ある日、斗和が庭で洗濯していると、一羽の鴉が飛んで来た。
「実弥、呼ンデル、来イ」
鴉はそう言うと、黙って待っている。
斗和は、どうしようと下唇を噛む。
一週間前にも実弥の鴉が呼びに来たが、月のものの真っ最中だったので正直に文に書いて断った。
会う目的が肌を重ねるだけではないとはいえ、万が一の時に断るのが忍びなかった。
そして斗和には、もう一つの懸念がある。
確かに一週間経てば月のものは終わるが、任務で負った傷があちこちあるので見られたくないのだ。
今は手の甲に裂傷、左右の足に打撲の大きな青痣がある状態だ。
みっともないので、実弥に見られるのが嫌だった。
(また断ろうかな…でも…)
斗和は、断ろうかと思った。
だがこの先も確実に傷は増える。
いつかは見られるのだから、避けてはいられない。
「分かりました。実弥さんに今から行くと伝えて下さい」
鴉はそれを聞きすぐに飛び立った。
斗和は途中にしていた洗濯を、急いで終わらせる。
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風柱邸に着くと、斗和はいつものように玄関を叩いた。
すると少しして実弥が出て来る。
この時間に鍛錬していないのは珍しい。
「あ、寝ていたんですね」
斗和は今から手合わせだなと思い、庭へ向かおうとした。
「待てェ!」
すると、ぐいっと首根っこを掴まれる。
「あれっ?手合わせじゃないんですか?」
「手合わせだァ!?それよりお前は、俺に一週間以上もお預け喰らわせてんの分かってんのかァ?」
「お預けって、あの…ちょっと…」
斗和は、半ば引き摺られるように奥の部屋に連れて行かれた。
そこは実弥の私室で、今起きたばかりの布団が敷いてあった。
部屋に入ったとたん、斗和は腕を引っ張られ座らされた。
すると後ろに回った実弥は、斗和の手拭いを取る。
結わえていた髪も解き、うなじに口唇を寄せてきた。
「ひゃっ!ちょっと、待って…」
斗和が後ろを向こうとすれば、そのままうなじを舐められ思わず仰け反る。
その間に実弥は羽織りを脱がせると、野良着隊服の簡易帯も解き腰まで滑り落ちた。
「待てねェ」
実弥はそう言い、背中に舌を這わせながら巻き付けていたサラシを解いていく。
斗和は性急すぎてついていけない。
半分程巻き付いたままのサラシを腕で押さえ振り向けば、実弥は目を見開いて斗和を見つめている。
「お願い待って。深呼吸させて…ふーっ…はぁ…」
斗和は一度目を瞑り深呼吸すると、再び振り返る。
「ごめんなさい、中断させてしまって…」
何も言わない実弥を見ると、口に手を当て顔を逸らしている。
その顔は赤く、斗和は実弥を怒らせたのかと焦った。
「あ、本当にごめんなさい!怒らせるつもりはなかったんです…」
慌てて完全に後ろを向いて謝るも、実弥は納得いっていないような顔をした。
それもそのはず。
実弥は斗和に怒ったのではなく、色香を含んだ扇情的な顔をするので衝撃を受けたのだ。
実弥はとたん、飢えた獣のような目つきになった。
情欲を色濃く放つ眼差しが、斗和を射抜く。
「実弥さん…?あの…」
実弥の今まで見たことのない顔に、斗和は取って喰われるのではと怖くなった。
少しだけ後ずさった瞬間、サラシは剥ぎ取られあっという間に布団に押し倒された。
実弥は性急に口付けし、舌を入れ何度も角度を変えて貪る。
「んっ、…」
斗和は呼吸もままならずにいると、口唇が離れた。
実弥は露わになった斗和の乳房をまじまじと見る。
そして一瞬だけ斗和に目を遣り、勢いよくその先端に吸い付いた。
「あんっ…!」
実弥は両の手で乳房をやわやわと揉みしだき、先端を舌で転がし指で摘む。
指の腹でゆっくりと乳輪をなぞり、執拗に弄る。
「あぁんっ、やっ…あぁっ…」
斗和は瞬く間に力が抜け、ふわっとした眠気も出てきた。
不思議な感覚に陥る。
乳房を夢中で貪る実弥の頭を、斗和はぼんやりと見つめた。
そっと手を伸ばし白銀髪の頭を撫でると、柔らかな髪が手のひらをくすぐる。
(ふわふわする…気持ちいい…)
すると先端から口を放した実弥は、斗和の頰を撫でる。
「斗和、俺以外にあんな顔すんじゃねェぞォ…その顔もだァ」
「あんな顔って?私、変な顔していた…?実弥さん、嫌だった?」
斗和は、やはり実弥を怒らせたのかと不安になる。
窺うように実弥を見ると、少し顔が赤い。
「っ…だから、あんまエロい顔すんじゃねェって言ってんだァ!」
(エロい顔!?私そんな顔していたの?自分じゃ分からないのにどうしたら…)
「そんなこと言われても…私、よく分からない。だけど実弥さんは好きな人だから…その、そういう顔になっちゃうんじゃないですか…?」
どんどん声が小さくなり、尻すぼみになる。
斗和は、自分でもかなり恥ずかしいこと言っていることに気付く。
実弥はそんな斗和を愛しく想い、フッと笑う。
「あんまりエロいと俺がもたねェからなァ…お預け喰らってたし覚悟しとけェ」
実弥はそう言うなり、斗和を情欲的に見つめる。
手が絡み合うと同時に、二人は口付けた。
斗和の首筋に実弥の舌が這い、双丘に両の手が置かれゆっくりと同時に撫で回す。
実弥はそのまま体を起こし、斗和に跨がったまま触っていた胸を更に揉みしだいた。
斗和は、実弥が敏感な先端に触れないようにしているのを感じ取る。
もっと触れて欲しくなり、物欲しそうに実弥を見つめる。
はしたないとは思っても、止められない。
すると実弥は満足そうに目を細め、ついに先端を触り始める。
親指で擦り弾き押し、満遍なくなく捏ねくり回す。
快感が斗和の体を駆け巡る。
「んっ…はぁ、あ…」
あまりの気持ちよさにおかしくなりそうだった。
斗和はその時、いつかしようとしていたあることを思い出す。
「あっんっ、あっ…おねが…い、今日は、お礼させて…?んっ、」
実弥は何だろうと思い、乳房への愛撫を中断した。
斗和は両の腕を引かれ、上半身を起こされる。
そのまま実弥の傷だらけの胸に抱き着くと、意を決した。
「…私が入院中、警備区域の巡回を請け負ってくれたのは実弥さんでしょう?」
「…あァ」
「私ずっと知らなくて、お礼もしないまま今日まで…一ヶ月以上も迷惑をかけてしまってごめんなさい。本当にありがとう」
「んなもん大したことねェ」
実弥はそれより、早く続きをしたくてしょうがない。
「お礼をさせて欲しいの。上手くできるか分からないけど、実弥さんを気持ち良くさせてあげられたらって…。私、いつもあなたにしてもらってばかりだから、少しは役に立ちたい。お願い…」
斗和は懇願するように、そっと実弥の中心に手を伸ばす。
「ッ、」
硬いものに当たり、実弥がびくりと震えたのが分かる。
「…いいのかァ?」
「うん。上手くできるか分からないけど、してあげたいの…」
抱き着くのをやめ頷けば、実弥は後ろ手を着き下半身を投げ出した。
斗和は履いたままだった野良着隊服を下穿きごと脱ぎ、中途半端に開かれた足の間に入る。
そして実弥の隊服の革帯に手を掛け外し、膨張している中央に恐る恐る触れる。
ピクッと動いたそこから、実弥が自ら取り出した。
(え…こんなに大きいの…?)
斗和は思わず息を呑む。
目の前のそそり勃つ大きなそれは、思った以上の衝撃だ。
これが何度か自分の中に入ったことに驚く。
覚束ない手付きでそれを包み込み、斗和は意を決して目を瞑り先端を口に含んだ。
実弥は僅かに身動いだ。
斗和は恥ずかしくて目を開けられず、瞑ったまま実弥の中心を口と舌と手で扱う。
実弥を気持ち良くさせたいという想いで、斗和は大きな男根を咥え扱く。
「…っ、ふ…」
少し早くしてみようかと、斗和は一旦根元近くまで咥え舌を動かした。
「っ…クッ…」
少しだけ声が漏れた。
実弥は果たして快感なのか、全く分からない。
すると、口の中でビクビク痙攣し生暖かいものが口内に広がった。
「んっ…!」
出せと懐紙を渡され、斗和は吐き出した。
実弥から口をゆすいで来いと言われたので、脱いであった羽織りに素早く袖を通し台所へ向かった。
口をゆすぎついでに水も飲むと、斗和は再び部屋に戻る。
襖を開ければ、目の前に立っていた実弥に腕を引かれ抱き締められた。
「すげェよかった、ありがとなァ…」
耳元で小さく礼を言われ、斗和は安堵と共に嬉しくなる。
よかったと思っていると、実弥は斗和の着ていた羽織を脱がせた。
そして再び布団に横たえる。
今度は実弥が斗和の股に顔を埋める。
「ひゃ、っあん!」
実弥を受け入れる場所とその上の蕾への愛撫に、斗和は蕩けるのではと思ったくらいだ。
指で掻き回され何も考えられなくなった斗和は、一度震え体から力が抜けた。
果ててしまうと、とたん恥ずかしさが込み上げてくる。
実弥が手の甲で口を拭う姿は色気があり、斗和は胸がキュッと鳴く。
お前が欲しいと言われ、更にキュンと腹の下が疼き幸福に満ちる。
すぐに侵入してきた実弥の昂りは太く熱い。
まだ僅かな痛みはあるも、それはすんなりと斗和の奥まで入った。
一分の隙もなく埋め込まれた男根は、斗和の内部に包み込まれる。
律動が始まり、斗和は実弥と一つになれて嬉しさが言葉になる。
「あっん、あ…っ!うれ、しい…」
「俺もっ…だ…斗和」
とたん動きが激しくなり、斗和はなすがまま揺さぶられる。
「やっ、あぁっ、はげしっ…」
痛みは既に消え、湧き上がる快感だけが支配する。
斗和は実弥の腕に掴まり、激しい動きを受け止めた。
実弥は奥を何度も激しく突いた後引き抜き、斗和の腹の上に精を放った。
◇
二度目の情事が終わると、実弥は斗和の太股の外側の痣を撫で言った。
「でけェ青あざだなァ…こっちは尻の下かよォ。変なとこに痣作りやがってェ」
斗和はたった今後ろから突かれ、そのままうつ伏せになっていた。
見られた足の痣を隠そうと起き上がる。
そして羽織で胸元を隠し、隊服を着ようとサラシを掴む。
すると実弥は、無防備になった後ろから腰や背中を撫でた。
「ん…」
「勝手に着るなァ。覚悟しとけって忘れたのかよォ…」
実弥が髪を掻き分けうなじや肩に唇を這わすと、斗和はぞくぞくと体が震える。
「だっ、て…」
羽織を取られ、隠すものがなくなった斗和の乳房に後ろから手が回る。
「あんっ…もう…」
背後から耳朶を舐める実弥は、斗和の肩やうなじに何度も唇を這わせた。
しばらく肌を重ねておらず、今日の実弥は止まりそうにない。
(今果てたばかりなのに、もう…?)
「今度は斗和が跨がれェ…ほら」
そう言うと実弥は自分が布団に寝転び、その上に斗和を誘導する。
「ええっ!?そんな、どうやって…」
「跨がって手ェ添えていいとこに宛がえ」
「っ…もう…」
実弥はずけずけと具体的に言い、斗和の反応を楽しんでいた。
(自分で挿れるなんて、恥ずかしすぎる…だけど…)
斗和は意を決し、実弥に跨がり昂りに手を添えると、そっと腰を落とす。
「あっ…!」
先端が当たりグッと入ったのが分かる。
実弥は斗和の腰に手を添えた。
すると下へと押し込んで行く。
「んあっ!や、だめ…待って、」
斗和が抵抗するのを無視し、実弥は更に下へと腰を強く掴む。
「そのまま腰落とせェ…っ、そうだァ…」
斗和は逃れられず、言われるがまま上半身を落としていくしかない。
太い杭に貫かれていき、斗和は喉元を晒しビクビク震える。
「はぁんっ…やあぁっ…あ、」
下から見上げる実弥は、あまりに官能的な斗和の姿に、中心が一回り膨張した気がした。
「あ、あ、あぁんっ、」
実弥の昂りがみるみる斗和の中に収まり、ついに根元まで全て入りきった。
「あ…実弥さん…ここ、すごいのっ…」
腹の圧迫感は苦しいが、斗和は嬉しさが込み上げる。
先端が子宮口に当たっているのを感じ取る。
(ああここに、私の中に実弥さんがいる…)
斗和はそっと下腹部に手を添えた。
「動けるかァ?手、俺に掴まれェ」
少しだけ上半身を起こした実弥は、斗和の手を取る。
斗和は分からないままに、腰を上下に動かしていく。
「は、あっんんっ…」
動きと合わせて、自らの乳房が揺れるのが目に入る。
斗和はそれを恥ずかしく思う。
(すごく恥ずかしい…)
すると、じっと見ている実弥と目が合った。
満足そうな顔をしていた。
だが、果たして本当にそうなのかは分からない。
「あっ、んっ、うまく、できているか…私っ分からなっ…」
すると実弥は完全に起き上がり、そのまま今度は斗和を下にする。
体を横向きにし、右足を上に持ち上げた。
「きゃあっ!っあ…あぁっ、…んぁ…」
とたん、今までにない奥を抉られるような感覚が、激しい快感となり斗和の全身を襲う。
子宮の入口に向け、実弥の猛った大きな先端が幾度も激しく突き乱れる。
「あぁっやぁっ、お、くっ、んっあたって…あっあぁっ!…お、ねがっあぁん…もう、むりぃ…」
斗和は幾度も最奥を打ち付けられ、あまりの刺激的な快感に息を吸い込む暇もない。
「いやあっ…」
(あぁ…気がおかしくなりそう…)
「さ、ねみっ…」
「斗和…!?オイ斗和っ…!」
斗和はそのまま意識を飛ばした。