※この作品はR-18です。

アンジュ・ヴィエルジュ 短編集   作:黄昏の魔人

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同作者の「銀色の花」のifにあたります。この「花の砕けた日」と「銀色の花」は2つで1つの話だと個人的には考えております。
リーネさんが主役の、全ての始まり。
そして性癖ぎゅう詰めのアレなお話。


花の砕けた日 (リーネ・アゾット)

 

【挿絵表示】

 

「はっ……はっ……」

 

 静かな空間に小さく響く、弱々しい息遣い。

 軍服を着た一人の少女が俯き、肩を振るわせ喘いでいた。

 

「はっ……あっ、あああっ……」

 

 少女の首には、その身に不釣り合いな首輪が巻き付けられており、それが少女の自由を奪っている。

 

「あ、あぁっ、ぁ……」

 

 少女の喘ぎ声に紛れ、鳴り続けている振動音。

 少女の秘部には幾つものローターが取り付けられており、それが少女を苛んでいる。

 少女の名はリーネ・アゾット。

 グリューネシルトの新米軍曹にして、今は────

 

 がちゃり、と扉の開く音に、リーネは身をすくませる。

 扉を開けて入ってきた男は、にやにやと薄気味悪い笑みを浮かべて、リーネの下へと足を進める。

 

「どうだいリーネ?俺のものになる決心はついたかい?」

 

 ヘラヘラと笑う男を、リーネは強く睨み付けた。

 

「誰が……貴様なんかに……!」

 

 リーネの言葉に、男は満足げに頷いた。

 

「そうだよねえ、そうこなくちゃ。あっさり折れてもらっても面白くないからさ」

 

 男がベルトを緩め、そり立っているペニスをリーネの眼前へと突きつけた。

 

「…………!」

 

 ぎり、とリーネが歯噛みする。

 その行為が求めるものを、リーネはこれまでに嫌というほど理解させられていた。

「ふーん……まだそんな気力が残ってるんだねえ」

 そう呟いて、男はポケットをわざとらしくまさぐり始めた。

 

「だけどね、リーネ」

 

 かちりと。

 男の指がスイッチに触れ、リーネの秘部に埋め込まれたローターがより強く、激しく蠢く。

 

「っ!」

 

 ばちばちと、リーネの視界に火花が飛んだ。

 

「あっ! ああっ! ああああっ!」

 

 ぱくぱくと口を動かし、悶えるリーネ。

 許しを乞う言葉さえ紡げないほどの、望まざる快感があっという間にリーネの思考を塗り潰す。

 

「君に選択の自由なんて無いことは、君自身がよく知ってるはずだろうに」

 

 男の言葉など、もはやリーネの耳には届いていない。

 喘ぎなど生温い、文字通り獣のごとき絶叫と共にリーネは身体を弓なりに仰け反らせた。

 

「ん……?」

 

 ぴくぴくと身体を痙攣させ、横たわるリーネ。

 

「気絶しちゃったのか。そんなに気持ち良かったのかな?」

 

 元来の目的を果たせなかった男は、失望したようにため息をつきくるりと踵を返していく。

 

「ま。時間はたっぷりある。耐えれば耐えるほど、君が辛くなるだけだしね」

 

 がちゃり、という音と共に横たわるリーネだけが残され空間は静寂を取り戻した。

 

 

「俺のものになってよ」

 

 開口一番、男が告げたのはそんな言葉だった。

「俺はこの学園でも上位のアルファドライバーなんだ。俺のものになれば、君はもっと強くなれる」

 男の言葉に、声をかけられた少女──リーネは小さく嘆息した。

 

「話にならんな」

 

 

「は…………?」

 

 

「口説き文句としては三流もいいところだ、さっさと失せろ。私にアルファドライバーはいないが、貴様のような奴と組むなどまっぴら御免だ」

 

 

「…………くく」

 

 すたすたと早足で去っていくリーネに、男が抱いた感情は

怒りではなく──歓喜だった。

 

 それでこそ。

 それでこそだと。

 そうでなくては面白くない、自分を徹底的に拒絶する位でなければ張り合いもない。

 男は笑う、まだ見ぬ夢のような光景を想像して。

 汚したい、あの強い決意をもつ眼差しを。

 犯したい、あの一見華奢な──されどしっかりと肉付くあの肢体を。

 へし折りたい、あの少女の意志の全てを。

 

 

 それからすぐに、男は行動を開始した。

 あらゆる伝手を存分に活用し、リーネを罠にはめる準備を始めた。

 

 結果として、リーネは男に捕らえられた。

 調教に次ぐ調教、リーネの身体も心も完全に屈服させるべくリーネの身体をなぶり続けた。

 効果はあるはずである。

 常人ならばとっくに折れてもおかしくないだけの調教を、男は確かにリーネへ叩き付けているのだ。

 だが、折れない。

 いくらやっても、リーネの眼差しはまだ抵抗を止める気配を見せてはいない。

 

「やり方を変えてみるか……」

 

 男はポケットから携帯を取りだし、ある番号を呼び出した。

 

「……ああ、もしもし。俺ですけど……」

 

 

 男が通話を切り、大きく歪んだ笑みを浮かべる。

 

「今度こそ落としてやるぞ……リーネ……!」

 

 

 リーネの下へと、男はいつも通りに足を運んだ。

 

「ほら、お着替えの時間だぞリーネ」

 

 男の言葉に対し、リーネは黙って男を睨み付ける。

 

「そう怖い顔をするなよ。お前だって嫌だろう?お前のスケベな汁で汚れた下着をはいてるのもさ」

 

 スカートと下着を取り去り、新しいものを渡すと、リーネは素早くそれを身に付けた。

 

「今日はここからが本番だ。……ほら」

 

 いつものように、リーネの秘部へローターを2つ埋め込む。

 さらに男の手はその上へ。

 両方の乳首に、ローターをサージカルテープで固定した。

 

「そして仕上げに……」

 

 がちゃりと。

 リーネの首を戒めていた首輪を外し、手に持っていた新しい首輪を手早くリーネに嵌め込んだ。

 

【挿絵表示】

 

 中央に淫紋の刻まれたその首輪には紐がついておらず、固定するための機能がついていないようだった。

 

「────!」

 

 千載一遇のチャンスと言わんばかりに、リーネが駆けた。

 立っている男を突き飛ばし、男が開けっ放しにしていた扉へと。

 あと数メートル、それでこの地獄から────。

 

『止まれ』

 

 ぴたりと。

 一切の比喩表現なしにリーネの足が止まった。

 

「な……なん……で……?」

 

 足を動かそうにも、全く動く気配がない。

 まるでいきなり足が石にでもなってしまったかのように、リーネは足を動かせなくなっていた。

 

「全く、予想通りの動きをしてくれるなリーネは」

 

 肩をすくめる男に対して困惑の表情を浮かべることしかできないリーネを見て、男は満足げに笑った。

 

「隷属の首輪──今その首についてるモノの名前さ」

 

 男の視線の先には、首輪に刻まれた淫紋。

 

「こいつを着けさせた者の言葉に文字通り従わせるための道具さ。お前はもう、俺の命令に反する事は何もできない」

 

 

「そん…………な……」

 

 

「信じられないならもう一回見せとこうか」

 

 

『こっちへ来い』

 

 男の言葉に誘われるかのように、リーネの意思を無視してリーネの身体は男の下へと足を進める。

 

『服を脱いで裸になれ』

 

 

『膝を曲げて、脚を開くんだ』

 

 男の言葉に従い、リーネは一糸纏わぬ姿となり、いわゆるM字開脚の体勢で腰を落とした。

 

「貴様ぁっ……!」

 

 喉の奥から絞り出した怒りの声でさえ、男にとっては甘美な音でしかない。

 届く事さえない怒り。

 何よりも憎む男の前で、あろうことか自らの手で秘部をさらけ出さなければならない屈辱。

 それはまるで──自分の全てがこの男の支配下に置かれたようで。

 

 おやおや、と男は口をつり上げた。

 

「身体の方は、えらく喜んでるみたいだが?」

 

「…………っ!」

 

 リーネが奥歯を噛み締める。

 そう、己の手によってさらけ出されているその秘部。

 そこからは確かに、新たな蜜が滴り続けていた。

 

「見られて興奮しているのか? ははは!とんでもない淫乱だなリーネ!」

 

 男が哄笑し、リーネの鼻先へリモコンを突きつけた。

 

「これが何だか分かるよなあ? リーネ」

 

 男の指がスイッチの上を、なぞるように滑っていく。

 その動作が。

 その動作を見るだけ、で。

 

「おいおい、リーネ。楽しみなのは分かるが、いささかはしたないんじゃないのか?」

 

 男の言葉に、動作に。

 否応なしに身体は反応していく。

 既にさらされた秘部の真下には、小さな水溜まりができあがってしまっていた。

 

「ぁ…………ぁ………」

 

 頭の先から爪先まで、のぼせてしまったかのよう。

 世界はひどく頼りなくゆらゆら揺れて、意識がひどく曖昧になっていた。

 

「それじゃ、スイッチオン」

 

 男の言葉を皮切りに、リーネの身体に取り付けられたローターが一斉に動き出す。

 

「っ……!」

 

 衝撃に、リーネがのけぞる。

 とてつもない程の快感が、リーネの身体をあっという間に巡っていく。

 

「ぁ……ぁぁっ……!」

 

 もはや満足に声もあげられないのか、リーネはただ道具のもたらす絶頂へと導かれ────。

 

『絶頂を禁止する』

 

 それが全て、文字通りに消失した。

 

「…………!」

 

 リーネの顔から血の気が引いていく。

 

「これ……まさか……」

 

 頬を伝い、落ちていく冷汗。

 嫌でも理解せざるを得ない──つまりは、そういうことなのだと。

 突き付けられる絶望に、リーネは力なく項垂れる。

 その様子を見て、男は満足げに頷いた。

 

「さて──それじゃあ始めようか」

 

 

 

 もう、どれくらい経っただろう。

 隷属の首輪は文字通り、絶頂へと登り詰めるリーネを否応なしに引き戻した。

 それを繰り返すこと数時間、爆発寸前の快感を溜め込み、尚もそれから解放されることの無い地獄がリーネを苛む。

……イキ、たい。

 思考はもうどろどろに溶け尽くして、何も分からない。

……イキ、たい。

 誰でもいい、誰でもいいから私を。

……イキ、たい。

 わたし、を。

 

「……イ……イカせ……」

 

 わた、し、を。

 

「イカせ……て……くだ……さい……」

 

 リーネの懇願に、男は笑う。

 

「ああ、いいさ。イカせてやるとも……ただし」

 

 男がひどく勿体ぶって。

 

「俺の肉奴隷になると心の底から誓えば、の話だが」

 

 醜悪な笑みの張り付いた顔で、そう告げた。

 

「……あ、あぁ……ぁ……」

 

 がくがくと、足が震える。

 張り付くように喉が渇いて、声にすらならない呻きが零れて溶けた。

 

 言ってはならない。

 そんな事は分かっている。

 戻れなくなる、もう二度と。

 それ、なのに。

 

「……ち……」

 

 唇が、動く。

 意思も苦悩も何もかも、その全てを通り過ぎて。

 まるで自分の身体では無いかのように。

 最後まで守り抜こうとしていた、たった一つのプライドでさえ。

 

「……誓い……ます……」

 

 今、この瞬間に。

 

「私は……リーネ・アゾットは……」

 

 全部。

 

「あなた様の……に……肉奴隷……に……なる、事を……」

 

 ぜんぶ。

 

「……今……この場で……誓い……ます……」

 

 なにもかも、すべて。

 

 力なく項垂れた頭と、地に落ちた雫。

 その双眸から流れる涙は、何が悲しいのかさえもう分からない。

 

 何かがひび割れ、砕ける音。

 なんだろう、なんだっけ。

 なにか、とても。

 大、切な────。

 

 告げた言葉に感応するかのように、首輪に刻まれた淫紋が妖しく輝く。

 一人の少女の終わり──男の欲望を満たすためだけの肉奴隷が、今ここに誕生した。

 

 リーネの眼前には、服を脱いで全裸になった男の剛直。

 

「おいで、リーネ」

 

 男の言葉に従って、リーネは頼りない足取りで男の下へと歩いていく。

 

「……はい……ご主人……様……」

 

 虚ろな瞳は、もはや何も映さぬままに。

 男の下卑た欲望が、リーネの身体を蹂躙した。

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