※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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絶望の象徴

草木も眠る丑三つ時は過ぎたのか、まだなのか。

 

斗和は、どのくらい時間が経ったのか分からなかった。

 

血鬼術の独楽をギリギリで避けてはいる。

だが隊士らは皆、隊服があちこち破れ出血していた。

先程は独楽が斗和の右目の横を擦り、目に血が入り視界が滲んで見え難い。

 

下弦ノ弐と戦闘になり大分経った。

 

血鬼術の独楽は際限なく飛んで来る上、威力が凄まじい。

恐ろしいことに、技を撃っても独楽がすり抜け攻撃してくるのだ。

 

風の呼吸の隊士二人が独楽の軌道を逸らし、隙が出来た所を斗和と雷の隊士が攻撃する。

一番速いのは雷の呼吸の技なので、鬼の後方から技を撃つよう指示していた。

斗和は彼に飛んでくる独楽を、㭭ノ型 土嚢城壁(どのうじょうへき)で防いでいる。

 

だがこの鬼は、今までで一番速く相当に身軽だ。

後方から攻撃したつもりが瞬時に対面しているので、鬼はぐるぐると自らも独楽のように回っているのである。

常に防いでいないと無数の独楽が隊士を襲うので、斗和は他の攻撃ができないのである。

 

鬼を囲い四方にいる隊士らは、必死で防御しつつ攻撃に転じようと伺う。

しかし、防ぎきれない独楽は隊士の体を傷つけ疲弊させていく。

体力の限界も近い。

 

だがまだ誰も倒れていない。

やっと勝機が見えてきたのだ。

 

鬼は時間と共に明らかに回転が遅くなり、独楽の威力も落ち、斬りつけた体の再生が遅くなっていた。

またこの鬼は、高速回転しながら独楽を四方八方に放つことしかしていない。

他の攻撃はしてこないのである。

 

(隙がないからこちらも攻撃できないけど、やっぱりこの鬼…戦いに慣れていないんだ!ああだけど…)

 

先ほど雷の型で頸を斬れる寸前だったが、鬼の頸に巻き付いた多重の独楽に当たり、弾かれ斬り損じた。

 

独楽は頸の皮膚が見えない程、幾重にも巻き付いているのだ。

斗和は焦っていた。

刀で斬る以外の方法でないと、確実に頸を離せないのではないかと思ったのだ。

 

(あの血鬼術の独楽はかなり厄介だ!雷の技が弾かれるなんて…)

 

こんな時岩柱の悲鳴嶼行冥ならば、岩の呼吸で頭ごと潰してしまうだろう。

斗和の土の呼吸にも頭上から叩き潰す技はあるが、今の手が離せない状態でそれを放つのは危険である。

 

すると、いよいよ鬼は傍目から見ても動きが鈍くなってきた。

斬り落とした腕の再生が、見るからに遅くなっていた。

斗和の読みは当たっている。

この鬼は戦いに慣れていないのだ。

長年地方の山におり、鬼殺隊にも初めて会ったと言っていた。

当然ながら、複数を相手にしたことも無いのだ。

 

下弦に上がる為に、同じ鬼と戦ったくらいだと思われる。

つまり一対一の戦いのみ。

そのせいか考えず動いており、攻撃も単調である。

 

斗和は、待ちに待った絶好の機会に叫ぶ。

 

(今だ!)

 

「みんな離れて!」

 

 

─土の呼吸 伍ノ型 土砂…

 

 

斗和が鬼目掛けて飛び上がり、とどめを刺そうとしたまさにその時だった。

新たな鬼の気配がしたのだ。

 

 

ブシューッ!!

 

 

斗和の左側にいた女の隊士が、喉仏から血を噴出させる。

 

「!?」

 

そしてその喉仏に何かが食らいつき、噴出する血をジュルジュルと吸うのが見えた。

 

 

 

 

絶望とは、まさにこんな状況を指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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※斗和の特殊日輪刀

 

鍬(くわ)、鋤(すき)、鉈(なた)、そして日本刀の形を組み合わせて造っており、鍬によく似ている。

一般的な日輪刀より重く、その形状から鞘が無い。そのため麻袋を二枚重ね、改良して鞘替わりにしている。腰に差せないので常に背負っている。刀身は焦げ茶色で地味。

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