※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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※前ページの実弥視点


着物の女

蓬萊に握り飯を作って貰った日から月日は流れた。

 

 

ある日のことだ。

俺は遠方での任務の為に、明るいうちから早々に目的地へ向かっていた。

駅のある町は賑やかで人通りも多く、老若男女ひしめいている。

脇目も振らず先を進んでいると、ふいに後ろから声を掛けられた。

 

「あの、すみません。道をお尋ねしたいのですが…」

 

振り返ると、顔の左半分を襟巻きで覆った着物姿の若い女がいた。

小さく頭を下げられたので、こちらも立ち止まる。

 

女にしては少しばかり背が高いと思った。

 

「突然失礼します。道をお尋ねしたいのですが、駅はどちらでしょう?」

 

白地に紫の朝顔の着物の女は、上品に口元に手を遣り聞いてくる。

 

「駅ならあそこの角を曲がればすぐだァ」

 

ここから目と鼻の先にある駅を指差し、教える。

すると女は驚きに目を見開いた。

 

「あらまあ!そんなに近くでしたのね、嫌だわ私ったら」

 

(!)

 

ドクン…

 

口元に手を当て、フフッと笑う女の顔には見覚えがあった。

 

だが俺の知っている女は、こんな着物は着ない。

こんな鮮やかな紅は塗らない。

こんなに上品な笑い方も、言葉遣いもしない。

 

だが直感が告げている。

 

「呼び止めてしまいすみません。どうもありがとうございます。では」

 

恭しく頭を下げる女に対し、絞り出した一言。

 

「あァ気を付けて」

 

俺はそのまま歩みを進めるも、後ろが気になって仕方がない。

 

振り返りたい、だが…

 

しばらくして振り返ったが、女の姿はなかった。

 

あれは自分の知っている女だったのだろうか?

あまりにも普段の姿からはかけ離れていた。

 

だがあの女は蓬萊斗和だ。

何を思い、あのような姿で声を掛けたのかは分からない。

 

 

見惚れる程に美しかった。

 

 

初めて見る着物姿。

鮮やかな紅を引いた唇が紡ぎ出す、柔らかな声。

穏やかに笑い掛ける顔が、いつまでも頭から離れなかった。

 

 

 

 

_________________

※主人公の名前以外の紹介をしていないので、こちらで。

 

 外見→身長・168㎝、体重・55㎏

髪は肩より少し長めで、うなじの上で団子結びにしている。前髪あり。化粧はしない。

 13歳の時、左頬に真横に傷を負う。

 前田まさおと後藤からは美人だと思われている。どこから見ても地味。

 女にしてはかなりの力持ち。

 隊服は一般的なしのぶさんみたいなタイプと、特注の野良着隊服の2種類ある。基本的には野良着隊服姿で私服も野良着。着物は一着しか持っていない。

 使用呼吸は土(岩の呼吸からの派生)育手は元・岩柱。

 日輪刀は特注で鍬を模しているものと、一般的な日本刀形状のものと2本ある。普段は特注のを使用。刀の色は焦げ茶色。

 趣味は畑仕事、作物を育てること。あらゆる虫に耐性がある。蛇だけは苦手。

 焼きお握り・鰤大根・卵焼き・糠漬け・梅干しは絶品だが、他は全てイマイチ。つまり料理下手。

 

 前世をハッキリ思い出せないが、29歳だった。無限列車の映画を観に行った…?

 

 

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