※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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悩む女

斗和は、風柱邸から泣きながら荷車を引いて帰宅した。

 

夏世は既に帰っており、継子の佳成が任務へ行こうとしていた。

 

「師範!?何で泣いてるんですか!柱合会議で何かあったんですか?…野菜は渡せたんですよね?遅いなと思ってましたよ…これから任務ですよね、大丈夫ですか?」

 

「…うっ…っく…」

 

斗和がぐずぐず泣いて何も言わないので、佳成は一人慌てふためく。

任務が迫っており、斗和はこうしてはいられないと涙を拭った。

 

「…大丈夫、着替えてくる」

 

急いで家に入り一般隊服を脱ぎ野良着隊服に着替え、頭に手拭いを巻く。

井戸で顔を洗えば、幾分かすっきりとした。

心配そうな佳成と別れ、斗和は警備区域へと向かった。

 

(この怒りと悔しさを鬼にぶつけてやる…!)

 

 

 

 

 

───────

──────

鬼にすべての怒りをぶつけたおかげか、任務は非常に早く終わり、斗和はさっさと帰宅し寝た。

 

 

 

 

翌朝早くに目覚めると、庭で土の呼吸を壱から玖まで全て出す。

 

バキッ!!

 

「あ…」

 

勢い余り、隅に置いていた荷車を破壊してしまった。

斗和はそれを見て更に怒りが込み上げる。

昨日のことを思い出す為、荷車が破壊されても構わなかった。

 

思い出すと腹は立つし、悔しいし辛いしで斗和は酷く頭が混乱していた。

 

(自信はない、節操がない、女じゃないと思っている?冨岡さんに顔を赤らめた?何言ってんの…!)

 

随分な言われように、持っていた日輪刀を強く握り締める。

実弥はなぜあんなにも怒ったのか。

 

義勇の件は勘違いだと言ってある。

あれは炭治郎と出会ったのかを知る必要があり、最近雪山で任務をしたかの確認をしたのだ。

今は秋だと即答され、羞恥に顔が赤くなっただけである。

斗和は、これまで考えてもみなかった。

節操がない行動だったとは思わない。

それよりも優先すべきことがあるからだ。

 

継子とは共に暮らさないと稽古にならない。

自分の鍛錬もしなければならず、時間がないからこそ最善の方法だ。

 

そして、傷のある醜い女が節操を持ってどうなるのかと思った。

そんなものは持つだけ無意味だ。

 

結果、佳成と暮らしていることに何も問題はなかった。

寝るのは明るい時で、常に恋人である夏世がいるのにどうにかなるわけがない。

 

だが、しばらくして斗和は項垂れる。

冷静に考えてみれば、結婚もしていない年頃の男女が同じ家にいるのはおかしい。

佳成自身は何とも思っていないと分かる。

しかし、夏世はどう思っているのか気になった。

自分の恋人が、その師の女と一つ屋根の下にいる。

 

(やっぱり嫌?もしかして…雇い主だから言い出せないだけ?)

 

夏世は斗和が不在で、佳成が任務の無い時にだけ泊まっている。

そして翌日の斗和の帰宅前には、既に二人共起きている。

もし斗和がいなければ朝はもっとゆっくりできる上、佳成の世話もしてあげられる。

 

斗和はとたん、サーッと青ざめる。

 

(私、もしかして…もしかしなくとも盛大な邪魔者?)

 

 

 

───────

──────

斗和は、いつものように畑にいる夏世に草取りをしながら近付いた。

 

「夏世ちゃん、おら…この家…出た方がいがえが?(夏世ちゃん、私…この家…出た方がいいかな?)」

 

斗和は言い難いので、ゆっくり窺うように聞いた。

すると、手を止めた夏世は怪訝な顔を向ける。

 

「いぎなり何だじゃ?ここは斗和ちゃんの家だべ?出るなら佳成さんの方だねが?(いきなりどうしたの?ここは斗和ちゃんの家でしょう?出て行くなら佳成さんの方じゃない?)」

 

斗和はハッとした。

 

(そうだ、私ったら馬鹿だな。何で自分の家を出なきゃならないの…聞き方が悪かった)

 

「いや、んでねぐてな…佳成がこごさ一緒に住んでるこどで、夏世ちゃんさ嫌な思いさせてんでねえがど思ったんだ(いや、そうじゃなくてね…佳成がここに一緒に住んでいることで、夏世ちゃんに嫌な思いさせてるんじゃないかと思ったんだ)」

 

何と言われるか怖くて、斗和は俯いた。

 

「そんたなごど思ってるわけねえべ!(そんなこと思ってるわけないでしょ!)」

 

「!」

 

その言葉に、斗和は顔を上げ夏世を見つめる。

 

「おらは雇われた最初っがら、斗和ちゃんを信頼してんだ。家ん中好きに使えって言われで、ちゃんと給金貰えてる。その他に小遣いまでくれるでねえが。…何より、佳成さんと引き合わせてくれだのは斗和ちゃんだべ!おらにはどちらも大事だ。佳成さんが強さに憧れて継子志願した人を、邪魔なんて微塵も思っでね!斗和ちゃんには感謝しかねんだ!(私は雇われた最初から斗和ちゃんを信頼してるよ。家の中を好きに使えって言われて、ちゃんと給金を貰えている。その他に小遣いまでくれるじゃないの。…何より、佳成さんと引き合わせてくれたのは斗和ちゃんでしょう!私にはどちらも大事だよ。佳成さんが強さに憧れて継子志願した人を、邪魔なんて微塵も思ってない!斗和ちゃんには感謝しかないよ!)」

 

斗和はポロポロと涙を流す。

 

少しだけ怒りいつもの笑顔を向ける夏世を見て、斗和は心が温かくなった。

夏世の笑顔がいよいよぼやけて見えなくなると、脳裏にある人物の顔がよぎる。

 

(そんな顔、しないで…)

 

 

 

 

 

それから数日後、斗和は十九歳の誕生日を迎えた。

昨年同様に祝ってくれた佳成と夏世に何度もありがとうと伝え、三人で笑い合う。

 

 

 

鬼殺隊七年目。

斗和は柱として、激動のあの物語に飛び込んでいった。

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