時は21XX年、人は一度衰退を極めて緩やかにまた歩みを進めていた。
別世界からの産物、魔素が人に結合、魔法文明というのが確立された。
それとほぼ同時期に勃発した第三次世界大戦、核ミサイルの応酬により大地は荒れ果てた。
神々がラグナロクの果てに黄昏へと至ったように人々も黄昏の縁に立たされ……
そして残った人間が魔法文明を駆使してなんとか再び歩みだすに到れる程に再興した。
これは荒廃した世界でたくましく生きる二人の女があっちこっちで人々や化け物に振り回される物語である。
「そっち何か見つかったー?」
「全然、根こそぎ盗られたあと」
「そっかぁ……」
二人組の女が瓦礫だらけになった街を歩いていた。
片方は大きなリュックを背負い両脇にはショートバレルのショットガンを吊るした女。
もう片方は身長よりも長い杖を片手に左腰に鈍器に使えそうな本を吊るした女。
リュックの女が瓦礫の中からボロボロになった金庫や箱なんかを引っ張り出しては中を調べる。
その中身はなく尽くが空……もしくは使い物にならないジャンクばかりだ。
「あっ!そのジャンクは使えそう、ちょっとコッチにかして?」
「これ?」
「そうそれ、ちょっと分解してみたら良い材料になりそう」
そんなジャンクでも素材になりうる、そう見て杖をもった女が無邪気な声をあげて手にとる。
手にしたジャンクはかつては文明の利器として用いられていたスマートフォンだった。
手の平サイズの板っキレが何になるのか、物理的な分解なら出来るリュックの女は首を傾げながらも放り投げる。
運動神経があまりよろしくない杖の女は慌てて取ろうとして……取れず偶然胸の谷間にすっぽり入って事なきを得る。
「ほっ……んーっとね、これ大分色々と情報が眠ってそうだから良い魔法素材になりそうなんだー」
「へぇ、私は魔法使えないからアンタのを見るくらいだけど……」
「百聞は一見に如かず!ご覧あれ~」
杖を振りかざし光を灯す、スマートフォンが光り輝き……数多の物へと変換されていき……
「ちょっ、これグールじゃない!!」
「あちゃー?おっかしいなぁ……あはは、グールちゃんも可愛いかなー」
「呑気に笑ってる場合か!!」
この世界でありふれた化け物、グールに変換されていた。
中につまっていた野郎のドロドロとした性欲性癖の煮凝りが変換された結果だった。
「くのっ、死ねっ!!」
「ぅえー、私銃声きらーい」
「アンタはアンタでそのグールをどうにかしなさい!!」
「はーい……もうちょっとイチャイチャしたかったけどなぁー……」
「いちゃつくなら私の見ない所でやってろ!!」
リュックの女は自分の太ももに吊るしたショットガンを抜いてグールの頭をぶっ飛ばす。
その銃声、人の争う怒声等が嫌いな杖の女はくしゃぁ……と苦い顔を浮かべて文句を言う。
リュックの女は商人の娘、シャーロット。戦争前は代々続く貴族の家系で核戦争、魔法戦争勃発時にはシェルターに入れられていた。
育ての親が現在の世界の商人であり商売やジャンク品の見極め等はピカイチ。
銃の扱いにも長けていて主にショットガンを愛用する。
杖の女は発展した魔法と錬金術を扱うアルケミスト、アルマ。戦争後に生まれたエルフの娘で魔法文明の第一人者だ。
人間と交わりアレコレしている内に錬金術というのを編み出した。
ただとんでもなく価値観とかがズレていて一般的にキモいと思われるのを可愛いと平然と言い切る。
「全く、修理できそうなのは修理したし……商品になりそうなのも一応回収できたけど」
今私が滞在しているシェルターNo009は割りと人が多く活気に溢れている。
当時の先進技術をふんだんに使ったシェルターは内部で200人は住める環境になっている。
もちろん、衣食住すべて揃えて……内部で穀物、野菜の生産が出来てビタミンなんかも調剤して補える。
水も濾過技術が進んでいて雨を問題なく飲水として使用できるくらいだ。
それでも……外から調達しないとマズイものがある……機械部品だ。
またの名を貴金属とも言う。でもシェルターから出られるのはほんの一部。
放射能耐性を会得した人間か魔法を会得した人間……放射能で変異した化け物と対峙できる戦闘能力を有していないとそもそも食われるだけ。
そして……もう一つ、それは女性。
シェルターに残っていた女性は全体の1割にも満たない……依頼はされるけど他のシェルターからの移住者は望めない。
核戦争の影響か世界に満ちた魔素が原因なのか……女性の出生率は激減している。
「あ、オサさん……今日の納入分です。どうでしょう?」
「いつも悪いねぇシャーロットちゃん……うーんこれならコレくらいで良いかな?」
「……うーん、もう一声ほしいですね」
「ぐ、しかしだねぇ」
「他の所に持っていきますよ?」
「……分かった」
「毎度あり♪」
各シェルターの資金というのはあまり多くはない。
そもそも貨幣経済が成り立っているのが割りと不思議なくらいだ。
先人たちがせっせとそういう概念を守り抜いたと思うけれども。
出し渋りは絶対にある、だから最初の声でそうですねと頷いてはいけない。
本当のゴールラインは一歩後ろにあるもの、私は良心的だからそこでおしまいにする。
「滞在はいつまでするんだ?」
「明日まで滞在するつもりです、個人的に商売する物はまだありますからね♪」
「そうかそうか……」
商売だけが滞在する理由ではないけれども。
とりあえずはシェルター内で店を広げておこう。
「そういえばアルマはどちらに?」
「アルマちゃんは保育所に真っ先に向かったよ」
「……そうですか」
問題起こしてなければ良いけど……
ともかく今は私が商品売りさばいて銭を稼いで……
ついでにここのシェルター住民の好感度をあげておこう。
ご贔屓にしてもらえてるけれども胡座をかくわけには行かない。
私にできそうなお仕事と言ったら……
ミルク絞りにお掃除かな?アルマと合流するまで頑張ろう。
この作品ではシャーロット編とアルマ編のエロ話を混ぜながら綴るつもりです。
エロが無い?まぁ慌てるな……次でアルマ編のエロ話書くから