※斗和視点
休みをもらった一週間は、なんだかんだであっという間に過ぎ去った。
目覚めてから数日間は、今までで一番濃い時間を過ごした。
煉獄さんから好きだと告げられたり、槇寿郎さんから謝罪されたり。
何より、実弥さんと想いが通じ合ったのは驚きと嬉しさと感動で、未だに頭がついていかない。
夢のようで現実だとは思えなかった。
だけど彼が私に刻んだ痛みが、夢ではないと感じさせる。
◇
そんな幸せなひとときを越し、今日から任務復帰だ。
気合いを入れ、早めに支度をして向かった。
初日は警備区域の見廻りのみで、途中区域外から鬼が出たと呼ばれ倒した。
復帰し、最初は何も問題ないと思っていた。
だがそれは日が経つにつれ、少しずつ陰りを見せていく。
問題はないと思っていたのは最初だけだった。
そのうち鬼と対峙する度に、僅かながら反応が遅れていった。
何より衝撃だったのが、土の呼吸を即座に連続で撃てないことだった。
㭭ノ型
だが土嚢城壁を撃った直後、胸が締め付けられ苦しくなった。
次の技を出せないまま、ただ刀を横に振り斬る。
鬼も腕で防いだので一撃で斬り落とせず、反対側から斬りやっと終わった。
こんなことは今までになかったことで、戸惑いしかなかった。
連続で出せていたはずの技が出せない。
応用技もできなくなり、単発になってしまう。
技の威力は落ちていないが、重宝していた応用技が撃てなくなったのには愕然となった。
技を放ち少し経てば元通りになるが、できていたことができなくなった衝撃は非常に大きい。
単に刀を振るい頸を斬るならば、いくらでもできる。
だがそれは弱い鬼に対してのみ通用する。
呼吸を、技を使わなければやっていけない鬼狩りにとって致命的だ。
呼吸は使えるのに、今までのように動けない。
それは必然的に負傷が増える要因で、柱同様の任務に赴いていた自分にとって大きな負担となっていった。
全集中の呼吸は常にできている。
疲れるわけでもなく途切れるわけでもない。
だが突如起こる胸のつかえや苦しさは、動きを止め鈍くする。
少しずつ増える打撲や裂傷。
それらを誤魔化すことに必死になる毎日だった。
いくら鍛錬しようと、実際にできなければ無意味だ。
このままではまずいと思いながらも、打開策が見当たらない。
無限列車で煉獄さんを助けた反動なのかと思った。
だけど私の心臓は、その前から既に…
これだけは誰にも悟られてはならない。
私はまだ鬼殺隊にいたい。
あの人の傍で刀を振るいたい。
そうでなきゃ私の存在理由がない。