※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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18歳②【柱】
進行


「冷たいの持ってきたから休憩してー!私はもう帰るけど、任務気を付けてね」

 

道場を覗き、笑顔を見せる夏世。

佳成は弾けるように駆けて行く。

それを見た斗和は、暑さが増した気がした。

 

額の汗を拭うと、斗和は「ハァ…」とため息が出た。

佳成と二人で打ち込み稽古をしていると、どうしても先日の実弥との手合わせを思い出すのだ。

 

まさか柱になった直後に、実弥と手合わせするとは思わなかった。

斗和は、柱の中では実弥が一番苦手だ。

終始畏怖して縮こまる斗和に対し、相当怒っていた。

 

斗和は、自分が実弥の最も嫌う部類の女だろうと思っている。

斗和自身、客観的に見て自分が嫌いだった。

何かを決意するも、いざとなると怖じ気づき、判断は遅いし弱い。

 

「師範!早くこっちで休みましょう。この前から変ですよ?せっかく柱になったのに、どうしたんですか?」

 

ぼんやりしていた斗和に、戻ってきた佳成は心配そうな表情をする。

斗和は佳成と夏世に柱になった報告をした。

二人は喜んだが、斗和は複雑だった。

 

斗和は、これまで二度も柱を断っている。

この度三度目の正直とでも言うべきか、ついに柱になった。

輝哉に会うまでは断る気満々だった斗和だが、実弥がいた為に受けることとなった。

 

(でも不死川さんがいようと、もう断ることはできなかったんだよね)

 

実際問題、来年には物語が始まる。

無惨が炭治郎の一家を襲う。

そうなれば後戻りはできない。

 

斗和が成し遂げたいことを実行するには、一般隊士のままではいられないからだ。

柱を担うのは、九人揃うまでと宣言した。

それまでは、精一杯務めるしかないのだった。

 

「そういえば佳成、夏世ちゃんから聞いたよ。階級上がったんだって?だから最近遠方任務が増えたのかもね」

 

「はい、戊(つちのえ)です。遠方任務だと、何日も帰って来られないから困りますよ。でももっと上に行ったら、何ヶ月もいないこともよくあるんですよね…」

 

しょんぼりと項垂れる佳成を見て、斗和は苦笑いする。

 

(あーあー寂しそうな顔しちゃって)

 

「大好きな恋人だもん。そりゃあ毎日会いたいよねえ?私が遠方任務だと都合がいいのにね!」

 

斗和がにやりと笑ってみせると、佳成は顔を赤らめた。

恋愛はいいな…と斗和が思っていると、佳成が反撃する。

 

「そう言う師範はどうなんですか?いないんですか?気になってる人や好きな人!」

 

(好きな人?気になっている人?)

 

まさか継子から恋愛話しをされるとは思わず、斗和は言葉が出てこない。

斗和が助けたいのは煉獄杏寿郎なので、すぐに思い浮かんだのは彼だった。

 

(二年前に会った煉獄さん、格好よかったなー!)

 

思い出すと自然と口端が持ち上がる。

最初に父の槇寿郎を見た時、斗和は杏寿郎だと思った。

後ろ姿が瓜二つだからだ。

 

(どこから見ても似てるけど、後ろからは本当に違いが分からない。なんだか懐かしいな…)

 

二年前、杏寿郎は十五歳だった。

今は十七歳になっているはずだ。

そういえばと、斗和は脳内の時系列を辿る。

杏寿郎が柱になるのはそろそろではないかと思った。

 

「ちょっと師範!聞いてますか?」

 

「えっ?あ、好きな人ね…」

 

佳成の声で斗和は現実に戻される。

 

(そういえば煉獄さんと佳成って同い年だな。面識はないかな?)

 

「ねえ、煉獄さんて知ってる?」

 

「煉獄、って煉獄杏寿郎ですか?一ヶ月前に行ってた富士の樹海での任務、一緒でしたよ」

 

「そうなの!?煉獄さんと共同任務したんだ…」

 

斗和は驚く。

まさか佳成が杏寿郎と共同任務に行っていたとは思わなかった。

普段から任務のことを互いに話すことはあまりないので、聞かなければ知らないままだ。

杏寿郎の階級は、甲まで上がっているのだろうか。

甲の時点で継子の甘露寺蜜璃がおり、そして槇寿郎の代わりに柱合会議に出た。

その後、下弦ノ弐を倒して柱になった。

それらは斗和が知っていることだ。

 

だが、何歳で柱になったかが分からない。

柱は斗和以外増えていない。

今現在いる柱は、岩柱、音柱、水柱、風柱、蟲柱、そして土柱の斗和だ。

柱合会議での顔ぶれを見る限りでは、やはりそろそろではないかと思った。

 

斗和が押し黙るのを見て、佳成はもしやと勘付く。

 

「もしかして、煉獄杏寿郎が好きなんですか?」

 

「え…あ…」

 

「確かにあの人強いし明るいし、みんなに慕われてますからね。成程、師範はああいう男が好きなんですね」

 

口端を上げる佳成は、楽し気である。

斗和は普段、夏世との熱愛ぶりをからかっている。

それがいざ自分となると、非常に恥ずかしかった。

誰にも言わないでよと強く訴えると、斗和は夜からの任務へ向かった。

 

 

 

 

 

───────

──────

翌朝帰宅し布団に入った斗和は、しばらく見なかった以前の夢をみた。

 

映画館、たくさんの人、皆が手に持つ小冊子。

いつもここで切り替わる場面が今回は変わらず、はっきり見えたその姿。

 

(煉獄さん…?)

 

斗和は、靄がかかっていた脳内が少しずつ晴れていく。

 

(あれは、あの時観ようとした映画。あの時…?観ようとした…?私はこれを観たの?……分からない。あの時、あの時って…?)

 

晴れそうな靄は半端なまま、ズキンと頭痛がし同時に場面が変わる。

またも机の上に白い紙がある。

差し出す手は男の手だ。

 

斗和はとても嫌な気持ちになり、そこで夢は途切れた。

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