蓬萊様が同居するようになり何日経ったのか。
ちらほらと隊士らが来るようになった時だ。
柱稽古中は、基本的には俺が来る隊士の世話をする。
蓬萊様は積極的に手伝ってくれるのだが、不死川様は彼女を隊士らに見せたくないらしい。
だから裏方に徹するよう言い付けていた。
とはいえ蓬萊様は言う事を聞かずに出て行き、叱られるのが日課になっていた。
そんな時、俺は腰を痛めてしまい三日程休養を貰っていた。
大したことはなかったので、一日早く復帰することにし早朝に風柱邸に行った。
台所に向かうと、何やら飯の匂いがする。
見ればなんと不死川様が隊服姿で食事を作っていた。
''殺"を背負った羽織は着ていないが、特注の前全開で肩を出した隊服姿だった。
羽織を着ていないのは珍しい…なんて思ったのは一瞬で、なぜ彼が食事の支度をしているのかと思った。
声をかけると、相当驚いていた様子で何やら視線を漂わせる。
「驚かせてすみません。治りが早くて出てきました。朝餉の支度は俺がやりますよ」
「いや殆ど出来てるから後は…」
言いかけたその時、ふらりと蓬萊様が現れた。
「実弥さん、やっぱり腰がだるいの…。今から湯浴みをするから、ご飯はもう少し後でいい?」
寝間着姿でゆったりした動きだ。
横の髪を耳にかけながら問う彼女からは、色香が漂っている。
胸元は普段より開き、乳房が見えそうになっていた。
「蓬萊様、おはようございます…」
俺はなるべく視線を逸らしながら挨拶すると、蓬萊様は慌てた様子で胸元を隠し、髪をササッと直した。
「おはようございます!いやあの、今日まで休むと聞いていたので…こんな格好ですみません!」
彼女は謝り、そそくさといなくなった。
不死川様を見ると、言い表せない顔で気まずそうにしている。
俺は気付いた。
と言うか、前から勘付いていたが二人は恋仲だ。
これまで女の影が一切無かった男の元に、同僚である元・土柱が来たんだからな。
どんなに鈍くても予想はつく。
腰が重いと擦っていたことから、さしずめ二人は俺が不在だと思い明け方近くまで交わったんだろう。
いや行為は一旦夜で止めて、眠って明け方目覚めてまた肌を重ねたんだ。
…って、何を考察してるんだ俺は!
とにかく、蓬萊様の様子からそれしか考えられない。
「えーっと、ではお二人が支度できたら運びますので声を掛けて下さい!」
俺は微妙な空気に耐えきれずそう言い、休憩時の甘味作りに取り掛かる。
不死川様はすぐに台所を出て行った。
俺ってもしかしてお邪魔虫というやつか?