どういう方向に持っていくか散々悩んでこういう形に。ジャンルとしては機械姦……なのかは分かりませんけども。
「ほほぉ……」
そこは、赤の世界の女神であるイリアの私室。
本を開き、読み入っているイリアの感嘆の声が、室内に小さく響く。
「凄いですね……これは……」
つい数日前に図書館から借りてきた本──そこに描かれているのは、金髪のエルフが触手の化物に犯されている姿である。
その文字が、表情が、表現が。
イリアの心をじくじくと疼かせ、視線を釘付けにする。
ごくり、と唾を飲み込んでページを捲るイリア。
ひどい目にあっていくエルフと同調するかのように、知らずイリアの息は上がっていく。
「……ふぅ……はぁー……」
本を閉じたイリアが、大きく嘆息をついた。
イリアとて、知識としてだけならば知っている。
だが、どうなのだろう。
実際に、そこまで気持ちいいものなのだろうか。
「…………」
どくんどくんと、心臓の鼓動が高鳴っていく。
知りたい。
これほどの、とてつもない快感を。
この身体で、存分に味わってみたい。
好奇心が止められない。
まるで熱に浮かされたように、身体が芯から昂っていた。
「こうしてはいられませんっ! さっそく、行かねば!」
そうしてイリアは走り出す。
全身から溢れ出す、衝動に突き動かされるように。
「Dr.ミハイルー! いらっしゃいますかー! お願いがあってきました!」
Dr.ミハイルの研究室の扉を勢いよく開け、イリアがその姿を現した。
「……もう少し、扉は静かに開けてもらっていいですかイリア様」
額を押さえて溜め息をつくDr.ミハイルに、イリアはすいませんと頭を下げた。
「……それで、そう! お願いがあるんですけど……これを!」
「……はぁ……」
イリアから手渡された本を、Dr.ミハイルは一頻り捲っていく。
「…………」
あからさまな程に、顔が険しくなっていくDr.ミハイル。
全て読み終わったその時には、すっかり怒りの形相へ変わっていた。
「……で、こんなものを私に見せて何を?」
「そういうことができる、マシンを造って欲しいんです!」
「……は?」
イリアの言葉に、Dr.ミハイルは目を丸くした。
「ですから」
イリアが先ほど突き返された本を開き、件のページを開く。
「こういうことが、できるマシンをです!」
そこに描かれているのは、触手の化物に犯されている金髪のエルフだ。
即座にこのページを開ける辺り、このシーンがそんなにお気に入りなのだろうか──そんなどうでもいいことを、Dr.ミハイルは考える。
「……欲求不満ですか?」
皮肉混じりにそう吐き捨てると。
「そうかもしれません!」
元気よく、そんな返答が返された。
「だったら適当なαドライバーを捕まえて致すのが、簡単で良いのでは?」
Dr.ミハイルのその言葉に、イリアは小さく首を横に降った。
「それは、できないんです」
──私は、女神だから。
──誰か一人のものにはならないし、なるわけにもいかない。
どこか寂しげに、イリアはそう呟いた。
「…………分かりました」
Dr.ミハイルは、溜め息混じりにそう返答する。
引き受ける気など更々無かったが、あんな表情を見せられては無碍に断るのも気が引けた。
「それでは、細かい条件などを詰めていきましょう。こちらで、じっくりとご要望をお聞きします」
こうして、Dr.ミハイルのセクサロイド製作は幕を開けるのだった。
時は流れ、半年後。
「完成だ……! ついに出来たぞ! 女神イリア様からの
Dr.ミハイルの眼前には、つい今しがた完成したばかりのアンドロイドが立っている。
外見はと言えば、メタリックカラーのマネキンそのものであり、不気味な気配が漂っていた。
「……Dr.ミハイル、本当にこれでいいのですか?」
背後から、セニアが不安を帯びた声色で呟く。
「……確かに、完成度だけで言えばお前たちより遥かに劣るだろう」
思考回路も言語機能も組み込んでいない。
外見からしても、セニアやカレンといったアンドロイドとは真逆──安っぽいマネキンじみた外見は、とてもではないが天才と名高きDr.ミハイルが製造したものとは考えられない程にお粗末だ。
「何しろ、全てのリソースを性的行動に振ったからな。……考えてもみろ。例えばこいつに、中途半端に言語機能や思考回路を振ったとしたら」
「したら?」
「こいつはお前の事を、お姉ちゃんと呼ぶんだぞ」
「……それは、嫌ですね。Dr.ミハイル、私──こんな弟は嫌です」
セニアが、心底嫌そうな表情を浮かべた。
そうだろう、とDr.ミハイルはその言葉を首肯する。
「さて、さっさとあそこに運び込むか。それと後で、イリア様に招待状を頼む」
「畏まりました。Dr.ミハイル、仰せのままに」
システムホワイトエグマに、いつの間にかひっそりと新設された謎の建物。
招待状に記された場所にたどり着き、イリアは建物を見上げていた。
「いつ出来たんですかねこんなの……友達の女神も知らないって言ってましたし……」
周辺を歩いてみるも、出入口は一つだけらしく窓さえも見当たらない。
「まあでも、入ってみるしかなさそうですね! 突撃ー!」
勢いよく扉を開け、踏み込むイリア。
その直後、扉が閉ざされてロック音が小さく響いた。
「えっ? な、何? もしかして閉じ込められちゃいました?」
周囲を見渡すと、眼前には巨大な扉。
たった今入ってきた入り口は固く閉ざされて、現状では開きそうにない。
「うーん……どうすればいいんでしょうねー……」
顎に手を当て、思考するイリア。
そこへ。
『利用者の来訪を関知。お待ちしておりましたイリア様』
無機質な機械音声が、扉から響き渡る。
『これから、あなたの願いを満たすための催しが始まります。そのための準備と致しまして……まず、服を全部脱いでください』
「えっ」
言われたことが頭を素通りし、イリアが呆然とする。
『ですから、服を全て脱いでください。服を全て脱いで頂かないと、この扉は開きません』
「……な、なかなか飛ばしてますね」
もうこの時点で、だいぶ嫌な予感しかしない。
イリアは額に脂汗を浮かべながら、指示通りに服を脱いでいく。
『確認しました。……それではどうぞ、心ゆくまでお楽しみください』
一糸纏わぬ姿となったイリアの前で、扉がゆっくりと開いていく。
おそるおそる踏み込んでみれば、先程と同じように背後から扉の閉まる音。
そして目の前に広がっているのは。
「なんですかね、ここ」
奥行きのある、白一色の空間。
これから何が起こるのだろうか、ひとしきり歩いて見回り部屋の中を確認する。
「……ん?」
部屋の中央の床に、赤い丸が印されている。
見るからに怪しい。
怪しいのだが、この部屋にはそれ以外には何も見当たらない。
つまり。
「あそこに行けってことですよねぇ……」
警戒心を露に、印されている場所へ近付く。
周囲に立っても変化はない。
溜め息を一つついて、赤い丸の中へ足を踏み入れると。
『これより、命令を実行します』
どこからともなく響く機械音声と共に。
天井から伸びたアームが、イリアの腕を絡み取る。
「えっ! ちょっと何を!」
アームはそのままイリアの腕を束ねて、頭の上に固定してしまった。
誰が見ているわけでもないのだが、羞恥心を煽られイリアの顔は赤くなる。
「凄い力……このっ、びくともしないなんて……!」
アームを外そうとするイリアの耳に、再び別の音が聞こえてくる。
それは、紛れもなく何者かの足音だった。
「こんな状況で……だ、誰ですか!」
イリアの眼前に現れたのは、メタリックカラーのマネキンとしか形容しようが無いものだった。
全身が鈍い銀色に輝き、股間には生殖器代わりだろうか、極太のバイブが取り付けられている。
「マ、マネキン? な、何でこんなところに? まさか、これがDr.ミハイルに頼んでいた──」
マネキン、否──特注のセクサロイドはそのままイリアの背後へと回り込み、無防備なイリアの胸を揉みしだき始めた。
「ちょっ、何を! や、やめてっ! やめてください!」
イリアの言葉など聞く耳持たず、セクサロイドは淡々とイリアの乳房を揉んでいる。
「やめ、む! ぐ──」
セクサロイドが突然イリアの顔をつかみ、その唇を強引に重ねる。
セクサロイドの口から液体が放出され、イリアはまともにそれを飲み込まされた。
「けほっ、ごほっ……な、何ですか? 今の……」
むせるイリアを尻目に、再び乳房を揉み始めるセクサロイド。
「────っ!」
先程までとは、まるで異なる衝撃。
イリアの思考が、一瞬にして快感に飲み込まれる。
「さっきまでと全然違う……! あれって、まさか」
セクサロイドの腕は、乳房からその中央たる乳首へ。
優しくゆっくりと、セクサロイドの無骨な指がイリアの両乳首を撫で回す。
「うあっ……あっ……あああっ……!」
全身が痺れるような快感。
あまりの気持ち良さに、視界が忙しなく点滅している。
「────」
セクサロイドの指が乳房を離れ、その下へ。
既に濡れほぞりひくつく秘部へと、その侵食を開始した。
「あっ……! あぁっ……!」
大きく身体をのけぞらせて、悶えるイリア。
イリアがここまで乱れているのは先程大量に飲まされた媚薬の効果もあるが、それだけではない。
性技に完全特化したこのセクサロイドは、対象の最も弱い所を的確に探り当て、責め立てる事ができるのである。
「ひっ……! いぃぃ……!」
何度も絶頂に叩き込まれては引き戻される。
それを繰り返すこと数度、イリアの意識が曖昧に蕩けていく。
「え、あ? あ──」
だが勿論、それで終わるようなセクサロイドではない。
機械音を立てて、何かが飛び出す音。
それは、全く同じ造りをした一対の副腕だった。
「あ、嫌、あ──ああっ!」
主腕が苛烈に秘部を責め立て、副腕は乳首を入念に責め立てる。
その快感は先程のものと比べるべくもなく、あまりにも重い。
「あぅ、ぁ、はあぁっ……!」
頭の中が、ひどくかき回されている。
ひっきりなしに電流が走り抜け、骨の髄まで溶かされているようだ。
「はーっ……はーっ……」
幾度となく絶頂させられ、肩で息をするのがやっとのイリア。
ふと前を見ると、セクサロイドはその動きを止めていた。
「……終わったん、ですかね?」
そんな事を口にするも、そうでない事はイリア自身が薄々分かっていた。
それはむしろ、ようやく準備運動が終わったと告げるような──そんな空白。
イリアは、Dr.ミハイルに渡した本のページを回想する。
描かれていたのは触手の化物。
そして、自身が出した要望もまた──。
目の前で音を立てて、セクサロイドは更なる変化を遂げていく。
副腕は収納されたものの、背中からまるで翼のように機械の触手が生えている。
「……!」
イリアが、恐怖と期待に喉を鳴らす。
ほぼそれと同時に、セクサロイドから放たれた触手がイリアをめがけて襲い始めるのだった。
「あ──は──」
イリアに、思考する時間すら与えられない。
セクサロイドの触手はあっという間にイリアの身体へと巻き付き、侵攻を開始する。
「あ……あ……」
二本の触手が、口のように開きイリアの乳首へと食らいついた。
「ひっ──」
ざらざらと舌じみたものに、乳首が舐め回されている。
さらにその舌が媚薬を分泌しているのか、秒を追うごとにイリアの乳首はその感度が増していく。
「あ、あうぅ……」
それと同時に、別の触手は秘部への責めを開始していた。
十分に濡らされたイリアの秘部は触手を容易く受け入れ、文字通りに突き上げられている。
「うあっ……あぁっ……!」
もはや頭は痺れきっていて、思考がまともに働かない。
ただ与えられる快楽を享受する──今のイリアは、そういう存在に成り果てているのだ。
「む、ぐ──」
触手は口の中にまで入り込み、イリアの全てを蹂躙する。
全身を絡め取る触手の全てが、それぞれの箇所から媚薬を放出し──その身体をより敏感なものに作り替えていく。
「ぐ、ぐうぅ……」
もはや言葉を発することさえも叶わず、イリアは呆然と空を見つめている。
見ていた本と同じ──否、それ以上の状況と化した己の状況に、イリアの身体は無意識の内に淫らな熱を帯び始めていた。
「(……気持ちいい……)」
まるで、揺り篭に揺られているかのよう。
蕩けきった脳は、もう何も考えることさえできなくて。
「(……もっと……もっ……と……)」
まるで眠るようにして、イリアはその意識を手放した。
Dr.ミハイルの造ったセクサロイド・XGはエクスタシー・ゴッデスの略です。Dr.ミハイルがイリアの要望を満たすためにあらゆる陵辱エロ本を読み込んで、その全てを詰め込んだハイパーセクサロイドであり、XGの性技はほぼ最高と言っても過言ではありません。その過程でDr.ミハイルの性的嗜好がだいぶ危なくなっていますが、それはまた別のお話です。