「ん…………」
重苦しい闇の中、一人の少女がゆっくりとその瞼を開ける。
見目麗しい容貌をした銀髪の少女──ナイア・ラピュセアは周囲を見渡し、現状の認識を始めた。
全く見覚えの無い場所、薄暗く静まり返った部屋。
そして、十字架のようなものに拘束された己の身体──成程、自分は誰かに囚われているらしい。
「全く、面倒な事だ」
四肢に力を入れても、当然のごとく拘束が溶ける気配はない。
リンケージも呼び出せる気配がないのは、この拘束具が能力の発動を封じているからだろう。
そこまで思考を巡らせた時、突如として部屋がその明るさを取り戻し一人の男が姿を現した。
「意識が戻ったか──ようこそナイア・ラピュセア。私の
口角を歪ませて笑う男に、ナイアは苛立ち混じりの視線を投げた。
「誰だか知らないけど、あたしに一体何の用だ」
靴音を立てて男はナイアに歩みを進め、服の上からその乳房に触れる。
「お前ほどの美女を捕らえてする事など、一つしかないだろう?」
「…………変態野郎が」
男が懐から取り出した鋏が、ナイアの衣服を切り裂いていく。
抵抗もできないままに切り裂かれ晒された裸身を目の前にして、男が感嘆の声をあげた。
「思っていた以上に素晴らしい身体だな。嬲りがいがありそうだ」
吐き気の催すような言葉を聞いて尚、ナイアは身じろぎ一つしない。
男の指がその身体に触れ、まさぐってもナイアは何も感じない。
「お人形遊びが趣味か? 全く、下らない」
ナイアは強がっているのではなく、実際に何も感じていないのだ。
それが、ナイアが統合軍による訓練の中で編み出した特殊な技術──自分の感覚を任意に遮断できるというそれは、この状況下においてこの上なくナイアを優位に立たせている。
「その反応、どうやら本当に感覚を遮断できるらしいな」
男の言葉に、ナイアは僅かに眉根を寄せた。
「誰にも話した事なんてないはずなんだけどな」
「調べてないとでも思っていたか? 特にお前みたいな奴は、どんな隠し球を持っているか分かったものじゃないからな」
男が深く溜め息をつく。
「哀れなことだ。なまじ血の滲むような努力や特訓をしてきたばかりに、地獄を味わうことになるんだからな」
男の言葉に、ナイアは不可解なものを感じ始める。
まるで、そう──この感覚の遮断という絶対的なアドバンテージを覆す手段があるとでも言うように。
「さすがに察しがいいな。これから起こることを理解できたか」
男が扉に向き、懐のスイッチを押す。
無機質な機械音を立て、何かが室内へと足を踏み入れた。
「紹介しよう。これが私の作成したアンドロイド──コードΩ96ドールだ」
男の横に、一体の少女が並び立つ。
ショートボブの金髪に、光を宿していない双眸。
そして何よりも、その全身が纏う異様な空気。
知らず、ナイアの頬を一筋の汗が伝った。
「始めるぞ、ドール。服を脱げ」
男の言葉に従い、ドールがその衣服を脱いでいく。
そうしてナイアの前に、雪のように白い裸身が晒された。
「エクシード能力──『フェイク・リンク』」
迸る閃光が、視界を白一色に染め上げる。
時間にして僅か数秒──空間が沈黙に包まれた。
「…………?」
訝しむナイアの前で、男はドールの背筋を指でなぞる。
瞬間。
「…………!!」
あるはずのない感覚。
あってはならない感覚。
遮断しているはずの感覚が。
背中を一筋、何かが這っていった。
ナイアが眼前を睨み付けると、男は愉快げに口を歪めていた。
男はナイアに見せつけるようにして、ドールの乳首を指で軽く弾いた。
「ッ!!」
ナイアの乳首に、衝撃が走った。
ありえない、ありえない、ありえない。
ナイアの頭が急速に混乱していく。
あってはならないはずの現実を目の前にして、理解が追いついていない。
「そんな……ことが……っ!!」
ナイアの狼狽に男が笑う。
「理解できたか? このドールの能力は、ドール自身を擬似的なαドライバーとしてプログレスに強制的なリンクをし、ドールの受ける苦痛や快感を、代わりにリンクをしたプログレスに与えるのさ。いくら自分自身の感覚を遮断できようとも、他者の受ける快感は遮断できまい」
男の言葉に、ナイアの顔から血の気が引いた。
それはつまり。
「お前はもう俺の人形も同然だ」
男がローターを取り出し、ドールの乳首へと宛がう。
「あぐ……く、あ、ぁ……!!」
がちゃがちゃと拘束具を鳴らして悶えるナイア。
その様相は普段の余裕など微塵もなく、ただ嬲られるだけの弱者でしかない。
「このドールの身体には既に媚薬が塗ってあるからな。よく効くだろう? なあ?」
混乱と快感を同時に叩き込まれながら、ナイアは強く歯を噛み締める。
「ふざ、けるな……ッ!! この程度であたしが折れるとでも……!!」
ナイアの言葉に、男は小さく首を横に振る。
「そう、折れないだろうな。だが残念──
ナイアにとって、最大にして最悪の誤算はただ一つ。
この男が、ナイアの遮断技能を
ぴしり、と何かに亀裂の走る音がする。
それは。
「…………まさ、か」
遮断していた感覚の防壁が。
ゆっくりと。
「…………そんな──あ、ぁ、あうぅっ……!!」
音を立てて、崩れていった。
途端に拘束具に走る痛みに、ナイアは顔をしかめる。
「遮断したはずの感覚がもたらされるのなら、バグを起こして当然だろう? 尤も──通常なら絶対にあり得ない話だ。お前が知らなくても無理はないか」
男は拘束されたままのナイアの身体に、媚薬を塗りつけていく。
「あ、ぃ、嫌、や……やめ、て……嫌、ぁ……」
普段のナイアからは到底考えられないような懇願に、男は満足げな笑みを浮かべる。
「言っただろう? 本番はここからだと」
男はドールの両乳首とクリトリスにローターを張り付け、双頭ディルドの片方をドールに埋めた。
「踊れ、人形」
男がスイッチを押すと同時に、その全てが作動する。
「ぎいぃぃ! あぁ、が、あぁぁ!」
快感が弾け飛び、一瞬にしてナイアを蹂躙した。
いつの間に拘束が外されていたのか、ナイアの身体は拘束具を離れドールにその両肩を掴まれている。
「な、何──ひ、あぅ、あ──あぁぁっ!」
双頭ディルドのもう片方がナイアの膣内に侵攻する。
それだけに空き足らず、ドールはその両手でナイアの乳首を扱き始めた。
「が、あ、ぁ! うぁ、あ、あ──」
快感の濁流に、ちっぽけな思考がまるごと飲み込まれた。
悲鳴じみた叫び声をあげながら、ナイアの悉くが砕かれていく。
通常の二倍──否、それ以上の快感を叩き込まれて、ナイアは一秒ごとに絶頂を迎えて悶えている。
「いいザマだぞナイア・ラピュセア。お前のような飄々とした奴が余裕無く絶頂するのはたまらんな」
男の言葉など、もはやナイアの耳には届いていない。
ドールの身体と自身の身体、そしてドールの手によってナイアはもはや無様にイキ続けるだけの哀れな人形と化していた。
「まあ、安心しろ。この『フェイク・リンク』は精神防衛効果を完備していてな。精神が砕けて廃人になるような事も、気を失うような事もない。尤も、いっそ壊れることができた方が幸せだっただろうがな」
男がさらに、ナイアのクリトリスへローターを取り付けた。
眼を見開き、狂乱じみた絶頂を続けるナイアの思考は完全に崩壊している。
「精神遮断が仇になったな。余裕を見せているから、地獄を見ることになる」
男はドールを通りすぎて扉へと足を進める。
「明日また様子を見に来るから、たっぷり楽しんでいってくれ。それじゃあな。────ああ、楽しい人形遊びだったよ」
その言葉を最後に、扉は静かに閉ざされた。
後に残されたのはドールとナイアの二体だけ。
終わる事の無い快感の無限地獄が、永久に続いていく。
とても久しぶりにネタが思い付いたので、ナイアさんで書いてみましたがなんだこれは。意味が分からないよ。