女子会でルーデウスが自分には孕めと言ってくれない事に気づいたエリスが不安になり、彼からの愛を確かめようとする話。
ロキシーとルーデウスの間にララが誕生して数ヶ月。グレイラット家は幸せなムードに包まれていた。
そんな最中、焦りを感じている人物が居た。ルーデウスの三番目の妻、エリスである。
ララが生まれた後、次は自分の番とばかりにエリスはルーデウスを何度も求め、襲った。だが、なかなか子宝に恵まれないでいたのだ。
ある日の夜のグレイラット家定例会議、またの名を女子会にて。
宴もたけなわになり、酔いの回った女子たちの話題は下ネタになりつつあった。ルディにあんなことをされて、こんなことをしてあげたというような話をして、シルフィとロキシー、エリナリーゼが盛り上がり、アイシャが相槌を打つ。
だが、エリスはイマイチ乗り切れないでいた。彼女たちの話していた内容で引っかかったことがあったのだ。
「ルディは子供がどうしてもほしいみたいでさ、新婚時代なんか興奮すると『孕め、オラァ!』 って言って求めてきたんだよ。今でも思い出すだけで……きゃー」
耳をパタパタさせ、興奮して話すシルフィ。
「わたしの時もルディは興奮すると孕めとかよく言って、荒々しく求めてきましたね」
エリスからロキシーの様子は一見落ち着いているように見えたが、彼女は持っているカップをぐるぐると勢い良く回していた。
「私、そんなこと言われたこと、一度も無いわよ。もしかして、ルーデウスは私との子供を実は欲しくないのかしら……」
「そんなことはないと思うよ。ルディ、エリスとの子供の名前はどうしようか考えてる様子だからさ」
「不安になっているだけですよ。こんな時は酒で洗い流すのが一番です」
エリスの杯にロキシーが酒を注ぐ。その後、エリスは彼女に勧められるままに杯を飲み干したが、その日は酔うことができなかった。
エリスとて悩みはするが、それが持続する性格ではない。
ルーデウスが本心から愛してくれているのかどうか、不安なら確かめれば良いのだ。
次にルーデウスと寝る時は、「孕め」 と言ってくれるまで身体を許さないことにした。
◆ ◆ ◆
後日の夜。
エリスは寝室のベッドの上でルーデウスを待つ。扉を開けて彼が入ってくる。飛びついて愛を伝えたいところだが、確かめたいことがあるのでぐっと我慢する。
ルーデウスはお風呂上りなのか、シャツの襟元を掴んで扇ぎながら歩いてくる。それを見て、エリスは今すぐにでもその服を脱がして、くんくんと胸元の匂いを嗅ぎたい衝動に襲われるが、何とか耐えた。
エリスの横にルーデウスは寝そべると、何かそわそわしている様子だったが、彼女が何もしてこないのを見ると話かけてきた。
「エリス、今日はしないの? 」
「私だってそんな気分じゃない時もあるわよ。ルーデウスがどうしてもって言うならいいけど……」
「じゃあ、たまにはゆっくり話をしよう、ダメかな? 」
「いいわよ」
ルーデウスはエリスの返事を聞くと話し始めた。最初は仕事であったことや街で遭遇した出来事など、他愛のない話だった。そのうち、子供たちについて彼は話し出した。
「ルーシーは最近、お前の真似をして大きな声で話すんだよ。可愛いよな」
「そうね」
「ララは笑う時に俺に似た笑い方をするんだ。俺にとっては可愛いけど女の子だし、将来が心配だ」
「……そうね」
ルーデウスが子供たちの様子を楽しそうに話す。
エリスもルーシーとララは可愛いと思っている。血は繋がらずともルーデウスの面影を持つ二人の子供。我が子と思って愛している。だが、ルーデウスの様子を見ると心から自分との子供がほしいのか心配になるのだ。
「エリス、お前も子供が欲しいよな。俺も頑張るよ」
エリスの不安げな表情を見てルーデウスが言う。だが、ルーデウスは優しい人だし、自分に気を遣っているだけなのかもしれないとエリスは思った。
「別に、頑張らなくてもいいわ。ルーデウスは私の夫なんだから、俺の子を孕めとでも言えばいいのよ」
「……そんなこと言えないよ」
エリスがムッとした表情をする。
「どうしてよ!シルフィとロキシーには言ってるって聞いたわ!」
エリスにそう言われ、ルーデウスはハッと何かに気づいたような顔をした。その後、表情を引き締め、彼女の肩を抱き、しっかりと彼女の目を見て言った。
「エリス、聞いてくれ。お前にそういう事を言わないのは子供が欲しくないからとか、愛してないからじゃない。俺もお前と初めてした時のこと、後悔してるんだよ。欲望のままにお前を襲って、嫌われたかもしれないと思ったんだ。だから……エリス、お前にはそんな風に乱暴な言葉を吐いて、手荒く抱くなんてしたくないんだよ」
エリスはルーデウスが自らを大切に扱ってくれている事を知り、嬉しくなると同時に先ほどの言葉を後悔した。
彼は自分もちゃんと愛してくれているのだ。
「……悪かったわ。ルーデウスもそうだったのね」
無理矢理迫って酷いことをしてしまったのは自分なのだと、エリスは今まで思っていた。ルーデウスもそう思っていたのだ。
「なぁ、エリス。9年前にした約束、覚えてるか?」
「忘れる訳ないわ。……破ってしまってごめんなさい」
「俺も誘惑に負けて破ってしまったのは同じだし、あれはお前の誕生日に贈ったものだから、気にしなくていい」
ルーデウスは続けた。
「だからさ、その……あの時の約束を果たすと思って、俺の想いをちゃんと受け取ってほしいんだ。お前は今日は気分じゃないと言ってたし、別の日でもいいけど」
「わかったわ。今日でいいわよ。約束、果たしてあげるわね」
エリスは真剣な顔で頷いた。それを見てルーデウスは息を吸い、言葉を紡いだ。
「エリス。好きです。俺の子供を産んでください」
「フン! 仕方ないわね。ルーデウスの子供、産んであげるわ!」
エリスは耳まで真っ赤にしながら答えた。
荒々しく交わる普段の夜とは違い、幾分か優しく穏やかながら、熱い夜が始まった。
二人で服を脱がし合い、生まれたままの姿になる。
ルーデウスはエリスにキスをして、豊かな胸を揉みしだく。精一杯の想いを込めて彼女の全身を愛撫する。エリスもルーデウスの全身を撫で回し、より深くキスをした。
ルーデウスは肩を掴むとベッドの上に優しくエリスを押し倒す。彼の力ではエリスに抵抗されれば、押し倒すことなど到底できないが、抵抗はなかった。
ルーデウスはエリスの手を握ると優しくベッドに押し付けた。身体を密着させて互いの体温と体臭を感じ合う。濃厚な口づけをまた交してから、彼は言った。
「エリス、俺の子を孕んでくれ」
「頑張るわ」
エリスが満足げな顔でニマニマと笑う。
「挿れるよ」
己の物をエリスの中にルーデウスが挿入する。ゆっくりと、しかし力強く腰を動かし始めた。
ルーデウスがエリスの手を掴み、お互いの指を絡め合う。エリスは彼の手の大きさ、ゴツゴツとした剣ダコに気付いた。彼も自分の様に頑張っていて、もう小さな身体ではないのだと、実感した。いつもは自分が手を握っていたので、彼の大きさに気づかなかったのだ。
ルーデウスの力強い腰使いに想いが込められているようで、エリスは甘美な感覚と精神的な充足感を覚えていた。やがて、彼の腰使いが激しさを増した。
「エリス、出すよ!俺の想い、受け取ってくれ」
「わかったわ! 来て、ルーデウス!」
エリスの中にルーデウスは迸る想いを撃ち放った。エリスは脚をルーデウスの腰に絡め、一滴残らず搾り取ろうとする。
「エリス、離してくれないと抜けないよ」
「抜かなくていいわよ。まだ足りないもの!もっとルーデウスが欲しいわ! 」
そのまま、ルーデウスは二度目の種付けをする羽目になった。
ルーデウスは己の愛をエリスにわかってもらうため、その後も懸命に励んだ。いつもは己の愛を伝えようと必死なエリスも、彼の愛を受け止めようと努めた。
幾度となく睦み合った後、力尽きて先に眠ってしまった最愛の人の顔を見て、エリスは微笑む。そっと彼の唇に口づけすると、自らも眠りに就いた。
朝の日差しがカーテンから漏れ、ルーデウスの目にかかる。目を開けるとエリスが寝息を立てていた。うふふ、いつもはあんなに荒々しいのに、寝顔はまるで女神ねとルーデウスは思った。
彼女の身体を撫で回していると、パチりと目を開けたエリスがその手を掴んだ。ルーデウスがはぐらかすように言う。
「こ、子供、早くできるといいね」
「できるわよ。今日はそんな気がするもの。元気な男の子を産んでみせるわ! ねぇ、ルーデウス。昨日のお礼をしたいの。いいでしょ? 」
「いいけど、優しくね? エリス、待って……」
ルーデウスは組み敷かれ、唇を塞がれてしまう。
その日は昼近くまで、野獣となったエリスに愛の蹂躙を受けた。治癒魔術をかけないと足腰が立たず、寝室から出られないほどだった。
◆ ◆ ◆
そんなことがあってから一か月ほどが経ち、エリスは妊娠が発覚した。
(あれだけルーデウスが愛を込めてくれたのだもの、強い男の子に違いないわ! )
エリスは「んふふ……」と微笑みながらお腹を撫で、椅子の上で考えるのであった。