※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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遭遇

それから三日後。

警備区域の見廻りを終えた斗和は、久方ぶりに共同鍛錬場に来ていた。

数年間足を運んでいなかったが、特に変化はなかった。

 

昨夜は助っ人で呼ばれ鬼を倒すと、その場にいた隊士二人から稽古をつけてくれと言われたのだ。

 

実は斗和は、柱になってから何度か頼まれていた。

しかし佳成の稽古と己の鍛錬で余裕がなく、全て断っていた。

今回は佳成も巣立ち、余裕も出来たので引き受けたのだ。

 

彼等は仮眠をとってから来るだろうが、斗和は見廻り後そのまま来たので寝ていない。

警備区域から家に戻る間に鍛錬場がある為、一度戻るのが億劫だったのだ。

 

斗和は二人が来るまで顔を洗い、茶でも飲もうと道場脇の炊事場へ向かう。

 

 

 

 

────────

──────

「……さい、土柱様。起きて下さいってば…!蓬萊様!」

 

斗和は肩を叩かれ目を開ける。

 

「ん…」

 

「お休みのところすいませんが、ここ地べたですよ。寝るならご自宅に帰って下さい」

 

眠たそうな目の隠は、少々呆れたように告げる。

弾かれたように目を覚ました斗和は、自分が寝てしまったことに気付く。

茶を飲んだら眠くなり、壁にもたれかかったら寝てしまったのだ。

約束していた隊士達は、既に来ているのではなかろうか。

斗和は慌てて辺りを見回す。

 

「すみません!ご迷惑かけしました。隊士と稽古の約束をしていたんです。もう来ていたら…」

 

斗和は起き上がり、炊事場を出ようとした。

 

「道場も外も誰もいませんよ?掃除が終わってここに来たんですけど、誰も来ていません」

 

「そうなんですか!よかったぁ」

 

斗和は安堵し落ち着くと、この人どこかで…?と目の前の隠を見た。

 

「あ!あの時の!藤の家で…えっと、後藤さんですよね?その節は大変お世話になり、ありがとうございました」

 

それは下弦ノ弐と伍を倒した際に、目覚めるまで付き添っていた隠の後藤だった。

 

「いえいえ。あの時はなかなか目を覚まさないので、かなり冷や冷やしましたよ。でも本当によかったです。風柱様も心配されていましたよ」

 

「え、不死川さんが?」

 

「はい。蓬萊様が目覚めたら連絡しろと、だから俺は残っていたんです」

 

斗和は唖然とする。

あの実弥が自分を心配してくれていたなど、思いもしなかった。

初対面で挨拶すらしたことの無かった時にだ。

斗和は妙な気持ちになり、何と言っていいか分からなかった。

 

その時隊士が二人、戸口に顔を出す。

 

「いたいた!蓬萊さん、先に来ていたんですね」

 

「待たせましたか?すいません!稽古よろしくお願いします!」

 

後藤に、ではこれでと頭を下げると、先立って駆けて行く二人に斗和も続いた。

 

稽古中、実弥が心配していたという言葉が何度も頭をよぎり、斗和は身が入らなかった。

 

 

 

 

───────

──────

佳成はこの日、共同任務だった。

 

後輩隊士と共に、大きな滝がある場所へ来ていた。

観光地にもなっており、辺りはそれなりに整備されている。

木々が生い茂り、夏場は滝から出る霧がひんやりとし気持ちがいい。

 

「ここで間違いないんですよね?」

 

「ああ。報告によるとそうなんだけど、鬼の気配がしない。俺は滝の裏側を廻るから、この辺りをもう一度見てくれ」

 

佳成はそう言い、草木が生い茂る脇道から裏へ回った。 

 

 

 

 

滝の音が遠ざかる中、拓けた場所に出た。

そこだけ草木が無く、ぽっかりと穴が開いたような不思議な景色が広がる。

 

(何だ?ここ…)

 

一通り見るも、特に何もない。

 

一旦戻ろうとしたその時だ。

 

 

ゾッ──

 

 

背後に圧を感じ振り返る。

 

「!」

 

ドク、ドクと心臓が早鐘を打つ。

動くことができずにいると、それは徐々に全容を現す。

 

一見すると武士だが、人間ではない。

闇に光る六つ目が佳成を射抜き、それだけで気圧されてしまう。

 

(足が、動かない…!)

 

佳成はすぐに背中の特殊日輪刀に手を掛け、構えた。

碇(いかり)の形をしたその刀を見た武士───鬼は僅かに目を細める。

 

「その刀…僅かに似ている」

 

「…お前は刀を使うのか…?これ以上人間を食わせるわけにいかない!覚悟しろ…!」

 

佳成は鬼へと向かっていく。

 

鬼─黒死牟は珍しいと思った。

上弦ノ壱である自分を見て、怯えなかった者は初めてだった。

 

「気概のある若者だ…」

 

目の前に佳成が迫る中、黒死牟は刀に手を掛ける。

 

 

刀がぶつかり合う音が辺りに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

夏世………師範…………

 

 

 

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