

 

 

 

時は少し遡り二十一歳になる前、斗和は耀哉に文を書いた。

以前伝えていた、これから起きる出来事。

それにどう関わるかは、自由にしていいと言われていた。

まずは炭治郎達が参加した最終選別に行く為に、今後の日程を聞いていたのだった。

 

最終選別は結構な頻度で行われており、斗和は書かれていた日程全てに赴き様子を見た。

だが今のところ彼等は現れていない。

 

斗和は数日前に誕生日を迎え、いよいよだと思った。

鬼殺隊九年目。

今回こそは彼等の姿を見られるのではと、早速文を読む。

 

 

 

 

 

───────

──────

それから三日後。

 

斗和は普段使用しない日本刀形状の日輪刀を携え、白いひょっとこの面を着けて藤襲山の集合場所に向かった。

 

まだ誰もおらず、なるべく端で静かに待っていた。

すると現れたのは、なんと嘴平伊之助だった。

猪の被り物で一発で彼だと分かり、斗和は少し笑ってしまう。

伊之助は落ち着きがないので、山に入ってはすぐ戻ってを繰り返している。

 

(伊之助君は面白いな)

 

そうするうちに続々と人が集まって来た。

栗花落カナヲ、我妻善逸、不死川玄弥。

主要人物である彼等は、今はまだ顔見知りではない。

斗和は玄弥が気になり、さり気なく近付き様子を窺う。

まだ成長しきっていないが、やはり兄である実弥によく似ている。

 

そして狐の面を横に着けた少年が来た。

 

竈門炭治郎である。

 

耀哉の娘らの説明が終わり、いってらっしゃいませの言葉で皆一斉に山に入って行った。

斗和は一番最後まで待ち、全員が入ったのを見届ける。

これまで何度か訪れたが、怖じ気付き一人か二人は入れない者がいた。

十三歳で最終選別を受けた斗和は、実際に鬼を見るまでは怖いとは思わなかった。

いざ目撃すると大声で騒いたが、とにかく頸を斬らなければ喰われる。

そこからは死ぬ気で挑んだ。

どうにか七日後の朝を迎えた時は、ボロボロだった。

斗和は懐かしいと思い、藤の花を見つめる。

 

七日後の朝、斗和は再び訪れなくてはならない。

その時に耀哉の娘は、玄弥から殴られ髪を鷲掴みにされてしまう。

斗和は、どうにか回避できないものか考える。

そこで閃いた。

 

(あ!お面だ!)

 

ひょっとこの面を付ければ、髪を掴まれても殴られはしないのではと思ったのだ。

 

 

 

「すいません、お待ち下さい!」

 

早速斗和は、帰ろうとしている娘達に声を掛ける。

因みに二人には、二度目に待っていた時に即ばれた。

斗和は本部で一般隊服を着ていた。 

娘達に会ったのは本部でだけだ。

野良着隊服で面を着けていれば、何度来ようがばれはしないと思っていた。

 

しかし生き残れば隊士になるわけで、毎回最終選別に参加していたらおかしいのだ。

更に同じ面、同じ野良着なのだから明らかに怪しい。

斗和はそれを、娘達から声を掛けられた時に言われて気付いたのだった。

「お面ですぐ分かりました」と言われ、斗和は苦笑いするしかなかった。

 

「はい?」

 

「どうされました?」

 

「はい、あの…あ!」

 

斗和はそこでハッとした。

娘が誰なのか分からない。

耀哉の子は五人いて、黒髪の男児・輝利哉だけしか認識していないのだ。

あとの四人は皆同じ髪型で同じ顔なので、斗和は全く分からなかった。

 

(えっと…ひなき様とにちか様は姉で、かなた様とくいな様は妹のはず…)

 

四分の一の確率である。

間違ったらかなり失礼だが、斗和は考えても分からなかった。

 

(やばいやばい!見られてるよ…こうなったら、カナヲさんがいたから似てる名前のかなた様にしよう)

 

「蓬萊様、具合でも悪いのですか?」

 

「いえ大丈夫です!…あの、かなた様…?七日後はこの面を着けるといいかもしれません」

 

斗和は、おずおずとひょっとこの面を娘に差し出した。

すると二人は顔を見合わせる。

 

「それは蓬萊様の物です。いただくわけには参りません。では」

 

「えっ、あっちょっと…」

 

二人はさっさと行ってしまう。

 

娘は"かなた"と言われ否定しなかった。

どうやら合っていたようで、斗和は胸を撫で下ろす。

面は断られたが、斗和はよく考えたら七日後も使うことに気付いた。

玄弥に声を掛ける時に面は必要である。

やはり渡さなくてよかった、断られてよかったとほっとする斗和であった。

 

斗和が主要人物に顔を見られたくない理由は、この先を考えてだ。

怪しまれずに行動しなくてはならない。

 

斗和は、変えることによる反動を危惧していた。

どんなものにも表と裏がある。

表で死ぬはずの人物を救えば、裏で同等の何かが起こる可能性があるのだ。

他の柱を動かせば、本来救えていた命が救えなかったというのが必ず出てくる。

だからこそ、本来は存在しなかった斗和だけが動く。

 

それが最善であると考え、耀哉にも伝えた。

 

斗和は、思い立ったら即行動に移すことが多い。

故にこれまで失敗することも多々あった。

だがこの先は慎重に動かねば、急いては事を仕損じる。

 

七日後の早朝また来ることにし、斗和は山を降りた。

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