※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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隠の待機所にて

隠の間では、大分前からある噂がまことしやかに囁かれていた。

 

 

風柱邸に入っていく元土柱を見た。

風柱邸に風柱以外の履物があった。

風柱邸で、風柱と女が見える場所でまぐわっていた。

風柱が隠に、女物の着物や化粧品を手配するよう言ってきた。

風柱邸に見たことのない美女がいる。

 

 

「…何だそりゃ?特に風柱が見える場所でまぐわうって…作り話しだろ。風柱に女がいるとは思えないな」

 

眠たそうな目をした後藤が、呆れて茶を啜る。

 

「だよなあ、あの風柱だぞ。鬼を殺すことしか頭にない、強面で血も涙もない男に女がいると思うか?元土柱は同僚だろ、そりゃ用がありゃ来るだろうよ」

 

隣にいた背の高い隠が呆れたように言う。

 

「でも…風柱様は傷だらけで恐い顔に見えるけど、笑うと優しい感じになりますよ?」

 

若い女の隠は、茶菓子を食べながら反論した。

 

「笑うと優しい感じになる!?恐っ!逆に恐い!つーか笑うことあんのか、あの人」

 

背の高い隠は、自らの腕を擦り震える。

笑う風柱を想像しただけで、鳥肌が立った。

 

「だって、睫毛は長いし顔も小さいし結構整ってますよ。それに女には割と優しいですから、好きになる人もいるんじゃないですか?」

 

背の高い隠はいよいよ首を横に振り、否定した。

風柱の色恋沙汰を聞くなど、有り得ないと思っていた。

 

「百歩譲って女が風柱を好きになったとしても、風柱が女を好きになるかあ?色恋にうつつを抜かすんじゃねェ!とか言いそうじゃん」

 

想像つかねえよ、と鼻で笑う。

 

「先輩ってば、風柱様に聞かれたら殴られますよ。一応根拠があるんです。私が前に頭巾を忘れた時、髪が解けてるから結べって言われて。その時に私、蓬萊さんに憧れて団子頭にしているんですって言ったら、ちょっとだけですけど笑ってたんですよ!だからもしかしたら風柱様って蓬萊さんのこと…って思ったんです」

 

「じゃあ聞くが、風柱邸に滞在してるらしい例の着物美女は何なんだよ?元土柱が好きなのに、美女と共に暮らしてんのか?」

 

「なんか、その美女は蓬萊さんに似てるらしいんですよ」

 

しばし沈黙が流れ、背の高い隠は指をパチンと鳴らす。

 

「なるほど、分かったぞ!風柱は元土柱に振られたから、よく似た美女を捕まえて傍に置いてるってわけか」

 

「えー!?先輩はどうしてそんな発想になるんですか?よく似た美女をどこから見つけて来るんですか!いいですか、その美女って蓬萊様じゃないかって噂なんですよ」

 

「はあ!?ないない、絶対ない!」

 

「ないって言い切れないでしょ!先輩はこれだから蕎麦屋の娘に振られるんですよ」

 

「何で知ってんだよ!」

 

 

 

二人の会話を聞いていた後藤は、押し黙る。

 

その噂の美女の正体は、元土柱・蓬萊斗和の可能性が高い。

 

数年前だが下弦の鬼を二体倒し、意識のない元土柱を背負って藤の家まで行ったのは風柱だ。

その風柱は、元土柱が目覚めたら教えろとまで後藤に言ってきた。

 

元土柱は誰にでも腰が低く謙虚で、秘かに隠の中では人気だ。

そして顔に傷はあるが、なかなかの美女である。

 

後藤は意外だと思った。

意外と言うかかなり、相当に意外である。

だが実は、風柱は最初から元土柱が気になっていた可能性が高い。

元土柱はどう思っていたのかは分からないが、以前共同鍛錬場で【風柱が目覚めないのをかなり心配していた】と告げると驚愕していた。

そして、何とも言えない嬉しそうな顔になった。

 

 

風柱と元土柱は恋仲。

 

 

(あの二人がまさかそんな仲になろうとは…)

 

未だ風柱邸の噂で盛り上がる二人を尻目に、後藤は一人へえ…と呟くのだった。

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