※この作品はR-18です。

このあとめちゃくちゃなんとやら   作:すこやかおにぎり研究所

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夏生×卯月_2

■卯月視点-続

 ――夏生さんの太腿の上に乗って向かい合う。

 首の後ろに手を回したままゆっくりと腰を落とし、ぬぷりとした感覚と共に少しずつ熱い塊を飲み込んでいく。二回目だからか引っかかることもなくすんなり受け入れることができて、そのことに少しほっとする。

 根元までしっかり飲み込んだ状態で、しばらくは互いにじっとしていた。脈打つ彼を感じているだけで身体の中がきゅんと疼いてたまらない。

「……気持ちいいです、卯月くんの中。温かくて柔らかい……」

 耳元で囁かれるのは、いつもより少し低く掠れた甘い声。彼もちゃんと感じてくれていることが分かって、それだけで幸福な気持ちになる。

「いつもと違って、きみの視線が高いですね。ふふ……なんだか新鮮です」

 そう言って夏生さんが首筋に顔を埋めてきた。彼のさらりとした髪がくすぐったくて身を捩るも、逃さないとばかりにすかさず抱き寄せられてしまう。

「……だめ、そのまま居て?」

 甘えるみたいに言われてしまえば素直に従う他がない。

 観念して彼をしっかり抱きしめると、肌が密着した分よりダイレクトに鼓動と体温が伝わってきた。

 ……正直少し照れるけど、外で立派に先生をしている分俺にはたくさん甘えてほしい。こうして体を重ね合えるのも『恋人同士』の特権だし――そんなことを思いつつ、ぐずる子供みたいにして頭をこすり付けてくる夏生さんの綺麗な髪を優しく撫でつけていく。

 安心しきった声を漏らす彼が可愛らしく思えて、つい頬や瞼に何度も口付けてしまう。

 ――しばらくされるがままになっていた夏生さんが、やがて小さく微笑んでからこちらを上目遣いに見つめていたずらっぽく囁いた。

「卯月くん……僕に『好き』って言ってください。こちらを見つめて『愛してる』って、たくさんたくさん言ってください」

「っ、………………す、すきです」

「どのくらい?」

「えっ、えっと………誰よりも一番、です。……愛してます。世界で一番大切で……――言葉じゃ全然足りないぐらい、夏生さんが大好きです!

 ……いや、そうじゃなくてもっと、こう…………――目も鼻も唇も、ほっぺも髪も、手も指先も、腕も胸もおなかも背中も、それと脚と――違う……そういう話じゃなくて、ええと……。

 ………な、夏生さんの優しいところが好きですっ。公平無私っていうか――心から誰かに寄り添えて、雰囲気も態度もいつも柔らかくて余裕があって……夏生さんは俺の憧れで、尊敬できる素敵な人でっ」

 一度勢いづけば、言いたいことが次から次に溢れてくる。

 普段なら恥ずかしすぎて絶対言えないけど、だからこそ今のうちに全て伝えてしまいたいと思った。

「でも、少し抜けてて危なっかしい部分とか、朝に弱いところとか、本当はすごく甘えん坊だったり、逆に困るほど甘やかしてきたり……そういうところも含めて全部、全部(ぜんっぶ)大好きですっ。……あと俺のこといつも『かわいい』って言いますけど、俺からしたら夏生さんだって超可愛いんですからね!」

 一息にまくし立ててしまった後でハッと我に帰る。

 途端にぶわっと顔が熱くなった。落ち着きを取り戻そうとするも、それより先に夏生さんに強く抱きしめられて頭がぐるぐるしてしまう。

「……えへへ、嬉しいです。まさかこんなにたくさん、きみの想いを聞けるだなんて……ふふ、おねだりしてみるものですね」

「よ、良かったです。いつもは全然言えないので……」

 素直な感想を口にすれば夏生さんはさらに笑みを深めてくれた。

 ――そして俺の耳元に唇を寄せると、吐息混じりに甘い声で囁き始める。

「僕も、心から卯月くんのことが好きです。……真っ直ぐで誠実なところ、努力を常に怠らないところ、他人を自然と気遣えるところ、一緒にいるだけでなんだか心が安らぐところ、照れ屋さんでかわいいところ、一生懸命『好き』って気持ちを僕に伝えてくれるところ――ふふ、言い出すときりが無いですね。

 …………大好き」

「――――」

 背筋を震わす感覚は果たして歓喜か、劣情か。どちらにせよ、気付けば押し倒すようにして目一杯彼を抱きしめていた。

「おわ、」

 ――ベッドが軋む。

 夏生さんは口を開けたまま、背中をシーツに預けて呆然と俺を見上げている。

 ……心臓がうるさい。繋がった部分がとても熱い。目が合うと鼓動がさらに高鳴る。何か言わなければと思うのに声が出ない。喉の奥では声にならない音が響くばかりで、さっきまであんなに滑らかに動いてくれた舌は錆び付いたかのように動かない。

 ――夏生さんが一瞬きょとんとした表情を浮かべて、花が綻ぶように優しく微笑んだ。

 その瞬間、俺の胸中に渦巻いていた焦燥感のようなものが一気に霧散していく。

 ……好きだなあと思った。

 この人が本当に好きなのだと、心の底から強く感じた。

「……ずるいです、色々」

 ちゅっと鼻先に口付ければ、夏生さんがくすぐったそうに身を捩る。

 そのまま唇、頬、首と降りていって、痕が残らない程度の強さで何度か鎖骨の辺りを軽く食む。彼の漏らす悩ましげな声を聞きながらさらに舌を這わせていけば、やがて桜色の小さな突起に行き着いた。

 そっと口に含んでみれば、唾液がぐちゅりと音を立てる。柔らかなそれを軽く吸い上げて、舌先でちろちろと弄べば、頭上からまた甘い声が上がった。

「きもちいい……」

 思わず漏れ出たというような呟き。熱のこもった息と共に吐き出された言葉がじんわりと脳内に染みこんで、意識をくらりと揺さぶっていく。

 ――見上げれば蕩けたような瞳が向けられてぞくりとする。

 この人が誰のものでもあってほしくない。でも、今だけは自分のものであってほしい……そんな気持ちになってくる。実際それを口にすれば「僕は卯月くんのものですよ」なんて答えを当然のように返してくるんだろうけど――。

「………………あの、夏生さん……いつも言ってますけど、胸責めてるときに頭撫でられると、なんか……やりづらい、です」

「だめ?」

 伺いを立てながらも彼の手のひらは俺の頭をふわふわとやさしく撫で続けていて、それを振り払うこともできずただされるがままになってしまう。

「だめじゃないです、けど……」

 夏生さんの手つきはまるで赤ちゃんをあやしているようで恥ずかしい。

 ……でもそれ以上に、嬉しいと感じてしまう自分がいるのも事実。複雑な気持ちを誤魔化すように胸に顔を埋めれば、今度は後頭部からうなじにかけてゆっくり撫で下ろされる。その度にぞくぞくとしたものが全身を駆け巡って、気持ちよくて堪らない。

 快感に身をよじれば、性器が夏生さんの肌と擦れて更なる刺激が与えられる。

 ――もっと気持ち良くなりたくて、無意識のうちに腰を振ってしまう。夏生さんもそれに合わせてゆるく突き上げてきて。それがとても心地良い。

 挿れっぱなしですっかりとろけた内壁に彼のものをすりすり擦り付ける度に幸福感が溢れ出す。気持ちいいところを探って押し当てれば下からやんわり押し上げられて、それと同時に声が漏れた。

「卯月くん、――――」

 夏生さんが何か言った気がするけれど、意味を理解するよりも先に頭が真っ白になって背筋にかっと熱が広がる。

 ……囁かれた低い声が身体の内側へと溶け込んで、快楽の栓が緩んでいく。甘やかな快感がじんわりと広がっている間も夏生さんの動きは止まらなくて、優しく揺すぶられ続けていれば、だんだんとまた思考が蕩けていく。

「ん……っ、……ぅ、ぅ、ぁ……」

 気付けば腰が跳ねるように動いていて、夢中で快楽を追っていた。

 ――互いの吐息。唾液の混ざり合う音。軋むスプリング。結合部から漏れる粘ついた音。

「すき……ん、すき、夏生さっ、ん……っ!」

 そして自分のうわ言さえも、どこか遠くで響いているかのようにぼんやりとしか聞こえない。

 夏生さんがぎゅっと抱き締めてくれる。それに応えるように腕を回してしがみつく。

 密着した身体は体温も鼓動もまるでひとつになったよう。とろけるような多幸感に全身くまなく包まれて、このまま融けてしまいそうだと思った。

「ぁ、ぁ……ぅ、――〜〜っ」

 突き上げが激しさを増した。もう何度目かもわからない絶頂が近付いてくる。気持ちが良くてたまらない。目の前にいる夏生さんのこと以外何も考えられない。

 ただひたすら彼を求めた。

 ――やがて、夏生さんも小さく震える。

 ゴム越しに熱い飛沫を感じたところで、ふっと瞼が重くなった。

 

・・・

・・

・

 

「――何時だ、今」

 手探りでスマホを手繰り寄せる。液晶パネルの眩しさに目を細めながらロック画面を確認してみれば、すでに時刻は正午を回っていた。

 夏生さんとする時は、お互い翌日休みの時――つくづく意識していて正解だったと思う。俺はともかく、教師の夏生さんをこんな理由で遅刻させるなんて絶対あってはならないことだ。

「……んへへ……ちがいますよぉ……うづきくん、ボルシチってね……たべものなんですよぉ……」

 背後から訳のわからない寝言が聞こえてくる。振り向けば無防備によだれを垂らして眠る夏生さんの姿があった。

 ……この人は一体どんな夢を見てるんだろう。

 尋ねてみるにも起きた時には忘れているんだろうなと思いつつ、ベッドサイドにあるティッシュを取って彼の口元をそっと拭う。

 そのまま指先で頬を撫でてみればふにゃりと幸せそうに顔を綻ばせてくれるのがたまらなくて、衝動に任せて唇を重ねた。

 夏生さんの柔らかな栗毛を手櫛でとかしながら、何度もキスを繰り返す。甘い音が響くたびに彼への愛おしさが溢れ出すものだから止め時が分からない。

 

 ――ようやく我に返ったのは、目を覚ました夏生さんにキスの雨を降らされた後だった。




2022/08/24 誤字を修正→前後の表現を微妙に調整(「何も考えられない」が「何も考えられなくない」みたいなよくわからない感じになっていた)

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もにょもにょ続き書いてたのがまとまったので放出!
苦情、意見、感想、誤字脱字などの報告や評価をくれたりすると嬉しいし、そうでなくてもここまで読んでくれて感謝☆

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ふりかえり
・寝言の描写として咄嗟に出てきた台詞がほぼ「日常」のそれなあたりどうしようもなく血肉! 骨の髄! 元ネタについては単行本3巻を読もう(隙あらばダイレクトマーケティング)
・書きながら「受け側に回った夏生せんせいも見てえな…(日によってポジション変わるタイプのカップルなので同じ世界線のまま成立させられる)」と思ったので気が向いたらそれも書きたい+キャラの人となりを掘り下げるような描写も増やしたいと思ったけど多分そこまでの気力……無し! そ、そんな
└非エロだったら夏生が顧問してる調理部に卯月が紅茶の淹れ方を教えに行く話を読みたい(他人事)
・もにょもにょ続きを書き連ねていたのでそれぞれの文体が初出エピソードと変わってる部分あると思うけど大きく外れてはいないと思うので見逃してほしい
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