※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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互いの葛藤

最後に玄弥と会い風柱邸に戻ると、既に隊士達の姿は無かった。

屋敷は静寂に包まれており、先程までの喧騒が嘘のようであった。

 

庭では隠が片付けをしていた。

斗和に気付くと、近寄って来た。

 

「蓬萊様!どこへ行ってたんですか!?不死川様が探していましたよ。さっき乱闘があって、稽古が中断されたんですよ」

 

「ちょっと私の鴉の姿が見えなくて探しに外へ…」

 

斗和が気まずそうに頭を下げると、隠は耳元でこっそり教えた。

 

「不死川様の機嫌が大層悪いんです。気を付けて下さい」

 

はいと頷くと、斗和は実弥が壊した納戸に目を向けた。

 

納戸がそのままなのを見て、直せないかと駆け寄る。

するとドカドカと足音がし、廊下から実弥が現れた。

 

「斗和!探したぞォ!どこ行ってたァ!?」

 

明らかに機嫌の悪い実弥は、斗和を見て舌打ちする。

乱闘が起こり、今日の稽古は終了となった。

本部に報告に向かった実弥の鴉・爽籟は、先程戻り文を携えていた。

内容は、実弥と一部隊士の接近禁止命令である。

 

行動が早い己の鴉にも怒りが湧き、実弥は非常に苛立っていた。

加えて斗和がどこにもおらず、焦り心配だった。

探しに行こうとしたのを、斗和の鴉・令和に止められた。

すぐに戻ると、強い口調で言われたのだ。

令和が実弥に対し、強く出るのは二度目だった。

一度目は、数年前に斗和が下弦を二体同時に倒した時だ。

 

そして令和の言う通り、斗和は本当に間もなく戻った。

 

「ごめんなさい。鴉が、令和の姿が見えなくてちょっと探しに出たの」

 

「アァ?令和ならずっと庭にいたぞォ。ったく、勝手にいなくなるんじゃねェ!焦るだろォが…」

 

「っ、ん」

 

実弥は斗和の腕を引き、口付けした。

貪るようなそれは、舌が絡まりなかなか離れない。

 

やっと離れると、実弥は情欲を含んだ目で斗和を見つめる。

斗和は思わず心臓が跳ねた。

 

「いいかァ、二度と勝手に屋敷を出るんじゃねェ。どんなに近くでもだめだァ。行く時は俺の鴉も付ける。何かあってからじゃ遅ェ、分かったかァ?」

 

「はい」

 

斗和は真剣な実弥を見て、罪悪感が込み上げる。

実弥の知らない所で玄弥と何度か接触した。

知られたくないであろう実弥の過去も、斗和は知っている。

今になり斗和は、それを申し訳なく思った。

 

誤魔化すように、納戸の話題を振る。

 

「ところでこれ、盛大に壊したようだけど…」

 

「いい、放っとけェ。後で隠に直させる」

 

実弥はそう言うと、再び斗和を抱き寄せ腕に囲った。

そして貪るように口付けをする。

 

「ふ…んっ、」

 

それを、庭を片付けていた隠が目撃してしまう。

あまりに濃厚に口を吸い合う二人に、隠は慌ててその場から去った。

 

(分かってたけど、不死川様と蓬萊様はやっぱり恋仲だったか。それにしても不死川様、すごい剣幕だったな…殺されるかと思った。蓬萊様にべた惚れなんだなあ)

 

 

 

 

実弥は風呂を沸かせと斗和に告げ、私室へと行ってしまった。

斗和は、実弥の気持ちも考えるといたたまれない。

表向き何も知らないので、何も声を掛けることはできなかった。

 

 

 

 

◇

実弥はその晩、性急なまでに斗和を求めた。

 

思うようにならない玄弥への気持ちが、苛立ちと不安になっていた。

斗和も先を見据え、今は実弥を受け止めることをしようとした。

誰にも吐露できない思いをぶつけるかのように、二人は幾度も体を重ねた。

 

運命は変わらないのだろうか。

誰一人失わず、鬼を倒すことはできないのか。

 

斗和は実弥に抱かれながら、空を見つめ問う。

 

 

 

返ってこない答えは、変わらない運命を示唆していた。

 

 

 

 

 

────────

───────

その後も隊士は風柱邸へ来て柱稽古は続いた。

徐々に人数が減っていくのと同じように、斗和は自らの命も残り僅かだと感じ取った。

 

余命半年ではないかと言われていた。

月日は流れ間もなく五ヶ月になろうとしている。

全集中の呼吸は心臓へ負担をかけるものだ。

加えて刀を振るい技を撃つ激しい動きは、斗和の心臓を悪化させていた。

 

斗和は数日前、実弥に手合わせを頼んだ。

 

柱稽古に余裕ができた実弥は、引き受けるも心配であった。

しばらく斗和が稽古をする姿は見ていない。

毎日午前中だけ、裏庭で一人稽古をしているのは知っていた。

体の具合を聞けば、斗和は常に大丈夫だと答える。

 

実弥はそれが堪らなく不安だった。

 

実弥は毎晩情事を終え、先に眠る斗和を見つめた。

胸に耳を近付けると、不規則な鼓動が聞こえるのだ。

それは月日が経つにつれ、明らかに悪くなっていた。

斗和は時折顔色が悪くなり、胸を押さえ蹲る。

実弥は何度もその姿を目にしてきた。

斗和が、心配をさせないようにと隠しているのも知っている。

 

余命を告げられた時点で、大丈夫という言葉は存在しないのだ。

 

案の定斗和は思うように動けず、技を撃っては片膝を着き肩で息をするまでになっていた。

既に戦える状態ではなかった。

それでも心臓が止まるまではと、斗和は強い意志を持ち続けた。

 

実弥は堪らなくつらかった。

 

失うことの悲しみとつらさを、実弥はこれまで幾度も味わった。

更に斗和を失わなければならない。

覚悟はしても、やはり目を背けたくなる。

実弥は払拭するように、毎晩斗和を求め抱いた。

 

 

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