蜜月─※R18─
柱稽古が始まって四日目の夜。
斗和が実弥の屋敷に来て、丸一日過ぎた。
夕餉は、斗和が四苦八苦作った鯖の味噌煮だった。
実弥は、本当に作ったのかと驚きながら食べた。
生姜を入れすぎてはいたが、それなりに美味かった。
実弥がそれを伝えると、斗和は喜んだ。
そのやり取りはまさに新婚夫婦のようで、二人はこそばゆいながら幸せに包まれていた。
先に風呂にと言われた斗和は、上がった直後から居間で寝そうになっていた。
原因は昨夜の寝不足と、体力低下だ。
斗和は、今すぐにでも寝てしまいたいのをどうにか堪えている。
残された時間が僅かであることを考えると、眠る時間さえ惜しい。
今になって…と、斗和は自嘲した。
結局、芝居をうってまで離れようとしたができなかった。
最期まで一緒にいることを決めたのだ。
精一杯できることをするしかなかった。
実弥には玄弥のことで、相当につらい思いをさせなければならない。
無限城に行く前に、どうにか和解をと思う。
だが、それはできはしない。
斗和は苦しかった。
自分は何の為にここにいるのかと、何度も考えた。
杏寿郎を救う以外のことは何一つできなかった。
実弥に全てを話してしまいたい気持ちもある。
斗和は常に葛藤していた。
悩みながらも、座っていると眠りそうだった。
斗和は、蜜璃のところでやった舞踊なるものを、と踊ることにした。
昨夜のように襖を倒したり物に当たらないように、慎重に手足を動かす。
(こうしてつま先を…回転して…)
「…っ、」
(ん?なんか今声が…?)
僅かな声に振り返ると、いつの間にか戸口のところに実弥がいた。
口に手を当て笑いを堪えている。
斗和は戸口に背を向けており、気付かなかった。
「ちょっと、何笑ってるんですか。これは甘露寺さんのれっきとした稽古なんですよ!実弥さんも一緒に踊りましょうよ、ほら」
そう言い、実弥に手を差し伸べる。
実弥はカッと目を見開いた。
「誰がんなもんやるかァ!もう灯ィ消すから来い」
一蹴した実弥は、行灯を消すと斗和の手を引き真っ暗な廊下を歩く。
灯りの点いた実弥の自室に入り、二人はゆっくりと布団に座る。
昨夜は二組用意されていたが、今日は一組だけだ。
干したばかりのそれは厚みを増し、ふかっとしている。
実弥は斗和の腕を引き寄せ、その胸に囲う。
「正直今日はどうしようかと思ったぜェ…。お前、エロすぎだァ。通いの隠は仕方ねェが、他の奴等が来ても出てくんなよォ?」
「そんなこと言われても…。皆が来たら私は裏庭で鍛錬しますけど、休憩の時はお世話しないと」
実弥を見上げる斗和は、早い人はいつ来るかな…と、数えるように指を折っていく。
「えっと…煉獄さん、宇髄さん、時透さん、甘露寺さん、伊黒さんの次だから…。明日で五日目だし、階級が上の人はそろそろ来そうじゃないですか?その時は水を用意したり、焼きお握りもたくさん作らなくちゃ」
「握り飯を作るのはいいが、持ってくんのは絶対にだめだァ!稽古中は奴等も道場と表側は使うから、ずっと奥にいろォ」
実弥は面白くないのか、不貞腐れる。
「えー?そんな…。あ、やっぱりいつもの格好でいれば、出ても問題ないですよね。あれ?でも稽古していないって怪しまれるかな?」
特別扱いと思われるのは困る。
だが自由に動けないのも嫌だ。
さてどうするかと斗和は考える。
すると実弥は、斗和を布団に押し倒す。
「言う通りにしやがれェ」
「んっ、」
実弥は口付けし、あっという間に互いの舌が絡まる。
斗和は甘い口付けを堪能しながらも思う。
実弥は案外、独占欲が強いのではないかと。
着物姿など、隠や隊士に見せたところで減るわけではない。
残念なことに、斗和は男心が分かっていないのだ。
他の男が斗和に惚れてしまうかもしれない。
そんな実弥の思いは埋もれてしまう。
(隊士だって稽古でいっぱいいっぱいだろうし、他のことなんて気にしないのに…)
稽古の間中、ずっと奥にいるなど斗和には耐えられないことだ。
やはりこんな時は、ひょっとこの面が必要だと考えた。
明日にでも取りに行こう。
などと考えるうち、首筋に移動していた実弥の口唇が熱を帯びてきた。
いつの間にか帯は解かれており、前がはだけている。
斗和は、このまま実弥に身体を預けてしまいたくなった。
だが、昨夜から実弥の愛撫を受けてばかりである。
たまには斗和からも何か…と考えた。
(実弥さんが喜ぶことって…何?)
実は昨夜、斗和は実弥の男根を自らの乳房で挟んだ。
しかしあまりの恥ずかしさに、それ以上のことはできなかった。
実弥も驚き困惑していたので、二度とやらないと決めた。
(考えてみたら、あれって豊満な胸じゃないと上手くできないよね…)
他にできることは、以前一度だけした口で扱うことだった。
実弥が嫌がらなければの話しだ。
そして最後に思い付いたのは、斗和が上で跨がり動くことだ。
実弥にばかり負担をかけないように、できるならと考えた。
斗和は、今まさに乳房に触れようとしていた実弥に声を掛ける。
「あの、私ね…。嫌でなければその…してあげたいの。口で…」
すると動きが止まった実弥は、目をキョロキョロと忙しなく動かす。
思いもよらない提案をされ、実弥は戸惑う。
だがすぐに嬉しくなる。
「だめじゃねェ、けど…いいのかァ?」
口に手を当て、顔が赤くなったのを誤魔化す。
「うん。下手だろうけど…」
すると実弥は起き上がり、胡座を崩した格好になった。
斗和は、はだけた寝間着のままそこへ顔を近付ける。
実弥が自らの帯を解き、そそり勃つ男根が姿を現す。
その卑猥な形と大きさに、斗和は未だ慣れずにいる。
驚いて息を呑むも、両手を添えゆっくりと口に含んだ。
「うっ…」
実弥が僅かに身じろぐ。
どうにか口内と舌を駆使し扱っていると、斗和の後頭部に手が回った。
すると、ぐっと深く口に入れられる。
それは喉にまで付きそうなくらいで、斗和は思わず嘔吐きそうになった。
(苦しい…)
そのうちに実弥の腰が動き出す。
「っ…クッ…」
頭上から苦しそうな呻くような声がし、実弥が感じているように思えた。
斗和は舌を動かし応えると、またもや後頭部を押さえられる。
「んーっ…」
一瞬実弥の動きが止まり、斗和の口内に精を放出させた。
すぐに懐紙を渡した実弥は、出せと告げる。
斗和は吐き出すも、口端に白濁が垂れ舌で舐め取った。
口をゆすいでくると言い、斗和は寝間着を肩まで上げ部屋を出る。
廊下を歩きながら、うまくできたのかどうか考える。
実弥が自ら動いたことを考えると、やはり下手だったのかと項垂れた。
(もうやらない方がいいのかな…)
斗和が部屋に戻ると、実弥は布団の上でぼんやりしていた。
「ごめんなさい。下手だったよね…」
実弥の手に触れながら謝る。
自信のないことはしない方がいいのかもしれない。
斗和がそう思うと、実弥は耳元で"気持ち良かった"と囁いた。
「よかった…!自信無かったの。だからほっとした」
斗和は思わず笑顔になる。
「…なァ斗和。随分いい格好してるが、俺を誘惑してんのかァ?」
「えっ?」
妖しげにニヤリと笑う実弥は、斗和の胸のあたりに視線を向けている。
何だろうと下を見た斗和は、慌てて手で隠した。
寝間着の片側が落ち、左の乳房が丸見えになっていたのだ。
「やだっ違うの!これはさっき…」
「隠すんじゃねェ…全部見せろォ」
はだけた寝間着を全て脱がされ、裸になった斗和は実弥と向き合う。
乳房が丸見えなのが恥ずかしく、腕で隠す。
だが実弥はそれを引き剥がした。
「すげェ綺麗だァ」
斗和の体を凝視する実弥の目には、熱が籠もっている。
純粋に綺麗だと実弥は告げる。
そのまま胸に舌を這わせ、揉んでいく。
斗和は座った格好のままだ。
乳房への愛撫は激しくなり脱力した。
「あっ、んっ、あ…もうっ…」
実弥は敏感な先端に、丹念に刺激を与えていく。
舌は忙しなく這い回り、斗和はその度に、ビクンビクンと肩を震わせる。
同時に乳房のつけ根を何度もなぞり、快感を誘う。
「んっ…だめ…ちから、入らないっ…あっ…」
斗和はついに胸だけで気を遣ってしまい、力が抜け実弥の肩に顔を埋めた。
「ん、はぁ…」
「そんなよかったかァ?乳だけで気ィやっちまうとはなァ…」
頭を撫でられた斗和は、あまりの恥ずかしさにそっと実弥を見る。
「だって、あまりにも気持ちよくて…」
斗和が頬を染めるのを見た実弥は、押し倒し口付けした。
足を開き、今度は斗和の秘部に口付けすると実弥の舌が這い回る。
「やあんっ、あぁっ…」
上の蕾も指で刺激され、斗和は何も考えられなくなる。
全身がぶわっと震え、再び果ててしまう。
(二度も気を遣るなんて…私…)
「んっ、ああっ…ぁ…」
手の甲で口を拭う実弥は、満足気だ。
すぐに押し挿り、斗和の中を掻き混ぜ熱い杭で犯す。
「あっあぁ…さね、みさぁ、んっ…」
このままでは一方的にやられてばかりだと思い、斗和は反撃を試みる。
下半身にきゅっと力を入れると、実弥は見事に果てた。
「クッ…斗和、お前っ…!」
実弥の中心が膨張し、ビクビク痙攣すると、斗和の中で何度も弾ける。
「あっ…実弥さんの、いっぱい出てる。おなか熱い感じがする…」
子宮のあたりに手を添えた斗和は、中が痙攣しているように思えた。
実弥は不意をつかれ面白くない。
恥じらいばかりの最初とは違い、斗和は積極的だ。
あらゆる手段で喜ばせようとしているのが分かる。
実弥は、斗和が尽くす女だと知っていた。
その姿が儚くも健気で、愛しさばかりが込み上げるのだ。
斗和は嬉しくなり、ふふふっと笑う。
すると実弥は、情欲を含んだぎらついた眼差しを向ける。
「やってくれるじゃねェかァ斗和!次はそんな余裕ねェぞォ!」
すぐに後ろ向きにされた斗和は、一気に貫かれた。
「あぁっ…!」
実弥はたった今果てたばかりだというのに、先程よりも更に激しく動き突く。
中心は雄々しく猛り、斗和の中をこれでもかと抉る。
おそろしい程の刺激に、快感の波が斗和に幾重も押し寄せる。
「あっ…はぁっそんなっ、だめっ、おねが、もっ、あぁっやぁっ…!」
「だから言ったろォ、っ…!」
「っあぁん、さねみさ…私、もうっ、どうにかなっちゃうっ…は、あっ…!」
実弥は止まらず、斗和の腰を掴み激しく最奥を突いた。
斗和は息も絶え絶えになる。
一層奥を突いた瞬間、子宮に熱い白濁が注がれた。
「ハッ…」
実弥はゆっくりと斗和の中から出ていく。
「んっ」
引き抜く時、掻き混ぜられた秘所から卑猥な音が聞こえた。
斗和は腕に力が入らず、尻を突き出した格好のまましばし放心していた。
当然ながらその姿は官能的である。
すると実弥は、尻を撫で上げた。
「あんっ、やだぁっ」
「いつまでも突き出してっと触るぞォ…」
「もう触ってるじゃないの…」
苦しくなった心臓を誤魔化し、斗和は呼吸を整え起き上がる。
そっと後ろを振り返ると、暑そうに髪を掻き上げる実弥の姿があった。
情事後の色気が出ており、斗和は胸がキュンと鳴いた。
裸のままその逞しい胸板に抱き着いた。
「しばらくこのままでいさせて…」
「ん…」
ドクンドクンと実弥の心音が聞こえる。
乱れのない一定の音、これが当たり前なのだと斗和は改めて感じた。
(これが生きている証…なんて心地いいの…)
そのまま斗和は眠りについた。