※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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風柱は甘党

その日、買い出しでりんごが手に入った。

食べるか分からないが、皮を剝いて休憩時に出したら食べた。

些か驚いた。

 

不死川様は何でも食べるが、これまで俺は果物を食事に出す事はなかった。

なぜなら不死川様は和菓子を好んでおり、酸味がある果物は好きじゃないだろうと思ったからだ。

彼はどうやら本当に残さず何でも食べるようだ。

 

ここだけの話しだが、不死川様はあの風貌でおはぎが好物だ。

最初に来た時、休憩時などに出す菓子は何がいいか尋ねたことがある。

屋敷専属になるのだから、主の好みを把握しておかなければならない。

どうせいらないと言うか、煎餅かそこらだろうと思ったんだ。

ところが……

 

『おはぎ』

 

その三文字を口にすると、不死川様は耳を赤くしてすぐにいなくなった。

 

お・は・ぎ

おはぎ?

おはぎ

おはぎ…

おはぎ!?

 

俺はしばし脳内で繰り返す。

餅米を潰してあんこで包んだ甘味だ。

地方により餅米を全て潰す皆殺しと、米粒が残るようにする半殺しがある。

誰が言い出したのか物騒な作り方だ。

不死川様には合っているような気もするが、まさかおはぎと言われるのは予想外すぎた。

と言うか、甘い物を好まないような風貌でまさかおはぎが好きだとは思わなかった。

 

とりあえず指定されたので、作った。 

毎日は飽きるだろうし、週一くらいでいいかと思ったが、まずは様子見で一日置きに出してみた。

一週間が経過し、俺はその日も同じように声を掛ける。

 

『不死川様、そろそろ休憩を。水の入ったやかんはここに。茶とおはぎをどうぞ』

 

『あァ、どうもなァ』

 

不死川様は汗を拭いて縁側に腰掛けた。

 

『あの、不死川様。参考までにお聞きしますが、おはぎの餡はつぶあんとこしあんのどちらがいいですか?』

 

『…両方だァ』

 

水を飲んだ彼は、少し気恥ずかしそうだ。

 

『分かりました。あとは、餅米は全て潰すのと残すのとどちらがいいですか?』

 

『どっちでもいい。拘りはねェ』

 

不死川様はそう言い、茶を啜りながら盆に視線を向ける。

雰囲気で、早くおはぎを食べたいのだと察した。

 

俺は使った手拭いをすぐに洗おうと思い、洗濯をするべく井戸へ向かう。

そして作業しながらチラッと縁側を盗み見た。

 

『!?』

 

俺は驚いて目を見開き凝視してしまう。

なんと不死川様は、おはぎを頬張り穏やかな顔をしていた。

あの強面で顔に傷がある厳しい風柱が、目を僅かに細めて嬉しそうにしている。

味わいながら一つ目を食べると、すぐに二つ目に手を伸ばした。

 

これは予想以上だ。

一週間で四回もおはぎを出したんだぞ。

いくら好物でも普通は飽きないか?

あの人、どれだけおはぎが好きなんだ。

 

合間に出した煎餅は残すので、これは余程の甘党だと確信した。

あの様子だと、毎日おはぎでも喜んで食べるだろう。

 

しかしだ。

 

専属隠たるもの、主の健康管理もしなければならない。

死と隣り合わせの鬼殺をする上で、体調を整えるのは必須だ。

どう考えても毎日おはぎは体に悪い。

あと作るのも買うのも手間だ。

 

そんなわけで週二回を目安に、作って出したり購入して出した。

 

不死川様は何も言わないが、本当は毎日食べたいんだろうと思った。

 

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