※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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ありがとう

斗和は風呂から上がり、濡れた髪を乾かした。

新しい着替えも寝間着で、やはりあの蝶屋敷服は着られないのかと思った。

 

(あれを着るのは男の隊士だけなのかな?)

 

左目横の傷には注意した斗和だったが、場所が場所なので濡らしてしまった。

出血はもうないが、縫われた傷口は気持ちのよいものではない。

髪を下ろしていても全ては隠れず、杏寿郎に見られるのは嫌だった。

やはり面をと、引き出しを開ける。

 

そこには、斗和が念の為に持参したひょっとこの面があった。

使うことはなかったが、今後はこの傷を隠す用に必要だと思った。

 

(どうしよう…これ着けて煉獄さんに会ったらおかしいかな?だけどこんな傷を見られるのは…)

 

斗和は、面を手に取りしばらく悩んだ。

そして、杏寿郎は傷のことを知っているので隠さず行くことにした。

知らない者ならば驚くだろうが、既に知っているならば仕方がないと思った。

それでも斗和の本音は、嫌で堪らないのだった。

 

斗和は面を仕舞った後、洗われていた若緑の羽織を着て隣の部屋へ向かった。

 

 

 

すぐ隣、何歩か歩けばの位置だというのに、斗和は足が震え進まない。

 

(煉獄さん…本当に、本当に無事なの?怪我は…本当に生きているんだよね?)

 

ドクドクと更に心臓が早鐘を打つ。

 

扉を叩くのも緊張し、手も震える。

斗和は怖かった。

杏寿郎に会いたいが、不安なのだ。

本当にこの先にいるのか、未だに信じられなかった。

だがいつまでも迷っているわけにいかず、意を決し震える手でコンコンと二回叩いた。

 

「どうぞ!」

 

「っ!!」

 

中から大きな返事がし、思わずビクッと肩が跳ねる。

斗和は、失礼しますと小声でそっと戸を開け中に入った。

 

恐る恐る顔を上げ寝台を見れば、そこには杏寿郎がいた。

起き上がり、斗和を見てこれでもかと目を見開いている。

 

杏寿郎は左目に包帯が巻かれていた。

斗和は黙っていられず、駆け寄る。

 

「っ…煉、獄さ…!」

 

「斗和!!目が覚めたのか!?よかった…目覚めてくれて本当によかった…!」

 

杏寿郎に両手を握られ、斗和はそのまま寝台に腰掛けた。

いつの間にか"斗和"と名を呼ばれていることに、斗和は気付いていない。

 

「煉獄さん、お腹は大丈夫なんですか!?肋は、内臓は無事なんですか!?」

 

斗和は、杏寿郎の体を隅々まで何度も確認する。

見える箇所には殆ど包帯が巻かれている。

杏寿郎も斗和と同じく寝間着姿であった。

一瞬斗和は、もしかしたら柱は蝶屋敷服は着ないのか?と頭を掠める。

だがとにかく、杏寿郎の状態が気になりそれどころではない。

 

「ほ、本当に、本当に生きているんですよね?幻じゃないですよね?…生きて…生きてる、生きてる、煉獄さんが生きてる!!よかったです…!本当に本当によかった!生きててくれてありがとうございます!!」

 

斗和の両眼から、ボロボロと涙が止めどなく溢れ出る。

 

「私っ…本当にごめんなさい!…肝心な時に役に立てなかった!煉獄さんの戦いを邪魔してっ、こんなに怪我も…うっ…私だけ無傷で…」

 

斗和は嗚咽で言葉にならない。

本当は左目も守りたかった。

重傷を負わせず、どうにか杏寿郎を救いたかった。

だがどんなに予測しても、現実は思うようにいかない。

斗和が戦闘に加わったことで、本来の動きとは変化した。

 

包帯だらけの杏寿郎を間近で見て、斗和は悔やむ気持ちが湧いてくる。

 

すると杏寿郎は、握っていた手を引き寄せた。

 

「煉獄さん…」

 

「斗和、顔を上げてくれ。戦いを邪魔されたなど思っていない。確かに君が突然現れたのには驚いた。だが、君がいなければ俺はこの世にいなかっただろう」

 

杏寿郎は斗和の肩に腕を回し、そっと抱き寄せる。

 

「君には感謝している…礼を言うのは俺の方だ!ありがとう!」

 

杏寿郎は幾分か声を抑え、優しい眼差しで斗和を見つめた。

 

「鬼は、あの鬼はどうなったんですか!?頸は…!」

 

斗和は猗窩座のことが気になり、問い詰める。

杏寿郎は静かに首を振った。

 

「あと一歩のところで逃げられた」

 

目を見開いた斗和は、悔しくて堪らない。

 

「…私、言いましたよね!?私が引き付けている間に、私ごと奥義であいつを抉れと!そしたらきっと倒せたんですよ!?こんなに満身創痍にならず、煉獄さんはあいつの頸を斬れた!なぜそうしなかったんですか!」

 

斗和は、初めてとも言える強い口調で杏寿郎に迫る。

 

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