※この作品はR-18です。

R18 才能の権化が才能を無駄遣いしていることを嘆くのは間違っているだろうか   作:柔らかいもち

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 これが一番平和だと思う。時系列は3巻


ベルとシル

『ダイダロス通り』の奥に存在し子供達が住む廃教会『マリア孤児院』。ジークは暇になった時、修理した教会の懺悔室を使ってどんな悩みも真摯に向き合う『相談室』を開いている。使用料は一〇ヴァリス。貰った金は全て孤児院に寄付している。

 

 こんな怪しげな相談室でも利用者は意外と多い。『唐突に響き渡る「ヌゥゥゥヴォォォォォッ!!」という謎の雄叫びをどうにかしてほしい』『超絶カッコいい小人族(パルゥム)の雄の子供を孕みたい』『借金が二億ヴァリスあるけどどうやって返済したらいいのかわからない』等々、悩みの高低差が激し過ぎるが。

 

 そして今日も。一人の悩める子羊が相談室に訪れる。

 

「救いを求める者よ……汝の胸の内に抱えるものを打ち明けなさい。さすれば道は開かれん」

「本物の聖職者の方が言いそうなことを読み上げたみたいなセリフですね」

「文句あるならやめるぞ。というかガキどもにいい歳した大人二人が何してるんだって目で見られたからやめたい」

「うふふ、冗談です……では言いますね」

「はいはい」

「私は沢山の人を見てきたのですが……初めて見るような方がいまして。一目見た時から欲しいと感じていましたが、接していく内にその気持ちは大きくなっていくばかりで……今ではこの子が探していた『伴侶(オーズ)』なんだと思うようになって。でもあの人には憧れている人がいるみたいなんです。どうしたらいいですか?」

「ふむ、まずは質問だ……お前は女で、好きになったのは男でいいんだな?」

「当り前じゃないですか。何ですかその質問?」

「お前の経歴を振り返ってみろよ。そしたら俺が危惧した内容がわかるから……まあ相手が男なら話は簡単だ。汚い小太りのおっさんとかがやれば万死に値するが、若い美少女、もしくは美女がやれば許されるどころかご褒美な手段」

「つまり?」

「既成事実。子供作っちゃえよ。恒常的な『人化薬』はまだ作れてないからこの『どの種族とも子供が作れる薬』と『排卵誘発剤』、ついでに『女を抱くまで収まらない~超・精力剤』を使うといい」

「――ありがとうございまーす!」

「孤児院のガキンチョも父親と母親が欲しいって相談してたからな。まとめて解決するいい機会だ。……え、もしかして面倒な護衛の足止めも俺がしなくちゃいけない感じ?」

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

「はぁ……」

 

 西のメインストリートにある普段からお世話になっている『豊饒の女主人』から出た僕はため息を吐いた。さぼっ……シルさんへの恩返しとして何も考えずに雑務に打ち込んでいたけど、没頭するものがなくなってしまえばあのことを思い出してしまう。

 

 アイズさんがLv.6に【ランクアップ】して、その内容が『深層』の『迷宮の孤王(モンスターレックス)』を一人で討伐したんだと知った時、『中層』のモンスター(ミノタウロス)に逃げ惑うしかなかった僕の心は目指さなければならない場所の高みに、静かに押し潰された。

 

(それにアイズさん、最近ジークさんと距離が近いような……)

 

 ってええい、何を考えてるんだ僕は! ベートさんに馬鹿にされた時に無償で何かを期待していた自分を心の底から消してしまいたいと思ったじゃないか! 余計なことを考えている時間は僕にはない! 落ち込んでいる身体に活を入れ、ホームに足を向けようとした。

 

「ベルさん」

「……シルさん」

 

 振り返ると、僕をここに連れてきたシルさんがすぐ前に立っていた。急いで給仕の仕事を無理矢理切り上げたのか、白い頬を赤く上気させている。

 

 思わず僕は身構えてしまった。頭を空っぽにしていられたことには感謝しているけど、元はと言えば彼女が罠にはめてきて皿洗いをさせられたのだ。そのことを責める気はまったくないけど、また何か押し付けられるんじゃないかと警戒してしまう。

 

「ベルさん……無理な冒険をしようとしていませんか?」

「……!」

 

 思わずシルさんの薄鈍色の瞳から目が離せなくなった。図星を突かれていたからだ。

 

 僕はアイズさんに追いつくために、元冒険者だったリューさんに【ランクアップ】の方法を教えてもらった。偉業の達成――より上位の【経験値(エクセリア)】の獲得。つまり自分より遥かに強いモンスターに僕は挑もうとしていた。

 

 サポーターのリリは戦えない。無名も同然の【ファミリア】である僕がパーティを組んでもらえると思えない。それに憧れの人は『迷宮の孤王(モンスターレックス)』を一人で倒した。だから一人で頑張るしかないと思っていたけど……。

 

「私は、冒険者様ではないですけど……お店に来なくなった人達は、今のベルさんのような顔をしていました」

「……」

「冒険は……無理にしなくてもいいんじゃないでしょうか」

 

 ……シルさんの言っていることはきっと正しい。僕は目標の存在だけに囚われがちになっている。冒険者でもない人が知ったように言うな、なんて言葉は口が裂けても言えない。

 

 でも……それでもっ。僕のこの気持ちはどうしたらいいんだ――!

 

「ダンジョン中毒のベルさんがそれでも無理をする気なら……私にいい考えがありますよ」

「へっ?」

 

 思考の迷宮に迷い込みそうになっていた僕は、手を合わせていい笑顔を浮かべるシルさんに思わず目を点にした。っていうか解決法があるなら早く言ってよ! 僕のシリアス返してよ!

 

「私の知り合いの冒険者様はですね、絶対に生きて帰らなくちゃいけない理由を作って冒険に行っているそうです。だから私がベルさんに、絶対に生きて帰ろうと思えるおまじないをしてあげます」

「は、はぁ……」

「さっ、善は急げです! 今からやりましょう!」

「今から!? 仕事はいいんですか!?」

「ベルさんの方が大事なので!」

 

 思いやりを直球(ストレート)でぶつけられて真っ赤になる僕の手を、シルさんがミルクのように白い手で掴んで走り出す。温かさを伝えてくる手を振りほどけないまま、僕はシルさんに連れていかれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「どきやがれクソ童貞!」

「童貞言うな万年発情しているド淫乱猫が!」

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

 シルさんに案内されたのは、壁をくりぬいたように作られた部屋だった。そこに部屋があるということを知らなければ見つけることも難しい路地裏の暗がりに隠された扉を、シルさんは気安く開け、僕を招き入れた。

 

「ここは……」

「知り合いに教えてもらった隠し部屋です。趣味で作ったはいいけど、来ることがないから自由に使って欲しいって」

 

 いらなくなったものを押し付けられただけなんじゃ? 喉から出そうになる声をなんとか堪える。だって本当に物がない。魔石灯が置かれた机があるけど椅子はない。他にあるのは空っぽの衣装棚、机の側の大きな枕と丸まったシーツが置かれた寝台(ベッド)だけ。製作途中で飽きたんじゃないかと勘繰ってしまうほど殺風景だった。

 

「ベルさん、少し待っていてください。準備に時間がいるので」

「あ、はい」

「荷物は机に置いて……あ、それと合図を出すまでこっちを見ちゃ駄目ですよ?」

「……わかりました」

 

 背後でシルさんが何かをする気配を感じながら《神様のナイフ》や《グリーン・サポーター》を外す。ダンジョン探索の帰りだったけど護身用の武器を除けば、シルさんの手伝いをするために脱いでいる。……防具を付けたまま働くなんておかしいから脱いだけど、『豊穣の女主人』に置いてきてしまった。明日取りに行かなきゃ。

 

 それにしても、シルさんのおまじないとは何だろう? エイナさんみたいにお守りのような物をくれるのか、もしかしたら頭を撫でたりみたいな行為なのか。でも後ろからは水を飲むような音が聞こえるし……気のせいか衣擦れの音も……怪しい儀式だったらどうしよう?

 

 自分でした変な想像に震えていたら、肩をつつかれる感触があった。準備が終わったのかな? と考えながら振り返った直後。

 

 視界全体に目を閉じたシルさんの顔が広がっていた。

 

「――」

 

 最初に後頭部に回された彼女の手の力強さを感じた。次に僕の胸板に当たっている形のいい胸の柔らかさを。最後に女の人の甘い香りが鼻腔をくすぐった。柔らかくて少し冷たい唇の感触にどぎまぎしている間に、シルさんの舌が僕の口を割って入ってきて、同時に何かを流し込まれた気がしたけど、口の中から聞こえる淫靡な音によって塗りつぶされる。

 

 永遠にも感じられた口付けはシルさんが目を開いてすぐに終わった。触れ合っていた唇が離れる時、僕の唇を軽く舐めて笑った彼女は一糸纏わぬ生まれたままの姿だった。足元を見ると『豊饒の女主人』の制服とシルさんのものと思しき薄桃色のブラジャーとパンツが落ちている。

 

 腿の線や、腰のくびれ、臍の形、鎖骨、火照った肌、胸の桃色の先端、薄鈍色の茂みが生える陰部まで、シルさんの全てが僕の目に焼き付いた。濡れた眼差しを僕に向ける彼女は気付かぬ内に寝台(ベッド)に腰を下ろしていた僕の前で両膝をつく姿勢になり、止める間もなくズボンを下ろした。

 

 露になるのは痛いほど膨れ上がった僕の陰茎。それを見てもシルさんは嫌な様子を欠片も見せず、どころか先端に口付けを落とし、更に豊満な胸を両手で持って陰茎を挟み込んでくる。

 

「気持ちいいですか、ベルさん? ……ふふっ、満足してもらえているみたいですね」

 

 温かくて滑らかで、それでいてずっしりとした柔らかな胸に包まれる快楽は夢のようだった。妖艶に微笑むシルさんが何を言っているのかも理解できぬまま、彼女の手で操られる胸で上下に擦られ、高さを変えて左右から押し潰され、硬くなった胸の先端で与えられる刺激の数々に身体を震わせながらされるがままになっていた。

 

 ――そしてついに、男にとって最も心地よい瞬間が訪れる。

 

「あ、あぁぁぁぁぁ……!!」

 

 おじいちゃんの教え(せんのう)を受けて女の子に興味津々だった僕は、その実こういった性欲を満たそうと考えたことがなかった。だから初めての射精をしても気持ち良さを感じるよりも先に、「精液はこんなに出るんだ」とぼんやりとした頭で考えていた。

 

 放心する僕をよそに、僕が出した精液は全てシルさんにかかっていた。偶に舐めたりもしていたから必然的に顔へ精液を浴びていて、鼻も唇も瞼も、髪や耳に至るまで彼女の顔を白濁液が汚している。

 

「満足するのは早いですよ。これからが本番ですからね、ベルさん♪」

 

 口元に垂れてきた精液をそうすることが当然のように舐めたシルさんに押し倒される。いつの間にか服ははだけさせられ、手は恋人がするように指が絡み合い、艶めかしく濡れる蜜壺に陰茎があてがわれる。

 

 背に刻まれた神聖文字(ヒエログリフ)に火が付いた気がした。しかし、その火を踏みつぶすように腰が落とされ、僕はシルさんと一つに繋がった。

 

「ふふっ……ベルさんを犯しちゃいました」

 

 初めて味わう女の人(シルさん)の膣(なか)は言葉で表せないほどの快楽を僕に与えてきた。膣内はねっとりと温かく、ヌメヌメの膣壁が亀頭に擦れたと思えば、ざらりとした刺激があった。奥の方には細かな柔突起が密集し、ザラザラと先端を舐めまわしてくる。

 

 シルさんの名器がうにうにと絡み、じっくりと締め付けてきた。これだけでも蕩けてしまいそうなほど気持ちいいのに、彼女は腰を動かしてきた。

 

 膣奥の柔突起がカリや裏筋などにも当たり、甘い刺激が背筋を震わせる。腰を深く落とされる度に足に接触する柔らかな臀部の感触によって陰茎が大きくなり、子宮口は尿道に吸い付いて子種を搾り取ろうとしてくる。

 

 極上の感覚を味わいながら、僕は二度目にも関わらずあっさりと果てた。陰茎がドクドクと脈打ち、シルさんの蜜壺に大量の精液をぶちまけてしまう。

 

「んんっ……ベルさんとのセックス、気持ちいいですよ。私を孕ませたいー、って精子が子宮の中でぴちぴち泳いでます……」

「はぅぅ……」

 

 艶然と笑うシルさんの下で僕はぐったりと脱力する。たった二回だけの射精でも量が凄まじかったからか、体力を沢山使ったみたいで、徐々に意識が薄れていく。

 

「もう、ベルさんったら……私とセックスしてるのに寝ちゃうんですか。いいですよ、別に。私は満足するまで堪能させてもらいますからね……ベ(・)ル(・)」

 

 意識を失う直前に僕が見たのは、頬を紅潮させて初恋が叶ったように笑う、銀色の誰かだった――。

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

「あら、起きた?」

 

 全身が柔らかくて温かて落ち着く――人肌に包まれている。そう考えながら重たい瞼を開くと蠱惑的な表情をした銀の美貌を持つ女神様がいた。

 

「………………へっ?」

「まだ眠いの? 私も眠いから一緒に寝ましょうか」

「――!?」

 

 背中に回された腕にぎゅっと抱きしめられ、深い谷間を持つ白い双丘が僕の胸板でむぎゅうっと潰れてようやく、僕は女神様と裸で抱き合っていることに気が付いた。真っ赤になったり真っ青になったりして離れようとするが……異様な倦怠感で動けない。シーツの下で絡まる足や互いの背に回した腕の感覚はあるのに、指一本動かせない!

 

「あ、あの! 不敬なことを承知で言うのですが、離れてもらうことはできますか!?」

「あら、どうして不敬なのかしら?」

「めっ、女神様と裸で抱き合うなんて畏れ多いです!」

「無理ね。私も片腕しか動かせそうにないくらい疲れてるし……これだけ愛し合ったのだから今更じゃない?」

 

 ほら、と言った女神様に釣られて下を見ると……僕の陰茎が女神様の蜜壺をしっかりと貫いていた。お腹同士は隙間なくぴったりとくっついていて、その間にぬるぬるとした精液や愛液の感触があった。

 

 青を通り越して白くなっていく僕を女神様は愛おしそうな眼差しで見つめ、くすくすと笑う。そういえばこの方の名前は何なのだろう?

 

「いっぱい出したわね。そんなに私の中は気持ち良かった?」

「は、はい……それはとても」

「ありがとう。私も楽しめたわ。久しぶりに腰が砕けちゃったし」

「あ、あの……貴方の名前は?」

「私? フレイヤよ」

「えぇ!?」

「そしてシルも私」

「えぇえええええええ!?」

 

 フレイヤ……フレイヤ様!? 【ロキ・ファミリア】と並ぶ最強の派閥【フレイヤ・ファミリア】の主神!? しかもその人がシルさん!? じょ、情報に頭が追い付かない……!

 

「だ、だってシルさんは人間でっ」

「あら、知らないの? 神の中には『神威』を零にできる者が何柱かいるのよ。私もその一柱ってこと」

「な、なんで僕とこんなことを……」

「そんな理由、愛している以外にないでしょう?」

「あっ、愛し……!?」

 

 ――これは後でフレイヤ様に教えてもらった話だけど、僕はフレイヤ様をちゃんと見られる唯一の存在……伴侶(オーズ)であるそうだ。神様でも抗えない『魅了』も僕には通じず、自分の意思で好意を伝え、間違ったことを正そうとしてくれて、対等にあり続けられる僕がフレイヤ様は愛しくて仕方ないらしい――。

 

「貴方が好き。好きよ、ベル。だから貴方に死んでほしくない」

「フレイヤ様……」

「それと私、ベルの子供を身籠ってるわ」

「!? か、神様と僕達じゃ子供は作れないんじゃあ……!?」

「その不可能を可能にした人類(こども)がいるのよ」

 

 僕の脳裏に『武器が美少女化することがあっても、その美少女も孕ませることができる男に俺はなりたい』と宣言する灰髪の男性が浮かび上がる。絶対にあの人だ……。

 

「だからね、ベル。私を未亡神にするようなこと……私達の子供を悲しませるような真似はしないでね。約束よ」

「……はい。約束します」

 

 フレイヤ様は僕の頬をそっと包み、口付けを落とした。優しく触れ合う唇を感じながら、僕はこの人を悲しませないようにすることを誓った。

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

「【ランクアップ】おめでとうございます、クラネルさん」

「い、いやぁ……ありがとうございます、リューさん」

「えへへ、私が渡したあの本と……私達(・)の存在はお役に立ちましたか、ベルさん?」

「はい、とっても……」

「? シル、酒を飲まないのですか? クラネルさんの祝いの席となれば、貴方は飲むものとばかり……」

「んー……うふふ、お酒よりもずっと幸せな気持ちになってるからいいの。ねっ、パパ」

「あはは……」

「シル、よく聞こえませんでした。クラネルさんのことをなんと呼んだのです?」

「内緒♪」

 

「屑、屑、この屑ウサギ! 欲望のままに女神を孕ませるなんて不敬を行って!!」

「だ、誰ですか貴方――ああああっ!?」

「あの行いで私は! ……私はっ! 逆レイプ(こんなこと)をするハメになったのにっ……」

「ぬ、抜いて下さい! もう、出ちゃう……!」

「うるさい! とっとと子種をぶちまけて私を身籠らせなさい!!」

 

「ヘルンさんが妊娠したそうなんですけど……父親はベルさんですか?」

「いや、違っ……わないんですけど、あれは完全に不可抗力で!」

「ふーん。そんな言い訳をしちゃうんですか……お仕置きです」

「な、何をするんですか?」

「一週間、ベルさんとヘルンさんにはセックスしたまま過ごしてもらいます。ベルさんには食事がありますけど、ヘルンさんはベルさんの精液しか摂取したらいけません。……壊れないといいですね?」

 




 よかったねベル君、最低でも二児のパパだよ!
 それにイシュタルに攫われてもすぐに助けに来てくれるよ!
 憧憬一途は知らないよ!
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