十二歳で田舎から出てきて早二年、斗和は料理が苦手だった。
田舎では労働力扱いだったので、家では殆ど炊事をしたことがなかった。
その為、岩の呼吸の育手の元で一から仕込まれたのである。
野良着で頭には手拭い姿。
一見すると炊事は完璧にできそうだ。
ところが米研ぎすらできない斗和に、師は拍子抜けしたのだった。
そして一通り教えて一年経っても、斗和の料理は上達しなかった。
異常に不味かったり、かと思えば美味かったりと、味に相当なばらつきがあった。
師は斗和を送り出す時、料理も精進しろと告げてはいた。
しかし、今のところ何ら変わりなかった。
一人暮らしで任務の合間に作る飯は、凝ったものはできない。
とはいえ、斗和の料理は基本的に大雑把である。
野菜は茹でるだけ、魚は焼くだけといった風に常に同じ調理で同じ味付けをしていた。
これらはまだいい方で、多忙になると芋を多めに蒸かし、傷む手前まで何日も食べたりすることもあった。
誰かに料理を振る舞うこともないので、特に構わないと思っていた。
だがその実、女としていかがなものかと情けなくもなる。
やはりいくらかはまともにと思った斗和は、畑を借りている農家や長屋の住人に調理法を聞き様々作るようにした。
そしてついに、自分でも恥ずかしくないと思えるものができたのだ。
それは鰤大根、卵焼き、焼きお握り、梅干し、糠漬けである。
他は大して上達しなかったが、これらだけは絶品だった。
今後誰かに振る舞う、そんな日は来るのだろうか。
斗和は僅かな期待を胸に得意料理を極めた。
◇
斗和は、鍛錬により土の呼吸を漆ノ型まで増やしていた。
大小の怪我、頭痛や腹痛など様々な不調はあった。
それでも与えられた任務をこなし、着実に力をつけて行った。
その一方で仲間は何人も亡くなり、目の前で食され耐え難い悲しみも襲う。
鬼殺隊は、殆どが十代の少年少女で構成されている。
あまりにも若い男女の死はつらいことこの上ない。
これがこの世界、鬼殺隊の日常なのだから過酷であった。
それでも前に進むしかなかった。
月日は流れ、斗和はもうすぐ十五歳になろうとしていた。
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※主人公の紹介
外見→身長・168㎝、体重・55㎏
髪は肩より少し長めで、うなじの上で団子結びにしている。前髪あり。化粧はしない。
13歳の時、左頬に真横に傷を負う。
どこから見ても地味。
女にしてはかなりの力持ち。
隊服は一般的なしのぶさんみたいなタイプと、特注の野良着隊服の2種類ある。基本的には野良着隊服姿で私服も野良着。着物は一着しか持っていない。頭には手拭いを巻いている。
使用呼吸は土(岩の呼吸からの派生)育手の師は元岩柱。
日輪刀は特注で鍬を模しているものと、一般的な日本刀形状のものと2本ある。普段は特注のを使用。刀の色は焦げ茶色。
趣味は畑仕事、作物を育てること。あらゆる虫に耐性がある。蛇は苦手。
焼きお握り・鰤大根・卵焼き・糠漬け・梅干しは絶品だが、他は全てイマイチ。つまり料理下手。
前世をハッキリ思い出せないが、29歳だった。