東京外れでの任務の後、斗和は一週間も眠っていた。
気付けば見慣れない天井で、声を出そうにも掠れている状態だった。
重湯を胃に入れ介助されながら風呂に入れば、大分体が戻ってきた。
その後、藤の家で待機していたという隠から、任務の詳細を聞かれた。
斗和は、代わりに報告書を書くというその隠に感謝した。
一週間も目覚めるのを待っていたのだ。
本当に申し訳なく思った。
すみません、ありがとうございますと何度も頭を下げた。
せっかくなので名前を聞くと、後藤と答える。
斗和はその名前に記憶があった。
蝶屋敷で炭治郎と会話していた。
あれはいつのことだったかと思うも、はっきりとは分からなかった。
斗和は、自分を藤の家まで運んだのは後藤だと思っていた。
ところが、想像だにしない名前が出て思わず叫んでしまう。
「えっ!?か、かかか風柱が!?」
「そうです。俺は蓬萊さんの刀を運びました」
斗和を背負って運んだのは風柱・不死川実弥であった。
(風柱……風柱とはあの不死川さんのことですよね!?)
激しく動揺した。
あの風柱が女を背負って山を越えるなど、考えられなかった。
相当重かったはずで、かなり申し訳ないと青ざめる。
まだ会っていないが、これは顔向けできそうにないと思った。
斗和はどうしたらいいのか悩む。
謝罪と礼をしなければならない。
それにしても実弥はなぜあの場にいたのか。
斗和が失神してる間に来たのは間違いないが、場所的に任務の帰りとは思えない。
斗和はもしかして、と先を飛ぶ鴉の令和を見遣る。
何にせよ柱が助っ人に来たなら、すぐ倒せたのにと思った。
最初から柱が行っていれば、あんなに犠牲を出さずに済んだ筈だ。
斗和はつらかった。
自分以外の隊士は、四人全員が亡くなったのだ。
目の前で守れなかった命の重みがのしかかる。
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斗和がやっと家に着くと、継子の佳成と畑管理の夏世が一斉に駆け寄りもみくちゃにされた。
鴉の令和に、一足先に帰り伝えるよう頼んではいた。
相当心配していたのか、夏世はずっと泣いていた。
斗和は内心で、四人が生き自分が死ねばよかったと思っていた。
己のちっぽけな命など不要なのではないかと。
だが、心配してくれる人がいることを肌で感じた。
斗和はじわじわと心が温かくなり、涙が溢れる。
育手の元を離れずっと一人だったのに、かけがえのない人が二人もできた。
幸せとはこういうことなのだと、斗和は涙が止まらない。
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下弦が二体現れた任務から目覚め、早三日経った。
斗和は大きい怪我もなくただ眠っていただけなので、体はすっかり元通りになっていた。
帰宅した翌日には警備区域の見廻りに行き、昨夜は任務に就いた。
久々とも言える任務は単独で、呆気ないと思えた。
今まで鬼の頸を斬っていて、呆気ないなど感じたことはなかった。
(変だな…鬼が弱くなった?)
あの任務以来、斗和は確実に強くなっていた。
元から単独任務では悠々と実力を発揮していたが、それが更に精錬され無駄な動きが一切なくなっていた。