アエガ島崩壊から1週間後、未の十二神将アニラは羊神宮へ帰還を果たした。彼女曰く、邪神復活は阻止出来なかったものの、死闘の末に討伐に成功。島の者達は救いだすことが出来なかったと述べていた。
「もう、アニラ姉ちゃん本当に大丈夫なの?あの時、イヤな気配がしてすっごく心配だったんだよ?」
羊神宮にて療養しているアニラの元に真っ先にアンチラが見舞いに訪れた。
「くふふっ、安心せい。ほれこのとおり、元気じゃぞ」
そう言ってアニラは腕をぐるんと回した。
「うーん、でも……」
どこか納得していない様子のアンチラに、アニラは苦笑しながら
「なら、久方ぶりに手合わせでもするかの?お主がどれだけ成長したか見てやるぞ?」と言った。
「………ねえ、アニラ姉ちゃん」
「ん?何じゃ?」
「君、誰?」
「………」
「………」
「…何を言うておる。我はアニラじゃ。一体どうしたのじゃ?」
「確かに姿形も雰囲気もアニラ姉ちゃんだ。けど、ボクの直感がこの人は絶対に違うって叫んでいる」
「…………」
「……もう一度聞くよ。君は誰?本物のアニラ姉ちゃんはどこなの?」
「くふっ、くふふふっっ こんなに早く見破られるとはの。流石は十二神将ということか 」
次の瞬間。アニラからドス黒い気配が溢れ出す。
「全く、これではシエガ様の命令も一筋縄でいかぬのう……こんなのが後10人もいるとなると骨が折れるの…」
「認めるんだね。自分が偽物だって」
「いんや?我はアニラじゃよ。本人が直々に我にくれたんじゃ、我の力も名前も捨てます〜ってのう!」
「アニラ姉ちゃんを馬鹿にするな!アニラ姉ちゃんは偽物なんかに自分の使命を投げ出すような人じゃない!」
アンチラが如意棒を振り、アニラの薙刀と激突する。
「くふふっ、若いのによくやるのう??」
「舐めないでよね。アニラ姉ちゃんじゃないって分かった以上手加減はしないよ」
「くふふふっっ、威勢がいいのう……じゃが、もっと周りを見るべきじゃったのう?」
「えっ!?」
ズブズブズブッッッ!
突如、アンチラの身体が地面に沈み込む。
「なっ!なにこれっ!!」
周りの地形が肉肉しいものへ変わっていき、凄まじい吸引力でアンチラの身体を呑み込んでいく。慌ててアンチラは這い上がろうとするも、まるで底なし沼のように身体が沈んでいく。
そして遂にアンチラの全身が地面の中へと消えていく。
「くっ、くそぉっっぼごぼごぼご………っ!」
その様子を見たアニラの顔は、先ほどまでの穏やかな表情とは一変して嗜虐的な笑みを浮かべていた。
「くふふっ 、これで良いのじゃな。シエガ様 」
既に羊神宮はシエガの力によって陥落しており、ただの狩場へと変貌していた。
星を守る十二の守護神の1柱が堕とされ、もう1柱もその腹中に収められた。
はたしてこの狂ってしまった空の世界はどうなってしまうのか…それは、神のみぞ知ることだろう………