屋敷に着くと、夏世に一通り家の中を案内し、好きに使っていいと告げる。
夏世は藤の家から通いで斗和の元に来る。
畑以外の家事もできる限りすると言うので、斗和はここぞとばかりに甘えることにした。
耀哉の前で柱の警備も担うと言ってしまったので、斗和はその晩から早速警備に赴いていた。
更には単独任務を願い出ていたのも取り下げた為、多種多様な任務が舞い込んでくる。
警備という職務が増えただけで忙しさは増すが、何より多岐に渡る任務は精神的にも疲弊する。
いかに単独任務が楽だったかということだ。
この間まで階級は丙だったはずだが、甲に上がっていたのにも驚いた。
短期間でやけに強い鬼ばかりだった上、任務が一晩で連続だったのも甲に上がったからというのが理由なら納得だ。
それにしても柱は激務すぎると、斗和は思った。
斗和は任務、警備、鍛錬、これらを毎日こなすだけで手一杯だった。
柱は更に弟子や継子に稽古をつけたり、半年ごととはいえ柱合会議に出たりしているのだ。
体が一つではどこにも足りない。
さて今日も任務が終わったら警備だなと、斗和は身支度を整え出発した。
───────
──────
血鬼術でいくつも体が分裂する鬼を倒した後、鴉の令和に案内されるがまま北に向かい別の鬼を倒す。
その後は自らの警備区域へ行き一通り見廻ると、斗和は帰路に着こうとした。
だがいつもより少し早く終わったこともあり、このまま帰るのは惜しくなった。
斗和は思い立ち、足を延ばしてある場所へ向かう。
足を延ばしてと言うものの、そこはかなり遠い。
既に二つの任務と警備区域の見廻りで、相当な距離を駆け抜けていた。
だが足には少なからず自信があるので、斗和は当然のように走る。
常人より遥かに早く到着したそこは、斗和の以前の居住地近くにある畑だった。
長屋を借りた際に、一緒に借りていた畑の様子を見に来たのだ。
引っ越す時に持ち主に返却するつもりだったが、今育てている作物を収穫してからでいいと言われたので、そのままにしていた。
斗和はいつぞやとぐろを巻いた蛇と遭遇して以降、全く手をかけていない。
また一面草だらけになっていた。
さつまいもの収穫はもう少し先なので、草むしりをして帰ることにした。
収穫の際は夏世も連れてきて一緒に掘れば早くすむが、何せ遠いのでさすがに躊躇う。
そして芋を乗せる荷車も必要だ。
(また隠から借りようかな?…いや、今後も使うかもしれないからいっそ買おう)
斗和はそう決めると、あとで町に行くことにした。
───────
──────
急いで草むしりを終わらせ竹筒の水を飲むと、次は町へ向かう。
斗和は長屋住まいの頃に何度も行き来した道を走り、目的の荷車を手配できた。
三週間後の早朝に取りに行くからと、いくらか色を付けて代金を支払うと、店主は恭しく頭を下げた。
これで収穫の手筈も整った。
(やっと帰れる!)
斗和は疲れてはいたが、最後の体力を使いきってやると言わんばかりに駆けて行った。