蓬萊に握り飯を作って貰った日から月日は流れた。
ある日のことだ。
俺は遠方での任務の為に、明るいうちから早々に目的地へ向かっていた。
駅のある町は賑やかで人通りも多く、老若男女ひしめいている。
脇目も振らず先を進んでいると、ふいに後ろから声を掛けられた。
「あの、すみません。道をお尋ねしたいのですが…」
振り返ると、顔の左半分を襟巻きで覆った着物姿の若い女がいた。
小さく頭を下げられたので、こちらも立ち止まる。
女にしては少しばかり背が高いと思った。
「突然失礼します。道をお尋ねしたいのですが、駅はどちらでしょう?」
白地に紫の朝顔の着物の女は、上品に口元に手を遣り聞いてくる。
「駅ならあそこの角を曲がればすぐだァ」
ここから目と鼻の先にある駅を指差し、教える。
すると女は驚きに目を見開いた。
「あらまあ!そんなに近くでしたのね、嫌だわ私ったら」
(!)
ドクン…
口元に手を当て、フフッと笑う女の顔には見覚えがあった。
だが俺の知っている女は、こんな着物は着ない。
こんな鮮やかな紅は塗らない。
こんなに上品な笑い方も、言葉遣いもしない。
だが直感が告げている。
「呼び止めてしまいすみません。どうもありがとうございます。では」
恭しく頭を下げる女に対し、絞り出した一言。
「あァ気を付けて」
俺はそのまま歩みを進めるも、後ろが気になって仕方がない。
振り返りたい、だが…
しばらくして振り返ったが、女の姿はなかった。
あれは自分の知っている女だったのだろうか?
あまりにも普段の姿からはかけ離れていた。
だがあの女は蓬萊斗和だ。
何を思い、あのような姿で声を掛けたのかは分からない。
見惚れる程に美しかった。
初めて見る着物姿。
鮮やかな紅を引いた唇が紡ぎ出す、柔らかな声。
穏やかに笑い掛ける顔が、いつまでも頭から離れなかった。
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※主人公の名前以外の紹介をしていないので、こちらで。
外見→身長・168㎝、体重・55㎏
髪は肩より少し長めで、うなじの上で団子結びにしている。前髪あり。化粧はしない。
13歳の時、左頬に真横に傷を負う。
前田まさおと後藤からは美人だと思われている。どこから見ても地味。
女にしてはかなりの力持ち。
隊服は一般的なしのぶさんみたいなタイプと、特注の野良着隊服の2種類ある。基本的には野良着隊服姿で私服も野良着。着物は一着しか持っていない。
使用呼吸は土(岩の呼吸からの派生)育手は元・岩柱。
日輪刀は特注で鍬を模しているものと、一般的な日本刀形状のものと2本ある。普段は特注のを使用。刀の色は焦げ茶色。
趣味は畑仕事、作物を育てること。あらゆる虫に耐性がある。蛇だけは苦手。
焼きお握り・鰤大根・卵焼き・糠漬け・梅干しは絶品だが、他は全てイマイチ。つまり料理下手。
前世をハッキリ思い出せないが、29歳だった。無限列車の映画を観に行った…?