復活したヴォルちゃんは異世界に転生してでも自称・死喰い人のバイオレンス男子から逃げ出したい 作:ばにらいむ
「ハッピーニューイヤー!!!」
時は西暦2023年元旦。
私、シカム・レナルドレッドは目の前の後輩の女、ホイミと共に隠れ家としている廃墟でゾウニという料理を貪り食っていた。
「ホイミ、また腕を上げましたね…さすが私が見込んだ後輩」
「先輩がクソ下手なだけです」
私が彼女を褒め称えると、眼の前の少女はくしゃりと顔を歪ませる。その表情には喜びの色も見えなくはないが、どちらかと言えば侮蔑の念が滲んでいるように見える。
「むっ……まあ、確かに私は人並み程度の腕前しかありませんけど」
「自覚あるんかい」
ホイミはそうごちりながら、再び空になった椀にゾウニを入れた。
「あ、先輩。お餅焼けましたけど」
「おお!なにか焦げ臭いなとは思っていたがお餅焼いていたんですね。頂きましょう!」
私は焼きたてのお餅を手に取ると、躊躇いもなくそれに齧り付く。
「う〜ん美味しいですねぇ……」
「良かったですね」
「ええ、本当に……ところでホイミ?」
「なんさ?」
「どうしてこんなにも大量に焼いたのでしょうか?」
私の目の前にはおびただしい量の餅が小さな山のように積み上がっていた。
「え?だって今日は正月ですよね?いっぱい食べるために沢山焼いたんですよ」
「それはそうなのですが……この量は些か多すぎると思うんですよね…ていうかゾウニの具材もよく見たら餅と大根しか入ってませんよね…」
私が苦言を呈すると、ホイミは頬を膨らませて反論する。
「いいじゃん!私達、今金欠なんだよ!?それなのに先輩ったら『お金がないならゾウニを食べればいいじゃない(笑)』とか言い出すし!」
怒ると先輩だろうとため口になってしまうのは彼女の悪い癖だ。
「だとしてもこれはやりすぎでは?50人は食べれますよコレ‼」
「うるさい!文句言わずに食べろぉ!」
そう言って私の口に大量の餅を押し込んでくるホイミ。彼女の手から逃れようと必死に抵抗するが、相手の方が一枚上手だったようで簡単に抑え込まれてしまう。
「ほーれほれぇ!どんどん食えやぁぁ!!!」
「やめへくらはい!ひょっと待ってくだふぁs…うっ」
「せ、先輩?!」
全く息ができない。どうやら餅が喉に詰まってしまったらしい。
その苦しみと言ったらまるで海で溺れてしまったかのようだ。
そして視界が真っ暗になってゆく……。
(案外、走馬灯は見えないもんなんですね…いろいろありすぎて今までの人生振り返る暇もなかったから少し残念かもしれませんね)
「ちょっと!しっかりして下さいよ!!先輩ぃ!!!」
そんなホイミの声を聞きながら私は意識を失った。