※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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※前ページの実弥視点


三度目の手合わせ─実弥─

縁側に座る蓬萊に、以前胡蝶から渡された包帯やら何やらが入っている箱を差し出す。

 

胡座をかき右腕を前に出せば、蓬萊は恐る恐る包帯を取っていく。

滲んだ血が腕を赤く染めており、傷と共にそれを見た蓬萊は顔を顰める。

 

いつの間にか俺の手首にその手を添え、支えながら手当てをしている。

指が細く長いんだなと思った。

 

お互い無言のまま、静かだ。

俺の傷を見ている蓬萊の顔を見ている俺。

きっとこいつはそれには気付いていない。

 

「不死川さんの血は、鬼が酩酊状態になる稀血なんですよね?」

 

徐に口を開いたかと思えば、稀血の話しか。

 

「よく知ってんなァ。共同任務したことねェだろォ?」

 

蓬萊とはこれまで、一度も任務同じになったことはない。

下弦を二体倒したあの時が初対面だ。

自分の稀血はそれなりに有名になっているのか。

 

「何年か前に噂で聞いたんですよ。強いんだから、稀血を利用しなくても倒せるんじゃないですか?」

 

「うるせェ。それより来たんだから手合わせしろォ」

 

こいつにまで、匡近のようなことを言われるのはごめんだ。

 

 

 

 

蓬萊に木刀を渡し、構えた直後に打ち込んだ。

 

蓬萊は最初に手合わせした時、それはもう無様な呈を晒していた。

全く打ち返せず、自分が口を開く度に恐れおののき目に涙まで溜めていた。

あれには心底参った。

十二鬼月を二体倒した女が、木刀での手合わせをまともにできないなど有り得ない。

それでも二度目からはまともになったので、最初のあれは何だったのかと思う。

 

やけに低姿勢で自分を卑下し、おどおどと情けない姿だった。

そんなに自信がないなら、鬼殺隊をやめてしまえとまで思った。

下弦を二体同時に倒す力があるのは確かなのに、なぜだか手合わせすると弱い。

本来の力を出せていないのかなんなのか、それとも……

 

打ち返しては来るが、こいつの力はこんなものではないはずだ。

そう思った矢先、空気が変わる。

 

一旦攻撃を弾き、後方へ飛んだ蓬萊は技を撃つ。

 

木刀を、上から下に左右に何度も振り上げる。

土の粒子を纏った斬撃が幾筋も舞う。

視界は舞い上がる土煙により遮られた。

 

なるほど、風の呼吸に似ている技だ。

 

 

─風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)

 

俺は地上から空中に向けて、舞い上がる砂塵のような斬撃を連続で繰り出した。

蓬萊の技より、風圧も斬撃の威力も範囲も全て上回る。

 

するとまたもや技を撃った。

だが跳び上がり上半身を大きく捻った瞬間、蓬萊の顔が歪む。

 

腰、いや背中を痛めている?

 

それでも受け身は取ると思っていた。

しかしそのまま自分の背後に盛大に転がった。

 

「!」

 

どうした?

 

「すいません!」

 

「脇か背中、痛めてんだろォ?」

 

指摘すれば、みるみるあの情けない顔に変化する。

手合わせでそんな顔を二度もされるとは思わなかった。

一気に興を削がれた。

 

「情けねェ顔してんじゃねェ。茶ァ持ってくるから縁側で待ってろォ」

 

俯く蓬萊を横目で見ながら玄関へ入った。

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