後半精神操作関係ない気がする。いや、絶対関係ないなこれ。
今回は初の試み、一人称視点でお送りします。
闇が蠢く。
闇が轟く。
闇が戦慄く。
それは、底無しの混沌。
希望を絶望に。
善を悪に。
光を闇に。
闇をもたらす者、ウロボロス。
世界に牙を剥き、全てを反転させるもの。
ウロボロスは精神に取り憑いて、その在り方を真逆へ返す。
破壊衝動を礎とし。
破滅衝動を滾らせて。
あらゆる蹂躙と嘲笑を何よりの喜びとする──即ち"闇堕ち"。
ウロボロスによって闇に落とされた者は、表面上は普通の生活を送っている。
今までと何も変わらないように取り繕い、突如悪意を以て害意を成す。
それが潜み蠢動しているのは、異能の力に目覚めた少女たちが集う青蘭島と呼ばれる場所。
これから語られるのは、ウロボロスによって闇に堕ちた少女がもたらした──絶望の物語。
黄昏色の光に染まる教室。
時は既に放課後を迎え、現在時刻は丁度五時を回ったところだ。
誰もいない教室の中、私──小鳥遊希美はある人物を待っている。
──壊セ。
身体の奥底から、重く響く嗄れた声。
心臓が小さく跳ねる。
その声が、身体に熱を灯す。
じくじくと少しずつ、自分の中の何かが溶かされていくのをここ数日、ずっと感じ続けている。
──壊セ。
その声に逆らえない。
まるで、身体と思考の主導権を握られているかのよう──そうでなければ今からやろうとしている事など、思い付く事さえ無かっただろう。
「…………」
かちりと。
時計の長針が十分の経過をつげた。
約束の時間まで、あと五分。
来なくていい、来なければいい。
それは、自分の中のまともな部分が叫び続けている思考。
もし約束を反故にしてこの場所に約束した人物が来ないのなら、私は友人をこの手で地獄に落とさず済むのだから。
ポケットから、携帯を取り出す。
用事が出来て来れなくなったと、連絡でも入っていないだろうか──祈るようにして見た画面には、何の連絡も入っていない。
間もなく来てしまう、その時が。
私に地獄へ叩き落とされるために、友人がここへ来てしまう。
私がこの場所を出ていこうにも、足はまるで縫い付けられたかのように動かない。
かちり。
あと一分──遠くから、靴音が聞こえた。
「…………っ」
奥歯を噛み締める。
届かなかった願いに、落胆の溜め息が溢れた。
「来たけど、どうしたの、希美?」
教室の扉が開き、その人物が入ってくる。
音羽ツバサ──薄緑色の長髪が目を引く、愛らしい美貌を持つ少女。
冷静沈着でクールな性格をした、高嶺の花と謳われているその彼女を私はこれから──。
『……今日は、暑いね』
私は呟く。
時刻と春という季節柄、現在は寧ろ涼しいくらいだ。
なのに。
「本当に、暑いわね」
ツバサはその言葉を肯定する。
その返答に含まれた違和感に、彼女自身は気付かぬまま。
『気温が三十度を超えているんだって』
勿論、そんな事はない。
教室の片隅に置かれている温度計の表示は二十四度──まともな感覚をしていたのならば、すぐにでも否定されるような下らない嘘。
「そうね、こんなに暑いもの。それくらいはあるでしょうね」
ツバサの頬を、一筋の汗が伝う。
それを彼女は、ハンカチで手早く拭った。
普通に考えるのならば、汗をかくなどあり得ない温度──それを可能にしているのが、私のエクシード能力。
精神操作──対象の印象や気分、感情及び認識を自在に操る事ができる能力。
たとえ現実の温度が二十四度であろうとも、今ツバサだけは体感が三十度を超えていると感じており、肉体はそれに応じた反応をしているのだ。
この能力が持つ恐ろしさは、それだけでは終わらない。
『服を脱いだら、少しは涼しくなるよ』
私の言葉に、ツバサは首を縦に降る。
「ええ。脱がせて貰うわ」
私の目の前で、ツバサは服を脱いでいく。
制服を、ワイシャツを、スカートを──上下に揃った下着さえ、何一つ疑問を持つことなく。
この能力の真骨頂──それは"能力者の言葉には絶対に従わなければならない"と、対象に認識をさせる事ができるということ。
その条件は、相手が自分の言葉を二回以上肯定した時から。
つまり現状、音羽ツバサは──私の言葉に隷属する操り人形と化したも同然だ。
「ツバサって、オナニーはするの?」
だから、こんなどう考えてもおかしい質問にだって。
「ええ、しているわ」
まるで普通の会話をしているかのように、返答が返ってくる。
「…………」
僅かに奥歯を噛み締める。
ウロボロスが真っ先に私に目を付け、闇堕ちをさせたのはこの能力に目を付けたからだった。
もはや私には、私自身の意思がほとんど残っていない。
今の私はウロボロスによって突き動かされるままに、友人を辱しめている。
だがそれでも、もう引き返す事などできはしない。
既にウロボロスによって身も心も砕かれた自分は、たとえ間違いであろうともウロボロスに隷属する他ないのだから。
「じゃあ、はい」
鞄の中から、ローターを取り出して渡す。
「いつもしてるみたいに、オナニーしてみせて」
ローターを受け取ったツバサは、当然のように乳首や秘部を弄り始めた。
少し経ってから気分が乗ってきたのか、手にしたローターのスイッチを押して秘部に押し当てている。
「……く、う……んっ……」
その顔は紅潮し、口からは押し殺したような喘ぎが漏れている。
学校で、友人を前にして自慰行為をさせられている──ただでさえ異様な光景で異常な事態、それが。
「ツバサ」
そう呼び掛けて。
『今から、ツバサの感度が十倍にはね上がるわ』
異常性は加速する。
自慰行為に耽っていたツバサは、急激にその反応を違えて絶頂を迎え出した。
汗を、体液を撒き散らしながらツバサは嬌声をあげている。
この時間ならば生徒はほぼ残ってはいないが、見回りの教師が来ないとも限らない。
時計に目をやれば、時刻は五時半を過ぎた頃。
そろそろ切り上げ時だ。
『もう終わりにして』
言われるがままに、ツバサはその動きを止めた。
急速に引き上げられた身体の感度に脳の理解が追い付いていないのか、唇の端から微かに涎がこぼれその瞳が虚ろに震えている。
「……あ……ぁ……」
ツバサに、鞄から取り出したタオルを渡す。
それでツバサが体を拭いている間、私は雑巾で濡れた床を拭きあげた。
今日はここまでだ。
この様子ならば快感の底に落とすことも、そう難しくはないだろう。
元通りに服を着たツバサに、私は笑いかけた。
『そのローターはあげるから、これから一ヶ月徹底的に自分で開発をして』
私の言葉にツバサは頷き、ローターを鞄へしまう。
教室の電気を落とし、連れ立って校門へと歩き出す。
「じゃあ、またね」
夕暮れ時の柔らかな光が、いやに眩しく目に刺さる。
遠ざかっていく友人の背中を見送りながら、無意識のうちに拳を握り固めていた。
それから、一ヶ月が経過した。
「ふ……ンぐっ! うゥ……ア、あァッ……!」
ここは、アイドルである私の──専用の練習室。
その中でさっきからひっきりなしに、押し殺したような悲鳴が響いている。
声の主は言うまでもなく、音羽ツバサだ。
手は後ろ手に拘束され、口にはボールギャグが嵌められており喋る権利すら奪われている。
一ヶ月、私の言葉に従って自分の体を開発し続けたツバサの身体は、とてつもなく敏感になっていた。
尤も、全身の感度を十倍にもはね上げられた状態で自らの体を開発していたのだから、当然の結果ではあるのだが。
そんなツバサは今、部屋の端から端まで渡された縄の上をゆっくりと歩いている。
縄には友人から借りた媚薬がたっぷりと塗られており、彼女は一歩足を進めるごとに絶頂を繰り返していた。
「うゥ……ふ、あ、あァ……」
縄には等間隔で結び目が作られており、そこに辿り着く都度よりいっそうの快感が襲いかかるようになっている。
加えてツバサの両乳首、およびクリトリスに取りつけられているローターが絶えず振動を続け、その思考能力を極限まで削ぎ落として快感の泥沼へと沈めていた。
「ほーら、頑張って歩かなきゃ、終わらないよ」
嘲笑混じりに私の口から出る言葉は、もはやウロボロスのものでしかない。
ツバサが私に今こうして壊されているように、私自身もウロボロスに壊されている。
青蘭島の皆が、眼前の彼女が知っている小鳥遊希美など、もはやこの世界には存在しない。
今ここにいるのは、その存在をそっくり借り受けた──悪魔でしかないのだ。
「う、ンぐ、うァ……!」
これが始まってから一時間は経過している。
その間に、ツバサは果たしてどれだけ絶頂を迎えたのか──それは彼女にしか、否、おそらく彼女自身でさえ分かっていないだろう。
「…………」
秒針が時を刻む。
目の前には希望に縋りその歩みを進めるツバサがいる。
終焉はもうすぐ。
ただその時を、私は静かに待ち続ける。
更に一時間が経過し、ツバサはようやくその縄を渡り終えた。
縋るような視線でこちらを見るツバサの下へ足を進め、彼女を苛む全ての拘束から解放した。
「けほっ……ぁ、はぁっ……はぁっ……」
もはや自らの足ではたっていられない程に体力を消耗したツバサは、解放と同時にその場にへたり込む。
弱々しくこちらへ向けている視線は、もはや死に体の獲物のそれであり──そこにはかつて気高くあった面影など微塵も残っていない。
「ぁ、はぁっ……はぁ、ぁ……」
ボールギャグによって口を長時間塞がれていたからか、言葉一つ出すにも難儀をしているようだった。
私はそんなツバサを更なる地獄へと突き落とすべく、次なる用意を始めている。
「…………あ、ぁ」
ツバサがまともに意識を取り戻した頃には、とっくに準備は終わっていた。
ツバサの身体は乳房を強調するようにして縛りあげられ、その足はM字型に開かれて固定されている。
「の、ぞ……み……」
譫言のようにそう呟く彼女の乳首を、軽く指で弾く。
案の定ツバサは体を強く戦慄かせ、小さな叫びと共に絶頂をまた一つ迎えていた。
「私の事は、"ご主人様"って呼ぶこと。分かった?」
私の言葉に、ツバサは愕然とした表情を浮かべている。
能力を使えばそう呼ばせる事も簡単なのだが、それでは面白くない。
あくまで自分の意思でそう呼ばせるために、徹底的に叩き込んでやらないといけないようだ。
「返事は?」
ツバサの両乳首を、ぎゅっと摘まむ。
「────!」
声にすらならない叫びが耳をつんざき、彼女は狂ったようにその身を捩らせている。
乳首を擦る、摘まむ、舐める、甘噛みする。
この練習室は防音性能が大変高いが、それを破らんとする程にツバサの絶叫が響いている。
「わっ……分がりましだッ! わがりましだご主人様ぁっ……!」
ほぼ白目を剥き、絞り出すような声量でツバサはそう言葉を出した。
「そうそう、そういう事。私賢い子は好きだよ……ごほうびをあげるね」
ディルドを取り出して、ツバサに見せつけるように鼻先に突きつける。
ツバサの顔面は血の気が引いており、ほんの僅かに残った正気が嫌々とその首を横に降った。
「ふーん……」
笑みを浮かべる私とは対照的に、ツバサはもはや泣き出しそうな顔をしている。
勿論そんな事は、今の私にとっては全く関係の無いことであり。
「ぁ、ぅ…………」
加虐心を昂らせる、最高のアクセントでしかない。
手にしたディルドで秘部を周辺をなぞっていく。
ツバサの秘部はひくひくと何かを期待するように小刻みに震えており、既に新たな蜜を滴らせている。
「あは、もうこんなに濡らしちゃって。本当に淫乱だねツバサは」
「ち、違……! 私、そんなんじゃ────」
反論を聞き届けること無く、手にしたディルドをツバサの膣内へ押し込む。
「あ、あぁ……! あああぁっ……!」
ツバサの身体が大きくのけ反り、目を剥いてその身体を震わせる。
ディルドを出し入れするたびに、ツバサはその口から悲鳴のような喘ぎを漏らし、その都度絶頂に狂わされていた。
「あぅ、あ、や、やめっ……やめて、くだ、さい、ご主っ……ご主人様ぁっ……!」
ツバサの口から溢れる息絶え絶えの懇願も、私にとっては癒される音楽のようだ。
「────」
私はもう、この少女を壊す事しか考えていない。
嬲る、犯す、蹂躙する。
眼前で嬌声をあげ、淫靡な姿を晒しているツバサを徹底的なまでに破壊している。
泣き叫びながら、尚も絶頂に奔流されているその姿。
それを見ているのがこの上なく楽しくて、嬉しくて。
嗚呼、私は──こんなにも歪んでいる。
自嘲じみた笑いをこぼしそうになる。
堪らなくおかしくて、腸が捻れてしまいそう。
「もっともっと、壊してあげる。何もかも、どうでもよくなるまで──ね」
耳元で密やかに囁いた。
この拷問紛いの蹂躙は延々と続き、終わりは遠く彼方にある。
そう──この少女の心が完全に折れて、その全てが打ち砕かれるその時まで。