復活したヴォルちゃんは異世界に転生してでも自称・死喰い人のバイオレンス男子から逃げ出したい 作:ばにらいむ
「ッハッ!!!!!!」
気がつくと私は例の隠れ家にいた。
「あ、先輩起きました?」
ホイミが心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
彼女の腕はベタベタに汚れており、更にベタベタのその手のひらには私が喉につまらしたのであろう、餅が握られていた。おそらく喉に手を突っ込んで無理矢理出したのだろう。恐ろしい女だ。
ふと、私はあることを思い出して体を起こす。
「あれ?!我が君は?!」
「は?我が君?あの先輩が大好きな?」
そう言うホイミの腕には、いつの間にかリンボに落ちていたアレがしっかりと握られていた。
「あ、あの、ホイミさん…それは?」
「え?これ?肉じゃないの?」
「いやそれ我が君ィーーーーーーーッ!!!!!!!」
私は慌てて彼女から我が君をひったくる。全く何という無礼。こいつが元後輩でなければブッ殺しているくらいだ。
せっかく我が君に出会えたのに鍋の具材になぞされてたまるか。
そんなことになったら死んでも死にきれんぞ。
「ちょっ、何するんですか?!返してくださいよ!」
「ダメです!これは私の物だ!いくら貴様が先輩だからと言ってこれだけは譲れない!!」
「はぁ!?ふざけないで下さい!!あんたが死ぬ間際に私にくれたんでしょうが!!!」
「そんな記憶はないわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「じゃあ今から作ってくださいよぉ!!!」
「嫌ですぅぅう!!」
「おい」
「ちょっと!さっきまであんなに弱ってた人がなんですかこの力?!」
「おいって」
「うるさいうるさいぃぃい!!我が君の為ならば私は鬼にも悪魔にもなるのです!!」
「なんだよそれぇえ!!!」
「お前らいい加減にしろ!!!!!!」
「「?!」」
怒鳴り声の方を見ると、そこには呆れた顔の…
……………………我が君ことヴォルデモート卿がいた。
彼は大きなため息をつくと私達に近づいてきた。
途端に私は泣き出してしまった。もう我慢できなかったのだ。
だって、彼が生きているのである。それもあの頃よりもずっと若い姿で。
そして私達の前にいる。
私は思わず彼に抱きついた。彼は一瞬驚いた表情を浮かべる。
「おい…小娘」
我が君は私では話にならないだろうと確信したのか、唖然としているホイミに話しかけた。
「何がどうなってる」
「全く分かりません」
即座に答えるホイミ。
「私ですッッ!私です我が君!!私があなたをっ!!」
声が聞けたことに対してパニックになり、目の前のヴォルデモートをがくがくと揺さぶる私。
もう隠れ家の中はカオスと化していた。
「分かったから落ち着け……」
「はいっ!!!」私はその場に座り込む。
「あ、はい」つられてホイミも答える。
「まず、何故俺がここにいる」
「私がリンボから連れてきたからです!!」
「……どうやって?」
「私があなたのことを愛しすぎているからです!!」
「はぁ?!」
私の訳の分からない回答に面食らったような表情になる我が君。ああそんな表情も素敵だぜ我が君。
「意味がわからん。ちゃんと説明せんか」
「はい!!わかりました我が君!!」
私は勢いよく立ち上がると、今までの経緯を話し始めた。
「ふむ、なるほどな……。しかし俺は死んだはずだぞ?」
「いえ、我が君は生きておられます。現にこうしてここにいますよね?」
「いやでm「いますよね?」
「は、はい…すみません…でした」
我が君の質問を遮ると、私は笑顔のまま圧力をかけてみた。
すると何故か彼は顔を真っ青にして俯いたのだった。
「えっと…あんた大丈夫?顔真っ青だけど」
ホイミがおずおずと話しかける。
「ああ、問題ない。少し気分が悪いだけだ。誰かさんのせいでな」
「そ、そっか」
「とにかく、だ」
我が君が気を取り直すように咳払いをする。
我が君はコホンと咳払いをする。
「お前のその愛とやらで、俺はこの世界に戻ってきたというわけなのか?」
「はい!結論から言えばそういうことになりますね!」私は自信満々に即答した。
「まあ、とりあえずはわかった。ありがとうとでも言っておくか。そういや聞くのを忘れていたがお前たち、名前は何だ?」
「あ、私シカムです。シカム・レナルドレッドです」
「私はホイミ・ザオーラです」
「そうか、よろしく頼む。ところでお前たち…………衣服か何か持ってないか?」
「……」「…………」
そうでしたそうでした、考えたら我が君、全 裸 で し た 。
私は無言で近くにあったパーカーを差し出す。
「これサイズ合わないんじゃないか?」と呟きながら我が君はそれを羽織った。
「あの、それで貴方はこれからどうするんですか?」
ホイミが恐る恐るといった感じで我が君に尋ねる。
「なんも決めとらん」
「何も決めてねぇのかよ!」ホイミが鋭いツッコミを入れる。
「仕方がないだろう、何も今日蘇るとは思っていなかったんだ。何も決めてないのは当たり前だろうが」
そう言いながら我が君は座り込む。
「じゃあひとまず我々についてくればいいんじゃないですか?一応金はありますし、何かあれば戦えますし」
「なめるな、自分の身くらい……」
しかし私は首を横に振る。そして言った。
「今の我が君には、魔力がほとんど感じられません」
もうぐっちゃぐちゃです…正直書いててしんどいよ…楽しいけど