※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

45 / 190
※実弥視点


訳の分からない女

辿り着いた藤の家に女を任せ、先に帰る。

 

同行した隠に、女が目覚めたら連絡するよう、ここに待機しろと告げていた。

職権乱用とも言える命令だが、どうにも女が気になる。

それは異性としてどうこうではない。

 

柱でもない隊士が、下弦を二体同時に倒した。

 

その強さが気になった。

それが男であれ同じだ。

 

目の当たりにしたあの技を知りたい。

強さを知りたい、手合わせをしたい。

 

そう思うのは当然のことだろう。

 

だが三日経とうが五日経とうが、隠からの文は無かった。

あいつまさか命令を無視していないだろうなと思ったが、あの隠は匡近を看取った時にいた奴だ。

眠そうな目をした、だが案外しっかりした奴だというのは知っている。

 

しかしこうも連絡がないと、気になって仕方がない。

あの時呼吸はしていたし脈もあった。

失神しているならば、長くても一日程で意識を戻すと思っていた。

 

まさか死んだのか……!?

 

どちらにしろ連絡は来るはずだ。

 

一週間経って何もなければ、こちらから連絡しようと決める。

 

 

 

 

 

 

そして一週間後、やっと文が来た。

 

女は意識を取り戻し、会話も出来て重湯も口にしているらしい。

安堵した。

 

文には任務の詳細も記してあり、頼んだことをきっちりやり遂げた隠に小さく感謝する。

 

女の名前は蓬萊斗和。

階級は甲で歳は不明だが、岩から派生した土の呼吸を使うと書いてあった。

意識が戻ったならば、手合わせもできるだろう。

 

お館様に報告の文を、蓬萊に手合わせの文をそれぞれ出した。

 

お館様からはすぐ返信があり、蓬萊も呼び二人の口から直接聞きたいとのことだ。

それに階級が甲で下弦を倒したということは、当然ながら柱に昇格する。

 

だがお館様の文には、信じられないことが書かれてあった。

蓬萊斗和は、なんと二年も前から柱への昇格を断っていたらしい。

一度目は鬼を五十体倒した時。

二度目は下弦ノ陸を倒した時。

既に二度も辞退していると。

だから今回もきっと断るだろうから、自分にも後押しして欲しいと書いてあった。

 

柱ではないが警備区域は割り振られ、任務も柱同様のものに行っているとも書いていた。

 

率直に、何て奴だと怒りを覚える。

 

自分より先に柱になっていたはずが辞退、しかも二度も。

だが警備をし任務も柱同様、名前が柱でないそれだけの差である。

 

慢性的に柱が足りないというのに断るか?

 

訳が分からないおかしな女だ。

 

 

 

 

 

それから間もなく、蓬萊より手合わせの返信が来た。

鴉が足に携えた文はなぜか二本ある。

そこには先日の任務の礼、そして文が間違って届いたから返すと、出した文が戻ってきていた。

 

自分への手合わせの文を、間違って送ったと解釈するとは……

 

益々おかしな女だと思った。

こういうのは直接会わねば始まらない。

明日、本部で会うのだ。

逃げ隠れできやしないのだから、この目でしっかり見てやる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。