※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

116 / 190
前世─斗和─

※斗和視点

 

 

 

 

ああまたこの夢だ。

 

さっき列車の中で見た夢が、走馬灯のように駆け巡る。

 

以前の記憶を戻してから見る夢は、いつも同じだった。

 

映画館、煉獄さんや炭治郎君たちのポスターがそこかしこに貼られている。

人混みの中から知っている人を見つけ、衝撃を受けて頭痛がし場面が変わる。

 

私はこの映画を観るつもりで行き、観ていない。

動く煉獄さんの姿を見ることができなかった。

 

机の上に白い紙があって、それを指差す男の人。

泣き崩れる私に向ける目は、嫌悪と呆れ。

 

泣いても助けてくれる人なんていないのに…馬鹿な私。

 

何度も何度も読み返して、何度も何度もその展開に泣いた。

現実にいないあの人に恋焦がれた。

現実逃避していた情けなくて痛い私。

 

ああ…やっと全て思い出した。

 

私は施設で育った天涯孤独の身だった。

あの時の私は二十九歳で、結婚していた。

恐れていた人だから何度も拒絶したのに…

あの人の見栄で強引に結婚した。

そこに私の意思はなかった。

 

それでも家族ができると思った。

だけど…結局はそれも終わった。

 

一年経つ頃には疎ましく思われた。

 

どんなに努力しても無視され、まるで存在しないかのように扱われた。

何をしても否定され、認めてはくれなかった。

そのうちに他の女がいいと言われ、あっさり捨てられた。

 

それでも私は、最後にたった一つでも思い出を作りたくてあの映画に誘った。

だけど拒否され一人で行ったら…あの人と可愛らしい女が楽しそうに笑っていた。

 

私は最後まで惨めで痛い女だった。

 

私は茫然自失で映画を観ずに泣いて帰宅し、本を腕に抱いたら胸がものすごく苦しくなって…

そこで記憶は途絶えた。

 

気付いたらこの世界にいた。

 

きっと私はあの時死んで、生まれ変わったんだ。

 

 

元から弱かった心臓は、過度の負荷がかかった状態が続いた為に狂ってしまった。

 

私はあの人に認められず、本の中のあの人を愛して一人孤独に死んだ。

 

 

なんて弱くて

 

なんて痛くて

 

なんて惨めで

 

なんて情けない

 

 

あの人の態度と言葉とは裏腹の、強く想う優しい気持ちにどうしようもなく惹かれた。

 

あの人の強さが好き

 

あの人の曲げない信念が好き

 

あの人が笑うと優しい顔が好き

 

何もかもが愛しい

 

まさかこの世界で目覚めるなんて

 

再びあの人を好きになるなんて

 

最初は苦手だった。

あの人の好物は嫌いだし、厳しくて、怖くて関わりたくないと萎縮していた。

 

なのにいつの間にか惹かれていた。

 

何でだろうって思っていた。

認めたくない気持ちが大きくて、だけど今なら分かる。

 

私は最初からあの人が好きだったんだ。

 

それを忘れていただけだった。

 

情けない私に喝を入れて手合わせしてくれた。

継子を失って泣き崩れた時も、何も言わず抱き締めてくれた。

 

いつだって優しかった。

 

あなたと口付けした時、本当に嬉しくて幸せで泣いた。

 

私はあなたが誰よりも好きで、愛しくて堪らない。

 

 

 

 

 

 

だけど…

 

だけど私は…きっと…

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