※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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願い

無惨が完全に復活し、城での戦いは鬼殺隊にとって不利だ。

愈史郎が城を操っていた上弦ノ肆・鳴女を乗っとり、無限城を倒壊させる事に成功。

無惨を地上に引き摺り出した。

城内にいた全隊士も地上へと出た。

死亡者、生存者問わずだった。

 

斗和の体は、辛うじて瓦礫の端に投げ出された。

そこへ駆け付けた隠の一人が、斗和を発見する。

 

「…蓬萊さん…?蓬萊さんっ!」

 

皆と違い野良着姿なのですぐに分かったのだ。

そして発見したのは、柱稽古中ずっと風柱邸に来ていた隠だった。

揺さぶるも全く動かない斗和。

呼吸や脈を確認するも何も感じなかった。

 

「ううっ…蓬萊さんっ…」

 

隠は泣きながら斗和の体を引っ張り上げ、建物の陰に横たえた。

 

 

 

 

 

無惨との死闘が繰り広げられる中、斗和の魂はゆっくりと肉体から抜ける。

 

導かれるように皆が戦う場所へ向かった。

斗和は隠の後藤を見かけ、その後ろ姿にそっと手を伸ばす。

 

(後藤さん…)

 

手は後藤の体をすり抜けた。

 

(私…)

 

足の赴くまま、斗和はその場所へと向かう。

無惨の猛攻は止まず、柱達の必死の攻撃も押されていく。

斗和はただ見ているしかできない。

脳裏に蘇る記憶にある死闘、まさに同じ戦いが繰り広げられている。

 

たった今無惨の強力な攻撃を喰らい、柱は建物に叩き付けられ皆意識を失っている。

腕を失い、足を失い、皆既に戦える状態ではない。

それでも斗和にはどうすることもできない。

歯痒さと悔しさとつらさに、胸がぎゅうぎゅうと締め付けられる。

 

涙は溢れ、頬を伝い消えていく。

 

無惨が巨大化し、柱達は最後の攻撃を繰り出す。

全身血だらけでも実弥は型を撃つ。

 

「しぶてェんだよ糞がァアア!!さっさと塵になりやがれェ!!」

 

皆が力を振り絞り、何度も何度も攻撃する。

そしてついにその時が訪れた。

巨大化した無惨が陽光に焼かれ、断末魔を上げついに崩れ消えたのだ。

 

それをしかと見届けた斗和は、倒れ動かない実弥に目を向ける。

斗和はふわりと浮き上がり、実弥の傍へ一瞬で移動した。

隠らが必死で手当てをする中、その体を包み込む。

 

だが、幽体の為に触れることはできない。

 

はらりと、斗和の両眼から涙が溢れ落ちる。

おそらく今実弥は、死の淵で玄弥の姿を見ている。

そして母と共に地獄へ行こうとし、父に阻止されているはずだ。

 

(実弥さん…起きて…頑張って…)

 

斗和は願った。

 

すると実弥はうっすら目を開ける。

 

「あっ!」

 

「あっ!意識戻った、不死川さん起きた!!」

 

 

「くそが…」

 

 

絞り出したその声を聞き、斗和は安堵し微笑んだ。

 

 

 

そして眩い朝日が斗和を包むと、その姿は消えた。

 

 

 

手拭いだけが一枚、残されていた。

 

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