※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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それは切なる願いで─斗和─

※斗和視点

 

 

 

 

私は今、どんな顔をしているだろう?

 

彼に、死ぬまで隠しておきたかったことを知られていたなんて。

情けない醜態を晒して、鬼殺隊を辞めろとまで言われた。

 

私を心配してくれたのだと、そう都合のいい解釈をする自惚れた自分もいる。

 

馬鹿じゃないのか私は。

 

何も言わない私に、実弥さんは苛立ち舌打ちをした。

 

「黙りこくってんじゃねェ!聞こえただろォが、二度と刀振るうんじゃねェぞォ!」

 

「嫌です」

 

「てめェ!」

 

「何を言われようが、私は最後まで戦います。鬼殺隊の一員として刀を振るいたいんです。鬼を殲滅して…平和な世にしたいんです!」

 

分かってくれなくてもいい。

例えもう鬼の頸を斬ることができなくても、誰かを助けることができなくても、私は鬼殺隊にいたい。

 

私の居場所はここしかない。

私の存在理由はここにしかないから。

 

「…私の存在は目障りでしょうが、どうかもう少しだけ辛抱して下さい…。我が儘で申し訳ございません」

 

しっかりと頭を下げた。

下ばかり向いていると涙が出そうだった。

実弥さんはどんな顔をしているのかなと思っても、到底頭を上げられない。

 

それでもこれで本当に最後なのだから、前を見よう。

 

笑顔で別れよう。

 

「実弥さん…今までたくさん迷惑をかけました。そして、たくさんの思い出をありがとうございます。感謝しています。本当にありがとうございました…っ…」

 

私は精一杯微笑んで、深く頭を下げた。

堪えきれず、両目から涙が溢れる。

 

やっぱり私はだめだな…

最後くらい凛として別れたかったのに…

 

木刀をその場に置き、去ろうと歩き出す。

ぼろぼろ落ちる涙を無視して、私は彼から遠ざかった。

 

その時だった。

 

「!」

 

後ろから抱きすくめられ、足が止まる。

背後から実弥さんの香りがした。

 

「行くなァ…!傍にいろォ!」

 

耳元で、聞いたことのない彼の悲痛な声がした。

とても苦しかった。

だけど…私達はもう終わったのだ。

 

「…離して下さい。どうか私のことなど忘れて下さい」

 

彼の方を見ず腕を解き、再び足を踏み出そうとした。

だが腕を取られ口付けられる。

 

「っ、…!」

 

離れようと藻掻くも、実弥さんの腕が腰に回されびくともしない。

 

強い力だった。

 

それでも必死に逃げようとすれば、更に強く抱き締められる。

 

「心底惚れた女を忘れられるわけねェだろうがァ!お前を手離すなんてできねェ…!愛してる斗和…俺の傍にいろォ!」

 

どうして…?

 

あなたを裏切ることをしたのに、どうしてそんなに優しいの…?

 

どうしてこんな私をまだ好きでいてくれるの?

私はもうすぐいなくなるのに…

 

そんなこと言われたら、私…私は…!

 

「っ…私はもうすぐあなたの前からいなくなる…!そんな私が傍にいたら、あなたに迷惑がかかる!あなたの傍にいたら私はっ…私は…っ、本当に、本当にいいの?私っ、あなたの傍にいていいの…?」

 

「ごちゃごちゃ言ってねェで俺の傍にいろォ!」

 

強く抱き締める実弥さんの温もりが、身体中に伝わる。

 

私はどうしようもない馬鹿だ。

 

自分から突き放したはずの彼の胸に、こうしてまた飛び込むんだから。

 

「…私…私…最期まで実弥さんと一緒にいたいっ…!!」

 

 

泣きながら叫んだその時、ふわりと優しい風が舞った。

 

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