※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

43 / 190
待っていてくれる存在

東京外れでの任務の後、斗和は一週間も眠っていた。

 

気付けば見慣れない天井で、声を出そうにも掠れている状態だった。

重湯を胃に入れ介助されながら風呂に入れば、大分体が戻ってきた。

 

その後、藤の家で待機していたという隠から、任務の詳細を聞かれた。

斗和は、代わりに報告書を書くというその隠に感謝した。

 

一週間も目覚めるのを待っていたのだ。

本当に申し訳なく思った。

すみません、ありがとうございますと何度も頭を下げた。

せっかくなので名前を聞くと、後藤と答える。

 

斗和はその名前に記憶があった。

蝶屋敷で炭治郎と会話していた。

あれはいつのことだったかと思うも、はっきりとは分からなかった。

 

斗和は、自分を藤の家まで運んだのは後藤だと思っていた。

ところが、想像だにしない名前が出て思わず叫んでしまう。

 

「えっ!?か、かかか風柱が!?」

 

「そうです。俺は蓬萊さんの刀を運びました」

 

斗和を背負って運んだのは風柱・不死川実弥であった。

 

(風柱……風柱とはあの不死川さんのことですよね!?)

 

激しく動揺した。

 

あの風柱が女を背負って山を越えるなど、考えられなかった。

相当重かったはずで、かなり申し訳ないと青ざめる。

 

まだ会っていないが、これは顔向けできそうにないと思った。

 

斗和はどうしたらいいのか悩む。

謝罪と礼をしなければならない。

 

それにしても実弥はなぜあの場にいたのか。

斗和が失神してる間に来たのは間違いないが、場所的に任務の帰りとは思えない。

 

斗和はもしかして、と先を飛ぶ鴉の令和を見遣る。

何にせよ柱が助っ人に来たなら、すぐ倒せたのにと思った。

最初から柱が行っていれば、あんなに犠牲を出さずに済んだ筈だ。

斗和はつらかった。

 

自分以外の隊士は、四人全員が亡くなったのだ。

目の前で守れなかった命の重みがのしかかる。

 

 

 

 

───────

──────

斗和がやっと家に着くと、継子の佳成と畑管理の夏世が一斉に駆け寄りもみくちゃにされた。

 

鴉の令和に、一足先に帰り伝えるよう頼んではいた。

相当心配していたのか、夏世はずっと泣いていた。

 

斗和は内心で、四人が生き自分が死ねばよかったと思っていた。

己のちっぽけな命など不要なのではないかと。

 

だが、心配してくれる人がいることを肌で感じた。

斗和はじわじわと心が温かくなり、涙が溢れる。

育手の元を離れずっと一人だったのに、かけがえのない人が二人もできた。

 

幸せとはこういうことなのだと、斗和は涙が止まらない。

 

 

 

 

 

────────

───────

下弦が二体現れた任務から目覚め、早三日経った。

 

斗和は大きい怪我もなくただ眠っていただけなので、体はすっかり元通りになっていた。

 

帰宅した翌日には警備区域の見廻りに行き、昨夜は任務に就いた。

久々とも言える任務は単独で、呆気ないと思えた。

今まで鬼の頸を斬っていて、呆気ないなど感じたことはなかった。

 

(変だな…鬼が弱くなった?)

 

 

あの任務以来、斗和は確実に強くなっていた。

元から単独任務では悠々と実力を発揮していたが、それが更に精錬され無駄な動きが一切なくなっていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。