※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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土の呼吸

壱ノ型を撃てるようになった佳成の次なる修行は、弐ノ型から玖ノ型までを会得することだ。

 

斗和が派生させてから数年かけて編み出した様々な型だ。

いざ伝授するとなると、感慨深いものがあった。

 

斗和は土の呼吸のきっかけや型を、丁寧に書き記していた。

最初に派生させた時に、育手よりそうした方がいいと言われたのだ。

記すことにより師事する際に役立ち、更に後世へ託すこともできると。

 

斗和は、自分が弟子や継子を抱えるとは思っていなかった。

まさかそんな日が来るとは、と未だに驚いているのである。

 

佳成が現れるまで、土の呼吸を使用している者はいなかった。

斗和は不安な反面、ついに来たかと嬉しい気持ちでいっぱいだった。

 

まず一通り技を見せて、どういうものかをその目で確認してもらう。

 

 

 

 

【土の呼吸】

岩から派生した呼吸。

広範囲の技が多く、威力は使用者の持つ力に左右される。

 

 

 

・壱ノ型 土龍爪(どりゅうそう)

 

土の粒子が龍を型取るように見え、その爪が斬り裂く。

 

 

 

・弐ノ型 土石流

 

文字通り土石流のような技で、上半身の全てを押し出す力にするので威力が大きい。

 

 

 

・参ノ型 土竜叩(もぐらたたき)

 

文字通り穴から出てきた土竜を叩くように、素速く連撃を繰り出す。叩くと同時に斬る技である。一打一打が重い為、長く技を出していると疲弊する。

 

 

 

・肆ノ型 泥濘ノ徘徊(ぬかるみのはいかい)

 

低姿勢から下肢、足下を広範囲に斬り裂く技。だがそれはあくまで囮で、技の残像がしばらく見え続ける。跳び上がれば確実に避けられるので、そこを狙うのがこの技の本質。驚異的な瞬発力が必要。

 

 

 

・伍ノ型 土砂崩れ

 

跳び上がり、敵の頭上から大きく刀を振り下ろす技。一撃だが威力が非常に強く、範囲も広い。まともに喰らうと体は半分地面にめり込み、頭は完全に潰される。

 

 

 

・陸ノ型 粒子舞撫煙(りゅうしぶぶえん)

 

土の粒子を纏った斬撃が、撫でるように幾筋も舞う広範囲の技。相手の視界は繰り出す技の土煙により遮られる。畑や砂地で撃てばそれらも巻き上がり、威力が増す。

 

 

 

・㯃ノ型 霜柱・氷結烈糸(しもばしら・ひょうけつれっし)

 

霜柱のように縦に斬り刻むのと、突き刺すが混ざった技。日本刀形状の日輪刀でも威力が落ちない唯一の技。

 

 

 

・㭭ノ型 土嚢城壁(どのうじょうへき)

 

土の壁を作り相手の攻撃を防ぐ技。防御技であり、基本的には誰かを助ける時に使用する。防御するより攻撃した方が効率よく倒せるからである。

 

 

 

・玖ノ型 蚯蚓破裂(みみずばれ)

 

ミミズ腫れのように、縦に長く斬り裂く技。

 

 

 

いくつか応用技もあり、斗和は戦闘でそれらを咄嗟に閃き使用している。

他に拾ノ型もあるが、特殊な技なのでとりあえずは教えないことにした。

この技の威力は未知数で、身体への負担も明確に分かっていない。

斗和も実際に本気で使用したことはなかった。

 

斗和の場合は、木刀、鍬、日輪刀の順で威力が上がる為、同じ技でも大分違う。

佳成は碇に似た自らの日輪刀で鍛錬するので、斗和も自分の日輪刀を使って技を出した。

 

どの型が会得しやすいかは分からないが、鍛錬して使えるようになればいいと考えた。

 

佳成は基礎しっかり出来上がっている。

岩柱・悲鳴嶼行冥の継子だったこともあり、細かに教えなくとも考え理解し力をつけて行った。

何と言っても体躯に恵まれており、技の威力も範囲も相当だ。

 

斗和はそれが嬉しくもあり、少なからず悔しかったりもする。

佳成は俊敏さと、戦い方に合った技を出すのがまだ半人前だ。

岩の呼吸を壱ノ型しか出来なかったせいもあり、様々な技の使用に慣れていない。

それらを見極め、効率よく倒すことは必要不可欠である。

佳成は体躯を活かし、体術もできることが分かった。

斗和はいい機会だと、体術を教えてもらうことにした。

 

育手の元で一通りは習ったのだが、以来使っておらず殆ど身になっていなかった。

鬼の頸を斬るのに体術は無意味だが、咄嗟の時や護身用にはなるので使えるに越したことはない。

 

 

 

 

「先生!今の回し蹴りを止められた場合は、どう切り返せばいいですか?」

 

道場で体術稽古をしていた時に手を挙げて質問すると、佳成は照れくさいのか面白い顔になる。

 

「師範!先生と呼ばないで下さいよ!」

 

「私は今体術を教えて貰っているから、師範ではありません。名前で呼んで下さい。あっ、夏世ちゃんに嫉妬されるので苗字でお願いします、先生」

 

「もう!師範!!」

 

いよいよ怒り出す佳成に斗和は笑う。

 

死が身近にある鬼殺隊にいて、こうして笑い合えることは幸せなことだ。

つらいことばかり経験してきた隊士達には、ほんの少しでも笑顔になって欲しい。

斗和は常にそう思っていた。

 

 

(あの人を幸せに……)

 

 

一瞬頭を掠めたのは誰だったのか、斗和はまだ気付かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

◉館坂佳成(たてさかよしなり)

斗和の継子。以前は岩柱・悲鳴嶼行冥の継子だったが、岩の呼吸が壱ノ型しか使えず悩んでいる最中に斗和と知り合う。土の呼吸が岩からの派生と知り、継子志願に来た。

畑管理の娘・小野寺夏世(おのでらかよ)と恋仲になる。

188㎝、16歳。黒髪短髪の凛々しい少年。

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