ベアトリクス・ブレーメの淫靡な夢 作:雄渾
ユルゲンたちが制服でディナーに行ったのは、そう言った理由からです。
今日でも同じ民族であるスイス連邦では同様の規則が残っています。
全身に酒が広がるにつれて、ユルゲンの欲望は膨らんでいく。
他愛のない話をしながらも、心の中にあったのはハイゼンベルクへの思いであった。
妻に内緒でこんな美人と戯れる……。悪くもない。
セミロングの美しい金髪を細く長い指で梳き上げる様を見ながら、氷で薄まった果汁酒を飲みこむ。
ハンニバル大尉の情婦と言う話は本当だろうか……、本当ならば自分がしようとしていることは不義ではないか。
家で待つベアトリクスへの、裏切りそのものではないか……
ハッと我に返ると、自身の中で急速に膨らんでいった欲望に戸惑いを感じた。
目の前の女に興味こそ抱きはしても、情愛の対象として意識した事に不安を覚えたのだ。
彼女の姿を見ていてドギマギしていると、ふいに声を掛けられた。
「送っていきましょうか……」
「いえ!お構いなく……同志ハイゼンベルク。また後日……」
椅子から立ち上がろうとした時、ふら付く。思わず彼女の胸に触れてしまったのだ。
勤務服の外見からは想像もつかぬ様な豊かな双丘、その量感が右手越しに伝わる。
(これがハイゼンベルクさんの乳房……、ベアには劣るが中々の物だ)
ユルゲンは、勤務服の上から力強く揉みしだく。
掌全体でこねくり回す様に揉みしだくと、ハイゼンベルクは喘ぐ。
「ああぁ……」
翡翠色の瞳が見開かれ、どろどろに蕩けた様な表情になる。
ハイゼンベルクは、身体から力が抜けた様子で、抵抗する素振りすら見せない。
艶かしい息遣いに気を取られていると、不意に右手を掴まれる。
彼女は額にべっとりと汗を浮かべながら、艶のある金髪をハラハラと解れさせ、ユルゲンを見据える。
火照った美貌を見せながら、こう告げた。
「いけせんわ……、同志中尉」
ユルゲンは途端に肝を冷やした。
しまった、どうしようか……。
抜け落ちていた現実が、彼の前に立ちはだかる。
「じゃあ、俺は帰らしていただきますよ」
不思議そうに首を傾げる。
「もう少し……」
「妻を待たせていますし……」
それだけ言うと逃げ出すように、店外に続くドアの前に立った。
もう一度、ハイゼンベルクの胸を揉みしごきたい欲望に駆られる。振り返りもせずユルゲンは、出口に向かった。
歩きながら、ユルゲンは考えた。
俺達の間柄は只の
頭を冷やせばすぐにわかりそうなもの何に……
ハイゼンベルクをものにすると言う事は、上司のハンニバル大尉を裏切るというばかりではなく、妻の事も蔑ろにする行為だ。
いくら望んだところで、決して許される行為ではない。
でもそれならば自分はなぜあんな行為をしたのだろうか。
心のどこかに不義密通と言う、罪を犯してでも手に入れたい気持ちが有るからではないのか。
己の
漆黒の空から降りしきる雨は夜霧の様に細かく全身を湿らせていく。
ユルゲンは戎衣が雨に濡れるのに任せて、パンコウ区の自宅までゆっくりと歩いた。
これが平服ならば、自宅まで駆け込んでいったであろう。
ドイツ国家人民軍の将校制服……、軍隊手帳にも書いてあったが軍人に相応しいふるまいをしなくてはならない。
無論ゆっくりと歩いているのには、ほかの理由もあった。
先程までの出来事が、脳裏に焼き付いて離れなかったのも大きい。
ハイゼンベルクの乳房の感覚が、今も生々しく右手に残っている。
服の外見からは想像もつかぬ様な豊かな双丘、その量感が何かの拍子に蘇ってくるように思える。
その度に男根は固く起立した。
硬直した肉棒が軍袴の中で擦れ、微妙な快感を伝える。
何時もなら5分もかからぬ場所を10分ほどかけてとぼとぼと歩いた。
玄関の前に大柄な女が一人、雨に打たれながら立っていた。
遠くて良く判らないがアイリスかもしれない……。
ユルゲンは逸る気持ちを抑えながら、歩を速めた。
軍靴の足音に気が付いたのか自宅前の女が振り返った。
アイリスディーナではなかった。
ユルゲンは一瞬、失望した。
其処に立っていたのはベアトリクスだった。
服はびっしょり濡れていて、髪は頬に張り付いている。
ユルゲンは驚いて、駆け寄る。
「ベアトリクス!」
「あ……貴方、遅かったから……。どうした物かと……」
笑顔を浮かべようとするも、何処か引き攣った様な笑み……。
紅玉のような瞳は潤んでいるように見える。
「何もこんな雨の中を……」
無意識に彼女の肩を抱く。
柔らかな餅の様な肌の感覚が掌に伝わって来る。
肩が小刻みに震えている。
ユルゲンは彼女の背中を押すようにしながら、玄関に急ぎ足で入った。
ベアトリクスは黙って従っていた。
一体夫に何があったんだろうか……
そう考えて立ち尽くしている時、ユルゲンは洗い晒しのバスタオルを2枚手にして来た。
ベアトリクスは手渡されたバスタオルを思わず見た。
「何している。今から風呂に入れ」
ユルゲンの押さえた口調からは何処か興奮を冷まそうとしているように見える。
「既に俺達はお互いに知らぬ事のない間柄ではないか……」
ベアトリクスは俯き、頬を赤らめた。
その恥じらいが、彼の猥らな心を煽り立てた。
男根が硬く起立し始める。
ユルゲンもまた頬を紅潮させる。
自身の陋劣な心が恥ずかしかった。
ベアトリクスの信頼しきったような瞳。眩しく感じた。
その視線を避ける様に、素早くベアトリクスに背を向ける。
股間の肉棒は、既に隠し切れぬほど、大きく硬くなっていた。
シャワーで裸体を濡らしながら、ベアトリクスは思いに耽った。
今日の夫は何時もより積極的だ……。
奥手で必要以上に自分に気を遣うユルゲンが、いやに積極的なのだ。
誰か別な女とでもいっしょに居たのだろうか……、彼に限って……。
ありえない事があり得ないのが世の中の常だ。
淡泊ともいえる、あのユルゲンを好きになる女が他にいても、おかしくはない。
何せ、ソ連留学主席に選ばれるような美丈夫。
惚れぬ女など居よう物か……。
そう思うと、だんだんと体が火照って来る。
「一体、どうしたって言うの……」
自分の心に付いた何かを洗い流そうと、ベアトリクスは熱い湯を浴び続けた。
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こちらでも、暁の方でも構いません。
最後にアンケートが御座います。宜しければお答えください。
マライ・ハイゼンベルクさん、どうする?
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(不倫は)してはいけない
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貴女、無作法さんね
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ユルゲン君、認知して…