※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

65 / 190
※斗和視点


三度目の手合わせ─斗和─

包帯を取れば、滲んだ血が彼の腕を赤く染め上げている。

見ると、治りかけの傷に新しい傷が交差していた。

痛そうだなと顔を顰めながら手当てをしていく。

 

あれから何も言わないので、こちらも無言だ。

怒ってはいないと思う。

 

屋敷に着いて手当てをするための道具を渡されたのだが、素直に手当てさせるなどおかしい。

知っている彼は、粂野さんが心配してもうるさいと一喝していた。

稀血だから自分の血を使って戦うこともあるんだろうけど、腕も胸元も傷だらけにして平気な顔をしてるなんて……

 

「不死川さんの血は、鬼が酩酊状態になる稀血なんですよね?」

 

「よく知ってんなァ。共同任務したことねェだろォ?」

 

確かにこの目で見たことはないが、勿論私は知っている。

それに以前、隠に転向した島本さんから聞いた。

柱になる前からも、隊の中で不死川さんは相当有名だと思う。

 

「何年か前に噂で聞いたんですよ。強いんだから、稀血を利用しなくても倒せるんじゃないですか?」

 

「うるせェ。それより来たんだから手合わせしろォ」

 

そう言うと、大人しくしていたのが嘘だったかのように、どこかへ行ってしまった。

 

また手合わせしなきゃならないのか。

帰って一人で鍛錬するつもりだったのに。

 

ため息を吐き縁側から立ち上がった。

 

 

 

 

 

戻って来た不死川さんから木刀を渡され、構えたとたん激しい打ち込みが襲う。

 

相手は無惨、憎き無惨!!

 

私は前回の手合わせから、彼を無惨だと思い込んでいる。

そのことは口が裂けても本人には言えない。

とにかく最初は、怖くて怯んでしまい腰が引けて何もできなかった。

さすがに二度目は情けない姿を見せるわけにいかず、無惨だと思い込んだらなんとか乗りきったのだ。

 

相変わらず容赦のない打撃である。

何せ隙が全く無い。

佳成はこれを受けたわけだが、いやあよくやった。

打撃も速い鋭い強い怖い、更に顔も口調も恐怖しかないこの人に対してよく頑張ったと思う。

 

こちらも打ち返してはいるが、やはり圧されている。

不死川さんには、技を出さないと反撃できそうにない。

 

一旦攻撃を弾き後方へ。

 

 

─土の呼吸 陸ノ型 粒子舞撫煙(りゅうしぶぶえん)

 

この技は、土の粒子を纏った斬撃が撫でるように幾筋も舞う。

相手の視界は繰り出す技の土煙により遮られ、その斬撃は広範囲に及ぶ。

自らの特注日輪刀ならば本来の威力を発揮する。

だが木刀では、斬撃の威力も土煙の範囲も圧倒的に落ちてしまう。

 

うっすら見えていた不死川さんの影が濃くなり、まずいと思った瞬間それは襲いかかる。

 

 

─風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)

 

地上から空中に向けて、舞い上がる砂塵のような斬撃を連続で繰り出してきた。

 

風の呼吸だ。

粒子舞撫煙(りゅうしぶぶえん)と似ている技だが、その風圧も斬撃の威力も範囲も全て上回る。

 

 

─土の呼吸 㭭ノ型 土嚢城壁・前虎後狼(どのうじょうへき・ぜんここうろう)

 

 

土の壁で防御し、すぐさま後方から攻撃しようとした。

だが跳び上がり上半身を大きく捻った瞬間、背中に激痛が走る。

攻撃はできないが受け身は取るはずだった。

 

しかし、ぐっと喉がつかえたようになり、そのまま不死川さんの背後に盛大に転がった。

すぐさま立ち上がるも、不死川さんはやる気を無くしたのか構えていない。

 

「すいません!」

 

「脇か背中、痛めてんだろォ?」

 

気付かれた…

ああまただ、情けない。

 

「情けねェ顔してんじゃねェ。茶ァ持ってくるから縁側で待ってろォ」

 

彼はそう言い、玄関に消えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。