ベアトリクス・ブレーメの淫靡な夢 作:雄渾
ユルゲンは、夜間哨戒勤務から帰宅した
何度着ても着慣れない衛士強化装備
戦闘機乗りの訓練の際に着たソ連製の
繋ぎ服の様にも見えるが、一番の違いは身体のラインがそのまま透けて見える様な
米国企業の特許出願で東ドイツでもライセンス生産されているが、質は米国製に比して大分落ちる
ベアトリクスに会いたい一心で、
一風呂浴びようと、シャワーのある浴室に向かう
年間降水量が多く、大海に囲まれ、山野より産出する水資源の豊富な日本列島と違い、内陸部に近いドイツに在っては、入浴と言えばシャワー
水質が硬水で水道代も割高な為でもあろうが、一番の違いは湿度
浴槽の無い家も多く、また当地の医者は毎日の入浴を
これが、集合住宅であったら、どうしたものであったろうか
父が残してくれたパンコウ区の持ち家には、非常に感謝している
アイリスも自分もドイツ人にしては
脱衣所の向こうにアルミサッシで覆われた
ドイツ
このメロディーはウクライナ・コサックの有名な民謡の
『コサックはドナウを越えて』
戦場に出向くコサック兵と恋人の辛い別れを歌った詩人の作品……
ハリコフでBETAと
あの
一瞬にして光線の中に消えた戦術機実験集団の隊員……、遺骨を拾う事さえ叶わなかった
その事を思うと、はらはらと涙が
愛しい妹や、掛け替えのない存在である妻、ベアトリクスの為にと
今も軍隊手帳には戦死した仲間の名は記してあり、毎朝
思い起こしては、ヴァルハラに居るであろう彼等の平安を願い、祈る事に
再び意識を現実に戻し、洗濯籠に視線を移すと、
白いレースの入ったパンティーやペチコート、
これは、まさかアイリスディーナの下着ではないのか……
てっきり自分は、ベアトリクスが朝にシャンプーでもしているのかと思って浴室に入ってしまったのだ
なので、そのまま実行してみたが、こんなことに成るとは……
その刹那、ガラス戸が開き、裸身のアイリスディーナが
体から湯気が立ち昇り、腰まで伸びている
透き通るような白い肌は、
壊れそうなくらい細い体の線とは、対照的に豊かに盛り上がった
妻と妹の間で心が揺れ動く男にとっては、あまりにも刺激的すぎる光景であった
なんと美しい事であろうか……
目の前の妹は、ギリシア神話の処女神・アテナを思い起こさせるように感じる
心の奥底から込み上げて来る感情を抑えつつも、じっと妹の
豊かな乳房や金色の陰毛が目に入った瞬間から、下腹部に力が入るような感覚に襲われる
突然目の前に現れた勤務服姿の兄……
裸身を
何時もより速い速度で鳴り響く鼓動は、当分止みそうにない
青くサファイアの様な神秘的な瞳が、彼女の顔を覗き込む
「兄さん?」
兄はただ彼女の顔色を
アイリスディーナは、やっと悟った
目の前には、己がの裸体を見つめる兄が居ると言う事を……
その思いを心の中で、じっくりと確かめる
「いつの間に戻られたのですか……」
「たった今さ。一刻も早くお前たちの顔を見たかったから」
「でも、どうなさったのですか。こんな時間に……」
彼女は、ユルゲンの勤務時間を把握していなかった様子だった
ユルゲンは、再び妹に視線を移す
アイリスディーナのふくよかな乳房は、はち切れんばかりの生気に
収まりつつあった
ユルゲンは、覚悟したかのように唾を飲み込む
視線は相変わらず彼女の胸の谷間から動いておらず、ひたすらに見入っていた
「アイリス。貴女、シャンプー切れてなかった」
黒いワンピース姿のベアトリクスはそう言いながら、ドアノブを回すと入って来た
ばたんと大きな音を立てて開かれた扉の向こうに居たのは、裸身のアイリスディーナと勤務服姿の
思わず、ガラス瓶のシャンプーを落とす
瓶は粉々に砕け、液体シャンプーが床一面に広がった
彼女は
一瞬にして頭の中が真っ白になっていく
変電装置の
強烈な
「大丈夫か」
辛うじて心の平静を保っているのは、何れかはこの様な事があるかもしれないと考えていたからではなかったか
ただ深い
夫の向こう側に居たアイリスも顔を向ける
その表情は、どことなく
自己の精神をを守るために安全装置が働いたためであろうか
ベアトリクスは無言の儘、ただ彼等を見つめた
心の中は
「ベアトリクス」
アイリスディーナの声は、
「
「何が……」
己が声さえも違って聞こえる気がする
「アイリスは悪くない。俺が勝手に部屋に入っただけさ」
憎しみこそ抱きさえすれ、許せるであろうか
夫の手を払い、
「俺が悪かった。アイリスだけは、アイリスだけは許してやって
夫の声が耳に
何処までも果てしなく続く
憎しみも
ただ絶望感が心の奥底から
「貴女は何をしようとしたのか、解っているのかしら。アイリス」
ベアトリクスの口調はとても穏やかで丁寧であった
彼女はもう一度、義妹の目を見つめた
ユルゲンの
それはたぶん
アイリスディーナの受け答え次第によっては、
「貴女がそこまで
ユルゲンが口を挟む
「誤解だ。ベアトリクス……」
「貴方は黙っていて。これは私とアイリスディーナの問題よ」
アイリスディーナは、じっとベアトリクスの瞳を見つめる
その紅玉の様な眼からは、深い悲しみが感じ取れるような気がした
「どうしてこんな、どうしてこんな事をしたのよ!」
義妹が何か語ろうとしているのは分かる
だが、ベアトリクスにはその感情は分からなかった
戸惑いの表情で此方を見つめるアイリスディーナは、一歩歩み出ると洗濯籠にあるバスタオルを掴んだ
ゆっくりと髪を拭いた後、体に巻き付ける
なぜアイリスディーナは、こんなにも平然としていられるのだろうか
ベアトリクスは自身の心の奥底から湧き出て来た戸惑いの感情に押し潰されそうになる
再び夫の方へ振り替えると、その胸に抱き付き、
18世紀のウクライナ民謡、19世紀ドイツ歌謡の題名なら著作権には引っ掛からないと思い、出しました
問題あるならば、ここか、暁の方のコメント欄にでも書いてくれれば助かります