※この作品はR-18です。

野良着の隊士・改編   作:いとめ

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※斗和視点


分かっていた

鬼殺隊が死と隣り合わせだということは、最終選別の時点ではっきりと分かっていた。

 

今までも幾度となく隊士の死は目撃してきた。

呆気なく倒れる仲間。

目の前で貪り喰われた先輩。

打ち捨てられた後輩の遺骸。

 

笑って話した翌日、物言わぬ姿になることは珍しいことじゃない。

 

分かっていた。

 

大丈夫という言葉は無いことを。

 

特別なんてものは無いことを。

 

 

 

 

 

 

分かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「館坂佳成ィ死亡!上弦ノ壱ト遭遇!館坂佳成ィ死亡!」

 

 

 

 

 

 

 

分かって……いた。

 

 

 

 

分かっていたのに、現実を受け止める術を持たなかった。

 

分かっていたはずなのに過信していた。

 

 

 

その日の任務は、血鬼術を同時にいくつも使う鬼との戦闘だった。

襲われていた親子を救いはしたが、自分が喰らってしまい三半規管が麻痺してしまった。

立つこともままならず、眩暈がし、手足が痺れ動けなかった。

珍しく蝶屋敷に運ばれ、夕暮れ手前まで陽を浴びやっと術が解けた。

 

だがどうにも胸のあたりが気持ち悪く、その夜は見廻りもできず床についた。

 

 

 

そしてその翌朝のことだった。

 

 

 

 

 

 

佳成が死んだ。

上弦ノ壱に殺された。

 

 

 

 

 

 

その場に崩れ落ち、ただ茫然と目の前の空間を見ていた。

 

鴉の令和が寄り添っていたことすら気付かず、どれくらいたっただろう。

 

隠が二人来て、佳成の折れた日輪刀を差し出す。

碇に似た大きな刀は折れ、その鍔や柄は血に染まっていた。

 

亡骸が戻らない理由。

何もかもが現実なのだと叩きつけられ、堰を切り涙が溢れる。

 

折れた刀を胸に抱き泣いた。

 

 

いつの間にか隠もいなくなり、令和に嘴(くちばし)で突かれ任務に赴いた。

 

単独任務だったが、どうやって倒したかも覚えていない。

気付いたらまたもや令和に突かれ、帰路に着いたのだった。

 

ふらふらと覚束ない足取りで家に入れば、隠が一人待っていた。

文を差し出し、佳成の遺書だと告げる。

自分とそして恋人の夏世へと二通。

 

文を持ってきた隠に、夏世のいる藤の家に届けて欲しいと頼み自室に籠もった。

 

遺書を読む気にはなれなくて、夏世は今頃どうしているか気がかりだった。

あれだけ幸せだったのに、この先も幸せになるはずの二人。

すべてが終わったら一緒になると、そう宣言していたのに。

 

どうして、何で。

 

師範と呼ぶ声、凛々しい顔、悔しい顔、嬉しそうな笑顔。

 

浮かび上がっては消える佳成に、ただ泣くことしかできなかった。

 

 

 

 

ひたすらに泣き明かし、涙も枯れ果て水を飲もうと台所へ行けば文が一通置いてあった。

 

震える手で取り、開けたそれは夏世からだった。

今までの礼と、暇を貰うとその二行だけ書かれてあった。

 

枯れたと思っていた涙はまた溢れ出し、止めどなく流れる。

 

 

 

分かっていた。

 

隊にいる限り死ぬのは明日かもしれないと。

 

分かっていた。

 

どんなに強くなろうと、更に強い鬼がいることを。

 

分かっていた。

 

 

 

 

 

 

違う、何も分かっていなかった。

 

 

初めて自分を慕って来てくれた継子と、初めての同性の友人。

 

私は大切な二人を同時に失った。

 

 

 

 

 

 

◇

泣き疲れいつの間にか寝入ってしまうと、しばらくみなかった夢をみた。

 

独特の灯り、皆が手に持つ小冊子、煉獄杏寿郎、ざわつく人混みに誰かを見つける。

頭痛がして場面が切り替わり、机の上の白い紙、それを指す誰かの指。

 

射抜く冷酷な目。

 

「う…ざり…る。わか…て………んだよ…」

 

胸が締め付けられる。

やめてと願っても夢の中。

 

苦しい

 

苦しい

 

誰か助けて……

 

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