どくんどくん、と。
盾を仕込んでいる両腕が、痛いくらいに疼いている。
ルルーナは腕に意識を集中させ──。
「行くよ──シュッツ・リッタァァ!!」
力の限り、吼える。
具現化する盾は、不気味極まりない髑髏の盾。
襲い来るウロボロスの一撃を、その盾が受け止める。
「全然、好みのデザインじゃないのが気に入らないけどっ……!」
グリューネシルトの軍人が用いるエクシード能力は武器の生成であるが──その能力の真価は強化にある。
己の存在を武器へと賭すごとに、その硬度は、強さは呼応するように跳ね上がっていく。
つまり逆を言えば──心の力が伴っていないそれは。
「…………え?」
ただ脆いだけの、弱点でしかない。
「うそ──何、これ……?」
ルルーナの視界に映るのは、ウロボロスの腕が深々と突き刺さり、色が変わり果てていく己の盾。
「う────あ」
頭の中を、熱した鉄の棒で掻き回されているような激痛が走る。
眩む視界は急速に狭まって、ウロボロスの姿さえ捉えられなくなった。
「こ……の……!」
残った力を振り絞るようにして、盾もろともウロボロスを突き飛ばす。
その反動で自分が後ろへよろめくと同時に、盾が地面に落ちる乾いた音が響いた。
「…………!」
ルルーナの顔が青ざめる。
落ちた盾は毒々しい紫色に染まりきり、その目の部分が光を放ち始めていた。
背中に冷汗が滲んでは弾けていく。
あれは、まずい。
本能がそう告げている。
今すぐここから逃げ、なけれ、ば。
「────っ!」
判断の遅れは僅かに一瞬。
言わずもがな、戦場においてはその一瞬が命取りとなる。
「あ…………」
まるで爆発でも起こしたかのように、空間全てが紫色の閃光に覆われた。
それも数秒──世界は瞬く間に元の静寂を取り戻し、ルルーナは再びウロボロスと対峙する。
自分の武装は、左腕に残されたもう一つのシュッツリッタが一つだけ。
ルルーナが視線を前に向ければ、そこにはウロボロスと──その真上に浮かぶ濃紫色のシュッツリッタ。
ぎり、とルルーナが歯噛みをする。
形成はこちらが圧倒的に不利、どうにか隙を見出だして──。
ルルーナが左腕に力を込めようとしたその瞬間、ルルーナは初めて己に起きていた異変に気付かされた。
「腕が……動かな……!」
腕だけではない。
身体全体が、まるで鎖にでも絡め取られたかのように痺れて動かなくなっていた。
「まさか、さっきの光は……!」
今更気付いたところで、もうルルーナに打てる手は何も残されてはいない。
ゆっくりと、ウロボロスがルルーナに近付いてきている。
表情など存在しないはずのウロボロスが、まるで笑っているようで──それがより、ルルーナに寒気を覚えさせた。
ウロボロスが無秩序に、容赦なくルルーナの衣服を破り捨てる。
あっという間に裸に剥かれたルルーナの肌を、ウロボロスの指が這っていく。
「ひ、っ……」
どうしようもない程の気持ち悪さと、狙いの見えてこない不気味さがルルーナをひどく困惑させる。
「────」
ルルーナから手を離し、ウロボロスが踵を返す。
そしてそれが、更なる悪夢の幕開けの合図だった。
「え…………?」
既にルルーナの四肢には、紫色の触手が巻き付いていた。
恐らくは先程、眼前のウロボロスが指を這わせていたその時に。
「ちょっと、何……! やめて! やめてって!」
気付けば眼前も背後も、触手の海と化していた。
背後の触手は肩甲骨の辺りを這い、眼前の触手は秘部や乳首の表面を這っている。
「やだっ……! き、気持ち悪い……!」
奥歯を噛み締めるルルーナを嘲笑するかのように、触手は分泌液を塗布しながら這い続ける。
そしてそれは、ゆっくりと──けれど確実に。
「ぁ…………」
ルルーナの全てを一つ一つ、少しずつ削り始めていた。
頭の中には、濃霧が立ち込め始める。
いつの間にか顔が熱を持ち、心臓が早鐘を打ち始めた。
「……あれ……?」
何だろう、何をしていたんだっけ。
記憶には徐々に空白が生まれ始め、その空白を分泌液による快楽が強引に塗り潰していく。
気が付けば分泌液まみれにされた身体は、まるで感度という感度を強引に表面へ引きずり出されたかのようだった。
ただ空気に触れるだけで反応するようになったその身体へ、待ち焦がれていたかのように何本かの触手が躍りかかる。
「うあっ……ああぁっ……!」
触手が巻き付き、ルルーナは有無を言わさず絶頂へ叩き込まれた。
乳首は筒状と化した触手が絶えず吸い上げ、ルルーナの思考を打ち砕かんばかりの快感をもたらしている。
既に秘部からは蜜が溢れ続けており、何かを欲しているかのように妖しく蠢いていた。
「ぁ……ぁぁ……」
だらしなく開くルルーナの口に、新たな触手が捩じ込まれもはや発声すらできなくなった。
「む、ぐ──う、ぅ……」
ごぽごぽと、絶え間なく分泌液がルルーナの喉奥へと送り込まれる。
ルルーナはもはや、その全てを黙して享受し触手のなすがままになるより他にはない。
「────」
それは、あまりにも突然に。
触手がルルーナの秘部へと突き刺さる。
脳髄の砕けそうな衝撃に、ルルーナは全身をのけぞらせその身体を震えさせた。
「む……ぅぅ……」
絶頂が終わらない。
まるで身体そのものが何か別のものになったかのように、ひたすら絶頂を繰り返している。
暴走し、果て続ける身体に脳の理解が追い付いていない。
ありとあらゆる記憶を、意味を、価値を破砕し続けながらルルーナは快感の濁流に飲まれて果てていた。
それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
ルルーナは触手から解放され、地に下ろされていた。
「……はっ……はっ……」
頭が。
あたまが、いたい。
「あ──は」
身体の芯がひどく疼いている。
あれだけ犯されたのに。
あれだけ絶頂させられたのに。
全然足りない、もっと寄越せと。
秘部が淫らな悲鳴を上げていた。
「あ、ああ……は……」
目の前には、あのウロボロスがいた。
その股座に、剛直のようなものを滾らせて。
「は、あ……あ、ぁ……」
吸い寄せられるように、ルルーナはふらふらと歩み寄る。
そうして、その剛直を己の秘部に────。
この日以降、青蘭島内でルルーナの姿を見た者は誰もいない。
心も身体も完全に砕かれ、闇へと堕ちて消えた少女は──今もどこか、誰も知らない場所で終わることなき快感の濁流に溺れている。
信じているものは徹底的に信じ抜きましょう。ルルーナは変貌してしまったシュッツリッタを信じきれなかったばかりにウロボロスに敗れ、最終的には青蘭島の敵に陥るまでになってしまいました。
……とか、エロゲーのヒントコーナーで言われそうな感じ。