「……う……ん……」
星のような髪飾りをつけた、蒼い髪の少女が暗闇の中で意識を取り戻す。
少女がゆっくりと身体を起こすと、背中と頭にずきりとした痛みが走った。
「……ここは……?」
見覚えのない場所にその少女──蒼月紗夜は己の記憶を辿る。
そう、確か自分は。
「そうだ……日向先輩に……!」
一刀で切り伏せられて、地に伏した。
そこからの記憶が無いということは、その時に気を失っていたのだろう。
では、この場所は一体?
紗夜が丁度その疑問を抱いた瞬間、遠くから靴音が響き渡った。
「誰かいる……?」
靴音はすぐ近くまで迫って来ている。
程なくして闇の中から、その音の主が姿を表した。
「あは、起きてたんだ紗夜ちゃん」
軽やかな鈴を思わせるような声。
黒と赤を雑に混ぜ合わせたような色合いの服を纏い、その顔はあまりにも無表情で、何一つ伺う事ができない。
「日向先輩……!」
その少女──日向美海が虚ろに笑う。
光のない双眸が紗夜の姿を捉えており、その異様さに紗夜が知らず固唾を飲んだ。
「紗夜ちゃんも、ここに来ちゃったんだね」
溜め息混じりに、美海はそう吐き捨てた。
それは失望か、諦観か──それとも他の何かか。
美海の言葉に、紗夜は両拳を強く握り締める。
「大人しく青蘭島で震えていれば、しばらくは平穏でいれたのに」
嘲笑するように、美海が呟く。
その言葉に感情を昂らせ、紗夜が能力を使用するべく神経を集中させた。
「そんな事、できるわけがありません! 私は皆を助けに──」
収束する力は、光の剣へと形を変える。
それを強く握り締め──刹那、その剣は柄の部分から音を立てて砕け散った。
「……え……?」
何が起こったのか、理解できない。
呆然とする事しかできない紗夜を見て、美海は呆れたように溜め息をついた。
「……もしかして、エクシードがまともに使えるなんて本気で思ってたのかな?」
かつん、と。
耳に響く高音を立てて、美海が一歩近づいてくる。
「ひっ……」
無意識の内に、一歩後退をしていた。
逃げなければ、そう本能が訴えている。
なんでもいい、どうにかして隙を見て逃げ出さないと取り返しのつかない事になる──。
「あ、あ、ぁ……」
歩いてくる敵。
一歩下がる自分。
繰り返すこと数度──そう遠くない終わりが、すぐそこに迫っていた。
「…………あ」
どん、と何かが背中にぶつかる感触。
それを受けて、弾かれるように駆け出した。
美海の脇を通り抜け、遠く遠く。
敵を追い抜かしてその先へ──途端に、身体が宙を舞った。
「
どしゃりと音を立てて、地面に叩きつけられる。
靴音は足元から、頭の真横に。
襟首を掴まれ無理矢理立たされた紗夜は、もう自分の意思で動く事ができなくなった。
「逃げられると思った? あはは、かわいいね紗夜ちゃん」
からからと美海が笑う。
その声はまるで地の底から響くかのように、今の紗夜にとっては何よりも恐ろしい。
「もしかして、自分の立場っていう物が分かってないのかな? じゃあ仕方ないね」
ひどく芝居がかった口調で美海は。
「私が、徹底的に教えてあげる」
この上なく、冷たく囁く。
「紗夜ちゃんはね、もうウロボロス様の
紗夜の背後を取る美海が、紗夜からその衣服を剥ぎ取り始める。
「ちょっと! 何をっ……! やめて! やめて下さい日向先輩……!」
紗夜の制止などまるで聞く耳を持たず、美海は淡々と衣服を外している。
程なくしてその裸体が闇へと晒され、紗夜は羞恥に顔を紅潮させた。
「へえー……凄い、白くて綺麗な肌。すべすべしてて柔らかくて……随分いいものを持ってるんだね」
美海の細い指が、肌のあちこちを這っていく。
酷くくすぐったい、むず痒い感覚。
がちがちと歯の根も噛み合わず、真後ろに密着する恐怖に紗夜は身体を震わせるしかない。
「うーん……でも全然濡れてないね。これじゃあ御主人様の前に出すわけにはいかないかな。……ちょっとこっちに来て、手伝って貰っていい?
「え──?」
信じがたい言葉が聞こえた。
それは。
その名前は。
一番最初、私が助けると誓った──。
「あ、紗夜ちゃんだ」
闇から姿を現したのは、紛れもなく。
ウロボロスに囚われて、封印されていたはずの。
彩城天音──その人だった。
「天音えぇぇッ!」
無意識の内に、叫んでいた。
身体の動きは依然として美海に封じられたまま、声を絞り出すようにして眼前の天音へと呼び掛ける。
「ごめん、ごめんね……私が、私が────」
紗夜の言葉に、天音が笑う。
そして。
「ううん。
たった一言で、紗夜の思考を凍結させ──打ち砕いた。
「あは、馬鹿みたい」
背後から聞こえる、美海の声。
「天音ちゃんが最初にウロボロス様に捕まって、どれくらい経ったと思ってる? まさか、捕まえるだけ捕まえておいて──何もしないだなんて思ってたのかな?」
音が、世界が遠のいていく。
崩れ落ちそうになる足をどうにか踏みしめて、眼前の悪夢を睥睨した。
「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だそんな事ッ!」
声を枯らさんばかりの勢いで叫び、喚く。
その様子を見ても、天音は冷たく笑っているだけだ。
そこにかつての面影など、もはや一片たりとも残ってはいない。
「じゃあ、始めよっか天音ちゃん」
「そうですね。大丈夫だよ、紗夜ちゃん。すぐに気持ちよくなれるから」
二人がかりで押し倒され、無理矢理M字開脚の形を取らされる。
秘部をまともにさらけ出し、身動きの許されなくなった格好で美海が乳房を揉みしだきはじめる。
「う……ぅぅ……!」
震えているのは感じているからではなく、身を焦がさんばかりの怒りによるものだった。
どうにか隙をつこうとする紗夜を嘲笑うように、美海は乳首へと手を伸ばした。
優しくなぞられ、扱きあげられる。
前からは天音が、徐々に固く尖っていく乳首を甘噛みしていた。
「ひぃっ……!」
生まれて初めて味わう感覚。
酷くこそばゆくて、おぞましい。
得体の知れない何かが這い上がってくるような気味の悪さが、まるで身体中を覆っているかのよう。
「天音ちゃんは、そろそろそっちに行っていいよ。こっちは私がやってるから」
「はーい」
無邪気な返事と共に、天音が秘部を舐め始めた。
「や……やめ、やめて天音……あっ、あぁっ!」
秘部へと意識を向けた沙夜を、美海は乳首を強く握ってその意識を引きずり戻す。
そうして意識をそちらに向ければ、今度は天音が秘部を舐めあげて陰核に吸い付くのだ。
「あひっ、あ、あぅ、うあっ、あぁっ!」
二人がかりで責め立てられ、紗夜の意識は徐々に曖昧になっていく。
さながら、酷く出来の悪い白昼夢だ。
全身を巡る血液が全て鉛にでも変わってしまったかのように、身体が重く動かす事がまるでできない。
「ほら、紗夜ちゃん。こっちを向いて」
美海がその顔を振り向かせ、沙夜の口内に舌をねじ込んだ。
「んむっ……ん、う、うぅ、んぅ……」
美海の舌が、口内を暴れ回っている。
骨の髄から溶かされていきそうな甘だるさ。
脳髄は芯から痺れて、思考が全く働かない。
「ぷはぁっ……けほっ……うぁ……あぁ……」
口が解放されたとて、二人の責めは終わらない。
乳首を、陰核を、膣を入念に、徹底的に嬲られ続け、紗夜は絶頂にその身を震わせた。
「気分はどう沙夜ちゃん? とってもいい気持ちでしょ?」
「あ……あぅ、あっ……あぁ……」
虚ろな目でその身を震わせる沙夜には、もはや返答をする余裕は残っていない。
だが、悪夢はまだ終わらない。
意識もそぞろな紗夜を、二人は更に責め立てる。
「ダメだよ、沙夜ちゃん。ウロボロス様はこんなに優しくないんだから」
「慣れておかなきゃ、ね?」
あやすような口調と共に、地獄は再び始まりを告げた。
もはや泣こうが叫ぼうが許されない、いつ終わるとも知れない拷問じみた蹂躙。
何度絶頂を迎えたかも、もう分からない。
砕けて纏まらない思考は何も考えられず、身体はただ与えられる快楽を貪るだけだ。
「あ、ぁぁ……あ、はぁ……」
息も絶え絶えといったその姿はこの上なく、淫靡に仕上がっていた。
乳首は固く尖り、陰核は強く充血して、秘部からは淫らな蜜がぼたぼたと滴り落ちている。
「これくらいで十分かな。さ、行っておいで沙夜ちゃん」
背中を押されて、紗夜が倒れ込む。
「あ、あうぅ……っ!」
それだけで全身を走り抜ける衝撃に、沙夜が嬌声をあげた。
だが、それは──すぐそこに存在する悪夢の、幕開けでしかない。
「え、あ────」
文字通り一瞬で、ウロボロスの触手が沙夜の四肢を絡め取った。
ぎちぎちと締め付けられた手足は全く動かず、沙夜はただ眼前のウロボロスを睨み付ける事しかできない。
「ま、待っ──」
言葉を発する間も与えられずに、ウロボロスがその身体を侵食する。
既に美海と天音の手で幾度となく絶頂を迎えさせられた身体は、あっさりとウロボロスのモノを受け入れ、突き上げられる度にその身体を歓喜に震わせる。
「あぁっ……あ、あう、うぁっ……!」
触手が乳首に吸い付いて、強く吸われる都度に絶頂をする。
その口にも触手がねじ込まれ、紗夜は必死でそれを舐めしゃぶっていた。
「んむ、うくっ……ん……んぅっ……」
全身を嬲り続ける触手は、絶えず媚薬のような分泌液を放出し、沙夜の身体を徹底的に作り替えていく。
既に大量にそれを飲まされ、塗りつけられたその身体は意図も容易く絶頂を繰り返し、紗夜の何もかもを打ち砕く。
「────」
もはや思考など、とうに止まっていた。
確かなものは、快楽に溺れ続けているという現実だけ。
自分が何者で、何をするべきだったのかも、その全てがどうでもいい過去でしかない。
「ぷはぁっ……あぁっ……はっ……あぁっ……」
触手が口から引き抜かれても、紗夜は呆然と虚空を見上げたまま。
「あぁ……気持ちいぃ……もっと、もっと下さいぃ……」
譫言のように、そう懇願する紗夜にはもう何も残ってはいない。
意思も未来も無くした哀れな肉人形として、終わりの無い絶望の中を漠然と漂い続けるのだった。
珍しく意識が闇に閉ざされていないな。まあ、どうでもいいことですけど。
最近一番難儀しているのは、間違いなくサブタイトル