※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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狭間で─※R18─

斗和は降りしきる雨の中帰宅し、風呂を沸かし入る。

 

風呂で泣けば、何もかも全てを流してくれるような気がした。

 

「うっ…ふっ、あぁ…」

 

それが単なる錯覚だとしても、斗和は縋った。

ただただ無心で泣いた。

 

明日からは涙一つ流してはいけないのだ。

斗和は自分を罪深い人間だと思った。

被害者は実弥だ。

 

斗和は風呂から上がり、鏡台で体を確認する。

槇寿郎から付けて貰った痕は、くっきりと浮き上がっている。

 

痕が消える前に会う必要がある。

もって数日だ。

その間に実弥からから連絡がなければ、斗和から訪ねなければならない。

だが、これまで斗和から先に赴いたことはない。

必ず実弥から連絡が来てから行っていた。

 

自然に見せかけなければ成功しない。

斗和は、明後日までに鴉が飛んでくるよう祈った。

 

 

 

 

 

────────

───────

翌日は鴉が来なかった。

今までの会わない期間から、そろそろだと思っていた。

見誤っただろうかと、斗和は一気に不安が押し寄せる。

 

連絡もなく斗和から行けば、確実に怪しまれる。

 

"平気で実弥を裏切る酷い女"

 

こう思わせなければならない。

 

(お願い、明日には来て…)

 

焦りばかりが斗和を支配していた。

 

 

 

 

更に翌日、斗和は警備を終え帰宅した。

昨日は連絡が来なかった。

 

(今日は、今日こそ来てもらわないと…!)

 

斗和は昨日から焦燥感が酷く、任務上がりでも眠れずにいた。

昨日は眠っておらず、体がだるかった。

 

風呂に入り少しでも仮眠をとろうとしていた時だ。

待っていた鴉が来た。

だが鴉の様子は焦っているのか落ち着きがなく、羽根をばためかせる。

 

「斗和!屋敷ニ来イッ!屋敷ニ来イッ!」

 

それまで斗和に対し、鴉・爽籟は穏やかに伝令していた。

いきなり様子がおかしくなったので、実弥に何かあったのではないかと思った。

 

(まさか大きな怪我をした!?)

 

斗和は急いで髪を乾かし、風柱邸へ向かった。

 

 

 

 

────────

───────

祈りが通じ、鴉は斗和の元へ来た。

だがいざとなると、怖気づいてしまう。

門を潜れば後戻りはできない。

元から戻る気もないが、やはり不安が押し寄せる。

それでも斗和は、先に進むしかなかった。

 

玄関を二、三度叩くと、勢いよく開き実弥が現れた。

 

「……!」

 

斗和は思わず息を呑む。

目は吊り上がり、全身から怒気を放っていた。

実弥のこのような姿は、久しく見ていなかった。

 

数年前に初めて手合わせをした時でさえ、ここまでではなかった。

斗和は気付いた。

今まで実弥の一部しか知らなかったことを。

目の前の男は、鬼を滅する為に鬼殺隊にいる。

厳しい姿は当たり前なのだ。

 

想いが通じ合う前から、実弥が斗和に向ける目は穏やかだった。

本来は厳しい表情ばかりの男である。

それは分かっていたことだ。

だが、優しい姿ばかりが斗和の目に焼きついている。

 

実弥は、いつまでも中に入らない斗和に舌打ちする。

腕を引っ張られた斗和は、強引に玄関へと入った。

 

「突っ立ってんじゃねェ!さっさと草履を脱げェ」

 

「………」

 

斗和は無言で従い草履を脱いだ。

すると実弥は腕を取り、居間に連れて行く。

斗和に治療用の箱を渡し、腕を差し出す。

 

見れば血が流れており、斗和は頭の手拭いを取り血を拭いた。

そのまま無言で手当てをし終わると同時、実弥は斗和の腕を掴んだ。

それは痛いくらいで、抵抗できず連れて行かれる。

 

向かった先は実弥の私室だった。

虫の居所が悪いのか、嫌なことでもあったのか。

今の実弥は感情が高ぶっており、相当に苛ついていた。

まるで無数の棘のようで、斗和は声を掛けることができなかった。

 

同時に、好都合だと思った。

こんなにも怒っているならば、体を見たら益々怒りが湧き上がると予想した。

斗和はぐっと拳を握りしめる。

 

だが同時に、言い知れぬ不安も込み上げてくる。

実弥が醸し出す気は、尋常でない程に禍々しい。

同じ隊士だからこそ分かる、柱の威圧感だ。

 

(任務で何があったの…?)

 

斗和は声を掛け、話しを聞いてあげたかった。

たができないのが苦しかった。

 

実弥は部屋に入るなり布団を乱暴に敷くと、斗和をその上に押し倒した。

 

「っ!」

 

まだ早朝と呼べる時間だ。

斗和もだが、実弥も昨晩の任務から帰宅したばかりである。

寝ていないにも関わらず、実弥は疲れている素振りは全くない。

むしろ血が猛り、斗和を見下ろす顔は恐ろしかった。

目は血走り、飢えた獣のようで欲を灯している。

 

性急で噛みつくような口付けに必死で耐える斗和だが、歯が当たり実弥の口唇を切ってしまう。

 

「チッ!」

 

舌打ちと共に睨まれたが、斗和は目を逸らし謝らなかった。

 

早く怒鳴り散らせばいい。

お前などいらないと、消えろと告げればいい。

 

そう願い顔を逸らした。

実弥は斗和の首筋に顔を埋め、乱暴な手付きで野良着隊服の帯を解く。

合わせに手を掛け、左右に一気に開いた。

 

「!?」

 

斗和は風呂上がりだったので、サラシを身に着けず来ていた。

槇寿郎から付けられた痕は丸見えになり、忙しなかった実弥の動きが、大袈裟なまでにぴたりと止まる。

 

数秒後また動き出し、斗和が身に纏っていたものを全て取り払った。

そして隅々まで確認するように凝視し始める。

 

実弥は無心状態だった。

なぜ恋人の素肌に、口付けの痕が点在しているのか分からない。

その手つきは酷く乱暴だった。

股を左右に大きく開き、持ち上げる。

うつ伏せにし、普段は見えない箇所までくまなく見た。

検分さながらのその時間は、羞恥心だけが支配する。

 

これが実弥に付けられたものなら、どれだけ嬉しかったか。

実弥のものだという証だったら、どんなによかったか。

 

斗和は何度もそう思った。

 

早く怒鳴り、罵倒し、出て行けと言って欲しい。

お前とは終わりだと、二度と顔を見せるなと。

そうすればつらい時間は終わりだ。

 

実弥は自由になれる。

何もかも元に戻るのだ。

 

斗和が顔を逸らしていると、実弥から頰を掴まれ強引に向き合わされた。

 

「!!」

 

「逸らしてんじゃねェ!」

 

ぞわりと鳥肌が立ち、ほとばしる強烈な怒気が斗和を射抜く。

怖くて目が逸らせず、体が震えるのが分かった。

 

「…斗和、この体の痕は何だァ…?」

 

「………」

 

「何だと聞いてんだァ!さっさと答えろォ!!」

 

 

ドンッ!!

 

 

斗和が無言を貫いていると、顔の横に拳が振り下ろされた。

ビリビリと全身に伝わる実弥の放つ怒気に、体が震えて止まらない。

心臓は早鐘を打ち、動いていないのに呼吸が荒くなる。

 

「誰に股開いたァ!?アァッ!?」

 

「………」

 

実弥の強烈な怒声に、斗和はガタガタと震えが止まらない。

それでも絶対に口を開かなかった。

 

「…斗和、俺の女に手ェ出した塵は誰だァ…?」

 

「………」

 

「理解できねェのかァ?…お前が股を開いた相手は誰だって聞いてんだよォ」

 

どんなに実弥が問おうと、斗和は喋らなかった。

その姿に、実弥はブチンと堪忍袋の緒が切れた。

 

「てめェは誰のもんか分かっていないようだなァ?…もういい、この口が吐かねェなら体に聞いてやる」

 

酷く冷たい声色で発せられたその言葉を最後に、実弥は狂ったように斗和を抱いた。

 

優しさなど皆無の酷く手荒な愛撫だった。

 

「っ…」

 

大して潤っていない秘部を無理矢理貫かれ、斗和は痛みに小さな悲鳴が出た。

声を出さないよう、泣かないよう口を押さえ必死で耐える。

 

ほんの少し盗み見た実弥の表情はつらそうに見えた。

今にも泣き出してしまうのではと。

斗和は、実弥を苦しめていることがつらかった。

だが、避けては通れない。

 

実弥は訳が分からなかった。

昨日の任務は精神的にきつかった。

ぶつけようのない感情が収まらず、斗和に会いたくて呼び出した。

実弥は、いつしか斗和に癒しを求めるようになっていた。

独りだった頃はそれ程感じなかった感情が、斗和と恋仲になってからは強く湧き上がる。

ただ傍にいて欲しかった。

 

だが、普段と違い一言も話さない斗和に怒りが込み上げた。

なぜ全く喋らないのか、目線すら交差しないのか。

それは避けられているように感じ、実弥は酷く落ち込み怒りが込み上げる

とにかく、どうにか落ち着かせたくて抱こうとした。

 

だが斗和は、その体に赤い花をいくつも咲かせていた。

明らかな情事の痕跡を、全身で現していた。

 

 

愛する女が他の男に抱かれた。

 

 

ブチンと何かが切れる音がした。

 

目が合うと、実弥は斗和に蔑視を向ける。

 

「その顔で、その目で男を誘惑したのかァ!?…ハッ!目ェ離した隙に男を咥え込んでるとは…大した女だなァてめェはよォ…!」

 

実弥は怒りのまま、乱暴に斗和を揺さぶる。

 

斗和は、どんなに罵声を浴びせられても構わなかった。

どんなに乱暴に扱われようと、そんなことはどうでもよかった。

今つらいのは実弥なのだ。

斗和は声を出すことも悲しむことも泣くことも、絶対に許されないと思った。

 

実弥は一度精を放つと、一旦自身を引き抜き斗和を見下ろす。

 

「…相手は誰だァ?」

 

「…………」

 

斗和は決して口を開かなかった。

 

「ハッそーかよォ…まだ吐く気はねェのかァ…」

 

実弥は呆れ、続けて斗和の乳房を強く乱暴に揉みしだいた。

乳房の先端は更に乱暴に弄られ、斗和は痛みに顔を歪める。

 

実弥の呼吸は荒く、怒気と性欲が入り乱れていた。

恐いはずなのに、寂しそうに見えた。

 

実弥は斗和を四つん這いにさせ、後ろから一気に貫く。

 

「んっ…っ」

 

先程よりも激しい動きに、斗和は懸命に耐える。

力が入らず突っ伏すが、それでも実弥は容赦なく突き立てる。

 

斗和はなすがまま揺さぶられながら、ぼんやりと思う。

 

(実弥さんはまだ私を求めてくれるの…?こんな最低で酷いことをしている私を…)

 

布団に突っ伏した顔からボロボロと涙が溢れた。

 

なぜ実弥は突き放さないのか。

自分を裏切った酷い女である斗和を、なぜ見限らないのか。

 

実弥はやはり優しいのだと、斗和は心底思った。

 

 

 

 

───────

──────

貫かれて何度目になるのか。

 

斗和は朦朧としていた。

揺さぶられているのだけは、辛うじて分かった。

昨日から眠っていないせいもあり、痛みが少しずつ遠のいているように思えた。

 

槇寿郎が付けた痕を上塗りするように、至る箇所を強く吸われた。

更にたくさんの赤い花を散らした斗和の体。

 

既に手にも足にも力が入らない状態だった。

 

斗和は意識が霞んでいく中、気付かれないようほんの小さな声で呟いた。

 

「…さよなら…」

 

言うつもりなど微塵もなかった。

だが、勝手に口から出ていた。

 

 

重くなった瞼が閉じられる前に一瞬見えたのは、実弥の悲痛な顔だ。

そして"斗和"と名を呼ぶ、必死な声だった。

 

 

 

 

 

(実弥さん…ごめんね…こんな弱い女で…。彼の手を取ってしまった私の罪は重いのかな…)

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